税金が安くなる「税額控除」|所得控除との違いは?節税効果は?

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2019年12月02日

目次

  1. 税額控除とは
    • 節税効果が大きい税額控除
    • 所得控除との違い
  2. 税額控除を受けるためには
    • 寄附をした時
    • 自然災害や盗難、横領の被害に遭った時
    • 株式投資などによる配当金を受け取った時
    • 住宅を購入した時
    • バリアフリー改修工事、省エネ改修工事などを行った時
    • 認定住宅の新築・購入を行った時
    • 外国税額控除
    • 源泉徴収税額
    • 租税特別措置法による税額控除
  3. まとめ

この記事のポイント

  • 「税額控除」とは、税額から直接控除(差し引くこと)できる控除のこと。
  • 一般的には「所得控除」より「税額控除」の方が節税効果は高い。
  • 「税額控除」は、原則として自分で確定申告をしなければ適用されない。

 

税額控除とは、その文字の通り「税額から直接差し引くことができるもの」をいいます。
一方、税額控除と混同しがちなものに「所得控除」があります。
所得控除とは、扶養控除や医療費控除などのことをいい、所得金額から一定額を差し引くことができる制度です。
節税効果の面で見ると、一般的に税額控除より所得控除よりも軍配が上がります。
ただし、税額控除は申告されなければ適用されることはありません。
ここでは、税額控除の意味や適用されるケース、要件をご紹介します。自身が適用される税額控除があるか確認し、必要な手続きを行うようにしましょう。

税額控除とは

税額控除とは、所得金額に税率を掛けて計算した税額から直接控除(差し引くこと)できる控除のことをいいます。税額控除は、二重課税の排除や特定の政策を推進することを目的として、設けられています。

節税効果が大きい税額控除

税額控除は、税額から直接差し引くことができるので、節税効果は絶大です。
例えば、所得が300万円の場合で所得控除が5万円だったとしたら、節税額は5,000円でしかありませんが、税額控除が5万円だった場合にはそのまま5万円の節税になります。

ただし、所得控除は原則として申告しなければ控除は受けられませんし、税額控除も申告しなければ適用されません。
税額控除は、住宅ローン控除や配偶者控除などさまざまな種類がありますが、これらを知らないばかりに払わずに済む税金を払っているケースもあります。
該当する税額控除があれば、もれなく適用を受けるようにしましょう。

所得控除との違い

税額控除と混同しがちなのが、「所得控除」です。
所得税は、所得に対して課税されるので、所得が少なければその分所得税が少なくすることができます。所得控除とは、この所得金額からある一定の額を控除できる制度です。
所得控除は、医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除など14種類あり、それぞれ差し引ける金額は異なります。
サラリーマンの場合には、会社が年末調整をしてくれるので所得控除を改めて申告する必要はありませんが、個人事業主などは自身で申告をしないと損します。
また、税額控除も申告しなければ適用されません。

「損をしない!14種類ある所得控除の受けられる人と控除額」を読む

前述したとおり、所得控除は税金が課される所得から一定額を差し引くことができるのに対し、税額控除は税額から直接差し引ける控除なので、税額控除の方が節税効果は大きいケースがほとんどです。

例えば、所得控除の1つである社会保険料控除を例にとって、税額控除がどこから差し引かれるか、見てみましょう。

所得税または住民税=(収入金額-経費-所得控除※控除の種類によって額は異なる)×税率-税額控除

上記で見る通り、所得控除は収入金額から経費を引いた節税効果しか得られません。
これに対して税額控除は、税額から直接一定額を差し引くことができるわけです。例えば、住宅ローン控除の場合なら最高50万円が税額から差し引かれます。

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税額控除を受けるためには

税額控除は多くの種類があり、税額控除ごとに受けられる条件は異なります。
せっかくある税額控除の適用を受けず、結果的に税金を多く納めることになったとしても、税務署が親切に教えてくれるわけでありませんし、期間限定の制度が登場することもありますので、普段から税理士に相談するようにしましょう。

ここでは、主な税額控除についてご紹介します。

寄附をした時

認定NPO法人、公益社団法人、政治活動への寄附を行った人は、寄附金特別控除(税額控除)か、寄附金控除(所得控除)のどちらか有利な方を選ぶことができますが、一般的には税額から直接差し引ける税額控除の方が有利になります。
ただし、寄附すればいつでも何でも控除することができるというわけではありませんので、対象となる団体については、国税庁のホームページで確認するようにしましょう。

参照:国税庁「寄附金を支出したとき」

所得控除と税額控除を選択できる寄附金

(1) 政党等寄附金
(2) 認定NPO法人(NPO法人のうち、都道府県知事、指定都市の長、国税庁長官の認定を受けた団体)
(3) 公益社団法人等
・公益社団法人および公益財団法人
・私立学校法に規定する学校法人、専修学校、各種学校
・社会福祉法人
・更生保護法人
・国立大学法人、公立大学法人、独立行政法人のうち国立高等専門学校機構と日本学生機構

なお、所得控除の対象となるのは、独立行政法人・自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団・日本赤十字社などです。

所得控除と税額控除を選択できる寄附金の計算法

税額控除の計算方法は次の3種類に区分することができます。所得控除は、「その年に支出した特定寄附金の額の合計額もしくはその年の総所得金額等の40%相当額」なので、所得控除の額と比較して有利な方を選択するようにしましょう。

(1) 政党等寄附金特別控除
・税額控除の金額=(政党等に対する寄附金の合計額-2,000円)×30%

(2) 認定NPO法人等寄附金特別控除
・税額控除の金額=(認定NPO法人等に対する寄附金の合計額-2,000円)×40%

(3) 公益社団法人等寄附金特別控除
・税額控除の金額=公益社団法人等に対する一定の要件を満たす寄附金の合計額-2,000円)×40%

税額控除の対象となる寄附金=ふるさと納税

ふるさと納税は所得控除と税額控除を併用した制度であり、結果的に税額控除と同じ節税効果が得られます。

次の合計額が税額控除の金額です。
所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
住民税からの控除(基本分) =(ふるさと納税額-2,000円)×住民税の税率10%
住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)-(①+②)

つまり、ふるさと納税額から2,000円を差し引いた残額が税額控除の金額となります。

また、サラリーマンなどの給与所得者でふるさと納税の自治体が5カ所以下の場合には、ふるさと納税額から2,000円を差し引いた残額の全額を住民税から控除するワンストップ特例を受けることができます。ワンストップ特例制度を利用する場合には確定申告は不要です。

自然災害や盗難、横領の被害に遭った時

台風や地震という突然の災害で被害に遭ったり盗難や横領で被害を受けたりした場合には、所定の金額を所得から控除する雑損控除という所得控除を受けることができます。
しかし、①災害にあった年の所得金額の合計が1,000万円以下でかつ②災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金等で補てんされる金額は除きます)がその時価の2分の1以上である場合には、税額控除である災害減免法の適用を受けることができます。

所得金額の合計額 軽減又は免除される所得税の額 所得税が200万円の場合の税額控除の金額
500万円以下 所得税の額の全額 200万円
500万円を超え750万円以下 所得税の額の2分の1 100万円
750万円を超え1000万円以下 所得税の額の4分の1 0万円

雑損控除の計算方法

災害関連支出の金額―5万円
(損害全額+災害関連支出)-補てんされた保険金などー(総所得金額等×10%)

雑損控除と災害減免法はどちらかを選択する必要がありますが、損害金額が大きい時には、雑損控除の方が得することが多いようです。
なぜなら、雑損控除は、その年で控除しきれなかった金額を3年にわたって所得から差し引くことができますが、災害減免法は1年限りの税額控除であるからです。
どちらを選択するのが良いかについては、個々のケースによって異なりますので、詳細は税理士に相談するようにしましょう。

参照:国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

参照:国税庁「災害減免法による所得税の軽減免除」

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株式投資などによる配当金を受け取った時

株式投資などによる配当金を受け取った時に適用できる税額控除が「配当控除」です。
そもそも配当金は配当する会社の利益に対する税金を控除した残額が所得となります。
つまり、すでに配当する前で課税されているため、二重課税を防止する意味で個人が受け取った段階で税額控除が認められています。計算方法は所得金額によって異なります。

(1)所得金額が1,000万円以下の場合
・剰余金の配当等に係る配当所得(≒配当金)の金額×10%
・証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得の金額×5%

(2)所得金額が1,000万円を超える場合
所得金額から剰余金の配当および証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得を差し引いても1,000万円を超える場合
・剰余金の配当等に係る配当所得の金額×5%
・証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得の金額×2.5%

(3)所得金額から証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得を差し引いても1,000万円を超える場合(上記①を除く)
・剰余金の配当等に係る配当所得の金額のうち、(A)に相当する金額×5%
※(A)=所得金額-1,000万円-証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得
・剰余金の配当等に係る配当所得の金額うち、(A)を超える部分の金額×10%
・証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額×2.5%

(4)所得金額から証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得を差し引くと1,000万円以下の場合
・剰余金の配当等に係る配当所得の金額×10%
・証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額のうち、(B)に相当する金額×2.5%
※(B)=所得金額-1,000万円
・証券投資信託の収益の分配に係る剰余金の配当等に係る配当所得の金額のうち、(B)を超える部分の金額×5%

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住宅を購入した時

住宅ローンを組んで、マイホームを新築・購入・増改築した人が受けられるのが「住宅借入金等特別控除(通称住宅ローン控除)」です。
控除期間は10年間で、合計所得金額(収入金額-経費)が3,000万円以下(サラリーマンの場合は年収3,220万円以下)などいくつかの要件を満たせば税額控除が受けられます。
サラリーマンの場合には、最初の年に確定申告をすれば、翌年からは勤務先の会社の年末調整で引き続き控除を受けることができますが、個人事業主などは、2年目以降も毎年申告する必要があります。

「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)|必要な手続き&記入例」を読む

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バリアフリー改修工事、省エネ改修工事などを行った時

「特定増改築等中宅借入金特別税額控」とは、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事、多世帯同居改修工事などを行った人が受けられる税額控除です。

(1)通常の増改築の場合
工事費用100万円を超える増改築を返済期間10年以上のローンで行った場合、次の計算方法により10年間にわたって税額控除が受けられます。
・税額控除の金額=住宅ローン残高×居住割合(自宅のうち住居用の割合)×1%(最高額は年40万円)

(2)バリアフリー改修工事
改修工事費用が50万円を超え、それを行う人が50歳以上、介護保険法に規定する要介護又は要支援の認定を受けている人、障害者、同居人が65歳以上などの場合、次の計算方法により5年間にわたって税額控除が受けられます。

・税額控除の金額=A×2%+(B-A)×1%(最高額は年12万5,000円)
※Aは増改築等のローンの年末残高の合計額のうち、バリアフリー改修工事費用
Bはローンの年末残高の合計額

(3)省エネ改修工事
改修工事費用が50万円を超え、断熱工事、天井と壁の断熱工事を行い、「改修部位の省エネ性能がいずれも平成28年基準以上」および「一定の基準を満たす断熱等性能等級」となる場合、次の計算方法により5年間にわたって税額控除が受けられます。

・税額控除の金額=A×2%+(B-A)×1%(最高額は年12万5,000円)
※Aは増改築等のローンの年末残高の合計額のうち、省エネ改修工事費用
Bはローンの年末残高の合計額

(4)多世帯同居改修工事
改修工事費用が50万円を超え、他の世帯との同居をするのに必要な設備(など)の数を増加させるための増築、改築、修繕、模様替えを行い、玄関、調理室、浴室、便所の2つ以上が複数になる場合、次の計算方法により5年間にわたって税額控除が受けられます。

・税額控除の金額=A×2%+(B-A)×1%(最高額は年12万5,000円)
※Aは増改築等のローンの年末残高の合計額のうち、多世帯同居改修工事費用
Bはローンの年末残高の合計額

認定住宅の新築・購入を行った時

「認定新築等特別税額控除」とは、認定長期優良住宅または低炭素建築物を新築または未使用の状態をローンで購入した場合、居住年に限り受けられる税額控除です。

・税額控除の金額=認定住宅の標準的なかかり増し費用(1㎡当たり4万3,800円×床面積)×10%(最高額は65万円)

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外国税額控除

外国税額控除とは、納付した外国所得税などがある人が受けられる税額控除です。
居住者(国内に住所を有する人、または国内に1年以上住んでいる人)は、全世界の所得金額に対して日本の所得税が課税されます。しかし同時に、国外の所得金額について外国所得税も課税されることになります。このような二重課税を防ぐために設けられたのがこの外国税額控除です。

外国税額控除の対象となる外国所得税の範囲は、以下のような国外所得金額に課税される所得税です。
・外国株式の配当金、利子
・海外での不動産投資による不動産所得
・海外で所有する不動産などの売却益

※なお、外国税額控除には、実際に納付していない外国所得税が含まれます。具体的には、発展途上国との租税条約により本来納付すべき外国所得税の負担が特別に軽くなるまたは免除される場合です。
このようなケースでは、たとえ納付していなくても外国所得税を納付したものとみなされます。この納付したものとみなされた外国所得税のことを「みなし外国税額控除」といいます。

外国税額控除の計算方法は次の通りです。
・税額控除の金額=全世界の所得金額に対する所得税×(国外所得金額÷全世界の所得金額)
要するに全世界の所得金額に対する所得税を全世界の所得金額のうち国外所得金額の占める割合で按分した金額が外国税額控除の金額となります。

源泉徴収税額

源泉徴収税額とは、収入から天引きされて会社などを介してすでに支払った税金のことです。
源泉徴収税額とは、すでに納付済、つまり所得税の前払い制度ともいえるので、源泉徴収税額は確定申告をする段階で、年間の所得税から税額控除をして、差額分を納付します。あるいは源泉徴収税額が年間の所得税よりも上回るときは、還付(源泉徴収税額の返金)されます。計算方法は次の通りです。

(1)給与、賞与
国税庁ホームページにある給与所得の源泉徴収税額表を用いて、毎月の源泉徴収税額を計算します。甲欄に記載されている縦軸の月額給与(通勤手当を除く)または賞与と横軸の扶養親族等の数から該当する源泉徴収税額を選択します。

参照:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表」

(2)報酬
報酬の種類によって、源泉徴収税額の計算方法が決まってきます。

① 原稿料や講演料など

支払金額(=A) 税額
100万円以下 A×10.21%
100万円超 (A-100万円)×20.42%+102,100円

② 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金
上記①と同じ

③ 司法書士等に支払う報酬・料金
(支払金額-1万円)×10.21%

④ 外交員等に支払う報酬・料金
例えば、1カ月当たり12万円(同月中に給与等を支給する場合には、この12万円からその月中に支払われる給与等の額を控除した残額)を差し引いた残額に10.21%の税率を掛けて計算します。
(例)
・報酬・料金を20万円支払う場合
(20万円-12万円)×10.21%=8,168円

・報酬・料金20万円と給与5万円を支払う場合
{20万円-(12万円-5万円)}×10.21%=13,273円

・報酬・料金20万円と給与15万円を支払う場合
{20万円-(12万円-12万円)}×10.21%=20,420円
※給与 (15万円)が控除額12万円を超えるため、控除額は0円

⑤ ホステス等に支払う報酬・料金
1回の支払金額から、「5,000円×計算期間の日数」を乗じて計算した金額(給与等の支払がある場合には、その計算した金額からその計算期間の給与等の支給額を控除した金額)を差し引いた残額に10.21%の税率を掛けて計算します。

⑥ スポーツ選手やホステスなど専属契約等で支払う契約金
上記①と同じ

⑦ 懸賞クイズや大売出しの抽選の賞金や賞品などの広告宣伝のために支払う賞金等
(支払金額-50万円)×10.21%
なお、支払金額が50万円以下なら源泉徴収税額はかかりません。

参照:国税庁「報酬・料金などの源泉徴収」

租税特別措置法による税額控除

上記の他、その時々の投資や雇用の促進などの政策目的のため、中小企業が受けられる税額控除があります。
例えば、中小企業投資促進税制です。
個人事業主、資本金3,000万円以下法人が、一定の生産性を向上させる設備を購入した場合、税額控除または特別償却のいずれかを選択できるという制度です。
機械装置等の対象設備を取得や製作等をした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用できます。
このような政策目的から設けられている税額控除としては、この他にも「経営改善設備の特別控除」「雇用者給与等支給増加の特別控除」などがあります。

参照:国税庁「商業・サービス業・農林水産業活性化税制(特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除)」

参照:国税庁「雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除(所得拡大税制)」

まとめ

以上、税額控除の種類や計算方法などについてご紹介してきました。
これまでご紹介してきたように、個々の税額控除によって条件が異なりますし、期間限定の制度もありますので、詳細は税理士に該当する制度があるか確認するようにしましょう。

なお、「会計ソフトfreee」なら、質問に答えるだけで各種控除の適用が受けられる場合があります。上手に活用して、有利な税額控除の適用をしっかり受けるようにしましょう。

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