一括償却資産とは|減価償却資産&少額資産償却制度との違い

公開日:2019年07月08日
最終更新日:2021年06月29日

目次

  1. 一括償却資産とは
    • そもそも「減価償却」とは
    • 「一括償却資産」と減価償却資産との違い
    • 「一括償却資産」と少額減価償却資産の特例との違い
    • 「一括償却資産」の廃棄・売却
  2. 一括償却資産のよくある仕訳
    • (1)パソコンを購入し一括償却資産として計上
    • (2)冷蔵庫を購入し一括償却資産として計上
    • (3)購入したパソコンを売却(法人の場合)
    • (4)購入したパソコンを売却(個人事業主の場合)
    • (5)購入した際、運賃や設置費用が発生
  3. 一括償却資産よくあるQ&A
    • (1)償却資産税は課されるのか
    • (2)期中に取得した時、減価償却費はどのように計算するか
    • (3)中古資産も一括償却資産の対象となるか
    • (4)個人事業主から法人成りした時の処理
  4. 一括償却資産のまとめ
    • 一括償却資産の処理について相談できる税理士を探す
    • あわせて読みたい

この記事のポイント

  • 「一括償却資産」は、償却資産のうち20万円未満のものに選択適用する。
  • 「一括償却資産」は、3年で均等償却する。
  • 耐用年数が1年未満のものや金額が10万円未満のものは「消耗品費」となる。

 

10万円以上の固定資産は、一度に費用として計上するのではなく減価償却によって毎期費用化するのが原則です。しかし、例外的にもっと短期間で償却できる方法があります。
それが一括償却資産と少額減価償却資産という処理方法です。
ここでは、一括償却資産の意味や要件、少額減価償却資産との違いなどについて、分かりやすくご紹介します。

一括償却資産とは

一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の減価償却資産を事業供用後、耐用年数によらず一律3年間で減価償却することができる制度のことで、税務上3年間で損金とすることができます。償却費は、取得価額の合計額×当期の月数÷36で計算します。

翌期以降に売却や廃棄処分等をしても、3年間は同じ処理で償却費を計上しなければなりません。
たとえば、18万円のPCを10台期末の最終月に購入したとします。これを一括償却資産として処理すると、「(18万×10)×12÷36=60万円」をその事業年度の償却費として損金とすることができます。
固定資産として資産計上する基準を「使用可能期間が1年以上で金額が20万円以上の資産」としている会社が多いのは、この一括償却資産の特例の適用を受けることを考慮し、一括資産は、事業年度ごとにすべての一括償却資産の合計額であたかも1つの資産として固定資産台帳に登録します(個々の資産として登録しません)。

そもそも「減価償却」とは

「減価償却」とは、固定資産を購入してすぐに全額を経費とできず、決められた期間で分割して経費とすることをいいます。
固定資産は、通常長期間にわたって使用されるものであり、その利用に応じて徐々に価値が下がります。
そこで、固定資産ごとに平均的な使用可能期間(耐用年数)が決められていて、この期間にわたって経費にしていきます。この経費にする手続きを「減価償却」、対象となる固定資産を「減価償却資産」といいます。

「一括償却資産」と減価償却資産との違い

前述したとおり、減価償却資産とは、減価償却の対象となる固定資産です。固定資産の取得にかかった費用の全額をその年の費用としないで、耐用年数に応じて配分し、その期に相当する金額を費用として計上していきます。

一方「一括償却資産」とは、20万円未満の資産については耐用年数より短い期間で経費にすることができる特例です。

なお、減価償却の計算方法には、定額法、定率法などがあります。
定額法とは、毎年同額の減価償却費を計上する計算方法です。
定率法とは、減価償却費が初年度ほど多く、年とともに逓減していく計算方法です。
事業を行ううえでは、機械装置、特許権、ソフトウェア等の資産について減価償却しなければならないケースが多々ありますが、仕訳方法などについては以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。

「節税効果大!減価償却する資産、償却する方法とは」を読む

「一括償却資産」と少額減価償却資産の特例との違い

少額減価償却資産の特例とは、中小企業(資本金の額が1億円以下などの法人)の場合に認められる特例で、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産を取得した時には、その全額を損金(1事業年度あたり300万円が限度)とすることができるものです。

たとえば、先ほど述べた「18万円のPCを10台、期末の最終月に購入した」というケースを少額減価償却資産として処理すると、180万円全額を取得した事業年度の償却費として損金とすることができます(令和4年(2022年)3月31日まで※)。

※少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、令和2年(2020年)に税制改正されました。
改正のポイントは以下のとおりです。

①少額減価償却資産(取得価額30万円未満の減価償却資産)を取得した場合に、一事業年度1年当たり300万円まで取得価額の全額を損金に算入することができる特例の適用期限が2年延長され、令和4年(2022年)3月31日までとなりました。

②対象法人の要件のうち常時使用する従業員の数の要件が、「1,000人以下」から「500人以下」に引き下げられました。

参照:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

「少額減価償却資産で一括償却して節税! 」を読む

以上、減価償却資産、一括償却資産、少額減価償却資産の3つの処理方法について比較すると、以下のようになります。

取得価額 通常の減価償却 一括償却資産 少額減価償却資産
10万円未満
10万円以上20万円未満
20万円以上30万円未満
固定資産台帳への登録 1個ずつ 事業年度ごとの合計額 不要
償却資産税 かかる かからない かからない

一括償却資産や少額減価償却資産として処理する方が、通常の償却より経費(損金化)にできるタイミングが早いので、お得であるということが言えます。
10万円超20万円未満(中小企業の場合には30万円未満)の資産を取得した時には、積極的に一括償却資産、少額減価償却資産の処理方法を活用するとよいでしょう。

「一括償却資産」の廃棄・売却

一括償却資産を廃棄・売却した場合でも減価償却には影響しません。
使用している・いないに関わらず必ず3年間で償却します。
たとえば、1期にパソコン15万円、プリンター17万円、スキャナー10万円の合計42万円を取得し、2期目にパソコンが故障したため廃棄した場合でも、42万円÷3=14万円ずつを3年間で償却します。

一括償却資産のよくある仕訳

これまでご紹介してきたように、一括償却資産とは取得価額が20万円未満の減価償却資産について、3年間で均等償却することができる処理方法です。
帳簿上は、「一括償却資産」という勘定科目で記帳し、賃借対照表では「器具及び備品」のように、本来のその資産の内容を表す科目名で表示されることとなります。

ここでは、一括償却資産の具体的な仕訳例について、見ていきましょう。

(1)パソコンを購入し一括償却資産として計上

12万円のパソコンを購入し、一括償却資産として計上する場合には、12÷3=4万円を減価償却費として計上します。

①12万円のパソコンを現金で購入し、一括償却資産として計上した。

借方 貸方
一括償却資産 120,000 現金 120,000

②決算にあたり、上記資産の減価償却を行った。

借方 貸方
減価償却費 40,000 一括償却資産 40,000

(2)冷蔵庫を購入し一括償却資産として計上

冷蔵庫も固定資産なので、18万円の冷蔵庫を一括償却資産として計上する場合には、18÷3=6万円を減価償却費として計上します。

①18万円の冷蔵庫を事業用カードで購入し、一括償却資産として計上した。

借方 貸方
一括償却資産 180,000 未払金 180,000

②決算にあたり、上記資産の減価償却を行った。

借方 貸方
減価償却費 60,000 一括償却資産 60,000

(3)購入したパソコンを売却(法人の場合)

購入したパソコンを売却する場合には、法人と個人事業主で処理の方法が異なります。
法人の場合には、受け取った代金は固定資産売却益となります。

一括償却資産の場合には、3年以内に一括償却資産を廃棄したり売却したりしても、仕訳上は帳の価額を減らしたりせずに、3年間で減価償却する処理を行います。

①以前購入した冷蔵庫(取得価額12万円、簿価(※)4万円、減価償却累計額8万円)を6万円で売却し、現金で代金を受け取った。

※簿価(帳簿に記入されている数値)

借方 貸方
減価償却累計額 80,000 一括償却資産 120,000
現金 60,000 固定資産売却益 20,000

(4)購入したパソコンを売却(個人事業主の場合)

個人事業主の場合には、一括償却資産の売却による収入は、事業所得となるので、「雑収入」で処理をします。

①以前購入した冷蔵庫(取得価額12万円、簿価4万円、減価償却累計額8万円)を6万円で売却し、現金で代金を受け取った。

借方 貸方
減価償却累計額 80,000 一括償却資産 120,000
現金 60,000 雑収入 20,000

(5)購入した際、運賃や設置費用が発生

資産を購入した時の運賃や設置費用については、本体の金額と合算して処理をします。

①ロッカーを購入したところ、設置費用を含め合計12万円であった。費用は普通預金から支払った。

借方 貸方
一括償却資産 120,000 普通預金 120,000

一括償却資産よくあるQ&A

一括償却資産については、資産税がかかるのか、消費税込み、もしくは消費税抜きで計算するのかなど、不明点や疑問点が多いものです。
そこでここでは、一括償却資産に関するよくあるQ&Aについてご紹介します。

(1)償却資産税は課されるのか

通常の減価償却の場合には償却資産税がかかりますが、一括償却資産の場合には、償却資産税はかかりません。

(2)期中に取得した時、減価償却費はどのように計算するか

一括償却資産は、その期に取得した一括償却資産を合計してまとめて減価償却します。
その際は、期首に取得したもの、期中に取得したもの、期末に取得したもの、すべて月割にせずに毎期3分の1ずつ減価償却します。
ただし、設立初年度の法人など事業年度が12カ月未満の場合を除きます。

(3)中古資産も一括償却資産の対象となるか

中古資産も一括償却資産の対象となります。
したがって、3年間で減価償却します。

(4)個人事業主から法人成りした時の処理

個人事業主から法人成りし、法人へ一括償却資産を売却する場合には特例があります。
これまでご紹介したとおり、一括償却資産は3年以内に除却や売却をしても、除却や売却の帳簿価額を減少させず、その後も引き続き3分の1ずつ減価償却を続けなければなりません。

ただし、法人成りして個人事業主を廃止する場合には、特例により、法人成りをすることによる事業廃止の都市に残りの帳簿価額を必要経費に計上することができます。
また、この一括償却資産の法人への売却は、「事業所得(雑収入)」として処理をします。
つまり、「譲渡所得」ではない点に注意が必要です。

一括償却資産のまとめ

以上、一括償却資産の意味やメリット、減価償却資産や少額減価償却資産との違いなどについてご紹介しました。
一括償却資産は、20万円未満の資産に選択適用することができ、3年で均等償却します。
少額の資産を購入した時には、一括償却資産や少額減価償却資産で処理する方が、その年度に支払う税金を少なくすることができます。そのほか、中古の資産を購入することで耐用年数を短くし節税する方法もあります。
資産を購入する時には、自社にとってどのように計上すればもっともメリットがあるのか、税理士に相談してから購入することをおすすめします。

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