基礎控除とは|控除額・計算方法・還付の方法

公開日:2019年07月05日
最終更新日:2021年07月08日

目次

  1. 基礎控除とは
    • (1)基礎控除は14種類ある「所得控除」のひとつ
    • (2)そもそも「所得控除」ってなに?
    • (3)14種類ある「所得控除」を知っておこう
    • (4)「所得控除」と「税額控除」の違いを知っておこう
  2. 基礎控除は令和2年(2020年)改正された!
    • (1)基礎控除額が48万円に引き上げ
    • (2)所得2500万円以下の人は適用なし
    • (3)その代わり給与所得控除は引き上げ
    • (4)収入金額850万円以上で増税となるかも?
  3. 基礎控除と確定申告の関係
    • (1)確定申告書の記入法
    • (2)適用される所得控除はもれなく記入する!
  4. まとめ

この記事のポイント

  • 基礎控除とは、14種類ある所得控除のうちのひとつ。
  • 2020年から所得税の所得控除は38万円→48万円と引き上げられることになった。
  • 基礎控除を受ける場合、サラリーマンは給与所得者の基礎控除申告書を提出する。

 

基礎控除とは、14種類ある所得控除のうちのひとつです。
すべての納税者につき一律38万円が所得から控除されるものでしたが、税制改正が行われ、令和2年(2020年)から所得税の基礎控除は38万円→48万円、住民税の基礎控除は33万円→43万円と一律に引き上げられることになりました。
また、合計所得金額2,400万円超の個人はその金額に応じて、基礎控除額が段階的に減少され2,500万円を超えると0円となることになりました。

この記事では、所得税の基礎控除についてご紹介します。

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基礎控除とは

基礎控除とは、所得税や住民税の計算をする時に、納税者の所得から一律で差し引かれる所得控除の1つです。
「控除」とは「差し引く」という意味で、所得控除とは所得からある一定の金額を差し引くという意味です。

基礎控除額は、以前は一律38万円でしたが、令和2年(2020年)の税制改正によって、38万円から48万円に引き上げられました。そして所得が2,500万円を超えると0円となることになりました。

(1)基礎控除は14種類ある「所得控除」のひとつ

基礎控除は14種類ある所得控除のひとつです。
所得控除は、原則として納税者本人の事情に沿って「適用されるか否か」「適用される場合には控除額はいくらか」が変わります。
しかし、基礎控除は、他の所得控除のように個々の事情に沿って一定の要件に該当する場合に控除するというものではなく、個人事業主でも給与所得者(サラリーマンなど)でも同じように一律に適用されます。

※ただし、令和2年(2020年)から合計所得金額が2,500万円超の人には適用されないこととなりました

(2)そもそも「所得控除」ってなに?

先ほど基礎控除は14種類ある所得控除のひとつとご説明しましたが、それでは「所得控除」とは何なのでしょうか。

所得控除とは、納税者本人に扶養家族が何人いるか、病気、災害に遭ったなどの事情はないかといった、個人的な事情を加味して税負担を調整するしくみです。

たとえば、同じ所得でも独身の人と家族が5人いる人もいるでしょう。それなのに同じ納税額としてしまっては、家族5人を養っている人にとって重税感を与えてしまいます。
そこで、このような個人的な事情がある場合には、その事情に応じて所得から一定金額を控除して所得を減らし、税負担を軽くすることとしたのです。

つまり所得にかかる税金である所得税は、たとえ同じ所得金額であっても納税者の「扶養家族は何人いるか」「病気で医療費がかかったか」「災害に遭ったか」など、個々の事情を加味して税負担を調整することになっています。

これを所得控除といい、今回ご紹介する「基礎控除」以外にも、「配偶者控除」「扶養控除」「医療費控除」など、全部で14種類あります。

「損をしない!14種類ある所得控除の受けられる人と控除額」を読む

所得税の税額は、1年のトータルの所得から、この所得控除を差し引いた課税所得金額に税率を適用して計算します。この税率は所得が多ければ多いほど税金が高くなる「累進課税制」となっています。

「所得税とは|所得の種類、税額計算、節税対策」を読む

(3)14種類ある「所得控除」を知っておこう

用される所得控除が多ければ多いほど税金が安くすることができます。
14種類ある所得控除の内容をよく知り、受けられる所得控除はすべて受けるようにしましょう。

所得控除の種類 控除を受けられる人と控除額 控除額 必要書類・注意点
基礎控除 誰でも無条件に受けることができる 48万円(改正前38万円)※2,400万円を超えると控除額が段階的に減り、2,500万円を超えると控除額はゼロになる。
医療費控除 多額の医療費がかかる時 (正味の医療費)-10万円
(正味の医療費)-総所得金額等×5%
上記のうちどちらか多い方
※セルフメディケーション税制を使う時
控除額は、対象となるOTC医薬品の正味の購入費-1万,2000円
領収書は不要。ただし領収書の保管は必要。(交通費、薬代含む ※自家用車費用は不可)
雑損控除 自然災害や家事、盗難、横領などによる損失があった時  (正味の損失額)-(総所得金額等)×10%
(総所得金額等×40%)-2,000円
上記のうちどちらか多い方
災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類(火災の場合は消防署、盗難の場合には警察が発行する被害額届出用の証明書)
社会保険料控除 国民健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料などを負担した時。配偶者や扶養親族の分も含む。 1年間に支払った全額 国民年金保険料、国民年金基金の掛金を支払っている人は、控除証明書など
小規模企業共済掛金控除 小規模企業共済等掛金、確定拠出年金法の個人型・企業型年金加入掛金、iDeCoの掛金を支払っている時 1年間に支払った全額 支払掛金などの証明書
生命保険料控除 生命保険、個人年金、介護医療の保険料を支払った時 支払金額より算出 最高12万円 生命保険の掛金の控除証明書
地震保険料控除 地震保険などの損害保険料を支払った時 支払金額より算出 最高5万円 地震保険の掛金の控除証明書
障がい者控除 申告者本人が障害者と認定されているか、その家族(同一生計配偶者や扶養親族)が障害者の認定を受けている時 1人につき27万円
特別障がい者は1人につき40万円
同居特別障碍者は1人につき75万円
療育手帳
障がい者控除認定書
同居の証明書 など
寄付金控除 国や地方公共団体、認定NPO法人などに寄付した時 特定寄附金の額-2,000円
(総所得金額等×40%)-2,000円
上記のどちらか少ない方
寄付金の領収書
寡婦、ひとり親控除 自分が寡婦またはひとり親の時
改正によって、未婚のひとり親も控除の対象に加わり、「合計所得が500万円以下」という所得制限が設けられた
寡婦の時は27万円、ひとり親の時は35万円
勤労学生控除 申告者本人が勤労学生に該当する時 27万円 在学証明書など
配偶者控除 申告者本人に合計所得48万円以下の配偶者がいる時 申告者本人の所得によって13万円~38万円
配偶者が70歳以上の時は16万円~48万円
配偶者特別控除 申告者本人に合計所得48万円超133万円以下の配偶者がいる時 申告者本人と配偶者の所得により異なる 最高38万円
扶養控除 合計所得が48万円以下の子ども(16歳以上)、両親、兄弟姉妹などの控除対象扶養親族がいる時 年齢や同居の有無により異なる 38万円~63万円

(4)「所得控除」と「税額控除」の違いを知っておこう

所得控除と同じように税金を安くする制度として、所得控除以外に「税額控除」という制度もあります。どちらも税金を安くすることができる制度ですが、所得控除は必要経費のように「所得金額から一定額を差し引くもの」であり、税額控除は、「最終的に計算された税額から一定額を差し引くもの」であるため、混同しないようにしましょう。

所得-所得控除=課税される所得

所得税-税額控除=実際に納付する所得税

節税効果という点から見ると、税額から直接差し引ける税額控除の方が有利になることが一般的です。

税額控除にもいくつかの種類があり、主なものとしては住宅ローン控除(最高50万円)、寄付金特別控除(支出した寄付金の合計額によって異なる)、外国税額控除(その年の外国所得税額)などがあります。

「税金が安くなる「税額控除」|所得控除との違いは?節税効果は?」を読む

基礎控除は令和2年(2020年)改正された!

基礎控除については令和2年(2020年)に見直しがされ、基礎控除が一律に引き上げられることになりました。
そこでここでは、基礎控除の令和2年(2020年)の改正ポイントについて、ご紹介します。

(1)基礎控除額が48万円に引き上げ

これまで一律38万円であった控除額が10万円引き上げられ、48万円となりました。つまり、従来までは所得から差し引ける額が38万円だったのが、48万円差し引けることになりました。

所得-38万円(基礎控除額)=課税される所得
 ↓
所得-48万円(基礎控除額)=課税される所得(令和2年から)

(2)所得2500万円以下の人は適用なし

基礎控除額は10万円引き上げられましたが、納税者本人の合計所得金額が2,400万円超を超えたら段階的に基礎控除額が減らされることになりました。
2,400万円超2,450万円以下の場合には32万円、2,450万円超2,500万円以下の場合は16万円、2,500万円を超えると基礎控除は適用されなくなりました。

合計所得 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

(3)その代わり給与所得控除は引き上げ

基礎控除額が10万円引き上げられたことで、その分所得税が課税される所得を減らすことができるので減税となると思われた方も多いと思います。
しかし、その代わり給与所得控除と公的年金等控除が10万円引き下げられることになりました。

※給与所得控除とは、原則として必要経費などの控除を認められていないサラリーマンなどの控除枠です。

給与所得金額=給与収入-給与所得控除額

この給与所得金額は年間の収入の違いによってその金額が変わりますが、この金額について令和2年(2020年)より額が引き下げられることになりました。

収入金額 給与所得控除額
令和元年(2019年)まで 令和2年(2020年)以降
162万5,000円以下 年収×40%(65万円に満たない場合は65万円) 55万円
162万5,000円超180万円以下 年収×40%-10万円
180万円超360万円以下 年収×30%+18万円 年収×30%+8万円
360万円超660万円以下 年収×20%+54万円 年収×20%+44万円
660万円超850万円以下 年収×10%+120万円 年収×10%+110万円
850万円超1,000万円以下 195万円
1,000万円超 220万円

(4)収入金額850万円以上で増税となるかも?

前述したとおり、令和2年(2020年)から基礎控除が一律10万円引き上げられることになりましたが、これと同時に「給与所得控除」と「公的年金等控除」については、10万円引き下げられることになりました。

つまり基礎控除の引き上げと給与所得控除の引下げにより、多くのサラリーマンにとっては増税も減税もないプラスマイナスゼロとなりました。
ただし、基礎控除額は引き上げられましたがそれと同時に、合計所得金額2,400万円超から基礎控除額が減る仕組みになり、2,500万円超では基礎控除額はゼロとなりました。
また、給与所得控除の上限も令和2年から220万円→195万円に引き下げられています(収入金額850万円)。
つまり、子育て世帯や介護世帯などには負担増が生じないように配慮はされていますが、個々の事情によっては収入金額が850万円を超えると増税となる可能性があるわけです。

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基礎控除と確定申告の関係

所得控除のうち、基礎控除はすべての人に該当する控除ですから、控除額は原則として48万円です。
人は、社会で生活するうえで必ず必要となる最低限の金額というものはあります。
所得税ではこの最低限の金額を48万円と想定し、最低生活保障額であるの48万円には税金をかけないこととしました。これが、基礎控除の基となる考え方です。
したがって、基礎控除を差し引くことで所得が0円なら税金も0円ということになりますので、もし所得が48万円以下で所得税がすでに源泉徴収されていたら、確定申告をすることで税金が戻ってきます。
また、個人事業主などですでに差し引かれている所得税がある人や、退職などの理由で年末調整を受けない人も、還付申告することでお金が戻ってくる可能性があります。
確定申告をしなければ損をしてしまうことになるので、注意しましょう。

(1)確定申告書の記入法

確定申告書にはAとBがあります。Bは汎用版なので誰でも使うことができますが、Aは記入項目が少なく設定されていて、サラリーマンなど確定申告に普段あまり縁がない人でも使いやすいように工夫されています。

(2)適用される所得控除はもれなく記入する!

これまでご紹介してきたように、基礎控除は原則として一律に適用されるものですから、確定申告書の基礎控除欄には、48万円と記入します。
所得控除の欄には、雑損控除、医療費控除などさまざまな項目があります。
控除を受けられる内容と控除額を確認し、適用される所得控除はもれなく受けるようにしましょう。それだけ税金を安くすることができます。

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まとめ

以上、基礎控除の意味や控除額、令和2年(2020年)からの改正点についてご紹介しました。
所得控除は、原則として確定申告や年末調整で申請をしなければ、控除を受けることはできません。
また、サラリーマンの場合でも、「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」については年末調整で調整されないので、自分で確定申告をする必要があります。
所得控除は適用される控除の種類・金額が多ければ多いほど節税効果があり、申告(申請)しなければ、その分多く税金を払うことになってしまうので、もれなく適用を受けるようにしましょう。

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