特定口座とは?源泉あり、源泉なしのメリット・デメリット

公開日:2019年04月09日
最終更新日:2019年12月12日

目次

  1. 特定口座とは
    • 特定口座を開設するためには「特定口座開設届」が必要
  2. 株取引を行う口座の種類
    • 源泉ありの特定口座
    • 源泉なしの特定口座
    • NISA口座
    • 一般口座
  3. 特定口座のメリット・デメリット
    • 源泉ありの特定口座のメリット・デメリット
    • 源泉なしの特定口座のメリット・デメリット
  4. 特定口座の「源泉ありなし」はどう選ぶべき?
    • 源泉なしは「がっつり投資家」向け
    • 「源泉なし」でも売買損益の計算の手間は省ける
  5. 特定口座の「特定口座年間取引報告書」
    • 特定口座年間取引報告書の見方
    • 譲渡損失が生じた場合
  6. 確定申告が必要なのは
  7. まとめ
    • あわせて読みたい

証券会社で口座開設をするときは、特定口座一般口座のどちらかを選択する必要があり、さらに特定口座については「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類から選択することになります。

特定口座は「源泉あり」「源泉なし」のいずれかを選択したかによって、確定申告をすべきか否かが異なります。「源泉なし」を選択すると、売却損益の計算まではしてくれますが、税金の計算や納税まではしてくれないので、確定申告をする必要があります。
一方「源泉あり」を選択しても、一部の口座で損失が出ている場合には、確定申告をした方がお得なケースもあります。

ここでは、特定口座と一般口座の違いや、特定口座の「源泉あり」「源泉なし」の違い、メリット・デメリット、選ぶ際のポイントなどについてご紹介します。

特定口座とは

特定口座とは、証券会社などの金融商品取引業者等で開設する口座のことです。
投資家が簡易的に確定申告・納税を行うことができるので、ほとんどの方がこの特定口座を選択しています。
上場株式等の売却益については、原則として翌年に確定申告をする必要があります。
しかしこの「特定口座」は、確定申告が不要となったり、確定申告が必要な場合でも証券会社等から送られてくる「年間取引報告書」を添付したりすれば申告を簡単に済ませることができるというメリットのある制度です。

特定口座を開設するためには「特定口座開設届」が必要

特定口座を開設する時は、証券会社に「特定口座開設届」を提出して、上場株式等保管委託契約または上場株式等信用取引契約を締結する必要があります。
なお、「特定口座開設届」を提出する時には、個人番号カードや住民票などの本人確認書類が必要です。

株取引を行う口座の種類

株取引を行う口座は、大きく分けて源泉ありの特定口座、源泉なしの特定口座、NISA口座、一般口座の4つに分けることができます。

源泉ありの特定口座

多くの方が選択しているのが「源泉あり」の特定口座(正式名称:源泉徴収選択口座)です。
「源泉あり」の特定口座を選択しておけば、証券会社で売却損益・税金の計算を行ってくれたうえに税金を売却代金から差し引いてもらうことができるので、確定申告は不要となります。
ただし、一部の口座で損失が出たなど年間トータルで売却損だった場合には、他の口座の損益や配当との通算をすることができるので、確定申告をした方がお得なこともあります。

源泉なしの特定口座

「源泉なし」の特定口座(簡易申告口座)を選択すると、証券会社等が売却損益の計算はしてもらえるものの、税金の計算や納税までは行ってくれません。年間トータルで売却益だった場合には原則として確定申告が必要となります。
損失が出た場合には申告をする必要はありませんが、申告した方がお得になるケースもあります。

「株の税金|特定口座(源泉なし)で利益が出た場合の確定申告」を読む

NISA口座

NISA(少額投資非課税制度)とは、投資による利益が一定期間非課税となる制度です。
非課税期間があるというメリットはがありますが、損失が出ても他の口座と損益通算や繰越控除はできないというデメリットがあります。原則として確定申告は不要ですが、他に収入がない人で利益が38万円以下なら、申告をすれば還付を受けることができます。

「NISAとは|メリット・デメリット・始め方」を読む

一般口座

一般口座とは、特定口座やNISA口座で管理していない上場株式等を管理する口座のことで、損益計算も確定申告も自分で行います。
複数の口座を持っているなら、その口座ごとに計算をする必要があります。また、未公開株は一般口座でしか利用することができません。
以前は、みなし取得費の特例(※)を使えるという点がメリットだった「一般口座」ですが、この特例が廃止されたため、これから株取引を始める人にはメリットはほとんどないと言ってよいでしょう。

※みなし取得費の特例とは
確定申告を行う場合、「実際の取得価額」と「みなし取得費」のいずれか有利な方を選択し、その譲渡損益を計算できる制度のこと。平成22年(2010年)12月31日に適用が終了となりました。

「株の税金|一般口座で株取引を行っている人の確定申告」を読む

特定口座のメリット・デメリット

特定口座には、「源泉徴収ありの特定口座(以下「源泉あり」)と、「源泉徴収なしの特定口座(以下「源泉なし」)の2種類があり、多くの方は「源泉あり」を選択しています。

源泉ありの特定口座のメリット・デメリット

「源泉あり」では、証券会社等が特定口座内の上場株式等や公社債等の譲渡損益を計算して、所得税と住民税を源泉徴収し、さらに投資家の代わりに納税してくれます。
忙しい人や細かい計算が苦手な人には「源泉あり」はとても便利な制度です。
ただし、他の取引との損益通算や各種特例の利用までは対応してもらうことはできません。

また、給与所得者や年金所得者については年間20万円以下の利益については申告・納税は原則として不要であるにもかかわらず自動的に税金が引かれてしまいますので、納税しなくても税金をとられてしまうケースもあります。

利益が出た場合は確定申告が不要ですが、損失が出た場合には確定申告しないと譲渡損失の繰越控除(※後述)を受けることができません。確定申告をすれば、一般口座や他の証券会社の特定口座の譲渡損益と通算して還付を受けたり、損失の繰越控除の適用を受けたりすることができます。

源泉なしの特定口座のメリット・デメリット

「源泉なし」を選択すると、証券会社等に売却損益の計算まではしてもらうことができますが、税金の計算や納税まではしてもらうことはできませんので、自分で確定申告をする必要があります。
ただし「源泉なし」を選択した場合でも、確定申告は簡単に済ませることができます。
年末に「特定口座取引報告書」が送付されてきますので、記載されている収入金額は売却損益の金額を転記するだけで簡単に申告書を作成することができるからです。

特定口座の「源泉ありなし」はどう選ぶべき?

これまでご紹介してきたように、特定口座の源泉あり、源泉なしはそれぞれにメリット・デメリットがあります。それでは、源泉のありなしは、どのようなポイントで選択すればよいのでしょうか。

源泉なしは「がっつり投資家」向け

これまで述べてきたように、「源泉なし」は自分で確定申告をする必要がありますが、「源泉あり」のように納税しなくてもよい税金を取られることはありません。
「源泉あり」だと税金が自動的に差し引かれてしまいますが、「源泉なし」なら、税金は差し引かれないのでその分を再投資にまわすことができるというメリットがあります。

例えば、取引で100万円の利益が出た場合、「源泉あり」だと税金が自動的に引かれてしまうので、手元に入る売却益は80万となってしまいます。
しかし、「源泉なし」なら税金は差し引かれないので、100万円がほぼ手元に残り再投資に使うことができます。したがって、「源泉なし」は取引をしっかり行いたいという投資家向けということができます。

「源泉なし」でも売買損益の計算の手間は省ける

「源泉なし」を選択した場合も、年末に「特定口座年間取引報告書」が送られてきますので、売買損益の計算の手間は省くことができます。

特定口座の「特定口座年間取引報告書」

特定口座では、譲渡損益を計算した「特定口座年間取引報告書」が証券会社から交付されます。そして、この「特定口座年間取引報告書」には、特定口座内の年間の譲渡損益・配当金や、それに対する源泉徴収税額が記載されています。記載されている収入金額や譲渡損益の金額を転記することで、確定申告書の作成も簡単に行うことができます。
なお、この「特定口座年間取引報告書」は、証券会社などの営業店の所在地を管轄する税務署にも提出されます。

特定口座年間取引報告書の見方

「特定口座年間取引報告書」では、まず「源泉徴収の選択欄」を確認します。
「源泉あり」を選択している時は「有」に、「源泉なし」を選択している時には「無」に○がついています。「無」に○がついている時には、確定申告が必要となる場合がありますので、忘れずに確認しましょう。

「源泉徴収税額」欄には、所得税と住民税の源泉徴収税額がそれぞれ記載されています。
「譲渡の対価の額(収入金額)」欄には、譲渡収入金額の年間トータル額が表示されます。
「取得費及び譲渡に要した費用の額等」欄には、証券会社等で計算した取得価額などの年間トータル額が表示されます。
「差引金額(譲渡所得等の金額)」欄には、年間の譲渡損益が表示されます。損失の場合は、金額の前に「-」が表示されます。
これらのデータは、確定申告をする際に必要となるデータなので、しっかり確認するようにしましょう。

譲渡損失が生じた場合

株取引で損失が出た場合には、「譲渡損失の繰越控除」を使うことができます。「譲渡損失の繰越控除」とは、損失額を翌年以降3年間持越して、株の売却益や配当所得と相殺できる制度です。なお、この繰越控除が使えるのは、上場株や公募式投資信託による損失で、未公開株では使えません。
損失を繰越すためには、特定口座、一般口座にかかわらず確定申告をする必要があります。

確定申告が必要なのは

これまで述べてきたように、株取引では、確定申告するべきケースと確定申告が不要なケースがあり、「源泉あり」ですべて利益が出ているという場合以外は、申告をした方がよいということになります。
自分が申告すべきかどうかは、以下でチェックしましょう。

○NISA口座
原則申告不要です。ただし、他に収入がない人で利益が38万円以下なら、申告をすれば還付を受けられる可能性があります。

○源泉あり
原則として確定申告不要ですが、一部の口座で損失が出ている場合には、申告をすれば還付を受けられる可能性があります。

○源泉なし
利益が出ているか損失が出ているかに関わらず、確定申告が必要になります。

「株取引の確定申告|税額・口座の種類による違い」を読む

まとめ

以上、特定口座の内容やメリット・デメリット、「特定口座年間取引報告書」のチェックポイントなどについてご紹介しました。
株取引を行っている人は、「源泉ありの特定口座」を選択している人が多いでしょう。
しかし、確かに「源泉あり」には確定申告が不要であるという大きなメリットがありますが、年間の譲渡所得が20万円以下の場合、納付しなくても済む税金が源泉徴収されてしまうというデメリットもあります。
自分がどのような取引を行いたいかによって、上手に口座を選択しましょう。

「株取引の確定申告|税額・口座の種類による違い」を読む

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