制度融資とは?どんなメリットがある?預託金の意味は?

公開日:2022年11月08日
最終更新日:2023年12月29日

この記事のポイント

  • 制度融資とは、地方自治体ごとに創設された制度。
  • 資金調達力が弱い中小企業等支援を、趣旨としている。
  • 制度を通じて審査を受けるため、時間がかかることもある。

 

制度融資とは、都道府県や市区町村と、金融機関と信用保証協会の三者が協調して行う融資制度です。
制度融資は、個人や中小企業支援の趣旨のもと、融資を容易にするための制度であり、融資を受けたい中小企業にとっては、ぜひ活用したい制度です。
 

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制度融資とは

制度融資とは、一定の政策目的を達成するために、地方公共団体・信用保証協会・金融機関が連携して行う制度です。
制度融資は、資金調達力が弱い中小企業を支援するという趣旨のもと創設された制度で、都道府県ごとに制度が異なり、地方自治体独自の制度融資が設けられているケースも多々あります。
地方自治体が財源の一部を負担して用意し、
①自治体
②地元の金融機関
②信用保証協会

の3者が協調して行う融資制度で、地方自治体は金融機関に預託金を預け、金融機関は預託金を使って、制度融資を実行します。

地方公共団体は、金融機関に預託金を預けます。
預託金とは融資資金や利子補給資金のことで、金融機関はこの預託金を使って、制度融資を実行します。
また、このとき制度融資によって信用保証協会の保証を付けることで、地方公共団体が貸倒れのリスクを負わないようなしくみになっています。

制度融資の豆知識

創業者向けの公的融資制度である制度融資の内容や条件は、自治体によって異なります。問い合わせ窓口は各都道府県や市区町村にありますが、まずは税理士に相談することをおすすめします。税理士に相談すれば、最新の制度融資の情報を得ることができるだけでなく、制度融資の際に必要となる創業計画書や必要書類などについても、あわせて支援を受けることができるからです。

(1)制度融資と一般融資の違い

制度融資は、申込者が自治体に融資を申し込む制度ですが、一般融資は、直接金融機関に融資を申し込みます。
規模の大きい銀行の取引相手は大手企業が中心で、中小企業への融資は縮小傾向になります。とくに創業時や赤字が続いているときには、民間金融機関から通常の融資を受けることは、非常に困難です。
制度融資は、地方自治体の制度を通じて金融機関に融資を申し込むしくみとなっていて、金融機関が通常取り組みにくいような融資についても、比較的借りやすいシステムになっています。

(2)制度融資のメリット

制度融資は、信用保証協会の保証料を補助してもらうことができますし、金利も低く設定されています。

また、自治体によって、金利や信用保証料に対しての利子補給制度(自治体の地域内で事業を行う事業者が対象となる融資を受けた場合に、支払う金利や信用保証料などの一部を自治体が補助する制度)が設けられていることが多い、というのも制度融資のメリットといえます。

ただ、制度融資の最大のメリットは、やはりこれまでご紹介したように制度融資の趣旨が中小企業支援であるということ、つまり直接金融機関に融資を申し込むより中小企業が融資を受けやすくなることといえるでしょう。
とくに創業時や赤字が続いている中小企業にとっては、日本政策金融公庫からの借入や制度融資を利用する方が現実的であるといえます。

(3)制度融資は地域ごとに異なる

制度融資は、地域ごとに異なります。
これは、地方自治体が自治体ごとにそれぞれの地域振興を考えているからです。

たとえば、東京都の制度融資は、東京都産業労働局が情報提供を行っています。DX・イノベ・産業育成支援融資や社会課題解決融資(働き方改革・女性活躍推進)、販路開拓融資、新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安対応緊急融資などが設けられています。

参照:東京都産業労働局「融資について知りたい。」

東京中小企業制度融資の場合には、東京都内に事業所(個人事業者は事業所または住居)があり、信用保証協会の保証対対象業種を営む中小企業者等であり、「事業計画を策定し、資金繰りの安定化や経営改善に取り組むこと」「最近3か月間の売上実績または今後3か月間の売上見込が直近同期と比較して、10%以上減少していること」などが要件となっています(制度融資の種類による)。
参照:東京都産業労働局「東京中小企業制度融資」

それぞれの自治体のウェブサイトには中小企業向け制度融資のぺージがありますので、参考にしてください。また、取引のある金融機関に、利用できる制度融資について質問するのもひとつの手です。もし業績がよく金融機関としても融資を行いたい相手であれば、情報提供をしてもらうことができます。
また、資金調達に精通している税理士に相談してみるのもよいでしょう。資金調達に精通している税理士であれば、制度融資の最新の情報を集めているものだからです。

制度融資の申請

制度融資は、金融機関と信用保証協会のほかに地方公共団体の審査も受けることになります。したがって、3者の各段階で審査が行われるため、申込から融資の実行まで2カ月ほどかかることがあります。また、必要資金について用意すべき自己資金の要件が、日本政策金融公庫よりも厳しい場合があります。
したがって資金が必要になる場合には、早めに金融機関に相談をして必要な準備を進めることが大切です。

制度融資の豆知識

制度融資は、自治体によって融資の条件が異なります。一般的には、自治体に住所があるか、もしくは事業所を営んでいること、常時使用する従業員数が20人以下であること、事業税や住民税を滞納していないことなどが条件となります。また、信用保証協会の保証対象業種であることが要件となることもあります。このほか、限度額や利率、返済期間など基本的な条件を確認することも忘れないようにしましょう。

(1)赤字決算でも審査が通ることも

決算書の内容が極めて優秀で、きちんと利益が出ている黒字決算の会社であれば、どの金融機関に融資を申し込んでも、融資を受けるのはそれほど難しくありません。問題なのは、直近の決算書の内容が赤字だったり、過去3期の間に赤字があったりする場合です。
ただし、「赤字の決算書だったら融資を受けるのは難しい」とあきらめてしまうのは、早計です。
たとえば、融資の際に事業計画書や資金繰り表を提出してそれらの内容が評価されれば、赤字決算でも融資の審査が通ることがあります。事業計画書や資金繰り表の提出は義務ではありませんが、これらの資料の内容が十分説得力を持つものであれば、好条件で融資を受けられる可能性は十分にあります。
当然、事業計画書や資金繰り表の作成にはテクニックがありますから、資金調達の精通した専門家を活用する方が、より可能性は高くなるでしょう。

(2)プロに任せるのがおすすめ

「餅は餅屋」という言葉がありますが、資金調達に関して、事前に専門家に相談したりサポートを受けたりした方が、効率的ですし融資を受けやすくなります。

では、どのような専門家に相談した方がよいかといえば、やはり身近な専門家である税理士への相談がおすすめです。税理士ではなくても、融資を専門にするコンサルタントもいますが、融資の基本となるのは決算書ですから、普段から決算書の作成に携わる税理士に相談する方が、スムーズにサポートを受けることができるでしょう。
最近では、資金調達を得意とするだけでなく、飲食業界、美容師業界など特定の業界に専門性を持つ税理士も増えています。

(3)制度融資サポートを依頼する際のポイント

税理士に相談する際には、最初にこれまでの融資の実績を聞いておくと、その後がスムーズです。たとえば、自社の決算書が赤字であれば、これまで赤字決算から融資を受けた事例があるかなどを質問します。自社が求めるものを明確にして、できるだけ自社の状況と目指すゴールに近い事例を持つ税理士を見つけることを、おすすめします。
よく、「総額〇億円の融資成功」といったキャッチコピーをホームページに載せている事務所もありますが、黒字決算だけの融資を積み重ねれば、この数字を達成するのは、実はそれほど難しくない数字です。問題は、赤字決算の会社にどれだけ融資を実行させたかが大切です。

さらに制度融資であれば、地元密着型の税理士をおすすめします。
新しい制度融資、通りやすい制度融資について熟知していますし、ネットワークを通じてさまざまな得意分野を持った税理士のメリットを受けることも可能だからです。

まとめ

制度融資の内容や条件はさまざまです。
すぐに使える制度融資もありますし、条件が合わない制度融資もあるでしょう。
しかし、なかには、コロナ融資など期間限定の融資もありますから、効果的な融資を実現するためには、なるべく早く行動することが大切です。

また、審査の際に重視されることは「貸したお金がきちんと返済できるか」です。このとき、参考にされるのが事業計画書であり、事業計画書の内容次第で審査に受かりやすくなる可能性は大いにあります。
返済できるかどうかは、「売上が上がるか」「利益が上がるか」にかかっています。
そして、事業計画書で一番重視されるのが、売上予想や利益予想です。
したがって、融資に精通した税理士に相談し、事業計画の内容や数値に矛盾がないか、説得力のある内容となっているかをチェックしてもらうことをおすすめします。

制度融資について相談する

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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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