仕訳とは|基本のルールと仕訳事例

公開日:2019年11月11日
最終更新日:2022年05月22日

この記事のポイント

  • 「仕訳」とは、日々の取引を帳簿に記録すること。
  • 仕訳をする際は、勘定科目に取引を振り分ける。
  • 最終的に貸借対照表・損益計算書といった決算書にまとめられる。

 

仕訳とは、複式簿記において取引を勘定科目に振り分ける作業をいいます。

複式簿記は、1つの取引を2つの側面からとらえ、この2つの側面を左右に区分をします。区分をする際には、勘定科目という項目で名前をつける必要があります。
勘定科目ごとに日々帳簿に記録したものは、最終的に決算書にまとめられます。

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仕訳とは

仕訳とは、複式簿記において取引を勘定科目に分類して記録することをいいます。
日々仕訳をして記録した取引は、最終的に貸借対照表・損益計算書といった決算書にまとめられます。

簿記のしくみは、使ったお金の原因と結果を明らかにする「仕訳」をすることで成り立っています。

たとえば、商品Aをつくる事業者になったつもりで考えてみましょう。
「商品Aをつくる材料を100円で買った」というケースは、簿記的にいうと「材料費に100円払った・現金が100円減った」ということになります。

つまり、1つの取引を「材料費に100円払った」「現金が100円減った」と2つの側面から捉え、取引が発生した時の原因と、その結果を2つの側面に分解して、それぞれ勘定科目を割り当てていきます。こうすることで、「お金」を「いくら」「何に」使ったのかだけでなく、「結果」としてどうなったのかまで分かるようになります。これが「仕訳」です。

事業を行ううえでは、毎日モノやお金の出入りがあります。
それらを一定のルールに従って、正確に記録・集計・整理して、最終的に決算書を作成するまでの、一連の作業を簿記といいます。

取引を帳簿に記録する時に使われるのが、「水道光熱費」「交際費」といった「勘定科目」です。そしてこの勘定科目を使って取引を振り分ける作業を「仕訳」といいます。

(1)仕訳はなぜ必要か

それでは、取引を記録する時には、なぜすべて仕訳をしなければならないのでしょうか。
それは、確定申告をする時に申告書とともに税務署に提出する「決算書」を作成しなければならないからです。
取引の仕訳を行っていないと決算書は作成できず、確定申告ができないと言っても過言ではありません。

決算書とは、会社や個人事業主の事業の成績表のようなもので、決算書を見れば、その会社がどれくらい稼いでいるのか、決算期時点でどのような資産をもっているのかが分かる大変重要な書類です。
勘定科目を使って仕訳をすると、取引は決算書に反映され、売上がどれくらいあるか、何にどれくらい使ったのかが把握できるようになります。

(2)仕訳をする際に必要な「勘定科目」

ここまで仕訳とは、取引を「勘定科目」に振り分ける作業のことだと説明してきました。
勘定科目とは、何が理由でお金が入ってきたのか、何が理由でお金が出て行ったのかを把握するために、光熱費、通信費など、取引をその性質ごとに記録するための項目のことです。
たとえば、電気代を支払ったら「水道光熱費」という勘定科目を振り分け、タクシー代を支払ったら「旅費交通費」という勘定科目に振り分けます。

たとえば、お金が入ってくる時には、働いて稼いだり、あるいは借金したりします。働いて得たお金なら「財産」であり、借金をして得たお金なら「負債」ということになります。このように、同じお金でも入ってきた理由が違います。そこで、その理由を把握するための項目が、勘定科目ということになります。

勘定科目は自分でも自由に設定することができますが、注意すべきなのは「同一の取引の時には、毎回・毎年同じ勘定科目を使う」ということです。
そうしないと、決算書で経営分析を行う際に「何にどれくらい使ったのか」が正確に把握できなくなってしまうからです。

勘定科目は、「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」の5つのグループに分けられ、決算書の損益計算書と貸借対照表に反映されます。
これらの5つのグループのうち「収益」と「費用」は損益計算書を構成し、「資産」「負債」「純資産」は貸借対照表を構成します。

(3)損益計算書の勘定科目

損益計算書を構成するのは、「収益」と「費用」です。

収益の勘定科目
売上
受取手数料
受取利息 など

費用の勘定科目
仕入
給料
水道光熱費
文具代 など

つまり、「仕入」という勘定科目を使って仕訳をすれば、損益計算書の「費用」に区分され、「売上」という勘定科目を使って仕訳をすれば、損益計算書の「収益」に区分されることになります。

(4)貸借対照表の勘定科目

貸借対照表を構成するのは「資産」「負債」「純資産」です。

資産の勘定科目
現金
預金
売掛金
有価証券
建物
土地 など

負債の勘定科目
買掛金
借入金 など

純資産の勘定科目
資本金 など

つまり、「現金」が入れば、貸借対照表の「資産」に区分され、「買掛金」という勘定科目を使って仕訳をすれば、貸借対照表の「負債」に区分されることになります。

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仕訳をしてみよう

仕訳の基本的な仕組みが分かったところで、実際に仕訳をしてみましょう。
複式簿記では、取引を帳簿に記録する時、帳簿を左右に区別して記録します。
左側を「借方」、右側を「貸方」といい、取引ごとに借方と貸方に分けて記録して取引による財産の変動の原因と結果をあらわします。

資産・費用の増加は「借方」(左側)
資産・費用の減少は「貸方」(右側)
負債・資本・収益の増加は「貸方」(右側)
負債・資本、収益の減少は、「借方」(左側)

少しややこしいかもしれませんが、ここではまず借方は「財産の増加」、貸方は「財産の減少」が入るとイメージしておけばよいでしょう。

借方の「り」は左側を向いているから、「借方は左側」、貸方の「し」は右側を向いているから「貸方は右側」と覚えるのもおすすめです。

(1)仕訳のルールを覚える

それでは、実際に仕訳をしてみましょう。
取引の内容ごとに、勘定科目に振り分けて仕訳をしていきます。
1つの取引は、2つ以上の勘定科目を使って仕訳をし、借方と貸方の金額は必ず一致します。
最初は分かりにくいかもしれませんが、まずは以下の8つのルールを暗記してしまいましょう。

①資産が増えた時には借方(左側)に記入する
②資産が減った時には貸方(右側)に記入する
③負債が増えた時には貸方(右側)に記入する
④負債が減った時には借方(左側)に記入する
⑤純資産(資本)が増えた時には借方(左側)に記入する
⑥純資産(資本)が減った時には貸方(右側)に記入する
⑦費用が生じた時には借方(左側)に記入する
⑧収益が生じた時には貸方(右側)に記入する

暗記する時には、「なぜ資産が増えると借方なのか」「なぜ負債が増えた時には貸方なのか」と考えず、とにかく理屈抜きで覚えてしまいましょう。
仕訳については、この8つのルールと代表的な勘定科目を覚えてしまうことが大切です。

(2)資産・負債・純資産に関する仕訳

資産・負債・純資産は、貸借対照表を構成するものでした。
そこで、グループごとの意味や仕訳例を見てみましょう。

①資産
資産とは、会社が保有する資産のことです。
ここでいう資産には、現金や預金のほか、不動産や株式なども含まれます。
会社が資産を取得するのは、取引先など外部から受け取る場合と会社が自ら購入、製作して取得する場合があります。

外部から受け取る場合とは、たとえば商品を販売して取引先から受け取った代金のほか、請求書を提出したあと、お金を受け取るのが先の日付になっている「お金を受け取る権利=売掛金」なども含まれます。売掛金も、この「資産」に含まれます。

会社が自ら取得する資産とは、事務所用のビルや店舗、機械などです。これらを購入した時には、資産として記録することになります。つまり、資産の内容を見れば、会社のお金の使いみちが分かるようになっています。

「商品を1万円で販売した。その商品の代金は現金で受け取った。」

借方 貸方
現金 10,000 売上 10,000

「得意先に商品10万円を販売した。代金10万円は来月回収予定である。」

借方 貸方
売掛金 100,000 売上 100,000

「先月販売した商品の代金20万円が、普通預金に振り込まれた。」

借方 貸方
普通預金 200,000 売掛金 200,000

②負債
負債とは、銀行からの借入や、請求書を受け取ってまだ支払っていないもの、従業員の給与などのことです。
負債を1つのグループとしてまとめておくことで、会社が追っている経済的な負担の総額を知ることができます。
実際に生じている負債のほか、将来発生するかもしれない経済的な負担に備えて、あらかじめ負債として計上しておくこともあります。たとえば、賞与や退職金を支払う場合です。

「仕入先から商品50万円を仕入れた。代金は来月支払う予定である。」

借方 貸方
仕入 500,000 買掛金 500,000

③純資産
純資産とは、資産から負債を差し引いたものです。
なぜ資産から負債を差し引いたものを、わざわざ純資産として1つの分類にするかというと、純資産は会社の価値をあらわす重要な要素であるからです。
たとえば、会社の保有する資産をすべてお金に換えて、負債を清算した時に手元に残るお金が純資産ということになります。
純資産には、主に会社を設立した時の資本金と事業によって設けた利益という2つの財源から成り立ちます。
つまり、黒字経営が続くと純資産も増加していくことになります。

「現金10万円を元入れ(経営者が出資すること)して営業を開始した。」

借方 貸方
現金 100,000 資本金 100,000

(3)収益・費用に関する仕訳

収益・費用は、損益計算書を構成するものでした。
そこで、グループごとの意味や仕訳例を見てみましょう。

①収益
収益とは、会社が事業から得た収入のことで、利益の源をいいます。
収益の中心となるのは売上です。売上とは商品を販売したりサービスを提供したりして稼いだお金です。
収益には、売上のほかにも、お金を貸した時の利益や設備を売却して得た収入なども含まれます。

「役員への貸付金300万円が返済され、利息1万円とともに普通預金に振り込まれた。」

借方 貸方
普通預金 3,000,000 短期貸付金 3,000,000
受取利息 10,000

②費用
会社が事業活動を行っていくために必要な仕入代金や従業員に支払う給料など、収入を得るために使うお金を費用といいます。
たとえば、商品の製造費用や仕入代金、打ち合わせに行くために使った電車賃や電話代なども経費です。
取引先との飲食代も経費になります。
これらの費用を1つの分類としてまとめ、収益から費用を差し引くと、利益を計算することができます。また、収益と費用のバランスを見ることで、効率よく稼げているかも判断することができます。

「取引先の接待を行い、10万円と送迎費の交通費2万円を現金で支払った。」

借方 貸方
交際費 120,000 現金 120,000

「新規事業の打ち合わせの際に出したコーヒー代5,000円を現金で支払った。」

借方 貸方
会議費 5,000 現金 5,000

「ポータルサイトにイベント告知を掲載する費用として、普通預金から5万円を支払った。」

借方 貸方
広告宣伝費 50,000 普通預金 50,000

クラウド会計ソフトの活用

仕訳の意味や、勘定科目、簿記の仕組みなどについてご紹介してきました。複式簿記は難しいと感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば勘定科目などその都度記録する必要はなく、仕訳を自動化することもできます。

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(1)仕訳が自動化できる

「クラウド会計ソフト freee会計」では、最初に銀行やカード会社と連携設定しておけば、自動で取引データを取得することができます。そして、取り込まれたデータは自動で仕訳に変換されます。
登録された仕訳は、「freee会計」がどんどん学習するので、以降同じ相手先との取引データが取り込まれた場合には、自動的に同じ仕訳に変換してくれます。
また、自動生成された仕訳が、使いたい勘定科目と違う場合には、画面から手入力で修正することもできます。

(2)自動でレポート化される

「クラウド会計ソフト freee会計」では、登録されたデータをもとに、さまざまなレポートが作成され、事業を行ううえで大切な「お金の流れ」をリアルタイムで把握することができます。

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まとめ

仕訳のルールは、現金が増加したら左側の借方、現金が減少したら右側の貸方に記入すること、そしてその理由を勘定科目に振り分けることから始まります。
ただし、頻繁に出てくる取引は、仕訳のパターンとしてクラウド会計ソフトに登録され、自動仕訳されることで、経理作業にかかる時間を大幅に短縮することができます。
また、不明点や疑問点があれば、「クラウド会計ソフト freee会計」の認定アドバイザーにサポートしてもらうこともできます。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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