公開日:2023年07月03日
最終更新日:2023年10月17日
起業時の「お金がない」という悩みを解決する方法は、いくつもあります。
日本政策金融公庫で融資を受ける方法もありますし、最近はクラウドファンディングで資金調達するケースも増えています。
ただし、初めて起業するなら、初期費用はなるべく抑えることが大切です。
「起業したいけど、お金がない」という悩みは、工夫をすることで解決することができます。
以前は、「オフィスを構えて、人を雇用して、名刺を揃えて…」と起業時には、初期費用がある程度かけるケースが多かったのですが、今は、費用はなるべく抑えて身軽に起業するケースが増えています。
日本政策金融公庫総合研究所のデータでも、ここ30年間で起業資金の額は減少傾向にあります。
参照:日本政策金融公庫総合研究所「「2022年度新規開業実態調査/開業費用と資金調達~「250万円未満」で開業する割合は増加傾向」 |
つまり、今はもう「起業したいけど、お金がない」という時代ではなく、誰もが工夫し、初期費用を抑え、それほどお金をかけずに起業をしている時代といえるのです。
起業資金は、個人事業主としてスタートするか、それとも会社を設立するか、オフィスは構えるか、それとも、コワーキングや自宅で起業するかなど、個々の状況に応じて大きく異なります。
個人事業主として自宅でスタートするのであれば、起業資金はほとんど必要ありません。会社を設立する場合には、登記費用等で25万円程度かかりますが、電子定款にすれば、印紙代の40,000円を節約することができますし、オフィスを構えずバーチャルオフィス等を利用すれば、敷金や礼金、仲介手数料などを節約することができます。
起業資金は、工夫次第で金額を抑え、身軽にスタートすることができるのです。
「起業したいけど、お金がない」なら、まずは「工夫して、起業資金を減らす」ことを考えます。
ただ、事業の内容によっては、どうしてもある程度の資金が必要になることもあるでしょう。
その場合には、日本政策金融公庫からの融資やクラウドファンディング、助成金・補助金の活用を検討してみます。
初期費用はなるべく抑えて、起業する方法を検討します。
起業資金は、低ければ低いほど早くスタートさせやすく、かつリスクも少なく済みます。
たとえば、起業資金として100万円を貯めることを目標に、1カ月5万円ずつ貯金をしていれば、資金を貯めるのに1年半もかかってしまいます。1年半も経てば市場が変化して、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
それに、100万円で起業して万が一失敗すれば、その100万円だけでなく、100万円を貯めた1年半までムダになってしまいます。
起業のタイミングを逃さず、貴重な時間をロスしないためにも、初期費用はなるべく抑えることが大切です。
固定費とは、人件費やオフィス・事務所等の家賃、通信費など、毎月必ず一定額かかる支出のことです。
初めての起業で、いきなり規模の大きい事業に取り組んでしまうと、後で固定費が支払えなくなるなどのリスクを伴います。
売上があるうちは、問題なく支払いができても、何か問題が出ると固定費は大きな負担となってしまいます。したがって、起業をスタートするうえでは、まずは「小規模でも、黒字で生き残ることが第一」と考え、なるべく固定費のかからない形態でスタートすることをおすすめします。
他の事業者と連携して、起業資金を抑えるという方法もあります。
たとえば、Bさんは、大好きな東南アジアの輸入雑貨販売店を開業したいと考えました。
ホームページを製作してネット販売をスタートすることを考えましたが、Bさんはインターネットの知識に乏しく、またホームページを製作する費用を抑えたいと考えました。
そこでサポートをしてくれたのが、すでにネット販売を行っている学生時代の友人でした。Bさんは、イチからホームページを製作するのではなく、その友人がすでに運用しているホームページで、ネット販売をさせてもらえないかと頼んだのです。
Bさんは、上手に事業を連携させることで、費用を抑えるだけでなく新たな取引先を獲得することができました。
ほかにも、移動販売をしている事業者と連携して商品を置かせてもらったり、すでに取引先を持っている事業者に、オプションとして自身のサービスを紹介してもらったりと、工夫次第で他の事業者と連携する方法はいくつもあります。
事業者とうまく連携することができれば、費用を抑えることができるだけでなく、ゼロからシステムを開拓することなく、さらに取引先を獲得するための営業も最小限で済む可能性があり、非常に効率的です。
店舗やオフィスを構えると、初期費用と固定費がかかります。
そこで、やりたい事業内容を少し絞り込んで、初期費用と固定費がかからない方法で起業するのもおすすめです。
たとえばFさんは、自転車屋さんを開業する予定でしたが、初期費用と固定費、そして在庫を抑えたいと考え、出張自転車修理サービスに事業内容を絞り、起業をしました。
その結果、大幅に起業資金を抑えることができて、かかった費用は、名刺やチラシなどの費用だけで済んだということです。
また、Sさんは出張スタイルでのネイルサロンで起業しました。
店舗の賃貸料や光熱費といった費用が発生しないため、他店舗と比較すると格段に安い価格帯でサービスを提供できることが評判を呼び、外出がままならない子育て中の主婦を中心に顧客は確実に増えているということです。
在庫を持つ過ぎると管理するのが大変ですし、保管するスペースなどの維持費もかかります。
耐久性に優れている家具などであれば、まだいいですが、流行や賞味期限がある商材の場合には、売れ残ってしまえば廃棄しなければなりません。
在庫管理は、事業を行ううえで非常に難しい分野であり、大企業でも課題となることが多いものです。
したがって、起業初心者の場合には、できる限り在庫を抱えずに済むビジネスからスタートすることをおすすめします。
起業資金をなるべく抑えるための努力や工夫を行い、それでも資金がどうしても足りない場合には、資金調達を行う必要があります。
とは言っても、家族や友人などから借入する方法は、人間関係に影響を及ぼすリスクがありますので、おすすめできません。
そこで検討したいのが、日本政策金融公庫からの融資です。
日本政策金融公庫には、新たに事業を始める人、または事業を開始して税務申告を1期終えていない人などで、創業時に創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる人が受けられる「新創業融資」という制度があります(※ただし、日本政策金融公庫のFAQでは、実際には3割程度の自己資金を準備してほしい旨の記述がありますので、注意が必要です)。
日本政策金融公庫の主な起業融資制度
新創業融資制度 新規開業資金 新規開業資金(再挑戦支援関連) |
制度融資とは、都道府県や市区町村と、金融機関と信用保証協会の3者が協調して行う融資制度です。
担保は不要ですが、信用保証協会の保証が必要となります。
使用使途は、個々の制度によって異なりますが、運転資金、設備資金どちらにも使えるものも多数あります。
起業したての会社や個人事業主の場合には、規模の大きい銀行からの融資は非常に困難ですが、制度融資は、地方自治体の制度を通じて金融機関に融資を申し込むため、金融機関が通常取り組みにくいような融資についても、融資を受けやすいというメリットがあります。
このような制度融資は、都道府県だけでなく、市区町村にもありますので、自治体のホームページを細かくチェックしてみましょう。
地元密着型の制度融資に詳しい税理士や、地元の商工会議所などに相談すると、制度融資の相談にも乗ってもらうことができます。
補助金とは、主に経済産業省が実施している交付金で、助成金とは、主に厚生労働省が実施している交付金です。
受給条件を満たし、審査を経て採択されれば交付を受けることができ、返済不要というメリットがあります。
助成金や補助金は、期限が決まっているものが多いため、助成金や補助金のサポートに力を入れている税理士に、「受けられそうな助成金や補助金があれば、教えてほしい」と頼んでおくと、タイムリーな情報を入手することができます。
VC(ベンチャーキャピタル)とは、IPOやM&Aなどを目指す企業に投資する組織です。つまり、有望と思われるベンチャー企業に資金を提供してその企業の企業価値を高めて株式を売却することで、利益を得ることを目的としています。
VCから出資を受けるということは、世間へのアピールにつながりますし、VCのネットワークや経営ノウハウを活用することで、さらに事業を成長させられる可能性があります。
ただし、VCから出資を受けるということは、株式数に応じて経営権がVCに付与するということです。複数のVCから出資を受けた結果、出資比率が低くなってしまうと、経営者としての地位を失うリスクもあります。
したがって、VCからの出資を検討する際には、これらのVCのメリット・デメリットを十分理解したうえで、慎重に検討することをおすすめします。
クラウドファンディングとは、インターネットで出資を広く募るツールです。面白いアイデア、素晴らしい企画だと多くの人に共感してもらうことで、大口の資金調達が可能となります。
クラウドファンディングというと、以前はチャリティやカルチャーの支援というイメージがありましたが、今ではベンチャー企業、スタートアップ企業、中小零細企業まで広く活用して、資金調達を行っています。
クラウドファンディングを成功させるコツは「共感」です。共感してもらうことができる事業は、多くの協力者、支援者を募ることができます。共感した人が多ければ、目標額以上の資金を調達することも可能です。
以上、起業したいけどお金がない!という時にまず検討したい10個の方法について、ご紹介しました。
「お金がないから、起業できない」「お金がないから、事業がうまくいかない」という時代は、もう終わりました。初期費用をかけず、固定費を抑え、できるだけ在庫を抱えないなどの工夫で、起業資金そのものを減らすことができますし、足りない起業資金はさまざまな制度を活用することで、調達することができます。
「好きなこと、得意なことを仕事にできたら、どんなに楽しいだろう」
「人に喜んでもらって、感謝されながら、お金を稼げたら、どんなに幸せだろう」
そんな思いは、ほんのちょっとした工夫とノウハウ、アイデアで実現できるかもしれません。
会社をやめずにお金をかけずに起業し、夢を実現している人もたくさんいます。
起業資金がないと、嘆く必要も諦める必要もありません。
自分がやりたい事業やビジネスに照らして、初期費用や固定費の削減方法、使い勝手のよい資金調達方法をぜひ見つけてください。
それでも、いざ起業するとなれば、不安なことや分からないことが、たくさん出てくるのは当然です。
そんな時には、ぜひ起業支援に力を入れている税理士に相談してみてください。
資金調達から起業手続き、そして起業後の経理システムの構築や事業の進め方について、サポートをしてもらうことができます。
freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、起業時の手続きや起業の際の資金調達、起業後に必要な手続きや経理システムの構築などについて相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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