売上高とは|利益との違い・仕訳方法・売上となるタイミング

公開日:2021年08月16日
最終更新日:2022年03月28日

この記事のポイント

  • 売上高とは、商品や製品、サービスの提供など本業によって得た収益のこと。
  • 売上高は、損益計算書に表示される項目である。
  • 売上高から売上原価を引いたものが「売上総利益」であり「粗利益」とも呼ばれる。

 

売上高とは、商品や製品、サービスの提供など本業によって得た収益で、損益計算書に表示される項目です。
売上高については、日々の経理作業において「売上」の仕訳方法を理解することも必要ですが、損益計算書における利益(営業利益や経常利益など)との関係を理解することも大切です。
この記事では、売上高の意味や利益との違い、仕訳方法などについてご紹介します。

売上高とは

売上高とは、会社の主な営業活動から生じる収益のことで、損益計算書の一番上に表示されます。
売上高の多い、少ないは、会社そのものの存在意義に関わります。
売上高とは、お客様から評価された結果であり、売上高が減るということは、その商品やサービスに対するお客様の評価が下がったことを意味します。
したがって、損益計算書では、「売上高はいくらなのか、どのくらい伸びているのか、または減っているのか」を見ることが大切です。

なお、財務諸表等規則では、「製品売上高」と「商品売上高」を区分して記載することを原則としていますが、この区分が困難な場合には、「売上高」に両者を含めてよいことになっています。
また、年賦や月賦など、商品や製品を引き渡した後に、分割して料金を受け取る割賦販売による売上高が売上高の総額の100分の20を超える場合には、その名称をつけた利目を別に表示しなければならないとされています。

(1)売上高と「売上」の違い

売上高と売上は、「個々の取引によるものか」それとも「一定期間の合計額か」という点で異なります。

「売上」は個々の取引によるもので、取引が発生するたびに仕訳される勘定科目です。たとえば、「商品20万円を現金で販売した」という取引が発生した時には、「売上」という勘定科目で仕訳をします。

一方、「売上高」は一定期間の売上を合計した金額で、会社がどれだけ儲かったか(損をしたのか)を示す決算書である「損益計算書」では「売上高」と表記します。

(2)売上高と「利益」の違い

売上高は、損益計算書の一番上に表示されている項目です。

損益計算書とは、売上高からさまざまな費用を順番に引いて計算されている書類で、それぞれ分類された費用をすべて引いて、残高が残っていればそれが利益になり、マイナスになったら赤字です。

つまり売上高は収益で、利益は売上高からさまざまな費用を差し引いたものです。費用とは、収益を稼ぐために必要な支払いなどのことです。

売上高 - 費用 = 利益

そして、損益計算書は、どれだけ稼いで(収益)、どれくらい費用を使って(費用)、利益がいくら残っているか(利益)を、いくつかの段階に分けてあらわした書類です(※後述)

売上高と売上総利益・営業利益などとの関係

損益計算書では、上から順に収益である「売上高」から費用を差し引いて、最終的な利益(損失)を求めるしくみになっています。しかし、すべての収益の合計からすべての費用の合計を差し引いて、利益や損失を計算するというしくみではありません。
まずに「売上高」から最初の費用である売上原価を差し引いて、最初の利益である「売上総利益」を求め、そこから次の費用を差し引いて2つ目の利益を求める…と段階的に計算するしくみになっていて、利益は全部で5つあります。

損益計算書

売上高 1,598,000,000
売上原価 1,150,000,000
①売上総利益 448,000,000
販売費及び一般管理費 180,800,000
②営業利益 267,200,000
営業外収益 3,400,000
営業外費用 15,300,000
③経常利益 255,300,000
特別利益 50,000,000
特別損失 500,000
④税引前当期純利益 304,800,000
法人税、住民税及び事業税 91,000,000
⑤当期純利益 213,800,000

(1)売上高と売上総利益(粗利益)との関係

損益計算書の売上高の次に出てくるのが売上原価で、その下に「売上総利益」が表示されます。
売上原価とは、小売店なら仕入れた商品の代金、製造業なら製造費用など、売上の基になる商品やサービスを作るのにかかった金額の合計です。
つまり、売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた利益ということになります。

売上総利益 = 売上高 - 売上原価

この売上総利益を増やしたいと思ったら、売上高を増やすか売上原価を減らせばよいということになります。

(2)売上高と営業利益との関係

損益計算書の売上総利益の下には、「販売費及び一般管理費」が表示されています。この費用は売上原価以外の費用で、人件費や交通費、会議費、事務所の家賃などが当たります。

営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

つまり売上高との関係でいうと、営業利益は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益から、さらに販売費及び一般管理費を差し引いた利益ということになります。

売上原価と販売費及び一般管理費を別に表示させることで、利益に別々の意味を持たせて、「売上原価以外に、どのような費用を使って稼いだのか」が分かるようになっています。

(3)売上高と経常利益との関係

営業利益の下には、営業外収益と営業外費用があります。
「営業外収益」の代表例は預金利息で、逆に借金の金利を支払ったら、「営業外費用」となります。
営業利益に、この営業外収益と営業外費用をプラスマイナスしたものが、経常利益です。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

つまり売上高との関係でいうと、経常利益は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益から、さらに販売費及び一般管理費を差し引いた営業利益に営業外収益と営業外費用をプラスマイナスした利益ということになります。

(4)売上高と税引前当期純利益との関係

経常利益の下には、特別利益と特別損失があります。
「特別利益」は、自社が持つ土地を売るなどして得た単発的な利益のことで、逆に単発的な損失は「特別損失」として、経常利益の下に表示されます。

税引前当期純利益は、経常利益に特別利益と特別損失をプラスマイナスした利益です。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

この税引前当期純利益は、会社に課税される法人税等の計算のもとになります。

(5)売上高と当期純利益との関係

損益計算書の表示される5つの利益のうち、最後に表示されるのが当期純利益です。当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等を差し引いた利益です。

当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等

このように、損益計算書は、売上高からさまざまな費用を差し引いて、事業活動による利益(売上総利益、営業利益)、財務活動による利益(経常利益)、単発的な損益を含む利益(税引前当期純利益)と、段階的に計算されるしくみとなっています。

売上高(売上)の仕訳

損益計算書では、収益のことを一定期間の収益を「売上高」といいますが、そのもとになるのは、「個々の取引」による「売上」です。
日々の仕訳作業では、「現金で販売した」「掛けで売り上げた」といった取引を「売上(高)」という勘定科目を使って仕訳をします。

そこでここでは、売上(高)に関するよくある仕訳をご紹介します。

(1)商品20万円を現金で販売した

「商品20万円を、現金で販売した。」

借方 貸方
現金 200,000 売上 200,000

(2)商品50万円を掛けで売り上げた

「商品50万円を、掛けで売り上げた。」

借方 貸方
売掛金 500,000 売上 500,000

(3)商品50万円を手形で販売した

「商品50万円を手形で販売した。」

借方 貸方
受取手形 500,000 売上 500,000

※なお、法人の場合には、保険の満期返戻金など主な営業活動以外の細かな輸入については、「雑収入」で処理し、個人の場合には内容によって「雑収入」か「事業主借」で処理をしますので注意が必要です。

まとめ

以上、売上高についてご紹介しました。
売上高とは、商品や製品、サービスの提供など本業によって得た収益のことで、損益計算書の一番上に表示されます。
売上高の多い少ないは、会社そのものの存在意義に関わる重要な意味を持ちます。売上高が減るということは、その商品やサービスに対するお客様の評価が下がったことであり、市場における存在価値も下がっていることを意味するからです。

そして、売上高が伸びれば利益も増えるのが一般的であり、「売上は伸びているけれども利益が増えない」という場合には、売上原価や販売費及び一般管理費の中身を良く検証する必要があります。
その意味で、損益計算書では「売上高がどのくらい伸びているのか、または減っているのか」ということをチェックするとともに、5つの利益についても着目し、「どのような費用がかかっているのか」「利益は一時的なものではないのか」などを見ることが大切になります。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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