M&A(株式譲渡・事業譲渡)の税金

公開日:2019年11月12日
最終更新日:2020年02月10日

目次

  1. M&A(エム アンドエー)に伴う税金
    • M&Aの手法による違い
  2. 株式譲渡によるM&Aの税金
    • 株主に「所得税」がかかる
    • 譲渡所得の税金の算出方法
    • 退職金を利用した節税対策
  3. 事業譲渡によるM&Aの税金
    • 事業譲渡は「法人税」がかかる
    • 事業譲渡は「消費税」もかかる
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方

M&Aを実行して得た利益には、税金がかかります。
M&Aにはさまざまな手法がありますので、その手法によって税金の種類や税額は異なります。
たとえば、社長個人が株を持っていてM&Aで株式を譲渡した場合には、所得税や住民税がかかります。
一方、会社が事業譲渡する場合には、売主は会社となりますので、法人税がかかります。

誰がいくら納税するかは、選択したM&Aの手法によって異なりますので、M&Aを検討する際には、手法による違いを知っておくようにしましょう。

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M&A(エム アンドエー)に伴う税金

M&Aを実行した時には、その利益に税金がかかります。
誰がどのような税金をいくら納税するのは、M&Aの手法によって異なります。

株式譲渡(社長個人が株を持っていて、M&Aで会社の株式を譲渡した時)には、その譲渡益に対して所得税および住民税がかかります。
一方、事業譲渡(会社の全部ではなく一部を売買する場合)には、譲渡代金は会社の利益となりますので、通常の法人税がかかります。

M&Aの手法による違い

主な手法別に整理すると、以下の表のようになります。

株式譲渡 事業譲渡(法人) 事業譲渡(個人)
税金 所得税・住民税 法人税など 所得税・住民税
税率 所得税15%、住民税5% 30~40%程度 所得額による
課税方式 分離課税 総合課税 総合課税
納税者 売主の株主 売主の法人 売主の個人事業主
譲渡対象 会社の株式 事業にかかる資産 事業にかかる資産

株式譲渡では、M&Aの売り手企業の株主が買い手に株式を売却して、売却代金を得るので、課税対象はその売却代金を受けた元株主です。この元株主が個人の場合には、株式売却の儲けは譲渡所得となり所得税がかかります。

一方、事業譲渡では、M&Aの売り手企業が買い手企業に事業に関する資産を売却しますので、法人税の課税対象となり、株主個人に税金の負担はありません。
また、事業譲渡の場合には、譲渡資産のうち消費税の対象となる資産があれば、消費税も課税されます。

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株式譲渡によるM&Aの税金

株式譲渡によるM&Aでは、株主が買い手の会社に株式を売却します。
その売却代金は、株主個人が受け取り、その利益は課税対象となります。

株主に「所得税」がかかる

株主が得た利益には、所得税がかかります。
所得は、給与所得、不動産所得、雑所得など10種類ありますが、株式の譲渡益は「譲渡所得」に分類されます。また、他の所得と通算されない「分離課税」となります。

「分離課税とは、特定の所得について他の所得とは合計しないで、それだけに独自の税率をかけて税額を計算する方法です。
株式譲渡による譲渡所得は、一度に多額の所得を発生させるので、総合課税にすると税負担が著しく重くなってしまいます。こうした突然発生した所得の負担を緩和するために、特別に分離課税が設けられているのです。
このような分離課税は、ほかにも山林所得(山林を伐採して売却し、または立木のまま譲渡したことによる所得、退職所得(退職金)などにも適用されます。

譲渡所得の税金の算出方法

譲渡所得は、売却代金から取得費と手数料を差し引いて計算します。

(売却代金-取得費-手数料)×税率=納税額

取得費とは、その株式を取得した時にかかった費用で、会社を設立した際に出資した金額です。資本金500万円の場合には、この金額が株式の取得費となります。
取得費が分からない場合には、売却代金の5%を概算取得費とすることもできます。

手数料とは、M&Aを実行する時に仲介会社などに支払った手数料などです。

売却代金から取得費と手数料を差し引き譲渡所得が分かったら、それに税率を掛けて税額を計算します。税率は所得税が15.315%、住民税5%の一律20.315%です。

(売却代金-取得費-手数料)×税率=納税額

譲渡所得は分離課税なので、他の所得とは分離して納税額を計算します。

たとえば、売却代金10億円で取得費5%、手数料5%の場合の所得税、住民税は以下のとおりとなります。

所得税
(10億円-5,000万円-3,000万円)×15.315%=1億4,090万円

住民税
(10億円-5,000万円-3,000万円)×5%=4,600万円

退職金を利用した節税対策

株式譲渡でM&Aを実行する場合には、役員退職金を組み合わせることで税負担を軽減できる可能性があります。
なぜなら、退職金は長年の働きに感謝しその後の生活を保障するという意味合いを持つため、給与や賞与よりも税金の負担で軽減されるからです。

税額を計算する時には、退職金の額から退職所得控除を差し引き、さらに2分の1を掛けた金額が課税対象となります。

(退職金の額-退職所得控除額)×2分の1=退職所得
退職所得×税率=納税額

さらに役員退職金は、会社にとって損金算入できるというメリットもあります。
ただし、損金算入できるからと言って無制限に増やすことは許されません。税務署から「不当に過大だ」とみなされれば損金と認められないこともあります。
また、役員退職金を受け取る役員同士のバランスが不自然だと、やはり税務署から否認されることになり、高額な追徴課税を課されることになります。

役員退職金の額をいくらに設定するのが適切なのかについては、あらかじめ税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

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事業譲渡によるM&Aの税金

事業譲渡では、売主の会社が買主の会社に、事業に関する資産を売却します。
事業譲渡には、すべての事業を売却する場合と一部の事業を売却する場合があります。

すべての事業を売却する場合には、事業譲渡による売却代金は、売主の会社が受け取りますので、この利益については売主の会社に法人税が課されます。この時売り手の会社の株主は売却代金を受け取るわけではないので、課税はありません。

事業譲渡は「法人税」がかかる

事業譲渡の売却益については、29.97%の法人税がかかります。
売却代金は、譲り渡す事業資産と負債との差額です。
この資産のなかには、事業の営業権(のれん)も含みます。
そして、売却代金のうち資産と負債の差額を超える部分が売却益となり、これに税率を掛けて納税額を計算します。

{売却代金-(資産(簿価)-負債(簿価)}×税率=納税額

たとえば、売却代金が10億円で資産から負債を差し引いた金額が1億円、手数料3%、税率29.97%のケースでは、以下のように計算します。

{10億円-(1億円-3,000万円)}×29.97%=2億6,074万円

法人税は徐々に引き下げられる傾向があり、今後も税率の引き下げは続く見込みです。したがって、詳しい税率や計算方法は税理士に確認することをおすすめします。

事業譲渡は「消費税」もかかる

事業譲渡では、売却した会社に対して消費税も課されます。
売却代金から土地などの消費税対象外の資産を差し引いた額に、10%の税率を掛けた金額が消費税の納税額の目安です。

たとえば、売却代金が10億円で非課税資産が1億円のケースでは、以下のように計算します。

{10億円-1億円}×10%=9,000万円

売却代金が高額になればなるほど、消費税の負担も重く成ります。M&Aを実行する際には、消費税負担を想定していないことも多いのですが、そうすると資金計画が大きくなります。したがって、正確な資金計画を立てて計画的にM&Aを実行するためにも、早めに税理士に相談するようにしましょう。

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まとめ

以上、M&Aを実行する時にかかる税金や税額の計算方法についてご紹介しました。
M&Aの手法によって税金の種類は異なりますが、役員退職金を使うなど、節税対策を同時に検討することで、税負担を軽減することができます。
また、事業承継を行う時にM&Aを検討する場合には、特例を利用できることもあります。

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