公開日:2018年10月31日
最終更新日:2022年11月01日
定年や自己都合、リストラ、結婚・出産などの事情で、年の途中で退職し、年内に再就職をしなかった人は、確定申告をすることで、税金が戻ってくる可能性があります。
また、退職金をもらって「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人は、確定申告すると税金が戻ってきますので、忘れずに確定申告を行うようにしましょう。
年の途中で退職して年内に再就職をしなかった場合には、会社で年末調整を受けていません。そのため、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。
なお、再就職した場合でも年末調整がされていなければ、同じく税金が戻る可能性があります。
確定申告とは、1年間で得た所得に対する所得税を納めたり、払い過ぎていた税金を取り戻したりするために必要な手続きです。
サラリーマンの場合には、勤務する会社が従業員に代わって毎月の給与から所得税が源泉徴収し、年末調整で精算をしてくれているため、原則として確定申告をする必要はありません。
年末調整とは、勤務先が社員の1年間の所得税を精算する手続きです。
しかし、年の途中で会社を辞めた場合には、この年末調整がされていないので、毎月の給料から所得税が源泉徴収されていたのに、精算がされていないということになります。
したがって、年の途中で退職して再就職していない人は、自分で確定申告をすることで税金が戻ってくるの可能性があります。
サラリーマンの場合には、毎月の給与から所得税が源泉徴収されていますが、この徴収額は「税金の見込み額」を徴収されているので、税金を多く払い過ぎている可能性があります。これを精算するのが年末調整ですが、年の途中で会社を辞めた場合でその年のうちに再就職しなかった場合は、会社でこの年末調整が行われていないので、結果として税金を多めに払っている可能性が高くなります。したがって、この場合には自分で確定申告をすると、ほとんどのケースで税金が還付されます。
年内に再就職した場合には、新しい勤め先が前の会社の分まで年末調整を行ってくれることがあります。その場合には、基本的には確定申告をする必要はありませんが、念のため再就職先で年末に発行される源泉徴収票を確認しておいた方がよいでしょう。
前の会社の給与分が含まれていれば問題ありませんが、前の会社の給与分が含まれていない時には、自分で確定申告を行います。
退職金を受け取った人も、税金が戻ってくるケースがあります。
退職金を受け取った際には、通常は会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しており、正しい税額が計算されその税額が差し引かれて支給されているので、確定申告をする必要はありません。
しかし、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していない場合には、税金を払い過ぎている可能性があるので、確定申告をした方がお得になります。
ほかにも年をまたいで退職金を受け取った時にも、税金が戻ってくるケースがあります。
退職した後、再就職しない場合でもアルバイトや副業などをするケースがあるでしょう。
アルバイトをした場合、アルバイト先が1社であれば、前職のサラリーマンの時と含めて年末調整をしてくれることがあります。この場合には、確定申告をする必要はありません。
ただし、アルバイトも年の途中で辞めて年末調整がされていない場合は、確定申告をする必要があります。
また、アルバイト先が2社以上ある場合には、サラリーマン時代の給与所得にアルバイトの給与所得を合算して確定申告する必要があります。
副業した場合には、副業の所得が年間合計20万円を超えた場合には、雑所得として確定申告をする必要があります。
退職後フリーランスになった場合には、会社員のときの「給与所得」とフリーランスになってからの「事業所得」の2つの所得があるということになります。
この「給与所得」も「事業所得」も総合課税方式で課税されるので、2つの所得の合計額に対して課税されます。
確定申告では、給与所得と事業所得を合計し、総所得金額を計算してから課税所得を計算することになります。
給与所得の欄には、退職前に会社からもらった「給与所得の源泉徴収票」に記載されている「給与所得控除後の金額」を給与所得の欄に記入します。
事業所得の欄には、フリーランスになってから得た収入から必要経費を差し引いた所得を記入します。
1年間の所得に対して課税される税金は、所得税のほかに住民税があります。
「住民税についても、別途手続きをする必要があるのか」と考える人もいますが、確定申告をすれば、改めて市区町村に住民税の申告をする必要はありません。
確定申告をすることで、税務署が申告内容を市区町村に通知するからです。
なお、住民税は前年の所得に対して課税される後払いの税金です。そのため、今年は所得がないという場合でも、住民税は納める必要があります。
退職して収入がなくなった時に住民税の納付書が届き、慌てる人もいますが、住民税は、前年の所得をもとに計算されるので、すでに働いておらず所得がなくても、住民税をはらわなければならないのです。したがって、退職金を少しストックしておくなど準備をしておきましょう。
これまで述べてきたように、退職後再就職しなかった場合には、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができる可能性があります。
これを「還付申告」といい、退職した翌年以降5年以内であれば行うことができますが、還付される税金がある場合、早めに申告すればそれだけ早く還付されるので、早めに手続きを行うようにしましょう。
・「確定申告してから還付金を受け取るまでのスケジュール」を読む
確定申告をする場合に使用する申告書の種類は、申告書Aと申告書Bがあります。
申告書Bは、所得の種類にかかわらず誰も使用できる申告書で汎用性がありますが、サラリーマンの場合には、申告書Aの方が使いやすいのでおすすめです。
なお、申告をする際には、申告書のほかに源泉徴収票、支払調書(副業がある場合)、所得の内訳書(申告書第二表に書ききれない場合)が必要です。
源泉徴収票を受け取っていない場合には、勤務先に連絡して送ってもらいましょう。
申告書には、源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」「所得金額」などを記入する必要があります。
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確定申告というと、分かりにくいイメージがあると思いますが、国税庁のホームページの「確定申告書作成コーナー」にアクセスして表示される指示にしたがって源泉徴収票の数字を入力して行けば、簡単に申告書を完成することができます。
確定申告は、国税庁の「確定申告等作成コーナー」や手書きで作成する方法がありますが、申告書Aだけでも何枚もありますし、自分が受けられる所得控除が分からない時もあるでしょう。
そのような場合には、さらに確定申告書を簡単に作成できる「クラウド会計ソフト freee会計」がおすすめです。「freee会計」は、分かりやすい質問に回答するだけで、確定申告書を完成させることができます。
「freee会計」は、クラウド型で、Webブラウザーがあればどこでも利用することができます。スマホ用アプリも用意されていて、スマホやタブレットでも利用できるので、空き時間を有効活用して確定申告書類を作成させましょう。
以上、退職した人の確定申告について解説しました。
退職して年内に再就職しない人、退職金を支給されて退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していない人は、確定申告をすることで、税金が戻ってくる可能性があります。
自分で確定申告をしないと、税金が戻ってくることはありませんから、忘れずに手続きを行うようにしましょう。
freee税理士検索では数多くの事務所の中から退職後の確定申告について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
監修者
遠藤 光寛えんどう みつひろ
遠藤光寛税理士事務所 代表
定年や自主退職などでもらう退職金は、「退職所得」として所得税の対象となります。退職前に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、所得税・住民税が差し引かれているので、確定申告の必要はありませんが、この申告書を提出せずに会社を辞めた場合には、退職金が源泉徴収されて税金が払い過ぎになっている可能性があります。したがって、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しないで会社を辞めた場合には、確定申告をして払い過ぎた税金を取り戻しましょう。また、退職して個人事業主になった場合には、今後は原則として確定申告が必要になります。
遠藤光寛税理士事務所は、福島県内を中心に、法人・個人の皆様の「お金の問題」に誠実に対応し解決することを、私たちの使命と考えています。退職した人の確定申告の相談はもちろん、退職後の「資金繰りについての悩み」や「老後の資産形成不安」、個人事業主となった場合の経理システムの構築や確定申告などのご相談は、おひとりで抱え込まずに、ぜひ私たち専門家へご相談ください。
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