固定資産とは|流動資産との違い・減価償却の方法

公開日:2019年12月19日
最終更新日:2019年12月19日

目次

  1. 固定資産とは
    • 固定資産が示される「貸借対照表」とは
    • 流動資産・繰延資産との違い
  2. 固定資産の種類
    • 有形固定資産
    • 無形固定資産
    • 投資その他の資産
  3. 固定資産の管理
    • 固定資産の減価償却の特例
  4. 固定資産の計算方法
    • 定額法
    • 定率法
  5. 会計ソフトの活用
    • 自動で減価償却を計算・計上できる
  6. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 固定資産とは、1年を超えて使用したり、投資目的で長期間保有したりするような資産のこと。
  • 固定資産は、大きく有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産の3つの種類に分類される。
  • 土地、建物、機械などの他、特許権、ソフトウェア、のれんなども、固定資産に該当する。

 

固定資産とは、貸借対照表の「資産の部」に分類される資産のひとつです。
「資産」とは、会社が持っている現金や預金などをはじめとするすべての財産という意味ですが、固定資産は、現金などのように流通を目的とせず、また消耗品でもないような資産をいいます。土地、建物、機械などの他、特許権、ソフトウェア、のれんなども、固定資産に該当します。
この記事では、固定資産の意味や固定資産が表示される貸借対照表の基礎知識、固定資産の計算方法などについてご紹介します。

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固定資産とは

固定資産とは、長期にわたって所有し事業を行うために使用するもので、1年を超えて使用したり、投資目的で長期間保有したりするような資産です。
固定資産は、さらに有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に分類されます。
有形固定資産とは、土地、建物、機械装置、車両などで、無形固定資産とは、特許権、借地権などです。そして、投資その他の資産とは、投資有価証券、長期貸付金などがあります。
つまり経理上の固定資産は、土地、建物など目に見えるものだけではなく特許権やのれんやソフトウェアなど目に見えないものも固定資産に該当するということになります。

固定資産が示される「貸借対照表」とは

固定資産は、貸借対照表の「資産の部」に表示されます。そこで、固定資産について詳しく説明する前に、固定資産が表示される貸借対照表のしくみについて、知っておきましょう。

貸借対照表とは、会社の決算日における財産状態を示す決算書です。
左側が「資産の部」、右側が「負債の部」「純資産の部」となっています。

資産の部には、会社が所有している財産が流動資産、固定資産、繰延資産に区分されています。これらの資産は、会社を経営する側から見ると「事業のために使っている資産」です。

そして、右側の負債の部、純資産の部には、その資産を入手するために、どのような方法で資金を調達したかが示されています。
負債の部には、他人から調達した資金が表示され、流動負債・固定負債に区分されています。また、純資産の部には、株主からの出資と利益の蓄積が表示されています。

「資産の部」の合計金額は「総資産」、「負債の部」+「純資産の部」の合計金額は「総資本」といい、この左右の合計値は必ず一致する仕組みにいなっています。

流動資産・繰延資産との違い

貸借対照表の「資産の部」は、流動資産、固定資産、繰延資産に分けられます。

流動資産とは、「流動性が高い」つまり現金化しやすい資産という意味です。
現金や預金のほかに、商品や製品、売掛金、受取手形なども流動資産となります。
これに対して、固定資産とは、現金化しにくい資産のことをいいます。

流動か固定かを区分するルールについては「正常営業循環基準」「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」という2つの基準があります。

まずは、正常営業循環基準によって、通常の販売・仕入取引で生じる債権・債務は、その回収期間を問わずに流動資産となります。具体的には、棚卸資産、受取手形、売掛金などが流動資産となります。

その他の項目については「1年基準」によって区分が決まります。1年基準とは「決算日から1年以内に現金化できるかどうか」という基準で、1年以内に現金ができるものは「流動資産」、そうでないものは「固定資産」となります。具体的には、建物、土地、車両運搬具、ソフトウェア、投資有価証券などが固定資産となります。

なぜ資産をわざわざ流動と固定を区分しているのかというと、会社が永続的に存続し続けるためには、資金的に安定していることが重要であり、その判断を貸借対照表で簡単に把握できるようにすることが必要だからです。
たとえば、総資産の内訳が流動資産1億、固定資産5億であれば、固定資産が多く不動産投資にお金をかけたのかもしれません。流動資産5億、固定資産1億であれば、換金性の高い資産が潤沢にある会社だという見方をすることができます。

なお、流動資産にも固定資産にも属さない「繰延資産」という資産も「資産の部」に含まれます。繰延資産とは、過去に支出した費用のうち、その支出した効果が来期以降にも影響が及ぶと考えられるものが含まれます。具体的には、株式交付費、社債発行費、創立費などが繰延資産となります。

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固定資産の種類

固定資産は、大きく有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産の3つの種類に分類されます。

有形固定資産

「有形固定資産」とは、長期にわたり事業のために使用する目的で保有する資産のことをいいます。
具体的には、土地、建物、機械装置、車両など、実体のある資産です。

①土地
営業目的に使用される土地で、事務所や工場、駐車場、資材置き場などです。不動産販売業の用に販売目的で持っている土地は、商品なので流動資産になります。

②建物
土地に定着して建設された事務所、営業所、工場、倉庫などの建物のことです。

③機械装置
原材料などを加工する工場の各種製造設備全般をいいます。

④車両運搬具
自動車、トラック、バスなどのほか、フォークリフトなども含まれます。

建物、機械装置、車両運搬具などの資産は、使用や時の経過によってその価値が減っていきますので、このような資産を「減価償却資産」といいます。
一方、土地は使用や時の経過によって価値が減っていくものではありませんので、固定資産ではありますが減価償却資産ではありません。

無形固定資産

「無形固定資産」とは、長期にわたって経営に利用される資産で形はありませんが、経済的な収益力や法律で特別に価値が認められた権利などをいいます。
具体的には、ソフトウェア、のれんなどが該当します。

①ソフトウェア
コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム(コンピュータソフト)のことです。

②のれん
たとえば企業買収した時に買収された企業から取得した資産と負債の評価差額と、買収するにあたって支払った対価との差額をいいます。
この差額には、買収された企業が持っている技術やブランドなどが該当します。

投資その他の資産

「投資その他の資産」は、企業の経営支配、取引関係の維持などを目的として保有する資産をいいます。たとえば、長期貸付金、出資金などが該当します。また、預金でも長期の定期預金など預入期間が1年を超え、金額的に重要性が高い場合で短期に資金化できないものも含まれます。

①長期貸付金
従業員などに対する貸付金のことです。
返済期間1年を境に短期貸付金と長期貸付金に分けられます。

②出資金
株式会社以外の合同会社、合資会社、合名会社、協同組合等などの企業等に対する出資です。

③敷金保証金など
建物を借りる際に支払う費用です。

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固定資産の管理

固定資産を取得した時には、固定資産台帳に登録します。固定資産台帳に登録するのは、資産名、取得価額、事業供用日、耐用年数、償却方法などです。

取得価額:
固定資産を使うためにかかった支払額です。
購入代金、運送費、据付費用などのことです。
自動車取得税、登録免許税、車庫証明費用などは取得価額に含めても含めなくてもよいことになっています。含めない時には、租税公課や交際費など登記の経費として処理することができます。

事業供用日:
固定資産を実際に使い始めた日です。
会社に届いた日や購入した日ではなく、使える状態になった日です。

耐用年数:
固定資産の平均的な使用可能期間のことです。
耐用年数は種類ごとに細かく耐用年数表に記載されています。平均的な使用可能期間であり実際に使用する期間とは一致しないケースもありますが、減価償却を行う際には、この期間を使用します。

償却方法:
取得価額を耐用年数にわたって償却する際の計算方法です。定額法・定率法などの種類があります(※後述)。固定資産の種類や取得日によって選択できる償却方法は違います。

固定資産の減価償却の特例

なお、取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満のものであれば、購入時に経費に計上することができます。
また、資本金の額または出資金の額が1億円以下の中小企業については、取得価額が30万円未満の減価償却資産について一括で償却できる特例もあります。

少額減価償却資産
取得価額が10万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)は、耐用年数によらず事業供用日に全額経費化することができます。また、少額減価償却資産については、固定資産台帳に登録する必要もありません。
一括償却資産
また、取得価額が20万円未満の減価償却資産は、事業供用後、耐用年数によらず一律3年間で減価償却することができます(一括償却資産)。一括償却資産は、事業年度ごとにすべての一括償却資産の合計額で固定資産台帳に登録します。
中小少額減価償却資産
また、中小企業の場合には、取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産(中小少額減価償却資産)であれば、事業供用日に全額を経費とすることができます。ただし、この場合には事業年度ごとの中小少額減価償却資産の取得価額の合計が医学は、300万円以下である必要があります。300万円を超えた場合には、合計額が300万円を超えることがないように特例の適用を受ける資産を選択するっことができます。
また、中小少額減価償却資産の場合はここに固定資産台帳に登録する必要がありmさう。

参照:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

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固定資産の計算方法

有形固定資産と無形固定資産は、取得した日にその全額を経費とすることは原則としてできません。これらの事業に必要な資産のうち、建物や機械装置など時の経過によって毎年価値が下がっていく資産を購入した時には、これらの資産は購入時の取得価額が全額費用としないで、一度固定資産として資産に計上します。
そして、資産計上した固定資産については、毎年価値が下がった分を減価償却費として費用に計上していきます。このような固定資産を減価償却資産といいます。

投資その他の資産については、建物を借りる際に支払う礼金などは支払日にその全額を経費にすることはできず、「長期前払費用」という勘定科目に計上し貸借期間などにわたって経費化することになります。

この減価償却資産の計算方法には定額法と定率法などがあります。

定額法:減価償却費の額が原則として毎年同額
定率法:減価償却費の額は初めの年ほど多く、年と共に減少する

定額法

定額法とは、以下の計算式で計算した金額を、各事業年度に償却限度額とする方法です。

減価償却費の額は、原則として毎年同額となります。個人事業主は原則として定額法を用いることになっています。

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定額法の償却限度額=取得価額×定額法の償却率

※償却率は、資産が価値を持つと考えられる年数(※耐用年数に基づいて計算されます。

定率法

定率法とは、以下の計算式で計算した金額(調整前償却額)を各事業年度の償却限度額とする方法です。減価償却費の額は初めの年ほど多く、年と共に減少します。

定率法の償却限度額=(取得価額-既償却額)×定率法の償却率

※既償却額とは、前事業年度までに損金の額に算入された償却費の累積額です。

調整前償却額が償却補償額に満たない場合には、以下の計算式によって計算した金額が各事業年度の償却限度額になります。

調整前償却額が償却補償額に満たない場合の定率法の償却限度額=改定取得価額×改定償却率

※償却補償額とは、減価償却資産の取得価額にその減価償却資産の耐用年数に応じた保証率を掛けて計算した金額のことです。改定取得価額とは、原則として調整前償却額が最初に償却補償額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高をいいます。

建物や無形固定資産は、定額法に限定されますが、そのほかは固定資産ごとに定額法か定率法かを選択することができます。会社や個人事業主の場合には、早く費用化できる定率法を選ぶのが一般的です。初期の費用負担などを考えて選択するようにしましょう。

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会計ソフトの活用

「クラウド会計ソフトfreee」には、固定資産を登録して一覧管理する機能があります。
固定資産台帳に固定資産の追加画面から取得した固定資産を登録すれば、その登録した固定資産から減価償却費が自動計上されます。
さらに、製造業利用比率や部門の情報を登録することもでき、製造業利用比率を登録すれば、自動計上される減価償却費をあらかじめ製造原価と販売管理費に振り分けることができます。また、部門を登録すれば、部門情報が設定された状態で減価償却費が自動計上されます。

自動で減価償却を計算・計上できる

クラウド会計ソフトfreeeでは、固定資産台帳へ登録された資産は、自動で減価償却費の計算・計上が行われます。
また、取得価額が30万円未満の固定資産を登録した場合には、デフォルトで一括で経費として計上できる設定となっています。

【法人】固定資産を登録する(固定資産台帳)

【個人】固定資産を登録する(固定資産台帳)

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まとめ

以上、固定資産の意味や種類、流動資産や繰延資産との違い、減価償却の方法などについてご紹介しました。
土地以外の固定資産は、一般的に使用または時の経過によってその価値が減少する性質があるため、一定の方法によって償却する必要があります。
償却するための計算方法については、定額法と定率法がありますが、どちらを選ぶべきなのかは、個々の状況によって異なります。
早く費用化できる定率法を選ぶのが一般的ですが、定額法を選ぶ方が有利になることもあります。どちらの計算方法を選ぶべきかについては、税理士に相談してから決めることをおすすめします。

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