公開日:2022年04月06日
最終更新日:2024年06月28日
ゴルフクラブの入会金は、名義書換料や仲介手数料などを含めて「ゴルフ会員権」や「出資金」といった勘定科目で処理をします。
ゴルフクラブのプレー代は、「交際費」として処理をします。
なお、業務に関係なく利用している場合には「役員報酬」や「給与」として扱われるので注意が必要です。
ゴルフ会員権の豆知識
法人会員としてゴルフクラブに入会する場合、支出した入会金や預託保証金はすべて「ゴルフ会員権」として処理します。これらの会員権に関する支出は、法人の資産として計上されます。ただし、業務に関係なく利用する場合は、法人会員であっても利用者個人の給与として税務上処理されます。
資産として計上したゴルフ会員権に関する年会費や同一法人内での名義書換料については、交際費として扱われます。交際費は、企業が取引先との関係を円滑にするために使用する費用として認められるもので、税務上の扱いが異なります。プレー費も同様に交際費として処理されます。
また、レジャークラブの入会金についても、ゴルフクラブの入会金と同様に処理されます。ただし、レジャークラブの会員としての有効期間があり、脱退時に入会金相当額の返還が受けられない場合、その入会金は税務上の繰延資産として処理されます。繰延資産として処理された入会金は、有効期間内にわたって償却することができます。
法人会員としてのゴルフクラブやレジャークラブの入会に関する支出は、税務調査でチェックされることがあるので、適切な処理を行うためにも、税理士に相談することをおすすめします。
ゴルフ会員権とは、会員制のゴルフ場で一般客より優先的に利用する権利などさまざまな優遇サービスを受けられたり、メンバー料金でのゴルフクラブを利用できたりするゴルフクラブの会員の権利をいいます。
ゴルフ会員権は、大きく「株主会員制・預託金制・社団法人制・任意団体」の4種類があります。
株主会員制 | ゴルフ会員権の所有者は、プレーをする権利に加えて株主として経営参加し、残余財産分配請求権等の権利も有する。 |
預託金制 | 預託保証金と入会金を払い込むことで、プレーをする権利を取得する。 |
社団法人制 | ゴルフ会員権の所有者は、社団法人の構成員としての地位を有する。 |
任意団体 | 上記3つ以外の同好の士が集まりつくった会員制の団体。(日本では極めて数が少ない。) |
ゴルフ会員権は、入会のために支出した入会金等(物件代金、入会金、名義書換料、仲介手数料など)、預託保証金などが該当します。
これらはすべて「ゴルフ会員権」または「出資金」という勘定科目で処理をします。
なお、プレー費用は「交際費」として計上します。
特定の役員や従業員名義の個人会員として入会した場合や、法人会員として入会しても特定の役員や従業員が業務に関係なく利用している場合には、「ゴルフ会員権」や「出資金」ではなく、「役員報酬」や「給料手当」として扱われます。
ゴルフ会員権は、入会のために支出したもの(入会金、名義書換料、業者への仲介手数料など)を、取得価額で評価します。
ただし、①ゴルフ会員権で時価がある場合でその時価が著しく下落したとき、②ゴルフ会員権で時価のない場合で、その発行会社の財政状態が著しく悪化したときは、減損処理を行う必要があります。
株主会員制のゴルフ会員権
通常の有価証券と同じように、直接簿価を減少させます。
預託金制のゴルフ会員権
帳簿価額のうち、預託金を上回る額についてまず直接評価損を計上します。
そして、さらに時価が預託金の額を下回る場合には、その部分を債権の評価勘定として貸倒引当金を設定します。
また、預託保証金の回収可能性に疑義が生じたときには、債券の評価勘定として貸倒引当金を設定します。
ただし、預託保証金の回収が困難であるときには、貸倒引当金を設定しないで、ゴルフ会員権から直接差し引くこともできます。
ゴルフ会員権には有効期限があったり脱退時に入会金が返還されなかったりするものがあります。このような場合には税務上の繰延資産(会計上は「長期前払費用」)で処理をして、有効期間にわたって償却していきます。
ゴルフ会員権は、「ゴルフ会員権」または「出資金」という勘定科目で処理をします。「出資金」は、合名会社への出資、信用金庫への出資、レジャークラブ入会金などの支出についても使用する勘定科目なので、出資金が多い場合には、他の支出と区別して管理するために「ゴルフ会員権」で計上する方がよいでしょう。
「ゴルフクラブに入会した。預託保証金700万円、入会金250万円、名義書換料55万円を支払った。振込手数料は660円であった。」
預託保証金や入会金は、資産の譲渡等の対価ではないので、消費税の課税対象とはなりません。
名義書換料や仲介手数料は、役務の提供となるので消費税の課税対象となります。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
ゴルフ会員権 | 10,000,000 | 普通預金 | 1,0050,660 |
雑費 | 600 | ||
仮払消費税等 | 50,060 |
「ゴルフクラブの年会費20万円(税抜)を支払った。振込手数料は600円であった。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費 | 200,000 | 普通預金 | 220,660 |
雑費 | 600 | ||
仮払消費税等 | 20,060 |
「社長交代のためゴルフ会員権の名義変更を行った。名義書換料として50万円(税抜)を支払った。振込手数料は600円であった。」
従来から所有しているゴルフ会員権の名義書換料は「交際費」で処理をします。名義書換料は、消費税の課税対象となります。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費 | 500,000 | 普通預金 | 550,660 |
雑費 | 600 | ||
仮払消費税等 | 50,060 |
「ゴルフクラブでプレーし、現金で2万円(税抜)を支払った。」
プレー代は「交際費」で処理をします。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費 | 20,000 | 現金 | 22,000 |
仮払消費税等 | 2,000 |
「従業員の福利厚生目的で入会したゴルフクラブを脱退した。
出資金50万円のうち20万円は償却され、残額が普通預金口座に振り込まれた。入会から3年以内の脱退は20%、5年以内の脱退は10%が償却される契約となっている。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 400,000 | 出資金 | 500,000 |
福利厚生費 | 100,000 |
以上、ゴルフ会員権の会計処理についてご紹介しました。
ゴルフ会員権は、「ゴルフ会員権」または「出資金」という勘定科目で処理をしますが、プレー代や「名義書換料」は「交際費」で処理をします。
また、業務に関係なく利用する場合には、個人会員はもちろん法人会員であっても、税務上は利用者個人への給与として取り扱われます。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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