ベンチャーキャピタル(VC)が出資したい企業とは

公開日:2019年11月15日
最終更新日:2020年01月28日

目次

  1. ベンチャーキャピタル(VC)とは
    • ベンチャーキャピタルの種類
  2. ベンチャーキャピタル(VC)が出資したい企業とは
    • 経営者の熱意・理念・実績
    • 商品・サービスの差異化
    • 成長市場であるか
    • 株主公開(IPO)の可能性
  3. ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けるプロセス
    • 投資案件の発掘
    • 投資案件の審査・評価
    • 投資条件の検討と交渉
    • 投資決定と投資契約
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方

ベンチャーキャピタルから出資を受けるためには、まずベンチャーキャピタルのビジネスモデルを理解して、「VCが出資したい企業とは、どのような企業なのか」を理解する必要があります。

最近は、会社設立から10年未満の企業が毎年数10社も株式公開を成し遂げています。
これらのスピード株式公開を成し遂げた企業の多くが、創業間もない時期にベンチャーキャピタル(以下VC)からの出資を受けて成長をしています。
つまりVCを上手に活用すれば、起業して間もないベンチャー企業でも短期間で株式公開することが可能なのです。

この記事では、VCが出資したいと思う企業や、どのようなポイントを精査するのかについてご紹介します。

▶ 出資(VC / 個人投資家など)に強い税理士を探す

ベンチャーキャピタル(VC)とは

ベンチャーキャピタル(VC)とは、ベンチャービジネスに出資して、その出資先企業の株式を安く買い、その出資先が株式公開をして株価が上昇した時にその株式を高く売って、キャピタルゲインを得ることを目的とした投資専門会社です。

ベンチャービジネス(Venture-Business)に資金(Capital)を提供するので、それぞれの頭文字をとって「ベンチャーキャピタル」(VC)と呼ばれています。

銀行などの金融機関は「融資」ですから、融資を受けた企業は債務者となり返済義務を負います。これに対してVCから投資を受けても返済義務は生じませんが、VCは出資した分に見合うリターンを求めます。
つまり、銀行は「将来返済してもらえる安定した企業であること」を評価し、VCは「将来株価が上がりキャピタルゲインを得ることができる可能性」を評価していることになります。

ベンチャーキャピタルの種類

VCといってもさまざまな組織や会社があります。
企業経営に深くかかわり、パートナーとして一緒に企業価値を向上させようとする「ハンズオン型VC」や、出資はするが経営にはあまり口を出さない「サイレントVC」など、VCによって出資後の関わり方はさまざまです。
また、専門性の高い事業、先端技術が関わる事業に特化して出資を行っているVCもあります。

VCの種類 概要 投資先企業のステージ 投資対象分野 経営への関与 代表例
政府系VC 政府や公的機関が運営 特に限定しない 限定しない 投資先企業の状況によって異なる。原則として投資先の経営の自主性を尊重する。 ・産業革新機構東京中小企業投資育成
・新規事業投資
証券会社系VC 証券会社の子会社 創業期投資にも積極的 限定しない(バイオ系、IT系に積極的) 積極的に経営関与する場合もある(リードインベスターとして投資する企業には積極的に関与する)。 ・SMBCベンチャーキャピタル
・ジャフコ(野村証券系)
・NIF SMBC ベンチャーズ
銀行系VC 大手銀行、地方銀行、信用組合などの子会社 創業期投資(利益が計上されていない段階)には消極的な傾向 限定しない 投資先企業の状況によって異なるが、消極的なケースが多い。 ・みずほキャピタル
・三菱UFJキャピタル
独立系VC 特定資本から独立 特に限定しない 特に限定しない 各VCによって大きく異なるが、対象分野を限定していない場合には、それほど積極的に関書しない・コンサルティング会社が母体のVCの場合には、比較的積極的に関与する。 ・日本ベンチャーキャピタル
・グロービスキャピタルパートナーズ
・Globespan
業種特化系VC 特定の業種に特化 創業期投資にも積極的 IT系、バイオ等、VCごとに投資分野を絞っている(本業とのシナジー効果を追求する傾向がある)。 豊富なビジネス上のノウハウ、ネットワークを活用するなどなど積極的に関与する ・サイバーエージェント
・インフィニティ・ベンチャー・パートナーズ
・デジタルガレージ
・YJキャピタル

▶ 出資(VC / 個人投資家など)に強い税理士を探す

ベンチャーキャピタル(VC)が出資したい企業とは

以上のことから、VCがキャピタルゲインを得られる可能性が高い企業が、「VCが出資をしたいと思う企業」ということになります。
つまり、VCは支援を目的としているのではなく、出資で儲けることを目的としているのです。

したがって、どんなに黒字の会社でも株式上場できる規模まで成長できないような企業は、出資対象とはなりません。「黒字を出して設けている会社」というだけでは出資をしてもらえないのです。
株式公開(IPO)する可能性があるか、経営者にそれだけの熱意や実績があるかなどを厳しくチェックし、そのうえで投資する会社を選択します。
VCが投資をする際に最も重視する検討事項は、以下の4つです。

①経営者
②商品・サービスの差異化
③成長市場
④株式公開(IPO)する可能性

経営者の熱意・理念・実績

経営者、経営陣の質は最も重視されるポイントです。その分野での実績や経験が豊富か、明確なビジョンがあるか、戦略は適格かなどがチェックされます。
JAFCOや日本アジア投資の社長を歴任した日本のベンチャーキャピタリストの第一人者である今原禎治氏は、成功する起業家の資質として「強い体力」「過剰なくらいの自信」「チャレンジする目標の設定」「リスクを恐れない」「専門家を上手に活用する」「批判を受け入れる姿勢を持っている」などを挙げています。

したがって、経営者や経営陣が魅力的である必要があるのはもちろんですが、著名な経営者に株主になってもらうのも効果的です。すでに上場に成功しているような著名な経営者が出資している企業には、VCが好印象を持つ可能性があるからです。

商品・サービスの差異化

製品・商品・サービス・技術・ノウハウが、価格や機能、品質において競争を勝ち抜くだけの価値があるか、差異化が図られているかがチェックされます。
もし自社のターゲットとする市場が小さい場合でも、競争があまりなければ高い収益性を確保できる可能性があります。しかし、だからと言って「競合はいません」と主張するのは、禁物です。アメリカの有力バイアウト会社のパートナーであるリック・リッカートセンは著書の『バイアウト』で、「競争が激しくなくて魅力的な業界は存在しない」と述べています。
したがって、事業計画では新規参入の脅威や業界内の競争業者の敵対関係の強さなどを、しっかり分析しそれでもなお、競争を勝ち抜くだけの力があるということを示す必要があります。

成長市場であるか

ターゲットとする市場の方向性や、参入のタイミングなどが適切かどうかが重視されます。市場自体が成長して規模が大きいほど、自社事業も成長する可能性が高いからです。
したがって、VCの審査の前には徹底的な市場調査を行う必要があります。投資を行うVCも当然投資対象の市場分析を行っていますから、「当社のサービスは、世の中にまだないものです」とか「競合はほとんどいません」などいうと、市場調査を軽視していると捉えられてしまい、VCからの評価が一気に下がります。

各業界団体のホームページや官公庁のホームページから情報を得たり、シンクタンクの市場調査情報を購入したりして、説得力のある数値に裏付けられた調査データを提示できるようにしましょう。

株主公開(IPO)の可能性

VCは支援を目的としているのではなく、出資で儲けることを目的としていますから、「株主公開(IPO)の可能性があるのか」「それはいつなのか」などがチェックされます。
したがって、どれだけ収益を上げていても、将来株式公開しようと考えていない企業は、VCの投資対象とはなりません。

ただし、IPOを目指すとかなりの費用がかかり、時間がかかります。
上場3年前までには、上場予定時期を決定して上場準備室を設置し、監査法人や主幹事証券会社を決定する必要がありますし、申請書類や資産書類を作成する必要があります。

また、証券会社へのコンサルティング報酬や監査法人への監査報酬、申請書類などの印刷代、株式事務代行手数料など、株式上場までにはトータルで数千万円から数億円かかることになります。

さらに、株式公開の可能性がないと判断された場合には、資金回収に走られることになります。VCから出資を受ける際にはこのようなリスクがあることも十分理解しておくことが必要です。

▶ 出資(VC / 個人投資家など)に強い税理士を探す

ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けるプロセス

企業がVCから資金調達をするためには、事業計画と資本政策案を作成して、VCとコンタクトをとり、投資を受けるための条件交渉を行い、契約締結する必要があります。

VCからの資金調達プロセスは主に、以下の流れで進みます。

投資案件の発掘

VCは、新聞、雑誌、ネットのプレスリリースから各種メディアから投資案件(ディール)を発掘しています。ただし連絡がきて話をしても、その後何も連絡がなくなったというケースも非常に多いのが実情です。
なお、VCに直接連絡をとる企業もありますが、VCは、ホームページからのアクセスや直接電話をかけてくる会社を好みません。良質な投資案件は、飛込ではほとんど来ないと考えているからです。
したがって、新聞、雑誌、ネットのプレスリリースなどでアピールをしたり、会計士に紹介を依頼したりして、VCとコンタクトをとるための対策をとる必要があります。

投資案件の審査・評価

VCと接触後は秘密保持契約書(NDA)を取り交わし、事業計画書など投資審査に必要な資料をVCに提出して、審査・評価を受けます。自社の取引先に対してリファレンスチェック(側面調査)を求められることもあります。
VCの審査・評価を受けるためには、定款、登記簿謄本、過去3期分の決算書、事業計画書、資本政策、資金繰り表などさまざまな資料が必要です。

注意点
定款 原始定款と、その後定款変更している場合には、最新の定款も用意する。
登記簿謄本 法務局で、最新のものを入手する。
決算書・税務申告書 法人税申告書は、税務署の受領印が押されたもので、決算書・勘定内訳書も添付されている必要がある。
月次残高試算表 直近月まで用意する。
事業計画書 少なくとも予想損益計算書は作成する。可能であれば予想貸借対照表、予想キャッシュフロー計算書を作成するのが望ましい。
資金繰り表 半年ほどの月次もしくは日時の資金繰り表を用意する。
借入金返済予定表 長期・短期、借入先別に作成する。
資本政策 VCにとって、投資原本がどのように将来成長するかを把握するための資料なので、これまでの株主構成の変化、株価の推移を確認できる資料を用意する。
株主名簿 株主名簿には以下の事項を記載する。
①株主の氏名・住所
②各株主の保有する株式数・種類、株券の番号・記号
③各株式の取得年月日
公認会計士・監査法人のショートレビュー 既に監査法人のショートレビューを受けている場合に必要となる。
自社の製品・サービス・技術に関する説明資料 会社案内のパンフレットや製品・サービスカタログ、新聞や雑誌等に掲載された時の資料
役員の履歴書 社長、役員の履歴書を作成する。
特許等 特許等があれば、その特許明細書、特許調査資料等

これらの資料を提出して数回面談をして、投資を本格的に検討してもらえる状況になったら、デューデリジェンスを受けることになります。
デューデリジェンスとは、投資先の財政状態を調査することです。このデューデリジェンスがスタートする前には、秘密情報を漏らさないなどの契約(NDA)を締結しておくことになります。

投資条件の検討と交渉

審査・評価の結果、前向きに検討することになると、VCと投資額や株価などの交渉を行います。なかでも株式の発行価額は最も重要なポイントです。
上場前の会社の場合には、上場会社のように客観的な株式評価がないので、投資家と会社側との間の交渉で株価が決定します。
この時、株価が低すぎると必要な資金を調達できませんし、高すぎても将来追加増資が必要な時に、協力を得られない可能性があるからです。

VCと株価交渉を行う際には、すでに公開している同業他社の株価を複数提示して、それらと比較して現時点では自社の株価が決して割高ではないということを説得すると効果的です。

投資決定と投資契約

投資の条件交渉がまとまったら、VCの投資委員会の承認を経て投資が決定します。その後VCと投資契約を締結します。
投資契約書には、投資を受ける企業側にとって不利になる規定が入っている可能性もあります。したがって、契約を締結する際には、必ずVCに精通している会計士や弁護士などの専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

▶ 出資(VC / 個人投資家など)に強い税理士を探す

まとめ

  • VCとは、キャピタルゲインを得ることを目的とした投資専門会社。
  • VCから出資を受けたい時には、「VCが出資したい企業」を理解する必要がある。
  • VCは「将来株価が上がりキャピタルゲインを得ることができる可能性」を評価する。

以上、VCが投資したいと思う企業についてご紹介しました。
VCが投資をしたい企業は、経営者に魅力があり事業が成長市場にあり、競合他社より魅力がある事業で、株式公開を目指している企業です。
また、審査を受ける前には、多くの資料を提出して何度も面談を行う必要があります。
これらの作業をすべて自社でこなすと、本業に支障が出てしまうこともあります。
VCから投資を受けたいと思う場合には、早めに税理士や会計士に相談し、必要な資料の作成などについてサポートを依頼するようにしましょう。

税理士をお探しの方

税理士検索freeeでは2,000以上の事務所の中から「融資・資金調達に強い」「ITに強い」「決算コンサルティングが可能」「女性が担当」などの様々な条件で希望に合う税理士・会計士・社労士の認定アドバイザーを検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
出資(VC / 個人投資家など)に強い税理士を探す

出資(VC/個人投資家など)にノウハウを持つ税理士を探す

地域から出資(VC/個人投資家など)に実績がある税理士を探す

より細かいカテゴリから税理士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop