個人の税務調査(令和2年度調査)|対象になった時の対処法

公開日:2018年11月06日
最終更新日:2022年07月24日

この記事のポイント

  • 税務調査の対象となる個人は、個人事業主や、相続税を納めた人(納めていない人)。
  • プログラマーは、1件当たりの申告漏れ所得金額が高額なケースが多い。
  • インターネット取引を行っている個人も、税務調査の対象となる。

 

税務調査とは

日本は、納税者が納税額を計算し納税する「申告課税方式」をとっていて、適正に納税をしているかどうかを国が調査する制度を税務調査といいます。

税務調査というと、会社が対象となる調査というイメージを持つ人も多いようですが、個人事業主やフリーランスで事業を行っている人、相続税を納めた人、ネット取引などを行っている人も、税務署の税務調査を受けることがあります。

(1)税務調査には「任意調査」と「強制調査」がある

税務調査は大別すると「任意調査」と「強制調査」に分けることができます。テレビで見るものの多くは強制調査で基本的には任意調査ですので、早めに税理士に相談して準備をしておけば、怖いものではありません。

任意調査:
強制調査のような強制力はありませんが、納税義務者には質問に答える義務があります。

強制調査:
悪質な脱税犯に対して行われる、一種の犯罪調査です。

(2)税務調査の対象になる個人とは

税務調査の対象となる個人は、個人事業主やフリーランス、相続税を納めた人などです。風俗業やキャバレー、プログラマーは、1件当たりの申告漏れ所得金額が高額なケースが多いとされています。
また国税庁は、インターネット取引を行っている個人に対して、積極的に調査を実施するという姿勢を打ち出しています。

(3)個人の税務調査1位は「プログラマー」

個人は、法人と比較すると税務調査を受ける確率はかなり低くなります。
しかし、個人でも不動産の売買などの多額のお金が動いたケースや、ネット取引で多額の収入があったケースでは、税務調査の対象となることがありますし、「売上が前年より極端に増えた」「利益率が良くなった」「現金商売である」「過去税務調査の対象となり、多額の修正申告をしたことがある」などの事情がある場合には、調査の対象となることがあります。

個人事業主の税務調査で、1件当たりの申告漏れ所得金額が最も多いのは、プログラマーで、4,927万円とかなり高額な申告漏れ所得金額を指摘されています。
次いで畜産農業(肉用牛) 、内科医、キャバクラ、太陽光発電となっています。

○事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

業種目 1件当たりの
申告漏れ
所得⾦額(万円)
1件当たりの
追徴税額(含加算税)
(万円)
前年の
順位
1 プログラマー 4,927 716
2 畜産農業(肉用牛) 3,515 503
3 内科医 3,339 805
4 キャバクラ 2,834 864 3
5 太陽光発電 2,603 825 4
6 建築士 2,325 624
7 経営コンサルタント 2,268 477 2
8 小売業・犬 2,051 456
9 不動産代理仲介 1,804 614
10 商工業デザイナー 1,759 389

引用:国税庁「令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況|事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」

(4)税務調査はインターネット取引を行っている個人も対象

国税庁は、インターネット取引を行っている個人に対して、「あらゆる資料情報を収集・分析するなどして、積極的に調査を実施する」という姿勢を打ち出しています。

令和2事務年度においては、1,071件(前事務年度1,877件)実地調査(特別・一般)を実施したとされています。
そして、1件当たりの申告漏れ所得⾦額は、1,872万円(同1,264万円)となっており、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,480万円(同1,190万円)に⽐べ1.3倍となったと報告されています。

○インターネット取引を行っている個人の調査状況(取引区分別)

取引区分 件数 1件当たりの
申告漏れ
所得金額
ネットトレード 432 2,456万円
ネット通販等 208 1,166万円
シェアリングビジネス 191 1,208万円
ネット広告 50 2,253万円
デジタルコンテンツ 30 1,572万円
その他 152 1,966万円

引用:国税庁「1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別)」

(5)相続税の納税義務がある人も税務調査の対象

相続税の税務調査については、相続税の申告を行なった人のうち、30%ほどの割合で行われていると言われています。
令和2事務年度においては、コロナ感染症の影響により、実地調査件数は⼤幅に減少しましたが、⼤⼝・悪質な不正が⾒込まれる事案について優先的に調査が行われ、実地調査1件当たりの追徴税額は943万円(対前事務年度⽐ 147.3%)となり、過去 10 年間で最⾼となりました。
また、簡易な接触(文書や電話による連絡等による調査)に積極的に取り組むことにより、簡易な接触件数は 13,634件(対前事務年度⽐ 157.9%)、申告漏れ等の⾮違件数は 3,133件(同 137.3%)、申告漏れ課税価格は560 億円(同 131.1%)、追徴税額は 65 億円(同 154.8%)と、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた平成28事務年度以降で最⾼となりました。

○令和2事務年度における相続税の調査実績

令和元事務年度 令和2事務年度
実地調査件数 10,635件 5,106件
申告漏れ等の非違件数 9,072件 4,475件
1件当たりの申告漏れ課税価格 2,866万円 3,496万円
1件当たりの追徴税額 641万円 943万円
簡易な接触件数 8,632件 13,634件
簡易な接触
1件当たりの申告漏れ課税価格
494万円 410万円
簡易な接触
1件当たりの追徴税額
48万円 47万円

引用:国税庁「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」

個人の税務調査対策

これまで述べてきたように、法人より件数は少ないものの、個人も税務調査の対象となる可能性があります。
税務調査は、強制調査の場合を除き、原則として電話で事前に連絡が入ります。
電話連絡があったら、その場で即答をせず、担当者の名前を確認してから「税理士と相談する」と回答し、税理士に連絡するようにして下さい。

なお、例外として、飲食店など店舗などで営業している場合には、ある日突然調査官がやってくることがあります。これは、現金残高を確認するためですが、対応する場合には、必ず身分証明書を確認してください。

また、調査官が事前に客を装って、お店に食べに行くという内定調査が行われることもあります。これは、来客数から売上の推定計算をするためです。

(1)誠実に対応する

税務調査というだけで、「何か疑われているのか」と不快なイメージを持つ人もいます。
しかし、税務調査は疑いのある会社や個人だけを対象としているわけではなく、正しく納税をしている人や、収入額が少なく納税額がゼロになる可能性のある人に対しても、行われる可能性があります。

また、単に添付書類の不足や計算ミスの確認で、税務署が確認したいと思っているだけのケースもあります。

税務署から連絡があるだけで、「税務調査だ」と決めつけて居留守を使ったり、折り返し連絡をしなかったりすると、かえって「何かやましいことがあるのでは」と疑われてしまうこともあります。

必要以上に税務署を怖がるのは意味のないことなので、税務署からの問い合わせには誠実に対応し、不安であるのなら税理士に相談するようにしましょう。

(2)領収書は整理しておく

領収書などの帳簿書類は、7年間保存しておかなければなりません。
一部の書類については5年でよいことになっていますが、曖昧になりがちなので、「7年間」で統一して保存しておくのがおすすめです。
電子帳簿保存法により、帳簿をデータにして保存しておくことが認められていますが、その場合には、税務署に申請書を提出することが必要です。

(3)税理士に相談する

税務調査には、税理士に立会いを依頼することができます。
税務署から税務調査の連絡が入ったら、担当者の名前を聞いて、すぐに税理士に連絡をしましょう。顧問税理士がいない場合でも、税務調査だけ依頼することもできます。

税理士に相談すれば、どのような書類を準備しておくべきか、調査当日はどのように対応するべきかなど、細かくアドバイスをしてもらうことができます。

事前準備にかけられる時間は限られていますので、すべての対策をとることは現実的ではありませんが、指摘されそうな問題がある場合には、その部分について重点的に対策をとることができます。

税理士の立会いがあるか否かが、税務調査の結果に影響を与えることもあります。
可能な限り税理士に相談して、アドバイスを受けるようにしましょう。

▶ 「税務調査を税理士に相談するメリット」を読む

また、税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」でアンケート結果をまとめたので、一つの目安として税理士選びの参考にしていただければと思います。

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この記事の監修者

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アトラス総合事務所

会計・税務・労務・法務の専門家集団が、会社・個人事業をトータルでサポートいたします!

所得税や相続税は、申告納税制度であり、この申告納税制度をきちんと機能させるための調査が、税務調査です。不正行為で税金を逃れようとすると、所得税法違反、相続税法違反などで処罰されることになります。
期限内に申告をしないで、納税額を通知される「決定」の処分を受ければ、原則15%または20%の無申告加算税が課されてしまいます。ただし、期限内に申告漏れなどに気づいた場合には、提出後でも訂正をすることができます。
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