消耗品費とは|雑費との違い・費目・仕訳方法

公開日:2021年12月14日
最終更新日:2022年03月10日

この記事のポイント

  • 消耗品費とは、少額の備品を計上する時に使用する勘定科目。
  • 工具器具備品と消耗品費は、取得価額や耐用年数によって判別する。
  • 決算時における未使用の消耗品は、「貯蔵品」に振り替える。

 

消耗品費は、事務用机や椅子、電球、掃除機、防災グッズなどの少額の備品を計上する時に使用する勘定科目です。
耐用年数や取得価額によって「工具器具備品」として処理する場合があります。また、未使用分は貯蔵品として資産計上しなければならないこともあります。

消耗品費とは

消耗品費とは、使用することで消耗や摩耗する事務消耗品や消耗器具備品などの支出を処理する時に使用する勘定科目です。
耐用年数が1年未満のものまたは相当額以下(税法では10万円未満)のものであるため、原則として固定資産に計上する必要のないものを計上する時に使用します。

(1)消耗品費に該当する費用

消耗品費に該当する費用としては、主に以下のような費用があります。

・事務用机
・椅子
・キャビネット
・CD
・USBメモリ
・トナー
・カメラ
・パソコン(少額)
・ソフトウェア(少額)
・PC周辺機器
・モニター
・ホワイトボード
・テーブル
・ロッカー
・エアコン(少額)
・加湿器
・清掃用品
・スリッパ
・携帯電話
・洗剤
・防災グッズ
・壁掛け時計
・電球、電池
・タオル
・インテリア小物
・カーテン

(2)消耗品と工具器具備品との違い

工具器具備品とは、応接セットやテレビ、カメラ、加工工具、看板などの支出について処理する時の勘定科目です。耐用年数が1年以上で取得価額が10万円以上のものは「工具器具備品」として処理をします。

耐用年数や取得価額から見た工具器具備品と消耗品費の使い分けは以下のとおりとなります。

取得価額 耐用年数1年未満 耐用年数1年以上
10万円未満 消耗品費 消耗品費
10万円以上 消耗品費 工具器具備品

なお、工具器具備品は耐用年数に応じて減価償却します。
使用可能期間が1年未満である短期減価償却資産は、固定資産として計上しないで全額損金算入できます。また、取得価額が20万円未満である固定資産については、その資産を一括して3年間で定額償却できます。
さらに中小企業者等については、30万円未満の減価償却費を取得した場合、300万円を限度として全額損金算入(即時償却)が認められています。

取得価額 中小企業者等 中小企業者等以外の法人
30万円以上 通常の減価償却 通常の減価償却
30万円未満20万円以上 300万円を限度として全額損金算入
20万円未満10万円以上 一括償却(3年間定額償却)可能または300万円を限度として全額損金算入 一括償却(3年間定額償却)可能
10万円未満 消耗品費等として全額損金算入可能

参照:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例[令和2年4月1日現在法令等]」

(3)消耗品と雑費との違い

雑費とは、ごみ処理費用や庭木の手入れ代、写真の印刷代など、他のどの勘定科目にも当てはまらず重要性のない少額の取引に関する支出について使用します。
ただし、少額であっても頻繁に出てくる取引については、雑費とはしないでその取引に合った勘定科目を使用するようにしましょう。

なお、似た勘定科目に「雑損失」がありますが、「雑費」は本来の営業活動によって生じた費用であるのに対して、「雑損失」は本来の営業活動以外で生じた費用を処理する時の勘定科目であるという違いがあります。

消耗品費のよくある仕訳

消耗品費は、耐用年数が1年未満や取得価額が10万円未満の備品を購入した時に使う勘定科目ですから、日々の経理処理の際に頻繁に出てくる勘定科目です。ここでは、消耗品費のよくある仕訳についてご紹介します。未使用分がある場合などの正しい処理方法を理解しておきましょう。

(1)消耗品の未使用分があり決算を迎えた

消耗品をまとめ買いして決算時に未使用のものがある場合には、未使用分は「貯蔵品」に振り替えて資産計上します。そして翌期首に、「貯蔵品」から再び消耗品費に振り戻します。なお、税法上は毎年一定数量を継続して購入している場合、決算時に「貯蔵品」に振り替えないことも認められます。

決算期末の棚卸で、期中に「消耗品費」として計上していたトナー5万円分が未使用で残っていたので「貯蔵品」に振り替えた。

借方 貸方
貯蔵品 50,000 消耗品費 50,000

翌期首に再び「消耗品費」に振り替えた。

借方 貸方
消耗品費 50,000 貯蔵品 50,000

(2)1台9万円のパソコンを3台購入した

消耗品費は、耐用年数が1年未満や取得価額が10万円未満の備品を購入した時に使う勘定科目ですが、これは1台あたりの金額です。
1台9万円のパソコンを3台購入し合計で27万円になったとしても、単体の金額で判断し、「消耗品費」として処理します。

1台9万円のパソコンを3台購入し、代金27万円を現金で支払った。

借方 貸方
消耗品費 270,000 現金 270,000

(3)応接セット20万円を購入した

応接セットは、全体を1つのものとして考えます。
したがって、テーブル、椅子などひとつひとつが10万円でも、セットで20万円であれば「工具器具備品」として処理をします。

テーブル10万円、椅子2脚で10万円の応接セットを購入し、普通預金から支払った。

借方 貸方
工具器具備品 200,000 普通預金 200,000

まとめ

消耗品費は、耐用年数が1年未満か取得価額が10万円未満の備品を購入した時に使用する勘定科目です。
決算時に未使用品がある場合には、「貯蔵品」として資産計上し、翌期首にまた「消耗品費」に振り戻します。
消耗品費は、工具器具備品や雑費と混同しがちですが、正しく決算書に反映するためにも、処理を間違えないようにしましょう。

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