日次で行う経理事務とは|自計化を目指すための基礎知識①

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2018年11月07日

目次

  1. 経理の仕事とは
    • 簿記の仕組みはどうなっている?
    • 会計ソフトを導入すれば簡単!経理業務
    • 仕訳から作成される決算書
  2. 毎日行う経理業務
    • 領収書の整理・入力
    • 現金出納帳の入力
    • 現金残高のチェック
    • 預金出納帳の入力
    • 売掛金取引の入力
    • 買掛金取引の入力
    • 在庫取引の入力
    • 仮払金の支払い・精算
    • 経費処理(交際費・会議費・出張旅費など)

経理の仕事は、大きく「経理事務」と「財務管理」に分けることができます。
このうち経理事務とは、主に取引を記録し管理する業務のことをいいますが、大きく日次、月次、年次に分けることができます。

日次業務:日々の取引である現金・預金の出入りの記録作業が中心となります。
月次業務:試算表の作成、従業員への給与の支払いなどを行います。
年次業務:年間の業績の把握や、財務諸表(貸借対照表、損益計算書)の作成、税金の納付額の把握などの業務を行います。

これらの経理業務の自計化を目指す場合には、まずこれらの業務の流れを把握することが大切です。
ここでは、経理の自計化を目指すために知っておきたい日次の経理事務についてご紹介します。

経理の仕事とは

経理の仕事とは、会社の経営状態を把握するために、会社で生じた「お金の流れに関連する出来事」(取引)を記録し、管理する仕事のことをいいます。

日々の取引を記録し、月ごとに帳簿をまとめ、会計期間末には決算業務を行います。
経理事務については、会計ソフトを利用すれば、試算表・決算書・申告書などの書類の作成はほぼ自動で作成することができます。

ただし、経理事務の自計化を目指す場合には、経理事務の流れを把握し書類作成の流れを理解しておくことが非常に大切です。

会計ソフトfreee

簿記の仕組みはどうなっている?

会計ソフトを利用すれば、簿記の細かい専門知識は強いて覚える必要はありません。
頻出する用語や大枠を理解しておけば、あとは会計ソフトが自動で計算し、必要書類を作成してくれます。
したがって、ここでは簿記の大まかな流れを理解しておくようにしましょう。

簿記とは、会社の財政状態と経営成績を、賃借対照表や損益計算書に表現するために考え出された仕組みのことをいいます。

簿記は、取引→仕訳帳→総勘定元帳→試算表の順で作業し、賃借対照表、損益計算書の書式を使って計算します(※ただし、これらの計算は、会計ソフトでは自動で転記され、書類が作成されます)。

取引とは、財産が増減する事実のことをいいます。現金を支払う、現金を受け取る、取引先から商品を仕入れるなどは、すべて取引に該当します。

帳簿づけの基本は、この「取引を仕訳すること」です。
取引を仕訳する際には、2つの側面から取引を捉え、これを仕訳帳に記録していくことになります。
例えば、「いろは商店から商品を5万円分現金で仕入れた」という取引では、

・5万円分の商品という資産が増えたという事実
・5万円の現金が減ったという事実

の2つのことが同時に起きていることになります。

仕訳のルールは、現金が増加したら左側の「借方」に、現金が減少したら右側の「貸方」に記入し、その理由を記入します。

したがって、先ほどの「いろは商店から商品を5万円分現金で仕入れた」という取引とともに「商品をABC商店に7万円で売った」という取引を仕訳する際には、以下のように記入します。

日付 摘要 借方科目 貸方科目 金額
○月×日 いろは商店 仕入 現金 50,000
○月×日 ABC商店 現金 売上 70,000

この仕訳帳への記録は、同時に総勘定元帳へ転記します。
総勘定元帳とは、仕訳帳により発生した勘定科目ごとに、それぞれを集計した帳簿のことを言います。

総勘定元帳への転記は、会計ソフトが自動で行いますが、以下のように転記されます。

現金
期首 10,000 ○月×日 50,000
○月×日 70,000 期末 30,000
80,000 80,000
仕入
○月×日 50,000 期末 50,000
資本金
期末 10,000 期首 10,000
売上
期末 70,000 ○月×日 70,000

総勘定元帳に集計された各勘定科目の残高をもとにして試算表が作成されます。

試算表
現金 30,000 売上 70,000
仕入 50,000 資本金 10,000
80,000 80,000

試算表をもとに、勘定科目を貸借対照表のグループと損益計算書のグループに分け、決算書(財務諸表)が作成されます。

賃借対照表 損益計算書
現金 30,000 資本金 10,000 仕入 50,000 売上 70,000
利益 20,000 利益 20,000
30,000 30,000 70,000 70,000

この一連の流れは、会計ソフトを使えば仕訳の入力だけで自動的に集計できるため、仕訳の入力方法さえ理解できれば、簿記の知識は必要ありません。ただし、一連の流れを知っておくことで、数字の動きがどのように決算書に現れるのかを理解することができます。

会計ソフトを導入すれば簡単!経理業務

取引の記録は、簿記のルールにしたがって手書きで記録することもできますが、時間・手間がかかるうえ、計算ミスなどが起こるリスクもあります。
会計ソフトを活用すれば、仕訳の集計から総勘定元帳、決算書の印刷までほぼ自動で作成してくれます。
賃借対照表や損益計算書はもちろん、株主資本変動計算書や消費税集計表なども作成してくれます。

したがって、経理担当者が行わなければならないのは、取引の仕訳、各勘定科目の残高チェックなどが担当範囲となります。

仕訳の入力(仕訳帳への記録)を行いさえすれば、それを総勘定元帳へ自動転記し、複数の仕訳入力で勘定科目ごとに集計され、試算表の作成はもとより、決算書の作成まで自動的に完成させることができるため、それ以外の簿記の知識がなくても、とくに問題ありません。

「会計ソフトって何?「クラウド会計ソフト」って何?」を読む

仕訳から作成される決算書

決算書とは、主に年次で行われる決算に基づいて作成される書類のことです。
決算書のうち主なものとしては、賃借対照表、損益計算書などがありますが、貸借対照表は決算日時点における財政状態を表示したもので、損益計算書は一会計期間における経営成績を表示したものであることから、これらの書類は財務諸表とほぼイコールと考えて問題ありません。

ただし、決算書は税金の申告に用いられる「確定申告」のときに必要となるものであり、財務諸表は税務署以外の外部報告のために必要となるものであるという違いがあります。

「損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

「賃借対照表(B/S)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

なお、決算には、年次決算のほか月次決算も存在します。月次決算は、主に会社内部の経営管理のために行われるものであり、経営者にとっては試算表の結果をもとに軌道修正を図ったり、予算に達していなかったりした場合には、その理由を考えるツールとして用いられます。

毎日行う経理業務

前述したとおり、経理の仕事は、日次、月次、年次の3種類に分けることができます。

日次の経理事務は、事業内容によって異なりますが、一般的には入金・出金の管理や簿記に基づく帳簿の記帳などを行います。
具体的には売上による入金や経費の支払い、日々の入出金の資料作成などの作業ですが、これらの会計データは、最終的に納税につながるほか、会社の重要な指標や経営管理に活用されます。
単調な作業が多くなりますが、決して疎かにしてよいものではありません。

領収書の整理・入力

会社が取扱う経費にはさまざまなものがあります。交際費、会議費、新聞図書費、消耗品費、水道光熱費など、現金の支出に伴って発生する経費については、領収書を受け取ることが通常です。
簡単そうに見える領収書の整理・入力ですが、ため込んでしまいがちな作業でもあります。
受け取った領収書は、帳簿への入力をスムーズにするためにすぐに整理・保管するようにしましょう。

現金出納帳の入力

領収書を会計ソフトに入力します。
現金出納帳とは、文字通り、現金の出入りを記録するために用いられる帳簿です。現金の収入や支出があったつど、現金出納帳に記録していきます。
現金の収入や支出があった場合に、日付、その相手先と、収入・支出の内容、相手勘定科目を記録し、その金額を「収入金額」「支出金額」欄に記入したうえで、現金残高に加減算します。

現金残高のチェック

現金出納帳の入力は、基本的に毎日行います。1日に複数の取引がある場合には、複数行にわたって入力が必要になります。したがって、1日の現金の入出金が終わるつど、現金の残高をチェックするようにしましょう。
チェックの仕方としては、入力された現金出納帳の残高と、実際の現金有高が一致しているかを確認する方法が一般的です。
もし一致していない場合は、不一致の原因を調査し、早期に解決することが重要です。

預金出納帳の入力

預金出納帳は、現金出納帳と同様、銀行預金等の出入りを記録するために用いられる帳簿です。会社では通常、現金のみの取引ではなく、決済や振込みのために銀行口座を使用します。その際、預金の出入りの状況や、一時点の残高を把握することは重要になります。
なお、複数の口座を使用していたり、普通預金のほか当座預金勘定を用いていたりした場合は、これらを分けて預金出納帳を作成します。

売掛金取引の入力

売掛金とは、商品やサービスを販売してまだ回収していないお金のことをいいます。
得意先に対して商品を売り上げた場合、同時に現金で回収できることが一番ですが、短期間に複数のやり取りがある相手である場合には、信用取引を基本として、売上代金を後日回収する「掛取引」となることが通常です。
したがって、売上代金を回収するまでは、このお金を「売掛金」として把握し管理しておく必要があります。

商品を売上げても、仕入れ代金や経費は先に支払うケースも多く、売掛金が増えると手元にキャッシュがなくなる、いわゆる「黒字倒産」の状況に陥りかねません。
したがって、売掛金の管理は非常に重要となります。
売掛金の管理については売掛金元帳(得意先元帳)を使用し、得意先ごとの売掛金残高を把握しておきましょう。

買掛金取引の入力

売掛金の場合と同じように、仕入先から商品を仕入れた場合には、信用取引を基本として、仕入代金を後日支払う「掛取引」となることが通常です。したがって、仕入代金の決済があるまでは、買掛金として把握しておく必要があります。

買掛金は、売掛金管理と合わせて行い、回収や支払い状況を常に管理しておくことが重要です。
買掛金の管理については買掛金元帳(仕入先元帳)を使用し、仕入先ごとの買掛金残高を把握しておきましょう。

在庫取引の入力

商品の仕入や売上ボリュームを把握することも重要ですが、それと同様に重要なのが、在庫(棚卸資産)の管理です。
商品をスムーズに販売するためには、会社の手元にいくらかの在庫を置いておくことは不可欠です。もし在庫がなかったら、商品をいちいち取り寄せてから販売しなければなりませんし、取引先からの問合せにもスムーズに対応することができません。

商品の在庫状況を管理する帳簿として、商品有高帳があります。
商品を仕入れた時(受入)と売上げた時(払出)のつど、商品の種類別に、数量・単価・金額を入力し、ある時点での在庫金額が常にわかるようにしておきます。

仮払金の支払い・精算

仮払金とは、支出があったが、その内容が不明であったり、内容がわかっていても具体的な金額が確定していなかったりする場合に用いられる勘定科目で、資産科目に該当します。

実際に仮払金が用いられるのは、従業員の出張などで、先にある程度の旅費・宿泊費を支払っておき、従業員の帰社後に具体的内容・金額の報告を受け、先に支払っていた金額との精算を行う、というケースです。
この仮払金は、出張時に渡した金額を資産に計上し、帰社時には差額を精算することから、この時点で仮払金の残額が発生することはありません。

経費処理(交際費・会議費・出張旅費など)

会社が経営活動を行っていくうえで不可欠なのが、経費の支払いです。
経費は利益計算上、マイナスの項目となるため、具体的な支出内容を把握しておくことが重要です。
体的に主な経費項目を挙げると、先に挙げた従業員の「出張旅費(旅費交通費)」のほか、取引先との接待などで支出する「接待交際費」、社内会議などで負担する「会議費」、従業員の慰労・福利厚生を目的とする「福利厚生費」、事務用文房具、コピー代などの「消耗品費」、会社や商品の宣伝費用である「広告宣伝費」などがあります。

○出張旅費の仮払・清算
出張旅費精算書は、出張者が出張から帰った時に作成し、提出してもらいます。
そして、その内容にもとづいて出張旅費の仮払いを行い、会計ソフトに入力します。
出張旅費精算書には、清算日・部署名・氏名・訪問先・出張した結果・乗車地・降車地・交通手段・交通費・宿泊費・日当などを記載します。

○接待交際費
接待交際費は、会議費との区分が問題となります。
会議に関連してお菓子や弁当、飲食をする場合の費用は会議費です。例えば会議の延長でランチをして、その時ビールを飲んでもそれは、会議費となります。

交際費となるのは、取引先へのお土産代や、記念パーティの費用、お車代、お歳暮・お中元などです。

なお、経費の支払いが多くなると利益が少なくなることから、税額計算のベースも少なくなり、税負担が軽くなるというメリットもありますが、経費が多くなるとその分、支出額も多くなることから手元の現金預金が少なくなり、資金繰りの面からはデメリットとなってしまいます。

したがって、経費負担のバランスは、売上げの度合いに応じた適切な額であることが必要です。

以上、日次で行う経理事務とは|自計化を目指すための基礎知識①についてご紹介しました。月ごとに必要な経理については下記の記事でまとめていますので、併せてご覧ください。

「月次経理業務とは|自計化を目指すための基礎知識②」を読む

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