固定資産売却益(損)とは?求め方・勘定科目

公開日:2021年12月23日
最終更新日:2024年06月03日

この記事のポイント

  • 固定資産売却益(損)とは、固定資産の売却によって生じる利益(または損失)。
  • 固定資産売却益(損)は、固定資産売却時の簿価と売却額の差額である。
  • 個人事業主の場合には、固定資産の売却損益は「譲渡所得」となるので注意。

 

固定資産売却益(損)とは、会社が保有している土地、建物、車両運搬具などの固定資産の売却時の損益を計上する時に使用する勘定科目です。
 

固定資産売却益(損)の豆知識

固定資産売却益(損)とは、会社が保有する固定資産を売却した場合に、売却価額と帳簿価額の差額を処理するときに使う勘定科目です。固定資産とは、土地、建物、機械装置、車両運搬具などで、差額は利益(または損失)となります。
ちなみに帳簿価額とは、資産や負債が取得された時点での原価から累計の減価償却費や評価損などを差し引いた金額です。
固定資産の売却価額が帳簿価額を上回る場合には、貸方差額として「固定資産売却益」が計上されます。
たとえば、帳簿価額1,000万円の土地を1,200万円で売却した場合には、貸方差額として200万円の固定資産売却益を計上します。
逆に売却価額が帳簿価額を下回る場合は、借方差額として「固定資産売却損」が計上されます。
たとえば、帳簿価額1,000万円の土地を800万円で売却した場合には、借方差額として200万円の固定資産売却損を計上します。
個人事業主の固定資産売却は、事業所得ではなく「譲渡所得」となり「事業主借」で処理をします。
なお税務調査では、固定資産も厳しくチェックされます。「個人で買った資産を会社で計上していないか」「架空の修繕費(資本的支出)を計上していないか」を確認されますので、資産をすぐに提示・説明できるよう準備しておきましょう。
また、税理士法第33条の2第1項の「書面添付制度」を活用し、税理士に申告書等に記載してもらうと、税務調査も税理士の意見聴取だけで済む場合があります。経営者の負担が軽減されますし、この制度は国税庁の推奨しているので、しっかりと活用しましょう。

固定資産売却益(損)とは

固定資産売却益(損)とは、固定資産を売却したことによって生じる利益(または損失)のことであり、固定資産売却時の簿価と売却額の差額を計上する時に使用する勘定科目です。
この場合の固定資産は、有形固定資産を指し、無形固定資産や投資その他の資産は含めないのが一般的です。

固定資産は、長期にわたって使用収益することを目的に所有していた資産ですから、その売却損益は、販売を目的として所有していた棚卸資産の売買損益とは本質的に異なります。

会社が保有している土地、建物、自動車、備品、構築物などの固定資産を売却した際に、その売却額が帳簿価額より上回る時には「固定資産売却益」、売却額が帳簿価額より下回る時には「固定資産売却損」を使用します。

(1)固定資産売却益(損)の計算方法

固定資産売却益(損)は、固定資産売却時の簿価と売却額の差額です。
売却収入から固定資産を売却する時にかかる売却手数料、印紙代等の諸経費を差し引いて計上します。

固定資産売却益(損) = 売却収入 - (帳簿価額+売却手数料等の経費)

固定資産の簿価は、取得価額から「減価償却累計額」を控除した額です。
※減価償却累計額:過去の減価償却費の合計額

なお消費税については、固定資産の売却時は売却損益が消費税の課税対象となるのではなく、売却額全体が課税対象となるという点に注意が必要です。

(2)固定資産売却益(損)は「特別損益」

固定資産売却損益のような非経常的な損益は、経常利益ではなく「特別損益」に計上されます。

経常損益に計上すると、経常損益に要求される「当期の経営成績の適正表示」ができなくなるからです。
したがって、経常損益に本来要求される「経営成績の適正表示」の性格をゆがめないようなもの、たとえば金額が少ないものや毎期経常的に発生するものは、経常損益に含めることができます。

固定資産の売却益は「特別利益」に、売却損は「特別損失」に、それぞれの種類または内容を示す名称を付した科目で記載しなければなりませんが、当該事項を科目で記載するのが難しい場合には、注記によることも認められています。

(3)個人事業主の固定資産売却益は「譲渡所得」

個人事業主の場合には、固定資産の売却損益は事業所得ではなく譲渡所得となりますので、事業主借(売却益)または事業主貸(売却損)で処理をします。

事業主貸:個人事業主が、事業とは関係なく使用したものを処理する時
事業主借:個人事業主が、事業とは関係ない所得となる入金があった時

たとえば、個人事業主が取得価額250万円の車両を50万円で下取りに出し、300万円の新車に買い替えた時には、以下のような勘定科目で処理をします。

取得価額250万円(減価償却累計額180万円)の車両を50万円で下取りに出した。300万円の新車に買い替え、普通預金から現金で支払った。

借方 貸方
普通預金 500,000 車両運搬具 2,500,000
減価償却累計額 1,800,000
事業主貸 200,000
借方 貸方
車両運搬具 3,000,000 普通預金 3,000,000

固定資産売却益(損)のよくある仕訳

固定資産売却益(損)は、減価償却累計額をあわせて処理をする必要があります。ここでは、固定資産売却益(損)のよくある仕訳例についてご紹介します。

(1)固定資産売却益

「取得価額400万円(減価償却累計額300万円)の営業車を150万円で売却し、代金が普通預金に入金された。」
「取得価額400万円-減価償却累計額300万円=100万円」の車両が、150万円で売却されたため、固定資産売却益は50万円となります。

借方 貸方
普通預金 1,500,000 車両運搬具 4,000,000
減価償却累計額 3,000,000 固定資産売却益 500,000

(2)固定資産売却損

「取得価額500万円(減価償却累計額300万円)の機械を50万円で売却し、代金が普通預金に入金された。」

借方 貸方
普通預金 500,000 機械装置 5,000,000
減価償却累計額 3,000,000
固定資産売却損 1,500,000

まとめ

固定資産売却益(損)は、固定資産売却時の簿価との差額を処理する時に使う勘定科目です。
固定資産とは、機械、建物、自動車、土地、備品、構築物などで、その売却額が帳簿価額より上回る時には「固定資産売却益」、下回る時には「固定資産売却損」となります。
固定資産売却益(損)を処理する時には、減価償却累計額を計算する必要がありますので、早めに税理士に確認をしておきましょう。

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

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固定資産を売却したときは、固定資産の簿価と売却価額の差額を「固定資産売却損益」として処理をします。売却価額が帳簿価額より高ければ「固定資産売却益」、逆に売却価額が帳簿価額より低ければ「固定資産売却損」となります。
また、有形固定資産(土地を除く)の売却は消費税課税取引であり、売却収入が課税対象となりますので、消費税の計算を行うときは注意が必要です。
固定資産売却益(損)の処理に限らず、正しい決算書を作成するためには、正しい仕訳の積み重ね、正しい勘定科目の理解が必要です。
中小企業では、税務申告を主な目的として決算書を作成しているケースが多いものですが、本当に大切なのは、決算書の内容から自社の経営成績や財政状態を把握し、経営に役立たせることです。
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