振替伝票とは|意味・書き方・仕訳の方法(サンプル付)

公開日:2019年12月03日
最終更新日:2022年03月18日

この記事のポイント

  • 伝票には、入金伝票、出金伝票、振替伝票がある。
  • 振替伝票には、現金の入金・出金取引以外の現金が生じない取引の時に起票される。
  • 振替伝票は借方・貸方双方の勘定科目を記入する必要があるという点で入金伝票、出金伝票と異なる。

 

伝票には、入金伝票、出金伝票、振替伝票(三伝票制といいます)があります。それぞれの伝票は、取引を入金取引、出金取引、それ以外の取引に分けて記入します。
このうち振替伝票とは、現金以外の取引を記録するための伝票です。
入金伝票や出金伝票は、入出金の記録と勘定科目を記入しますが、振替伝票は、仕訳の借方または貸方の勘定科目を記入する必要があります。

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振替伝票とは

振替伝票は、銀行振り込みや振込手数料など、現金以外の取引があった時に、その取引を記録するための伝票です。
現金の入金・出金取引以外、つまり仕訳の借方・貸方双方に現金が生じない取引が起票されます。

通常の仕訳と同じように、借方科目と金額、貸方科目と両方の勘定科目を記入する必要があります。

(1)振替伝票と入金伝票・出金伝票の違い

仕訳を実務として行う時には「伝票」と呼ばれる用紙に取引を起票します。伝票とは、仕訳帳(日々の仕訳を日付順に記録する帳簿)の代わりに取引を記入する用紙のことをいいます。日々の取引が発生した場合には、仕訳帳に仕訳をしますが、伝票を用いる場合には、仕訳帳に記入する代わりに伝票に記入し、伝票から総勘定元帳に転記します。

仕訳伝票として使用するのは、入金伝票、出金伝票、振替伝票の3つで、これを「三伝票制」といいます。
入金伝票と出金伝票の大きな違いは、入金伝票は現金の入金取引を記録するための伝票で、出金伝票は現金の出金取引を記録するための伝票であるという点です。
どちらも、取引の内容や金額、日付、勘定科目を記入します。

入金伝票は、現金の入金取引を記録するので借方が現金と決まっています。したがって起票する時には貸方科目だけを伝票に記入すればよいということになります。
逆に出金伝票は、現金の出金取引を記録するので貸方が現金と決まっています。したがって借方科目だけを伝票に記入すればよいことになります。

これに対して、振替伝票は、現金の入金・出金取引、仕訳の借方・貸方双方に現金が生じない取引が起票されます。

つまり、入金伝票や出金伝票と違うのは、借方と貸方の両方の勘定科目を記入しなければならないという点です。

入金伝票
勘定科目:現金の相手方(仕訳の貸方科目)を記入する

出金伝票
勘定科目:現金の相手科目(仕訳の借方科目)を記入する

振替伝票
勘定科目:借方科目、貸方科目を記入する。借方と貸方の金額は必ず一緒になる

(2)振替伝票のポイントは「発生主義」

振替伝票は、入金伝票や出金伝票と違い、物やサービスの取引と代金の取引との間に時間差があります。
たとえば、「ある商品を相手に売って引き渡すが、代金は後日銀行で振り込まれる」というようなケースです。
このような時間差があるわけですから、取引も①商品を引き渡した、②代金を受け取ったという2つの取引が行われたと考える訳です。

この場合には、①の段階で商品を引き渡したので「売上」があったことになります。そして同時に代金を受け取る権利である「売掛金」を得たということになります。

したがって、①の取引の仕訳は以下のように行います。

借方 貸方
売掛金 10,000 売上 10,000

続いて、②の段階では、売掛金が実際に現金になったので、仕訳は以下のように行います。

借方 貸方
現金 10,000 売掛金 10,000

このように、時間差がある取引がある場合には、2つの取引として考えるのが複式簿記のルールで、このような考え方を「発生主義」といいます。
振替伝票を起票する時には、この「発生主義」という考え方で、時間の流れも考慮に入れる必要があるということを理解するようにしましょう。

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振替伝票を作成する時のポイント

これまでご紹介してきたように、振替伝票は、取引を2つに分けて、借方科目、貸方科目の両方に勘定科目を記入する必要があります。

作成する際のポイントは、以下の7つです。

①日付
取引をした年月日を、記入します。

②金額
仕訳の借方科目の金額を、記入します。

③借方勘定科目
仕訳の借方科目を、記入します。

④摘要
取引の具体的な内容などを、記入します。

⑤貸方勘定科目
仕訳の貸方科目を、記入します。

⑥金額
仕訳の貸方科目の金額を、記入します。

⑦合計金額
合計金額は、借方と貸方の金額が必ず同じになります。

会計ソフトでは自動転記される

会計ソフトを活用すると、メニュー画面から「振替伝票」を選んで入力するだけで、1つの取引に複数の勘定科目がかかわる場合もスムーズに入力をすることができます。
ただし、仕訳は自分で行わなければならないこともありますので、最初は迷うかもしれません。しかし、振替伝票が必要な取引は限られていますので、パターンさえ覚えてしまえば、スムーズに入力ができるようになるでしょう。

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まとめ

振替伝票に限らず、伝票を起票する際には、チェック体制を万全にしてミスを避ける工夫が大切です。
とくに複数人で起票する場合には、改ざんなどを防ぐためにも必ず複数人でチェックすることが原則と考えるようにしましょう。

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