寄附金控除(所得控除)とは|対象となる寄附金と控除額の計算式

公開日:2019年04月14日
最終更新日:2022年04月14日

この記事のポイント

  • 寄附金控除とは、募金やふるさと納税を行った時に受けられる所得控除。
  • 寄附のなかには、寄付金特別控除(税額控除)と選択適用できる寄付金もある。
  • 寄附金控除を受けるには、原則として確定申告が必要となる(例外あり)。

 

寄附金控除とは、善意の気持ちのあらわれである寄附という行為に応えるための税法上の特例です。国や地方公共団体、認定NPO法人などに寄附した金額が、寄附金控除の対象となります。
ただし、寄附をすればどのような場合でも控除できるというわけではなく、特定の個人や団体にしか利益が及ばないような寄附金の場合には、控除することはできません。
ここでは、寄附金控除の対象や必要な手続き、書類などについてご紹介します。

寄附金控除(所得控除)とは

寄附金控除とは、国や地方公共団体、認定NPO法人などに寄附した場合、その善意の気持ちに応えるという意味で設けられた、所得控除のひとつです。
ただし、寄附をしたら何でも控除できるわけではなく、対象となる団体は限られています。また、寄附金控除を受けるためには、サラリーマンも原則として確定申告をする必要があります(ふるさと納税のワンストップ特例をのぞく)。サラリーマンは、会社の年末調整で各種控除を受けることができますが、寄附金控除、医療費控除、雑損控除の3つについては、会社で年末調整をしてくれないからです。

寄附金控除の控除額の計算は、以下の算式で計算します。

①特定寄附金の額-2,000円
②(総所得金額等×40%)-2,000円
①②のどちらか少ない方

(1)そもそも「所得控除」とは

所得控除とは、所得金額から控除できるもので、全部で15種類あり、寄附金控除もこの所得控除のひとつです。

所得税は、個人が1月1日から12月31日までの所得に対して課税されるものですが、1年間の収入の金額からそのまま所得税の額を計算するわけではありません。
大まかにいうと、まず収入からその収入を得るために使った費用などを差し引いて、「所得金額」を計算します。
そして次にその人の家族の状況、災害、病気、寄附などの事情を考慮して設けられている15種類の所得控除を差し引いて、課税所得金額を求めます。
この課税所得金額に税率を掛けて、所得税額を計算します(ただし、実際には所得によって差し引ける費用や控除が変わるので、もう少し複雑な計算となります)。

所得税額=(所得金額-所得控除)×税率

上記のように、所得控除は所得金額から差し引くことができるので、所得控除が多ければ多いほど税金計算は有利になります。

(2)寄附金特別控除(税額控除)と選択適用できる寄付とは

寄附金を支出した場合の控除としては、所得控除である「寄附金控除」のほかに税額控除である「寄附金特別控除」があります。

①政党等寄附金特別控除
政党等に対して、寄付した場合

②認定NPO法人等寄付金特別控除
認定特定非営利活動法人に対して、一定の寄付をした場合

③公益社団法人等寄附金特別控除
特定寄附金のうち、公益社団法人、社会福祉法人、更正保護法人等に対して、一定の寄付をした場合

政党等に対する寄附、認定NPO法人等への寄付公益社団法人、社会福祉法人、更正保護法人等への寄付を行った人は、寄附金控除(所得控除)寄附金特別控除(税額控除)のどちらか有利な方を選べることができます。つまり、寄付金控除の適用を受ける場合には、税額控除の適用はできません。

寄附の内容や寄付先 所得控除 税額控除
特定寄附金(学校の入学に関して行うものをのぞく) 国、地方公共団体に対する寄附金 国に対する寄附金 ×
地方公共団体に対する寄附金 日本赤十字社、新聞・報道機関等への義援金 ×
上記以外のもの ×
指定寄付金 ・財務大臣が指定した寄附金
・公益社団法人、公益財団法人など公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金で、下記①②の要件を満たすと財務大臣が指定したもの
①広く一般に募集されること
②教育や科学の振興など、公益の増進に寄与するための支出で、緊急を要するものに充てられることが確実であること
×
特定公益増進法人に対する寄附金 独立行政法人、一部の地方独立行政法人、自動車安全運転センター、日本私立学校振興、共催事業団および日本赤十字社 ×
公益社団法人・公益財団法人、私立学校法人、社会福祉法人、更正保護法人
特例民法法人で、「特定公益増進法人」として、主務大臣の認定を受けていたもの ×
特定寄附金とみなされるもの 特定公益信託への支出 ×
認定NPO法人に対する寄附金(仮認定NPO法人に対する寄附金含む)
政治活動に関する寄附金 政党、政治資金団体
国会議員が主催する政治団体等・公職にある者や特定の公職の候補者の後援団体等・公職の候補者で一定のもの ×
その他 特定新規中小法人が発行した株式の取得に係る払込金 ×

一般的には、税額から直接差し引くことができる税額控除の方が有利になりますが、政党等寄付金特別控除は、通常課税所得が900万円以下の人は寄付金特別控除(税額控除)が有利になり、課税所得が900万円超の人は、寄附金控除(所得控除)の方が有利になります。
参照:文部科学省「【所得税・税額控除】課税所得と寄附金額に応じた減税額の試算表」

参照:国税庁「寄附金を支出したとき」

(3)寄附金控除を受けるためには

寄附金控除を受けるためには、寄附金控除(所得控除)も寄附金特別控除(税額控除)も、必要書類を準備して確定申告をする必要があります。
特定公益増進法人に対する寄付や特定公益信託の信託財産とするための支出については、その法人や信託が適格であることなどの証明書の写し、または認定書の写し、エンジェル税制については所定の事実の確認をした旨を証する書類などの写しを、確定申告書に貼付するか提示しなければなりません。
e-Taxを利用する場合には、特定寄附金の受領書、証明書の写しなどを自宅等で5年間保存しなければなりません。

ただしふるさと納税については「ワンストップ特例制度」が設けられていて、確定申告不要のサラリーマンがふるさと納税を行う場合には、確定申告を行なわずに控除が受けられるしくみが導入されています。

この制度を利用すれば、寄附した本人に代わって、地方公共団体が「ふるさと納税」の控除申請を行うことができるようになりますので、ふるさと納税を行ったサラリーマンが確定申告を行なう必要はなくなりました。
ただし、5団体以上の地方公共団体に寄附を行う場合には、これまで通り確定申告を行なう必要があります。

なお、ワンストップ特例は、医療費控除を受けるなど何らかの事情で確定申告をすると、申請が無効になります。確定申告をするときには、かならずふるさと納税分を含めるようにしましょう。

寄附金控除(所得控除)の対象となる寄附

寄附をすればどのような場合でも控除できるわけではなく、特定の個人や団体に寄附をしたような場合には控除することはできません。
対象となる団体は、以下に限られています。それぞれの内容や要件について見ていきましょう。

(1)国・地方公共団体に対する寄附金

国や地方公共団体への寄附は寄附金控除の対象となります。
地方公共団体に対する寄附金は、いわゆる「ふるさと納税」がこれに当たります。
海外の災害に対して、募金団体から最終的には日本赤十字社に対して拠出されることが、募金趣意書などで明らかにされている義援金、募金趣意書等において最終的に地方公共団体に拠出されていることが明らかなものについては、特定公益増進法人である日本赤十字社に対する寄付金となります

(2)指定寄付金

財務大臣が指定した寄附金のほか、公益社団法人、公益財団法人など公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄付金で、下記の要件を満たすとして、財務大臣が指定したものは、寄付金控除の対象となります。

①広く一般に募集されること
②教育や科学の振興など、公益の増進に寄与するための支出で、緊急性が高いことが確実であること

(3)特定公益増進法人に対する寄附金

独立行政法人や公益社団法人、その他教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものと認められた法人(特定公益増進法人)に対する寄付金で、その法人の主な目的である業務に関連するものは、寄付金控除の対象となります。
なお、特定公益増進法人に対する寄附金のうち、公益社団法人、公益財団法人、私立学校法人(学校の設置等を主たる目的とする法人)、社会福祉法人、更正保護法人に対して行う寄付は、寄付金特別控除(税額控除)と選択適用できます。

(4)特定公益信託への支出金

主務大臣の証明を受けた特定公益信託のうち、その目的が教育、科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など、公益の増進に著しく寄与すると認められる一定の公益信託の信託財産とするために支出した金銭は、寄附金控除の対象となります。

(5)認定NPO法人に対する寄附金

特定非営利活動促進法(NPO法)の特定非営利活動法人野うち、非営利・公益性の視点から一定の要件・基準を満たすものとして、所轄庁等の認定を受けた認定NPO法人および特例認定NPO法人(認定NPO法人等)に対する寄付金は、寄付金控除の対象となります。
認定NPO法人に対する寄付金は、寄付金特別控除(税額控除)と選択適用できます。

(6)政治活動に関する寄附金

個人が支出した政治活動に関する寄附金、いわゆる政治献金で政党や政治資金団体等に対する寄附金のうち、一定の要件に該当する寄付金は、寄付金控除の対象となります。
政治活動に関する寄附金は、寄付金特別控除(税額控除)と選択適用できますが、国会議員が主催する政治団体等、公職にある者や特定の公職の候補者の後援団体等・公職の候補者で一定のものについては、寄付金特別控除(税額控除)は適用できません。

(7)エンジェル税制

エンジェル税制とは、特定新規中小会社が発行した株式の取得に係る払込金のことです。
納税者が、特定新規株式を払込により取得した場合には、その取得に要した金額(上限800万円※令和2年以前は1,000万円)が、特定寄附金とされます。
特定新規中小会社等に出資した金額は、取得した特定新規中小会社等の株式の取得価額から控除します。

特定新規株式とは、以下のような株式のことです。

①中小企業等経営強化法に規定する特定新規中小企業者によって発行される株式
②沖縄振興等特別措置法に規定する指定会社によって発行される株式
③国家戦略特別区域法に規定する株式会社によって発行される株式
④地域再生法に規定する事業を行う株式会社によって発行される株式
⑤設立後5年未満の中小企業者で、一定の要件を満たす特定新規中小企業者に該当する株式会社によって発行される株式

まとめ

以上、寄附金控除の内容や控除するための手続き、控除額の計算などについてご紹介しました。
寄附金控除は、ふるさと納税のワンストップ特例制度以外は、確定申告が必要です。
また、認定NPO法人、公益社団法人等、政党などに対する政治活動に寄附を行った人は、税額控除か所得控除か選択適用できますし控除額が大きく異なることがあります。
自分の行った寄附が、寄附金控除の対象となるのか、控除するためにはどのような書類が必要になるのかなど、不明点がある場合には、確定申告前に税理士に相談することをおすすめします。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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