公開日:2018年10月31日
最終更新日:2020年01月16日
サラリーマンの場合には、原則として給与支払い時に源泉徴収されていますので、年末調整を受けていれば、確定申告をする必要はありません。なぜなら、勤務先が収入から税金を天引きし、年末調整で過不足の清算までしてくれているからです。
しかしサラリーマンでも、すでに税金が徴収されている所得(給与所得)以外に所得があった場合には、原則として確定申告をする必要があります。また、給与年収が2000万円を超える人や2カ所以上から給与をもらっている人も、確定申告をする必要があります。
サラリーマンでも確定申告をする必要があるのは、主に以下のようなケースです。
もし、確定申告をするべきなのにしないでいると、罰則(ペナルティ)が生じることがあるので注意が必要です。
【サラリーマンで確定申告が必要なケース】 ①給与年収が2,000万円を超える人 →1年間の給与収入が2,000万円を超える人は、年末調整が行われません。 ②副業の所得が20万円を超える人 ③2カ所以上から給与をもらっている人 ・「サラリーマンの確定申告|年末調整をしていても確定申告必要な場合とは」を読む ④贈与を受けた人 ⑤マイホーム(不動産)を売却した人 ⑦保険の満期金を受け取った人 |
確定申告が必要な「副業」とは、前述のとおり年間20万円を超える所得があった場合です。
ですから、副業による所得があっても20万円以下の人は確定申告をする必要はありません。
【確定申告が不要なケース】 副業による所得(主たる給与以外の所得)があるサラリーマンでも、次のような場合には確定申告をする必要はありません。 ①給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下の人 |
2カ所以上から給与をもらっている場合には、各会社で源泉徴収や年末調整をしても、正しい納税額を算出することができませんので、自分で確定申告をした方が得することがあります。給与でもらう場合には所得税が源泉徴収されているケースがほとんどですが、多くの場合には少し多めの所得税が引かれています。
したがって、確定申告することで、所得税の一部が戻ってくることがあります(これを「還付」といいます)。その分所得が減ることになり、翌年の住民税が安くなり手取りが増える可能性があります。
また、アフィリエイトや原稿料などの副業は「雑所得」に該当しますが、雑所得には必要経費が認められます。その収入を得るためにかかった経費を控除することができるわけです。この経費を収入から差し引いて20万円以下だった場合には、確定申告する必要はありません。
したがって、副業による収入がすでに源泉徴収されている場合には、20万円以下でも申告した方が得するケースもあります。雑所得の場合は、支払を受けた会社から支払調書が発行されます。この支払調書に記載されている源泉徴収された税金は、必要経費を控除する前の支払金額が記載されています。したがって、申告すれば税金が還付される可能性があります。
これまでご紹介したように、副業の所得が20万円を超えている人は、確定申告をする必要があります。
また、副業の所得が源泉徴収されている場合には、確定申告することで払い過ぎた所得税が還付されることがあります。
依頼元(支払先)から支払調書をもらって、源泉徴収されているかどうかについて確認をしてみましょう。
確定申告をする際には、申告すべき所得を確認する必要があります。
所得は10種類の所得があり、所得によって税金の計算方法が異なります。そこで、まずどの所得に当てはまるのかを確認しましょう。
副収入については、年末から1月にかけて支払元の会社から、源泉徴収票や支払調書が送られてくることがあります。これらの書類が送られてきた場合には、所得の区分を確認するようにしましょう。
給与所得の源泉徴収票が送られてきた場合には、所得の区分は「給与所得」となるので、勤務先の給与と他の会社の給与を計算して、給与所得を計算し直す必要があります。
支払調書が送られてきた場合には、所得の区分は「雑所得」となるので、収入を得るためにかかった必要経費を自分で計算し、雑所得を計算する必要があります。
副業の形態 | お金の支払われ方 | 所得の種類 | 支払者から交付されるもの |
---|---|---|---|
コンビニ、居酒屋、レストランなどで働く場合 | 給料 | 給与所得 | 給与所得の源泉徴収票 |
原稿料、講演料、アフィリエイト収入など | ギャラ(報酬) | 雑所得 | 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 |
これまで述べてきたように、所得が20万円を超える副業をした人は確定申告をする必要がありますが、この所得が「雑所得」である場合には、必要経費が認められます。
そして所得税が課されるのは、収入から経費を差し引いた金額です。
ですから、まずは必要経費を計算して所得金額がいくらになるかを確認することが重要です。
所得=収入-経費 |
副業の確定申告は、主な給与については、勤務先で年末調整が済んでいるので、扶養控除などの各種の所得控除の計算をする必要はありません。源泉徴収票に記載された「所得控除の額の合計額」をそのまま転記すれば、「所得から差し引かれる金額」の計算は終了です。
したがって、第二表の「所得の内訳」以外の個所は記載する必要はありません。
ただし、医療費控除、寄付金控除、雑損控除の3つは年末調整で清算されませんので、適用を受ける場合には、その金額を計算する必要があります。
「医療費控除|確定申告に必要な医療費控除の知識と還付を受けるために必要な手続き」を読む
「ふるさと納税の確定申告|確定申告の方法と申告用紙の書き方まとめ」を読む
副業所得が20万円以上の人の申告書は、下記のように記入します。
源泉徴収票、支払調書、所得の内訳書(第二表に書ききれない場合)などが必要になりますので、準備しておきましょう。
確定申告をすると、原則として副業による所得に対する住民税額が会社に通知されます。サラリーマンの場合には、会社が従業員の住民税額を納める特別徴収が原則だからです。ただし、申告書の第二表である「住民税に関する事項」の欄の「自分で納付」に〇をつければ、会社に通知がいくことはありません。
その代わり、副業分の住民税が自分で納める必要がありますので、税務署から副業分の住民税の納税通知書が郵送された場合には、自分で納税手続きを行いましょう。
なお、副業による収入が会社などからの「給与所得」の場合には、会社が従業員の住民税額を納める特別徴収でまとめられてしまうので、この場合には会社に副業がばれてしまいます。
前述したとおり、副業が雑所得に当たる場合には、必要経費が認められますので、その収入を得るためにかかった経費は控除することができます。
何が経費に当たるかについては、副業の内容によって、異なります。
商品を仕入れて売った場合には、仕入れの金額や送料などが経費なりますし、ライターの場合であれば、交通費や参考資料、書籍代、文房具代などが経費になります。
もし雑所得に当たる副業をして収入を得ている場合には、こまめに領収書やレシートをもらい保管しておきましょう。
自分のブログを見た人が、バナー広告をクリックしてそこから広告主の商品を購入した際には対価を受け取ることができます。
これを「アフィリエイト」といいます。アフィリエイトによる収入は、多い人になると数十万円になることもあります。
確定申告では、アフィリエイトによる収入は雑所得として申告します。
アフィリエイトをしていれば、自宅でブログを更新しているのであれば「家賃」を按分して経費にできるほか、書籍代・雑誌代、スマホなども経費として計上することができます。
株取引について申告すべきかは、1年間の株の取引を振り返り確認する必要があります。
基本的には、「源泉ありの特定口座を選択していてすべて利益が出ている」というケース以外には、すべて申告する必要があると考えておいた方がよいでしょう。
○利益が出た場合 ・NISA口座-確定申告不要 ・特定口座(源泉あり)で、全ての口座で利益-確定申告不要 ・特定口座(源泉あり)で、一部の口座で損失-確定申告しましょう ・特定口座(源泉なし)・一般口座・複数の種類の口座-確定申告しましょう |
「副業、株取引…会社員でも確定申告する必要がある人、確定申告しないと損する人」を読む
FX取引で得た利益は「雑所得」となり、申告分離課税です。
また、株取引では特定口座で「源泉あり」を選択していれば、利益から源泉徴収されるので、確定申告は不要ですが、FX取引にはこのような特定口座の制度がないので、原則として確定申告が必要です。
雑誌に原稿を書いたり、講演を行ったりした場合の所得も「雑所得」として申告します。
原稿料の所得税は源泉徴収されているので、確定申告をすると払い過ぎた税金を取り戻すことができます。
確定申告をすれば、翌年の住民税を安くすることもできますので、忘れずに申告をするようにしましょう。
以上、サラリーマンの副業で所得20万円を超えた場合に必要な確定申告について説明しました。副業の報酬から所得税が源泉徴収されている場合には、確定申告をすることで払い過ぎた所得税が還付される可能性がありますので忘れずに確定申告をし、損をしないようにしましょう。
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下記の記事では確定申告の方法や時期、準備しなくてはいけない書類などについて、詳しく紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。