キャッシュ・フローとは|3分で分かるキャッシュ・フロー計算書の基本

公開日:2019年11月18日
最終更新日:2020年05月25日

目次

  1. キャッシュ・フローとは
    • キャッシュ・フロー計算書はなぜ重要か
    • 非上場企業では作成しないでよい
  2. キャッシュ・フロー計算書の構造
    • 営業活動によるキャッシュ・フロー
    • 投資活動によるキャッシュ・フロー
    • 財務活動によるキャッシュ・フロー
  3. 損益計算書・貸借対照表との関係
    • 損益計算書との関係
    • 貸借対照表との関係
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 「キャッシュ・フロー計算書」とは、会社がどのようにお金を得てどのように使ったのかを、まとめた表。
  • 「キャッシュ・フロー計算書」は損益計算書や貸借対照表で追うことができないお金の流れを補うことができる。
  • 「キャッシュ・フロー計算書」は、企業活動に伴う収入と支出を、営業活動、投資活動、財務活動という企業の活動別に区分して表示する。

 

「キャッシュ・フロー」とは、簡単にいうと「お金の流れ」のことです。
そして「キャッシュ・フロー計算書」とは、会社がどのようにお金を得てどのように使ったのかを、まとめた表で上場企業にのみ作成が義務づけられています。

この記事では、キャッシュ・フロー計算書の意味や、どのようにお金の動きを把握することができるかなどについてご紹介します。

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キャッシュ・フローとは

会社にキャッシュ(現金など)が入ってくることを「キャッシュ・イン」、キャッシュが出ていくことを「キャッシュ・アウト」といいます。
そして、「キャッシュ・フロー」とは、キャッシュ・インからキャッシュ・アウトを差し引いた収支のことをいいます。

キャッシュ・フロー=キャッシュ・イン-キャッシュ・アウト

ここでいう「キャッシュ」とは、現金や預金だけを指すわけではありません。
キャッシュには、現金や預金のほかに、換金性が高くかつ換金できる金額がおおよそ分かっている資産も含まれます。
換金性が高いものとしては、3カ月以内に満期がくる定期預金や一定の投資信託があります。
とはいえ、実際には現金や預金として運用されている割合が大きいので、「キャッシュ=現金や預金」という意味で使って差し支えはありません。

キャッシュ・フロー計算書は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の3つの活動別に区分されて表示されます。

キャッシュ・フロー計算書はなぜ重要か

貸借対照表にも現金や預金の項目はありますし、損益計算書でも会社の利益を計算しています。それなのに、なぜわざわざキャッシュ・フロー計算書を切り出す必要があるのでしょうか。

それは、事業を経営するうえで、お金の動きを追うことが最も重要であり、それを行うことができるのは、キャッシュ・フロー計算書だけだからです。
損益計算書や貸借対照表で追うことができないお金の流れを補うのが、キャッシュ・フロー計算書なのです。

たとえば、商品を掛け販売した場合、損益計算書では売上を計上しますが、お金はまだ入ってきていないので手元にキャッシュはゼロということになります。また、掛け販売の場合には、貸借対照表でも現金ではなく売掛金が増えるだけです。

つまり、損益計算書では本質的にお金の流れを見ることができず、「売上は計上されているのに手元のキャッシュはゼロ」という状態もあり得ることになります。逆に、たとえ帳簿上は赤字でも手元にキャッシュがあるというケースもあります。

会社は赤字でもすぐに倒産することはありませんが、資金がなければたちまち倒産してしまいます。そこで、会社の支払い能力をしるためには貸借対照表や損益計算書だけでは足りなくなり、キャッシュ・フロー計算書の必要性が高まってきたのです。

非上場企業では作成しないでよい

キャッシュ・フロー計算書は、上場企業の場合には、ルールによって作成が義務づけられていますが、非上場企業の場合には作成が義務づけられていません。
しかし、前述したとおり「売上は上がっているのに手元にキャッシュはない」というような「勘定あって銭足らず」の状況が続けば、黒字倒産しかねません。
このような状況を回避するためにも、実際にキャッシュがいくら入っていくら出ていって、結果としていくら手元に残ったのかを把握できるキャッシュ・フロー計算書は作成する方がよいでしょう。

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キャッシュ・フロー計算書の構造

キャッシュ・フロー計算書は、企業活動に伴う収入と支出を、営業活動、投資活動、財務活動という企業の活動別に区分して表示します。

そして、そのなかで期中の増減額を示し、最後に期末時点でどのくらいのキャッシュがあるかを示していきます。3つの活動に区分することで、会社の成長に必要な投資を、稼いだお金でどれだけ賄えているのかを分析することができます。

たとえば、オフィス関連設備を800万円で取得したという場合には、「投資活動」に区分されます。商品を600万円で仕入れて、期中にはそのうち500万円を支払ったという場合には、「営業活動」に区分します。

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、「本業で稼いだお金」をあらわしています。
営業活動の区分は、表示の方法として直接法と間接法があり、間接法の方が作成方法は簡単なので一般的です。
一方、直接法は単純に収入と支出を記載しているので読み手としては分かりやすいですが、作成に手間がかかるというデメリットがあります。
したがって、キャッシュ・フロー計算書を理解するためには、この間接法を理解することが大切ですが、まずは「お金が動く要因がそのまま書かれているとは限らない」という程度に理解しておけば問題ありません。

営業活動によるキャッシュ・フローは、以下のように分けて記載されます。

①税引前当期純利益
②減価償却費
③投資有価証券売却損益
④固定資産売却損益
⑤売上債権の増加額
⑥棚卸資産の減少額
⑦仕入債務の増加額
⑧そのほかの試算、負債の増加額
⑨法人税等の支払額

後述する「投資活動」や「財務活動」に分類されないものは、すべて営業活動に分類されることになっています。
したがって、法人税の支払いや金融機関の利息の支払いなど、100%本業のお金の動きといえないものも、すべて営業活動に区分されますが、営業活動によるキャッシュ・フローは会社の本業を示す部分なので、プラスになっているのが望ましいといえます。

プラスであれば、本業でしっかりキャッシュを残しているといえますが、マイナスであれば利益が出ない商品を売っている、あるいは売上は計上しているのに現金の回収ができていない、などの原因があることになります。

どれくらい稼げているかを知りたい時には「キャッシュ・フローマージン」という指標を使います。

キャッシュ・フローマージン=「営業活動によるキャッシュ・フロー」÷「売上高」

これは、売上高に対して営業活動によるキャッシュ・フローが何%かを表します。

営業活動によるキャッシュ・フローが何%あればよいかは、業種によって差がありますが、一般的には売上高に対して7%の営業活動によるキャッシュ・フローを稼いでいれば、数字上は順調な会社ということができると言われています。

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローでは、会社がどれだけ会社を成長させるために投資しているかを表します。
新たに設備を購入するなどの投資を行えばマイナスになり、設備を売却すればプラスとなります。成長に向けて積極的に投資を続けている会社であれば、通常は投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなります。
したがって、投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスは、決して悪いことではありません。会社を成長させるためには、新たな設備の導入は必要な支出といえるからです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、以下のように分けて記載されます。

①定期預金の純増減額
②固定資産売却による収入
③固定資産取得による支出
④投資・有価証券取得による支出
⑤投資・有価証券売却による支出

投資活動によるキャッシュ・フローで特に注目すべきは「固定資産の取得による支出」です。この「固定資産の取得による支出」が営業活動によるキャッシュ・フローの「減価償却費」や「減損損失」と比較して、「固定資産の取得による支出」が減価償却費などより大きければ、積極的に投資を行っているといえます。

営業活動によるキャッシュ・フローの「減価償却費」<投資活動によるキャッシュ・フローの「固定資産の取得による支出」
→積極的に投資を行っている

前述した「営業活動によるキャッシュ・フロー」からこの「投資活動によるキャッシュ・フロー」を引いたものが、最終的に会社の手元に残ったお金となり「フリー・キャッシュ・フロー」といいます。実際の投資活動には有価証券の売買なども含まれますが、まずは「営業活動によるキャッシュ・フロー」-「投資活動によるキャッシュ・フロー」=「フリー・キャッシュ・フロー」ととらえれば十分です。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローでは、会社がどのように資金を調達したのかが分かります。
本業で稼いだお金は、営業活動によるキャッシュ・フローに区分され、借入れや投資家からの出資など、本業以外でお金を得た場合には、この財務活動によるキャッシュ・フローに区分されます。
財務活動によるキャッシュ・フローは、以下のように分けて記載されます。

①短期借入金の純減少額
②長期借入による収入
③長期借入金の返済による支出
④配当金の支払額

借入金の返済分はマイナスで表示されるので、財務活動によるキャッシュ・フローが最終的にプラスであれば、資金調達額が返済額を上回っている状態であるといえます。

財務活動によるキャッシュ・フローがプラス→設備投資などのために借入れを行っている
財務活動によるキャッシュ・フローがマイナス→借入金の返済を行っている

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損益計算書・貸借対照表との関係

キャッシュ・フロー計算書は、ほかの決算書(損益計算書・貸借対照表)と比較してみることで、より詳細な経営分析をすることができます。
損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書は、互いに連動しているからです。

損益計算書との関係

損益計算書は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」と密接に関係しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、損益計算書の税引前当期純利益をもとに減価償却費などのお金の動きに関係のない項目と除いて作成されるからです。
損益計算書の営業利益が出ているのに、営業活動によるキャッシュ・フローが赤字の会社がありますが、これは、売掛金の回収が遅れていたり在庫が社内に溜まっていたりといった状況が考えられます。
したがって、損益計算書で営業利益が出ているのに、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスなら、早急にその原因を調べる必要があります。
このように、キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書を補完する役割を果たしているのです。損益計算書は、利益を稼ぐ力をあらわしたもの、キャッシュ・フロー計算書は現金を稼ぐ力をあらわしたものということができます。

貸借対照表との関係

貸借対照表では、「期末時点で会社にいくらお金があるか」を表しています。
一方、キャッシュ・フロー計算書は、「前期と比較してこれらのお金がどのような原因でどれくらい変動したのか」を表しています。

「営業活動によるキャッシュ」の動きは、貸借対照表の流動資産や流動負債と対応します。また、「投資活動によるキャッシュ・フロー」は貸借対照表の現金・預金の合計額とキャッシュ・フロー計算書の「現金及び現金同等物」はほぼ一致します。
このように、キャッシュ・フロー計算書と貸借対照表との関係は深く、貸借対照表の資産や負債の増減は、キャッシュ・フロー計算書で表示されるプラス・マイナスに直結します。
ここで重要なのは、最終的な貸借対照表の数字が前期から会社がどのようにお金を得たり使ったりしたものなのか、という点です。

キャッシュ・フロー計算書では、現金が前期と比較して増加していても、それが営業活動(本業の稼ぎ)からきているものなのか、借入れたものなのかが分かるようになっています。
つまり、現金の動きについて、ある一定期間で区切り計算したものが、キャッシュ・フロー計算書であり、一定期間の終点時点での資産、負債の状況が貸借対照表であるということになります。

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まとめ

以上、キャッシュ・フロー計算書の意味や内容、損益計算書や貸借対照表との関係などについてご紹介しました。キャッシュ・フロー計算書は、どこに現金を使い、どのように現金を増やしたのかが分かる決算書です。
キャッシュ・フロー計算書は、会社の本来の営業活動以外の投資活動、財務活動に分けることによって、資金の増減という情報がより役立つ3つのキャッシュ・フローとして把握することができます。
また、キャッシュ・フロー計算書と損益計算書、貸借対照表と連動してみることによって、より正確な経営分析を行うことができ、事業の成長に役立てたり、黒字倒産を回避したりできるようになります。
決算書の見方や経営分析の指標について不明点や疑問点がある場合には、税理士に相談してアドバイスを求めましょう。

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