公開日:2022年06月23日
最終更新日:2022年07月07日
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に出資し、出資したその会社が株式公開することによって、株式の売買差益を得ることをビジネスモデルとした会社です。
つまり、ベンチャーキャピタルからの出資を受け入れると、IPOを目指すかM&Aによる会社売却などを目指さないわけにはいかない、ということになります。
新規事業を立ち上げ展開するためには、当然資金が必要ですし、ベンチャーキャピタルは銀行から融資を受けにくい起業間もない会社に対しても、積極的に投資してくれるというメリットがあります。
しかし、資金提供を受ければ当然制約が生まれます。
ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には、自社の事業をどうしたいか、どこを目指すのかといった点を慎重に吟味しながら、検討する必要があります。
ベンチャーキャピタルとは、出資先の会社が金融商品取引所へ上場(IPO)することで、投資資金回収するビジネスモデルのことをいいます。
最近は、IPO以外にM&Aによる投資資金回収も意識されるようになり、ベンチャー投資の機会や種類、金額規模も増加傾向あります。
投資家の種類も、ベンチャーキャピタル(VC)のみならず、個人投資家(エンジェル投資家)、事業会社運用するコーポレート・ベンチャー・キャピタルなど、多種多様な形態があります。
ベンチャーキャピタルがお金を出すのは「投資」ですが、銀行がお金を出すのは「融資」です。
銀行からお金を借りた企業は、金銭消費貸借契約に基づき、必ず返済しなければなりません。
一方、ベンチャーキャピタルとベンチャーキャピタルから出資を受けたベンチャー企業は、「会社とその株主」という関係になります。出資を受けたベンチャー企業は、株主に対してお金を返済する義務はありません。
ベンチャーキャピタルは、投資したお金を、ベンチャー企業がIPOやM&Aによって株式売却することで回収することになります。
ベンチャーキャピタルは、政府系、銀行系、証券会社系、独立系、事業会社系、業種特化系、外資系など、さまざまな種類があります。
ベンチャーキャピタルごとに投資のスタンス、審査や評価の基準は異なりますので、それぞれの特色を理解したうえで、交渉するべきです。
ベンチャーキャピタルからの資金調達に精通している公認会計士・税理士に相談すれば、どのベンチャーキャピタルと接触すればよいか、どのように交渉するべきかなど、細かくアドバイスをしてもらうことができます。
ベンチャーキャピタルは、将来IPOを狙えるような有望な会社に対して投資を行って、IPO後に株式を市場で売却して、その差益を得ることを目的としています。
したがって、ベンチャーキャピタルから投資を受けるためには、その会社がIPOを狙えるほどの優れた技術やサービスを持っていることが前提であり、さらにベンチャーキャピタルの審査・評価を経てから投資を受けることになりますので、ハードルはそれなりに高いと言えます。
資金調達のプロセスは、ベンチャーキャピタルによって異なりますが、通常は①投資先との接触②必要資料の提出③審査・評価④条件交渉⑤投資契約締結⑥投資後の育成・支援というプロセスを経ることになります。
投資を受けたいベンチャーキャピタルを選択して、そのベンチャーキャピタル直接コンタクトして自社を売り込むこともできますが、公認会計士や税理士からベンチャーキャピタルを紹介してもらうこともできます。
また、ベンチャーキャピタル側としても常に投資先を探していますので、新聞やインターネットを見たベンチャーキャピタルから連絡が来ることもあります。
ベンチャー企業は、秘密保持契約書(NDA)を交わして、事業計画書などの必要資料を提出します。主な書類としては、事業計画書、事業の概況、増資計画、最近3期分の決算書、株主名簿の提出が求められます(※後述)。
事業計画書、決算書などを提出したら、ベンチャーキャピタルはその会社に投資をすることが可能かどうか、審査・評価を行います。
ベンチャーキャピタルは、IPOが比較的短期間で可能な事業を営む企業に、投資をしたいと考えています。
独創的な新技術を開発しているベンチャー偉業であっても、市場ニーズがなければ意味がありませんし、たとえ自社で新技術を開発していなくても、他社が新技術によって創造した市場の関連分野を事業領域としている会社であれば、成長市場に食い込める可能性があることから、ベンチャーキャピタルは投資に積極的になるでしょう。
審査・評価の結果、投資について前向きに検討されることになれば、投資額・株価などの条件交渉を行います。
投資をする側であるベンチャーキャピタルは、自身に有利な投資契約を臨みます。つまり、低い株価で大量の株式を欲しいということです。
投資契約書には、ベンチャー企業側に不利になる規定が入っている可能性がありますので、必ずファイナンスに詳しい公認会計士、税理士、弁護士などのプロのアドバイスを受けることをおすすめします。
投資の条件交渉がまとまったら、投資契約を締結します。
この際締結される投資契約としては、投資家が株式を取得する際の投資実行条件を中心に定めた「投資契約」、投資実行後の主要な投資家と発行会社及び創業株主との権利義務等を取り決めた「株主間契約」、経営支配権の変更が伴うようなM&Aによる投資資金回収に関する事項を取り決めた「財産分配契約」などがあります。
投資後は、IPOを目指すために、投資先の育成支援を実施します。
育成支援の方法は、各ベンチャーキャピタルによって異なります。
経営のモニタリング程度しか行わないケースもありますし、積極的な技術支援、営業戦略サポートを行うケースもあります。
ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には、その検討材料としてを検討してさまざまな書類の提出が求められます。
東京中小企業投資育成株式会社では、相談時には最近3期分の決算書、株主名簿、申し込み時には、事業計画書、事業経歴書、役員等の略歴、製品カタログ等が必要とされています。
一般的には、このほかに定款、登記簿謄本、資金繰り表、資本政策案などの資料の提出が求められることもあります。
原始定款と、定款変更している場合には、最新の定款を用意します。
その際には、定款の中身も十分に確認するようにしましょう。
法務局で最新の登記簿謄本を入手します。
登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続を行うこともできます。
予想損益計算書、予想貸借対照表、予想キャッシュ・フロー計算書なども作成しておく方が望ましいでしょう。これらの資料は、矛盾なく説得力のある内容である必要がありますから、事前に公認会計士や税理士などのチェックを受けることをおすすめします。
資本政策案とは、投資元本が将来どのように成長するかを把握するための資料です。
少なくとも、現在までの株主構成の変化や株価の推移を確認できる資料が必要です。
貸借対照表、損益計算書などの決算書、法人税申告書は税務署の受領印が押印されたものを準備します。
倒産先への売掛金、回収不能な売掛金が貸借対照表に計上されていたり、長期間売れ残っている滞留在庫などがあったりすると、マイナスポイントになります。
また、賞与引当金の計上忘れや退職給付引当金の計上忘れなども、同様に費用過少計上となりマイナスポイントになります。
決算書・申告書の内容は、予め税理士や会計士にチェックしてもらいましょう。
株主総会が商法上の手続きに従って、適切に開催されているか、株主総会議事録が作成保管されているか、名目取締役はいないかといった、内部管理体制もチェックされるポイントとなります。
役員の職務の要約を会社別に具体的に書きます。
記載例
○○年4月 ○○株式会社入社 |
会社案内のパンフレット、サービス・製品カタログを作成している場合には、準備しておきます。
自社が取材されたり紹介されたりした新聞や雑誌の切り抜きがあれば、必ず参考資料として添付しましょう。
会社の事業経歴書は、法人名、代表者名、所在地、設立年月日、事業経歴などを記載します。
記載例
会社沿革 |
ベンチャーキャピタル向けの事業計画書は、主に以下の構成で作成します。
・エグゼクティブサマリー エグゼクティブサマリーとは、事業計画書の要約のことです。 ベンチャーキャピタルのなかには、この部分しか読まないというケースも多々ありますので、内容をすぐに判読できるように、誰が見ても分かりやすいビジネスプランの要点を箇条書きにするなどしてまとめておきましょう。 ・経営理念・経営目標 ・会社概要 ・事業概略 ・事業コンセプト ・財務モデル |
ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には、必要資料を揃えるだけでも所要時間は相当な負担となります。社内人員だけでこれらの準備を行うとなると、日常業務に支障をきたす可能性があります。
したがって、ベンチャーキャピタルからの出資を受けたいと考えたときには、本業を疎かにしないためにも、ベンチャーキャピタルの投資実務を理解した税理士、公認会計士などのサポートを受けることは、実際的な解決方法のひとつといえるでしょう。
freee税理士検索では数多くの事務所の中から、ベンチャーキャピタルから出資を受ける際の必要書類の作成や、その他の資金調達について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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