公開日:2024年07月17日
最終更新日:2024年07月17日
借り上げ社宅とは、会社が賃貸住宅を借りて、従業員を住まわせる制度です。
従来は、社宅といえば会社が建物を所有するのが主流でしたが、現在は賃貸マンションを会社が借り上げるスタイルが増えてきました。
借り上げ社宅を導入すると、従業員も会社も、税負担が軽減されます。実際の家賃との差額は会社が負担するため、従業員への福利厚生費として扱われ、社会保険料の負担増加にはつながりません。
借り上げ住宅制度は、会社にとっても従業員にとってもメリットのある制度です
借り上げ社宅制度は、企業が従業員の住居として物件を借り上げ、その物件に従業員を住まわせる制度です。従業員の福利厚生の充実のみならず、税制面でもメリットのある制度です。
中小企業やいわゆるひとり社長の場合も導入しやすい制度なので、ぜひ活用して節税につなげましょう。
賃貸物件を会社が賃借し、社宅として従業員に貸付することで、家賃の一部を会社が負担することができます。会社負担分の家賃相当額を給与から減額すれば、会社にとっては社会保険料の会社負担が減りますし、従業員にとっても社宅制度を導入すると、社宅の家賃は給与として課税されないことから、社会保険料の負担は増えませんし、所得税、住民税も減って手取りが増えることになります。
結果的に所得税や社会保険料の負担が減り、節税につながるというわけです。
また、社宅制度は、採用活動でのアピール材料にもなります。
とくに若い世代は、給与額そのものより働きやすさや福利厚生を重視して、会社を選ぶ傾向があります。また、遠方から優秀な人材を採用したい場合も社宅制度をアピールするのは有効です。
「賃貸物件を会社が借りて従業員を住まわせるのであれば、住宅手当でいいのでは」と思われるかもしれませんが、住宅手当は、給与の一部として支払われるため、税金や社会保険料の対象となってしまいます。
一方、社宅制度であれば、借り上げ社宅の会社負担分は課税対象とはならず、経費に計上することができます。従業員にとっても、自己負担額が同じでも住宅手当と比べると社会保険料や所得税、住民税が減りますから、手取りが増えます。
社宅費用の一部は経費として扱えるため、企業の税負担を軽減する効果があります。
たとえば、家賃が月10万円の部屋を借り上げて社宅として従業員に住まわせ、従業員から3万円を受領して、その分従業員の給与を7万円引き下げるケースで考えてみます。
この場合、会社側は、家賃10万円が損金となり従業員から受け取る3万円が益金となります。つまり、差額の7万円を経費に計上することができます。
さらに従業員の給与を7万円下げることで、社会保険料の会社負担分も軽減することができます。
従業員にとっては、給与が7万円下がり、10万円の部屋に3万円で済めることになります。一見メリットがないように見えますが、給与が7万円下がれば、所得税や住民税、社会保険料の従業員負担分が軒並み下がるので、結果として税負担が軽減され手取り額が増えることになります。
借り上げ社宅制度を導入する場合には、借り上げ社宅に従業員を住まわせる場合「社宅管理規程」を定め、その内容に同意してもらう必要があります。そして社宅使用に関する契約書を従業員と締結します。
株式会社○○(以下「甲」という。)と従業員○田○子(以下「乙」という。)とは、本日下記の通り契約(以下「本契約」という。)を締結する。 第1条(対象) 第2条(入居) 第3条(使用料) 第4条(乙の義務) 第5条(解除) 第6条(退去) 第7条(損害賠償) 第8条(原状回復) 本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。 |
借り上げ社宅の費用は福利厚生費として処理されますが、社員からの家賃徴収部分は益金として計上する必要があります。
「従業員に借り上げ社宅を貸与している。家賃10万円のうち4万円は従業員負担分として給与から天引きしている。振込手数料は440円である。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
福利厚生費 | 60,000 | 普通預金 | 100,440 |
雑費 | 400 | ||
仮払消費税等 | 40 | ||
預り金 | 40,000 |
制度導入や会計処理の詳細を正確に行うために、専門の税理士に相談することが推奨されます。専門家による支援を通じて、法令遵守や最適な制度設計を目指しましょう。
なお節税対策は、ご紹介した社宅制度以外にもたくさんありますので、積極的に税理士に相談してみましょう。
税理士は、専門知識を持って無駄な節税対策を排除し、個々の状況に応じて本当に効果のある対策をアドバイスしてくれます。こリスクを最小限に抑えつつ、効果的な節税を実現します。税理士の助言を受けることで、法令に準じた適正な節税対策を講じることができ、経済的なメリットを最大化することができます。
freee税理士検索では、数多くの事務所の中から借り上げ社宅の導入方法や会計処理、その他の節税対策について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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・社宅か事務所かについて 「役員一人のみの小規模な株式会社です社宅?事務所?について質問です…」 |
・法人代表の自宅を法人契約する件について 「1人会社の代表取締役です。現在、鹿児島県に住んでいますが、会社の登記上の住所は東京都港区(バーチャルオフィス)です。…」 |
・法人借上げの賃貸社宅を個人事業主に貸し出す場合の、個人事業主側の地代家賃処理について 「法人の代表取締役と個人事業主は同一人物です。 ただし法人の業務内容と、個人事業の業務内容を完全に分離している状況です。…」 |
監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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