帳簿とは|主要簿と補助簿って何?それぞれの帳簿の意味は?

公開日:2019年12月13日
最終更新日:2022年06月17日

この記事のポイント

  • 帳簿とは、事業の取引やお金の流れを記録するもの。
  • 帳簿には、簿記の基礎となる「主要簿」と、主要簿の記録を補う「補助簿」などがある。
  • 帳簿は、最終的に損益計算書や貸借対照表といった決算書を作成する。

 

帳簿とは、事業の取引やお金の流れを記録するもので、簿記の基礎となる「主要簿」と、その主要簿の記録を補う「補助簿」などがあります。
また、記帳方法は、大きく分けて簡易簿記と複式簿記がありますが、それぞれ必要な帳簿が異なります。
確定申告を青色申告で行い、最高65万円の特別控除を受けるためには、取引やお金の流れを「勘定科目」や「仕訳」によって詳細に記帳する複式簿記の作成が義務づけられています。
簡易簿記は、簿記の知識がなくても家計簿的な感覚でつけることができますが、10万円の控除しか受けることはできず、メリットはありません。

会計ソフトを利用すれば、簿記の知識がなくても複式簿記は簡単に作成することができますので、ぜひ複式簿記にチャレンジしましょう。

帳簿とは

帳簿とは、事業の取引やお金の流れを記録するものです。簿記とは、日々の取引を「帳簿」に記入し、最終的に決算書を作成する作業をいいます。

簿記は、簡易簿記と複式簿記という2つがありますが、それぞれ必要な帳簿が異なります。
簡易簿記は現金出納帳・預金出納帳・買掛帳・売掛帳・経費帳・固定資産台帳の6つの補助簿です。一方、複式簿記は簡易簿記と同じ6つの補助簿に加え、仕訳帳と総勘定元帳の主要簿の作成が義務づけられます。

確定申告を青色申告で行い、最高65万円の特別控除を受けるためには、取引やお金の流れを「勘定科目」や「仕訳」によって詳細に記帳する複式簿記の作成が義務づけられています。
帳簿には、取引年月日、内容、相手先、金額などを記載します。
帳簿というと、「面倒な作業」というイメージを持つものですが、決してそのようなことはありません。
帳簿の記帳は、ほとんどが反復した事例の積み重ねなので、一定のルールを理解すればスムーズに作業をすることができます。

帳簿は、確定申告を行うために必要な最終的に損益決算書と貸借対照表を作成します。

この確定申告には、白色申告と青色申告の2つのタイプがあり、以前はこの2つの青色申告と白色申告の大きな違いは、帳簿をつける義務があるか否かでしたが、平成26年から白色申告の場合にも、帳簿をつけることが義務づけられることになりましたので、白色申告のメリットはほぼなくなりました。

青色申告の帳簿づけは「複式簿記」なので、白色申告の「簡易簿記」と比べると、ややハードルが高くはなりますが、会計ソフトを利用すれば、両者の記帳の手間はほとんど変わらなくなりますので、ぜひ複式簿記の作成に挑戦しましょう。

特典の名称 青色申告の場合 白色申告の場合
青色申告
特別控除
①e-Taxで申告して貸借対照表・損益計算書を添付しているとき…65万円の控除
②e-Taxで申告していないが、貸借対照表・損益計算書を添付しているとき…55万円の控除
③単式簿記で記帳しているとき…10万円の控除

上記以外…10万円の控除
(事業的規模でない不動産所得、貸借対照表を添付していないなど)

適用なし
青色事業
専従者給与
家族に支払った給与について、以下の要件を満たしていれば必要経費として計上することができる。
①本人と生計を一にする配偶者その他の親族である
②その年の12月31日現在で15歳以上である
③原則としてその年の6カ月以上もっぱら事業に従事している
④不動産を事業的規模で貸し付けている

青色事業専従者給与を支払うためには、最初に「青色事業専従者給与に関する届出書」が必要。

(注)配偶者控除や配偶者特別控除は受けられなくなる。

事業専従者控除
必要経費として計上できない。一律金額での控除は認められている。
配偶者…最高86万円まで
それ以外の人…最高50万円まで

(注)配偶者控除や配偶者特別控除は受けられなくなる。

貸倒引当金の繰入 売掛金等の合計額の5.5%(金融業は3.3%)までを繰り入れることができる。 個別評価による貸倒引当金のみ計上できる。
少額減価償却資産の特例 取得価額が30万円未満の資産については、年間300万円まで、全額その年の必要経費にできる。 適用なし
純損失の
繰越控除
赤字が出た時に、給与所得などほかの所得からその赤字分を引いて(損益通算)も、残った損失(純損失)がある時は、その損失を3年間繰り越して、翌年の事業所得から差し引くことができる。 繰越控除の対象となる損失は、変動所得または被災事業用資産で出たものに限られる。
純損失の繰越還付 赤字が出た年の前年に利益が出ていれば、前年の課税所得から今年の赤字分を弾いて、前年に支払った税金を返してもらうことができる。 適用なし
※令和2年分の確定申告から、青色申告特別控除の要件に、①複式簿記で記帳、②申告書に貸借対照表・損益計算書などを添付、③期限内申告に加え、④e-Taxによる申告(電子申告)または⑤電子帳簿保存が要件に加えられました。
参照:国税庁「青色申告特別控除額が変わります!!」

なお、青色申告は、事前に届け出をして帳簿を作成し、決算書を提出する必要がありますが、税制上さまざまなメリットがありますので、必ず青色申告の承認を受けておきましょう。

「青色申告のために必要な帳簿づけ」を読む

帳簿はなぜ必要か

帳簿は、取引やお金の流れを記録するものですが、これらをきちんと記録することで、儲かっているのか、経費がどれだけかかっているのかなどを正確に把握することができるようになります。さらに、帳簿は最終的に損益計算書や貸借対照表といった決算書にまとめられますが、これらの決算書を分析すれば、どの経費を削減するべきか、将来事業をどう成長させていくべきか、などの経営方針を決定する指針とすることもできます。
つまり、帳簿を作成するということは、確定申告をするために必要となるだけでなく、経営者自身に最も大きなメリットがあるのです。

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帳簿の種類

帳簿には、簿記の基礎となる「主要簿」と、その主要簿の記録を補う「補助簿」があります。
主要簿の「総勘定元帳」と「仕訳帳」は、現金の動きや残高、増減した取引の内容が示されます。これらの主要簿をもとにして、決算書(損益計算書・貸借対照表)が作成されます。

帳簿 主要簿 総勘定元帳
仕訳帳
補助簿 補助記入帳 現金出納帳
預金出納帳
固定資産台帳
売掛帳
買掛帳
補助元帳 商品有高帳
仕入先元帳
得意先元帳

主要簿

主要簿には、「総勘定元帳」と「仕訳帳」があります。そして、この2つの帳簿から青色申告決算書が作成されます。

総勘定元帳
すべての取引を勘定科目別にまとめたもの
仕訳帳
すべての取引を仕訳して、発生順に並べたもの

総勘定元帳は、仕訳帳に記載した仕訳を勘定科目別に書き写して作成します。この勘定科目ごとに作成された帳簿を総勘定元帳といい、この書き写す作業を転記といいます。
勘定科目とは「売掛金」「買掛金」「新聞図書費」「交際費」「打ち合わせ会議費」など、お金の流れや取引内容を分類するためのものです。
事業を行うためには、さまざまな取引がなされますが、その取引が何であるのか分からないと、お金の流れを正確に把握することができません。
そのため、勘定科目を使って取引内容を明確にするのです。

補助簿

補助簿とは、主要簿を補う目的で作成される帳簿で「現金出納帳」「預金出納帳」などがあります。
たとえば、ツケによる販売は「売掛金」、ツケによる仕入れは「買掛金」といいますが、これらを管理するのが「売掛金元帳」「買掛金元帳」と呼ばれる補助簿です。
補助簿のうち、代表的なものは以下の5つですが、すべての補助簿が必要となるわけではありません。こまめにつけるのは、現金出納帳だけというケースも多いでしょう。
また、ライターやデザイナーなど仕入のない仕事なら買掛帳は不要ですし、完全な現金商売なら、売掛帳、買掛帳も必要ありません。

現金出納帳
入金伝票や出金伝票から転記し、現金のやりとりをまとめたもの
預金出納帳
銀行口座でのやりとりをまとめたもの
売掛帳
取引先別に売掛金に関する取引を記入して管理するもの
買掛帳
取引先別に買掛金に関する取引を記入して管理するもの
固定資産台帳
減価償却する固定資産(パソコンや車など)を入力して管理するもの

会計ソフトの利用

帳簿を作成する場合には、会計ソフトを利用するのがおすすめです。
とくに、「クラウド会計ソフトfreee会計」は、簿記がよくわからないという人でも、視覚的に入力することができるよう工夫されています。勘定科目がわからなくても、摘要欄の文章から自動で勘定科目を判別し、現金出納帳や預金出納帳、総勘定元帳、決算書の作成まで自動で作成してくれます。

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また、「クラウド会計ソフトfreee会計」はサポート体制も万全で、分からないことがあればすぐに質問に答えてもらうことができます。
「クラウド会計ソフトfreee会計」は、クラウド型の会計ソフトなので、月額または年額の使用料を支払うことですぐに利用を開始することができます。
無料会員のプランもついていますので、試しに利用しながら、利用するかどうかを検討するのもよいでしょう。
もし、どの会計ソフトを利用すればよいのか分からない時には、税理士に相談してみましょう。「クラウド会計ソフトfreee会計」の認定アドバイザーなら、簿記の知識の程度や特長を踏まえたうえで、導入からサポートをしてもらうことができます。

まとめ

会計ソフトを利用すれば、取引ごとに借方なのか貸方なのか悩むことなく、簡単に記帳作業を行うことができますが、総勘定元帳や仕訳帳、売掛金元帳などが、どのような内容の帳簿なのかは知っておいた方がスムーズです。
不明点などがあれば、税理士に気軽に問合せをして、仕訳の方法から会計ソフトの利用法、決算書の作成までアドバイスをもらうのがおすすめです。

税理士をお探しの方

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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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