勘定科目とは|なぜ必要か・よく使う科目とは

公開日:2019年12月27日
最終更新日:2022年07月09日

この記事のポイント

  • 勘定科目は、日々の取引を帳簿に記入する時に使われる項目のこと。
  • 日々の取引は、勘定科目ごとに振り分けて仕訳をする。
  • 仕訳をすることで、最終的には決算書を作成され、経営成績や財政状態が分かる。

 

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勘定科目とは

勘定科目とは、日々の取引を仕訳し帳簿に記入する時に使われる項目です。
たとえば、電話代や郵便代を支払ったら「通信費」という勘定科目に仕訳をします。また、商品を仕入れたら「仕入」という勘定科目に仕訳します。このように取引をその性質ごとに勘定科目に振り分けることで、何にいくら使ったのかが分かるようになります。

日々帳簿に記録した取引は、最終的に決算書(貸借対照表・損益計算書)にまとめます。

よく使う勘定科目

勘定科目は数多くありますが、よく使う勘定科目は、それほど多くありません。
ここでは、よく使う主な勘定科目の種類と意味をご紹介します。

勘定科目 どのようなケースで使うか
売上高 商品や製品の販売、サービスを提供して得たお金
雑収入 事業の売上高以外で得たお金
売上原価 商品や製品の販売、サービスを提供するためのお金
租税公課 固定資産税、自動車税、不動産取得税、印紙税、個人事業税など
地代・家賃 事務所や店舗、駐車場の賃料など
減価償却費 固定資産の価値を、耐用年数(※)に応じて数年で分けた経費
※耐用年数とは:耐用年数とは、「その資産の使用可能期間」のこと。
参照:国税庁「耐用年数表」
給与手当・賃金 従業員の給与など
使用人兼役員の給与も、給与手当で処理をする。
外注工賃 外部業者に委託した加工、工事、デザイン、ホームページ作成費用など
荷造運賃 商品を発送するための運送費や、段ボールやガムテープ、保管資材、ひも、荷札といった梱包品の費用
水道光熱費 事業用に使った水道代、電気代、暖房費など
旅費交通費 仕事で利用した交通費や、出張時にかかった宿泊費・食事など
通信費 電話代、切手代、インターネット料金など
広告宣伝費 不特定多数の消費者に向けた広告宣伝のための費用
接待交際費 営業活動を進めるための取引先に行う接待や贈答品などに使った費用
会議費 交際費とは別に打ち合わせで使った食事代などの費用
採用予定の面接者に対して支払う交通費の支給や食事の提供も会議費で処理する。
保険料・
損害保険料
棚卸資産や事務所、店舗、工場、機械などの事業用資産に対してかけた火災保険や自動車保険など、掛捨ての損害保険料
修繕費 事業用のパソコンや車などの修理・修繕のための費用、事務所の補修費用など
修理・修繕であっても、資産の性能をアップさせるものなどは「資本的支出」となり、固定資産として処理をする。
消耗品費 文具や小物、時計、机、棚、などの消耗品、その他30万円未満の備品など
福利厚生費 事務所で飲むお茶代や従業員との会食費用などの他、社会保険の事業主負担分ど
利子割引料 事業を営むための借入金にかかる利息の支払い、受取手形の割引料など
新聞図書費 業務上必要な情報収集のために購入する新聞、書籍、雑費など
リース料 リース契約に従って支払う賃借料
支払手数料 銀行の振込手数料や、売買契約の仲介者に支払う手数料
支払報酬 弁護士、税理士、イラストレーターなどの専門家に対する報酬
研修費 収入を得るために必要なスキルを身につけることを目的に参加したセミナーや通信教育の費用
電話加入権 NTTなどから加入権を取得した際の費用
建物 店舗や事務所、工場など事業のために所有する家屋(固定資産となる)
機械装置 工場などで使われる製造設備や機械(固定資産となる)
貸倒引当金
(かしだおれひきあてきん)
貸倒れに備えて経費に計上したもの
未払金 事業で使った電話代・水道光熱費などで決算時に未払いの経費
前受金 商品の引き渡し、サービスなどを提供する前に受け取った代金
買掛金 仕入先から後払いで仕入れた代金の未払い分
元入金
(もといれきん)
個人のお金から用意した開業資金や運転資金
事業主貸
(じぎょうぬしかし)
個人事業主が、事業用の現金・預金をプライベートように使った場合
事業主借
(じぎょうぬしかり)
個人事業主が、プライベートの現金・預金を、事業用に使った場合
雑費 他のどの勘定科目にも当てはまらない少額の出費合

勘定科目を使う簿記の流れ

簿記でいうところの「取引」とは、普段よく使うような「○○会社と取引が決まった」という時に使う取引の意味ではありません。
「販売する商品を仕入れた」「現金でお金を払った」といったお金やモノの増減が伴うケースや「サービスの提供を受けた、代金は後日支払う」といったお金の増減を伴わないケースも含み「取引」といいます。
そして、この取引を帳簿に記入する時に使われるのが勘定科目です。
簿記とは、日々の取引を「帳簿に記入して、最終的には決算書を作成するまでの一連の流れをいいます。

日々帳簿に記録した取引は、最終的に決算書にまとめます。
決算書には、経営成績(会社が儲かったか)が分かる損益計算書と、財政状態(会社の財産や負債の額)が分かる貸借対照表があります(※後述)。

会社や個人事業主は、1年間で区切って決算書を作成します。
この1年間のことを「会計期間」といいます。
たとえば、毎年4月1日(期首)に始まる場合には、翌年3月31日(期末)が1年間の区切りとなります。
個人事業主の場合には、1月1日から12月31日の1年間です。

仕訳と決算書の関係

日々帳簿に記録した取引は、最終的には損益決算書・貸借対照表といった決算書が作成されます。

貸借対照表
会社は、現金や建物、土地などの資産をどれくらい持っているか、借金はどれくらいあるのかといった財政状態を報告しなければなりません。貸借対照表は、この財政状態を示す決算書です。
貸借対照表は、「資産」「負債」「純資産」に区分されます。

たとえば、「現金」という勘定科目を使って仕訳をすると、その取引は貸借対照表の「資産」に区分されますし、「買掛金」という勘定科目を使って仕訳をすると、貸借対照表の「負債」に区分されることになります。

損益計算書
会社は、一定期間にいくら使っていくら儲けたのかといった経営成績を報告しなければなりません。損益計算書とは、この経営成績を示す決算書です。損益計算書は、「収益」と「費用」に区分されます。

たとえば、「仕入」という勘定科目を使って仕訳をすると、損益計算書の「費用」に区分され、「売上」という勘定科目を使って仕訳をすると、損益計算書の「収益」に区分されることになります。

帳簿の種類

勘定科目を使って日々の取引を記入する帳簿は、いくつかの種類があります。業種によって帳簿のつけ方は変わりますが、主な帳簿の意味は知っておきましょう。

帳簿名 帳簿の内容
現金出納帳 現金で取引した場合の収支を記録するもの
事業用の金庫やレジから出し入れした金額とその残金が合っているかを確認するために作成します。
預金出納帳 銀行口座の収支を記録するもの
事業用の口座から出し入れした金額とその残金が合っているかを確認するために作成します。
経費帳 事業に必要なものを買った時や、打ち合わせや交際費などの費用を記録するもの
経費として計上できるものをリストアップしたり、経費削減を検討したりする際に利用します。
売掛帳 掛け取引で、売上に対する未回収の代金を記録するもの
取引先ごとに売掛金(未回収の代金)がいくらあるか把握するために作成します。
買掛帳 掛け取引で、仕入に対する未払いの代金を記録するもの
取引先ごとに買掛金(未払いの代金)がいくらあるか把握するために作成します。
固定資産台帳 事業に使う機械などの固定資産の内訳を記録するもの
事業用の固定資産を把握し、その減価償却費を計算するために必要となります。
賃金台帳 誰にいくら給与を支払ったのかを記録するもの
未払いの給与がないかなどを確認するために、作成します。

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複式簿記のルール

簿記には、左側を「借方(かりかた)」、右側を「貸方(かしかた)」と呼び、取引ごとに左と右の両側に分けて記録します。取引を借方と貸方に分けて記録することを「仕訳」といいます。
お金やモノが増減した時には、かならずその原因があります。借方と貸方に分けて記録することで、取引の内容や原因を把握することができます。

貸方・借方の意味

借方と貸方には同じ金額を記入します。取引を原因と結果の2面からとらえることで、お金の動きに伴う商品や借金、儲けの増減までをあらわします。これは複式簿記の基本中の基本となりますので、必ず覚えておきましょう。
「借りる」「貸す」という漢字が使われているので、どうしてもお金の貸し借りをイメージしがちですが、借方は左、貸方は右と覚えるだけで十分です。
借方の「り」は左側を向いているから、「借方は左側」、貸方の「し」は右側を向いているから「貸方は右側」とイメージすると、覚えやすいです。

そして、借方には「財産の増加」、貸方には「財産の減少」が入るとイメージします。

経理作業を楽に行うためには

日次業務や月次業務は、決めた時間、決めた日に行う習慣をつけることが大切です。後回しにすると、確定申告の時にまとめて処理をしなければならなくなり大変な作業を強いられ本業に影響が出てしまうことがあります。
ただ、会計ソフトを活用すれば、それほど作業はありません。さらにこの時、活用方法について税理士に相談することで、経理作業を効率化することもできます。

会計ソフトの活用

日次業務においては、前述した帳簿を1日の終わりにすべて作成しなければなりませんが、毎日のこととなるとこれが大きな負担となります。
そこで活用したいのが、クラウド会計ソフトです。
銀行やクレジットカードなどの外部サービスとクラウド会計ソフトを連携設定すると、クラウド会計ソフトが自動で入出金取引データを取り込み、仕訳に転換します。
1日の終わりにする作業は、登録された仕訳を確認するだけでOKです。

「クラウド会計ソフト freee会計」では、これらの取引の内容はさまざまなレポートで確認することができますので、会社の損益状況をすぐに見ることができます。

レポートの種類 使い方のアイディア
収益レポート
  • 今月の売れ筋商品を確認する
  • 得意先ごとの売れ筋トップ10を確認する
  • 売上が多い月を確認する
費用レポート
  • 今月の費用内訳を確認する
  • 費用が多い月を確認する
損益レポート
  • 今月の損益のうち多かった商品は何かを確認する
  • 収支別の取引先トップ10を確認する
  • 損益の主要項目を時系列で確認する
売掛レポート
  • 来月の入金予定を確認する
  • 得意先ごとの金額を確認する
買掛レポート
  • 来月の支払い予定を確認する
  • 支払い先ごとの支払い予定を確認する
  • 一括振込用のファイルを出力する
  • 請求書が届いたので、いつの買掛金に対応しているかを確認したい
現預金レポート
  • 今月のお金はどれくらい動いたのかを確認する
  • 先週の現預金の残高を確認する
資金繰りレポート
  • 今月はどういった勘定科目で一番お金を使ったのかを確認する
  • 今後のお金の出入りを踏まえた上で、資金ショートを起こさないかを確認する
集計表
  • 「売上高」として入力した取引の件数を確認する
  • 複数の条件で絞り込みをかけて集計結果を知る

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「クラウド会計ソフト freee会計」を活用すれば、自分自身が損益をリアルタイムで確認することができるだけでなく、税理士にも会計データを共有することができるので、問題点があればすぐに指摘してもらうことができるようになります。

「クラウド会計ソフト freee会計」を活用しないで領収書をまとめて税理士に渡して記帳してもらう「記帳代行」も、作業を効率化するという意味でメリットがありますが、自分で使った経費や、売上や利益をタイムリーに把握することができないというデメリットがあります。

ただし、「クラウド会計ソフトfreee会計」は、簿記が全く分からない人でもできるように工夫されているものの、そもそもパソコンが苦手だという場合などは、税理士に業務を依頼する方が良いでしょう。無理に自計化しようとして間違った方法で資料を作成しても、正確な損益状況は把握することができないからです。

税理士の活用

「クラウド会計ソフト freee会計」を活用すれば、確定申告に必要な書類もほぼ自動で作成することができますが、個人事業主と比較すると会社で処理する経理事務は多いので、会社を経営する場合には、税理士と顧問契約をするのがおすすめです。
確定申告書に税理士の名前と印鑑がついているかどうかで、税務署の申告書に対する信用度が高くなり、税務署から税金に関する問い合わせがあれば、税理士が対応してくれます。
また、中小企業が受けられるさまざまな税制上の優遇措置についてアドバイスを受けることもできますし、適切な節税対策についてアドバイスを受けることもできます。

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まとめ

以上、記帳や経理作業の内容、会計ソフトや税理士を活用するメリットについてご紹介しました。
税理士に依頼する場合、もっとも大切なのは相性です。お互いに話しやすく隠し事なく何でも相談することができる関係になれるか否かは、大きなポイントとなります。
相性が合うかどうかは、実際に会うか、Skypeやハングアウトなどを利用して面談をするとよいでしょう。
依頼したい税理士がいれば、積極的に問合せをしてみてはいかがでしょうか。

税理士をお探しの方

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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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