マンション経営で知っておきたい8つのポイント

公開日:2023年10月31日
最終更新日:2023年10月31日

マンション経営の基本

  • マンション経営は、事業計画が大切。
  • 敷金・礼金・毎月の家賃でどれくらいの収入が見込めるかを把握する。
  • 管理手数料、修繕費、税金などの支出はどれくらいありそうか把握する。

 

マンション経営が増えてきた背景には、大きく2つの理由があります。
1つ目は平成27年に始まった相続税増税です。
それまで個人で行っていた不動産経営を法人化することで、資産と所得を分散させ、相続税の軽減を目指す人が増えたのです。

そして、2つ目は法人税の減税です。マンション経営を会社形態で行えば、個人でマンション経営を行うより税金が少なくなることから、会社形態でマンション経営を行う人が増えたのです。

しかし現在は、以前のようにすぐに賃借人が見つかるという時代ではありません。
マンション経営においては、とくに最近は競合の激化・空室率の増加といった課題が顕著となっていて、これらの課題に対処するための経営力が必要になります。
さらに、マンション経営事業を拡大していくためには、金融機関に経営力を評価してもらったうえで、金融機関から継続的に融資を受けられるしくみをつくることも大切になります。
 

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マンション経営・知っておきたい8つのポイント

マンション経営で安定した収入を得るためには、借入の場合の返済計画や、空室をつくらないための対策などが大切です。
多くの場合、自己資金だけでマンション経営を始めるのは難しく、融資を活用することになると思いますが、融資を受ける場合には、金融機関から事業者として認められること、そして継続して融資を受けられるような体制をつくることも大切になります。

(1)確実に稼げる事業計画を立てる

マンション経営を行うということは、賃貸住宅の経営者になるということです。
賃貸物件が少なくオーナーの立場が強かった時代もありましたが、今は建物が増え競合がたくさんいます。したがって、「賃借人はお客様であり収益を生み出す存在」という考えがなければ、経営は成り立ちません。
そのためには、確実に収益を生み出せる事業計画を立てることが大切です。
マンション経営は、毎月定額の家賃収入があるため、比較的安定した事業といえますが、それでも空室が続いたり、家賃の滞納が発生したりするリスクがあります。また、将来的に修繕や立て替えの費用も発生します。だからこそ、これらの踏まえたうえで、数字に基づいた事業計画が重要なのです。

事業計画書とは、何にお金がかかるのか、どうすれば儲けが出るのかを考え、自己資金と借入れたお金を元手として、どのように事業を行っていくのかをまとめた計画書です。そしてマンション経営を行ううえでは、以下の6つのポイントを押さえて事業計画書を作成する必要があります。

①マンションを購入(建築)するコスト
②マンションを購入(建築)する際の調達方法(自己資金はいくら必要か、どれくらい借入できるか)
③融資を受ける際の返済計画(何年で返済するか、利息はどの程度か)
④敷金・礼金・毎月の家賃(どのくらいの収入が見込めるか)
⑤修繕費、管理手数料、光熱費等の経費、税金(どのくらいの支出があるか)
⑥空室率はどの程度か(新築では5%程度に設定できますが、築年数によって、空室率は高くなります。築10~15年以上で20%程度の空室率を想定しておく)

(2)マンションの市場調査を行う

事前の調査でお客様のニーズを正確に把握しておくことは、マンション経営の第一歩です。
マンション経営の投資額は、決して安いものではありません。空室をつくらず安定した収入を得ることができるよう、市場調査はしっかりと行いましょう。

では、空室となりにくいマンションを選ぶためには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
まずは、土地の広さ、日照、騒音問題、駅に近いか、スーパーや小中学校の利便性を満たしているかです。また、ファミリー層でなく、独身のサラリーマンをターゲットにしているのであれば、マンションのデザインにも、工夫が必要になります。
また、忘れがちなのが周辺地域の将来性です。鉄道、道路計画や再開発計画などについても、きちんと調査しておくようにしましょう。

(3)マンション経営は会社設立がおすすめ

個人でマンション経営するより会社を設立した方が、金融機関からの信用を得ることができますし、入居者にも「しっかりとしたマンション経営をしている」という印象を与えることができますが、マンション経営を法人で経営する最大のメリットは、節税効果です。

個人でマンション経営を行う場合には、収入金額から必要経費を差し引いた金額が不動産所得となり、この所得に対して所得税がかかります。
たとえば、収入金額が2,000万円で必要経費が800万円かかった場合には、不動産所得は1,200万円です。
しかし、会社を設立してこの1,200万円の全額を役員報酬として社長が受取れば、会社の所得はゼロですから法人税は課税されません。
もちろん、社長が受け取る1,200万円の役員報酬には所得税が課税されますが、所得税を計算する時に給与所得控除として220万円が差し引かれますので給与所得は980万円となり、個人事業で1,200万円の所得となるより所得税が減ります。
さらに、家族を役員にして役員報酬を分散させれば、節税効果はさらに高くなります。

(4)会社設立で相続税の節税効果も

会社経営にすると、相続税も節税になります。
親が個人でマンション経営を行う場合には、蓄積された所得が相続財産となり、相続税の課税対象となります。しかし、会社を設立して、この所得を役員報酬として家族に分散すれば、親の財産の増加を抑えることができるので、相続税の課税対象が減り、相続税額が減ります。
また、子どもは役員報酬として受取った資金を、将来の相続税の納税資金とすることもできます。

しかし、会社を設立するためには、設立費用がかかりますし、均等割という赤字でもかかる地方税が課税されたり、さらに面倒な経理作業が発生したりというデメリットがある点も考慮する必要があります。

自身の場合に、会社を設立した方がよいのか個人で経営をした方がよいのか判断ができない場合には、早めに税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

(5)会社設立で融資を受けやすくなる

マンション経営においては、融資を継続して受けるための状況をつくることが大切です。融資を継続して受けられれば、その分よい物件を取得できる機会は増え、収益性のアップが期待できます。
融資商品としては、住宅ローンやアパートローンなどがありますが、これらは継続性がなく、あくまで個人の年収や勤務先、勤務年数などから審査され、融資を受けているに過ぎません。
一方、会社を設立して事業者として融資を受ける場合には、継続性があります。融資で調達した資金を元手に利益を上げれば、銀行から新たな融資を受けることもできます。そして、このサイクルが、事業を成長させることにつながります。

ただし、会社を設立したばかりでは、金融機関からの投資は特別な場合をのぞいては期待できませんから、20%程度の頭金は用意するべきでしょう。

(6)賃借人の滞納リスクと対策を知っておく

マンション経営で大切なのは、よい入居者を見つけることです。
審査は、滞納を防ぐための最初の一歩です。書面の申込みをもらったら、細かくチェックして、賃借人の名前をネット検索してみます。

空室が続くと、多少条件を下げてでも入居者を見つけたいと思うものです。
しかし、甘い審査で入居者を決めてしまったり「敷金・礼金ゼロ」と条件を下げたりすれば、滞納する可能性の高い入居者に決まってしまうリスクがあります。
入居者が決まっても、家賃を滞納されれば、家賃収入が発生しないうえに退去してもらうにも費用がかかります。

したがって、条件を下げるのではなく、よい入居者に「入居したい」と思ってもらえるような物件を目指すことを心がけます。
古い物件でも、徹底した管理を行なえば、いい入居者を確保できる可能性があります。

オーナーチェンジ物件の場合には、入居者の書類をきっちり確認しましょう。入居者の書類がない場合には、売主が架空の入居者を入れている可能性があります。賃貸借契約書はもちろん、入居申込書、入居者全員の住民票などはきちんと確認しましょう。

(7)マンション経営の節税対策を知っておく

マンション経営では、さまざまな税金がかかります。不動産を取得した時の不動産取得税、固定資産税、都市計画税、所得税(個人の場合)、法人税(会社を設立した場合)など、実に多くの税金を支払わなければなりません。
したがって、マンション経営で手取りを増やすためには、必要経費をもれなく計上して、適切な節税対策を行うことが大切です。

①生命保険料
個人の場合には、生命保険に加入すると生命保険料控除として、保険料の一部を所得から差し引くことができます。法人化した場合には、保険の種類にもよりますが、全額を経費にすることも可能です。

②社宅家賃
賃貸物件に入居する場合には、会社として契約すれば、家賃を会社の損金とすることができます。ただし、入居している個人は会社に一定の家賃を支払う必要があります。

③出張手当
会社を設立して旅費規程を作成し、出張手当を支給する場合、この手当は会社の損金とすることができます。さらに個人が受け取った日当は非課税になり所得税や社会保険料の負担が増えません。

④退職金
会社を設立した場合には、社長の退職金を支払うことができ、この退職金を経費にすることができます。個人として受け取った退職金は、退職所得となり所得税の対象となりますが、退職所得は税制上優遇されているため、所得税が大幅に軽減されます。

⑤小規模企業共済
小規模企業共済とは、個人事業主や会社の役員が退職した場合に備えて掛金を納め、積み立てた掛金に応じて共済金を受け取れる制度です。
掛金は月額1000円から7万円までの間で自由に設定でき、その全額を所得から差し引くことができるので、非常に節税効果が高い制度です。
さらに、共済金を受けとる場合にも税制上優遇されています。

⑥経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
経営セーフティ共済とは、取引先の倒産の影響を受けて、中小企業が連鎖倒産などに巻き込まれるのを防止する制度です。
経営セーフティ共済も、法人の場合には払い込んだ掛金を全額経費にすることができます。

⑦減価償却
個人の場合には、毎年計算した償却額を計上しなければなりませんが、法人の場合、計算で割り出した償却額の範囲内であれば、減価償却費をいくら経費とするかを任意とすることができ、繰越欠損金が生じたらその期間内は減価償却費を計上しないなどの調整が可能となります。

(8)マンション経営の税務調査

マンション経営は、入出金が明確な事業であることから、税務調査の対象とはなりにくい業種です。しかし、会社であれば5年~7年に1度くらいは税務調査の対象となると言われていますから、税務調査の対象となったときに、どのような点が調査されるのかは知っておく方がよいでしょう。

まず一番見られるのは、減価償却費です。多額の修繕費が計上されている場合には、原状回復を超えて対象物の価値が増える場合には、資本的支出とみなされるので注意が必要です。

また、管理費もよくチェックされるポイントです。所得圧縮の目的で管理費を高めに設定しているケースがありますが、管理費は、一般的に家賃の5~8%が適正と言われています。また、管理状態が調査され、管理の実体がなければ指摘を受けることがあります。

事業とは関係ない私的な費用を経費として計上していないのかという点も指摘を受けるポイントです。マンション経営は、交際費などの経費が少ない業種ですから、多すぎる交際費は内容を細かく確認されることがあります。

なお、税務調査の連絡が来た場合には、なるべく早く顧問税理士に連絡します。
税理士がいれば、税務調査の際に指摘を受けた場合に納税者の代弁者として対応してくれるのでき、心強い味方となってもらえます。

まとめ

マンション経営は、競合が多く少子高齢化に伴う空室率の増加などにきちんと対応するための経営者としての視点が大切です。さらに、法人税や所得税、相続税などの節税対策も必要です。

現状を適切に分析してリスクを把握し、改善策を検討したうえで、収益性の高い事業とするためには、税理士に有効な節税対策などについてアドバイスを受けることが有効です。

また、税理士がいれば、税務調査にも立ち会ってもらうことができ、不安が解消されます。
ただ、税務署員が不動産専門の部署からやってくることを考えると、税理士を選ぶ際には、不動産経営に精通した税理士に依頼するのが望ましいといえるでしょう。

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「不動産賃貸業の個人事業主で免税事業者ですが、インボイス制度の申請時期について
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・不動産所得の税率について
「会社員の副業として不動産賃貸を始めることを検討しております。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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