公開日:2022年10月20日
最終更新日:2022年10月21日
債務保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、保証人がこの債務を履行する責任を負うことを契約することで、債権者の債権を担保するものをいいます。
債務保証には、通常の債務保証のほかに、保証予約や経営指導念書等の差入れなどの保証類似行為も含まれます。
債務保証とは、他の企業あるいは個人(以下原債務者)の借入金または買掛金、未払金等の債務に関して、原債務者がその債務の支払いが困難になったときには、原債務者に代わって債権者に当該債務の弁済を行うことを約束することによって生じる債務をいいます。
すなわち、原債務者が金融機関等から借入を行う場合に、その会社がその借入を返済できないときには、代わりに返済義務を負うという契約を、他の第三者が行うことです。
債務保証は、一般的には債務者の信用力が低い場合に求められます。
債務保証には、通常の債務保証のほか、以下のような保証類似行為も含まれます。
①保証予約 保証予約とは、将来に保証契約の成立を約束する契約のことで、以下のような形態があります。 ・停止条件付保証契約 ・予約完結権行使型予約 ・保証契約締結義務型保証予約 ②契約指導念書等の差入れ |
会社が債務保証契約を締結している場合、債務保証額を偶発債務として財務諸表に注記しなければなりません。
なお、この注記の対象としては、債務保証だけでなく前述した保証契約や契約指導念書等の差入れなども、保証類似行為として含まれることになります。
債務保証について代位弁済を行った場合には、法律的には保証人には原債務者に対する求償権が発生することになります。したがって税務上は、代位弁済時に当該損失の損金算入が、すぐに認められるわけではありません。
原債務者からの回収可能性がなくなってから、初めて損金算入が認められることになります。
したがって、求償権を破棄しない場合には、会計上は有税処理が先行して税効果会計を適用するケースもあります。
債務保証損失引当金とは、債務保証契約によって、将来の損失が発生する可能性が高く、その損失金額の見積が可能な場合に、将来の損失発生見込額に対して計上される引当金です。
会社が、会社以外の者の銀行借入金などの債務を保証している場合で、主たる債務者の財政状態の悪化などによって債務保証を履行して、それによって損失が発生する可能性が高く、かつその金額が合理的に見積もられる場合には、債務保証損失引当金を計上しなければなりません。
債務保証損失引当金の繰入額は、通常は営業上の費用と言えないことから、その金額や発生事由等に応じて、営業外費用または特別損失として計上されます。
債務保証損失引当金の計上額は、主たる債務者の財政状態等に対応して、決算期ごとに見直します。
保証債務の履行に伴う損失の発生の可能性の程度について「高い場合」「ある程度予想される場合」「低い場合」に分類し、債務保証損失引当金の計上をまとめると、以下のようになります。
損失の発生の 可能性の程度 |
損失金額の見積が 可能な場合 |
損失金額の見積が 不可能な場合 |
高い | 債務保証損失引当金を計上する | 債務保証の金額を注記する |
ある程度予想される | 債務保証の金額を注記する | 債務保証の金額を注記する |
低い | 債務保証の金額を注記する | 債務保証の金額を注記する |
債務保証損失引当金は、貸借対照表での表示については、主たる債務者の財政状態の悪化の程度および保証債務の履行時期に応じて、ワン・イヤー・ルールが適用され、流動負債または固定負債に計上されます。
※ワン・イヤー・ルールとは 貸借対照表において、流動項目と固定項目を区分して表示する際に適用されるルールで、1年基準とも呼ばれます。1年以内に履行期が到来する資産・負債は流動資産・流動負債、1年を超える項目は、固定資産・固定負債に分類されます。 |
これまでご紹介したように、債務保証が発生する可能性が高く、かつその金額を合理的に見積もることができる場合には、債務保証損失引当金を計上しなければなりません。
「子会社の借入金300万円について債務保証を行っているが、子会社の返済が滞っているため、債務保証を履行する可能性が高いと見込まれる。」
①決算時
②債務保証履行時
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債務保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、保証人が当該債務を履行する責任を負うことで、債務者の債権を担保するものであり、債務保証行為によって将来の損失が発生する可能性が高く、かつその損失金額の見積が可能な場合には、債務保証損失引当金を計上しなければなりません。
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