資本金とは|資本金の額で税負担はどう変わる?

公開日:2019年07月08日
最終更新日:2019年07月08日

目次

  1. 資本金とは
  2. 税務上の違い(1,000万円と1億円)
    • 消費税が変わる
    • 法人住民税が変わる
    • 税額控除が利用できるか否かが変わる
  3. 資本金1億円以下の中小企業が活用できる税制上のメリット
    • (1)軽減税率
    • (2)交際費年800万円の枠
    • (3)少額減価償却資産の損金算入
    • (4)欠損金の繰戻還付
    • (5)各種税額控除
  4. 設立時における資本金の額の決め方
    • 運転資金面から考える
    • 社会的な信用の面から考える
  5. まとめ

この記事のポイント

  • 資本金とは、法人を設立する時に必要となるもの。
  • 資本金の額は、1,000万円を超える場合と1億円を超える場合で税務上の扱いが異なる。
  • 資本金1,000万円未満で会社を設立すると、設立後2年間は消費税を納めなくてもよい。

 

資本金とは、法人を設立する時に必要となるもので、発起人がお金を出資しそれが設立時の資本金になります。資本金は運転資金とすることができるので、資本金の額が多ければ、その分だけ運転資金に余裕ができることになります。

しかし、資本金の額によって税務上の扱いが異なりますので、資本金の額を決める場合には、注意が必要です。

資本金とは

以前は、株式会社を設立するためには最低1,000万円の資金が必要でした(例外あり)が、会社法の施行によって、資本金は1円でもよくなりました。
「それでは、1円で会社を設立すればよい」と考える人もいますが、会社を設立する目的のひとつには、「社会的な信用を得る」という意味があります。1円で株式会社を設立できるようになったからといって、資本金1円の会社では信用を得られない可能性もあります。
また、資本金は設立後の大切な運転資金となります。1円では会社はまわらないので、やはり資本金はある程度必要となると見ておくべきでしょう。
ただし、だからといって資本金は多ければ多いほどよいというものでもありません。
資本金の額は、1,000万円を超える場合と1億円を超える場合で税務上の扱いが異なりますので、このラインに注意して資本金の額を決める必要があります。

税務上の違い(1,000万円と1億円)

資本金の額は、設立する会社の予定している事業内容に即しているべきですが、資本金の額によって税務上の扱いが異なる場合があります
税務上の扱いに違いが生じるのは、1,000万円を超える場合と1億円を超える場合です。

消費税が変わる

資本金の額によって、消費税の課税開始時期が変わってきます。
資本金1,000万円未満で会社を設立すると、設立後2年間は消費税を納めなくてもよいのです。

資本金が1,000万円以上だと、取引先から預かった消費税と支払った消費税の差額を国に納めなければなりません。
しかし、資本金1,000万円未満の会社であれば、設立第1期と第2期の消費税が免除されます。
※第2期:第1期における事業年度開始の日から6か月間の課税売上高もしくは給与額が1,000万円以下の場合

設立時に1,000万円の株式会社を設立して、後から「消費税の課税事業者になってしまったが、納税を回避したい」という場合もあるでしょう。この時初年度の消費税の納税義務は回避できませんが、第2期の事業年度開始の日までに減資をしたり初年度を短くしたりすれば、第2期の消費税の納税義務を回避することができます。
また、許認可の関係で資本金の額を1,000万円以上にする必要がある時も、設立時には1,000万円未満にして、その翌日にでも1,000万円とすることで、設立初年度は消費税免税事業者になることができます。
設立3期目以降の納税義務の有無の判定は、原則どおり基準期間における売上高で行います。
また、1年目に多額の設備投資を行うなど預かった消費税より支払った消費税の方が多い場合には、資本金の額に関わらずその多く支払った分だけ還付してもらえる制度があります。
このあたりの節税テクニックは、税理士に相談しながら慎重に検討する必要があります。
できれば設立前から税理士に相談するのがおすすめですが、設立後なるべく早い時点で税理士に相談することで、効果的な節税対策を提案してもらうことができるでしょう。

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法人住民税が変わる

法人住民税には、会社が赤字でも納税義務が生じる「均等割」があります。
この均等割の額は、資本金によって変わります。
均等割の額は地方自治体によって異なりますが、たとえば、東京23区の場合、従業員が50人の場合資本金が1,000万円以下であれば7万円ですが、1,000万円以上になると18万円に上がります。

税額控除が利用できるか否かが変わる

資本金が1億円以下の会社は、税務上は「中小企業」と位置づけられ、後述するように多くの優遇措置を受けることができます。
ただし、親会社の資本金が5億円以上あり、その親会社が株式を100%保有する完全子会社を設立した時には、その子会社は実質上中小企業ではないとみなされて、優遇措置の適用が制限されることがありますので、注意しましょう。

資本金1億円以下の中小企業が活用できる税制上のメリット

前述したとおり、資本金が1億円以下の会社は、以下のようにさまざまな税制の恩恵を受けることができます。

(1)軽減税率

資本金1億円超の会社の場合と資本金1億円以下の会社では、税率が違います。

引用:国税庁「法人税の税率」

(2)交際費年800万円の枠

資本金1億円超の会社の場合には、取引先との飲食代の50%が損金算入されますが、資本金1億円以下の会社の場合には、「取引先との飲食代の50%」もしくは「年間800万円」のうちいずれか多い金額を損金とすることができます。

参照:国税庁「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

(3)少額減価償却資産の損金算入

30万円未満の固定資産を取得した場合、資本金1億円以上の会社は法定耐用年数によって減価償却しますが、資本金1億円以下の会社は年間300万円までは全額を損金とすることができます。

参照:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

(4)欠損金の繰戻還付

青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度に繰り戻して、法人税の還付を請求することができます。

参照:国税庁「青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」

(5)各種税額控除

資本金1億円以下の会社には、以下のような特別償却や特別控除などが適用されます。

・中小企業投資促進税制
設備投資を後押しするために設けられた制度で、、資本金1億円以下の法人が新品の機会を取得して事業に利用した場合、その取得価額の7%相当額を法人税額から控除できます。
参照:国税庁「中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」

・研究開発税制
企業の研究開発投資の促進を図る目的で儲けられた制度で、製品の製造や技術の考案、ビッグデータを活用したサービス開発などについて、何と控除上限最大45%(ベンチャーの場合最大60%)の税額控除が可能となります。

参照:経済産業省「研究開発税制」

ここでご紹介した以外にも、資本金1億円以下の会社が利用できる税額控除は数多くあります。なかには期間限定の制度も多いので、早めに税理士に相談することをおすすめします。

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設立時における資本金の額の決め方

これまでご紹介したように、資本金は1,000万円と1億円というラインで税務上の扱いが異なります。
ただし資本金の額を決める際には、他のさまざまな視点からも検討する必要があります。

運転資金面から考える

会社設立後は、資本金も大切な会社の運転資金となります。
資本金を「使ってはいけないお金」と考えている人もいますが、資本金は売上をあげるために商品を仕入れたり事務所の備品を購入したりするために使っていいお金です。また、会社を設立するための登記をする際にも使います。
資本金1円では、取引先から入金がない限り、ペン1本も買えないことになってしまいます。
したがって、業種にもよりますが、初期費用や設立登記費用の他に設立時から3~6カ月程度の経費(家賃、高別費、通信費、交通費、給与)を見越して資本金を設定するのが1つの目安となります。
中小企業の場合は、100万円~300万円程度がもっとも多いケースです。

資本金の額=(設立登記費用+設立時の初期費用)+3カ月~6カ月の経費

社会的な信用の面から考える

資本金は、会社の規模や信用力を見る大事な指標となります。資本金は、登記事項証明書に記載されますので、誰でも見ることができます。
したがって、ライバル企業の資本金を参考にしてそれより多めに資本金を設定するという考え方もあります。また、資本金があまりにも少ないと、赤字を少しでも出せば債務超過となってしまいます。債務超過となれば、金融機関から借入れをしようと思っても大変厳しくなってしまいます。
この点から考えても、資本金を300万円程度にしておけば、当面の運転資金を見込んでも債務超過となるのを避けることができますので、安心です。

まとめ

以上、資本金の意味や資本金のラインでの税務上の扱いの違い、資本金の額の考え方についてご紹介しました。
資本金の額をいくらにするかという問題は、税務上の扱い、運転資金、社会的な信用といった面からも大変重要です。
特に税務上の扱いは、設立後の資金繰りにも大きな影響を与えることとなりますので、「自社の場合には資本金をどう設定すればよいのか」については、会社設立や会社の節税対策に精通している税理士に相談することをおすすめします。

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