補助金の公募から受給までの流れ

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2022年03月28日

この記事のポイント

  • 補助金は、返済不要の資金だが、要件や審査がある。
  • 補助金の内容や要件は、頻繁に変更されるので、こまめな確認が必要。
  • 補助金は、政権が変わると予算配分が大きく変更されたりするので、タイミングが大切。

 

補助金とは、経済産業省や各自治体などが実施する返済不要の資金です。
補助金は申請すれば誰でももらえるわけではなく、「○○を行うために実施する」という具体的な目的があり、その目的に合致していなければ交付を受けることはできません。また、審査や面接が必要となることがありますし、申請期間や使用用途にも制限があります。
また、補助金の制度の内容や要件も、政策方針によって毎年内容が変わるためこまめに確認する必要があります。

補助金とは

補助金とは、経済産業省や各自治体などが、新しいアイデアや技術を持つ企業を補助するために実施する返済不要の資金です。
補助金は国民から徴収した税金を財源としていて、政策目的に該当する事業に補助金を交付することでその事業を後押しし、政策を推進させることを目的としています。
たとえば、「C02などの温暖化ガス削減」が政策のひとつであれば、C02の排出を減らす設備投資についての補助金が設けられます。
制度ごとに運営事務局や手続き、必要書類が異なり、また政権が変わると予算配分が大きく変わったりします。

(1)補助金と助成金の違い

補助金のように返済不要の資金としては、助成金があります。
補助金は、主に経済産業省や自治体が実施していますが、助成金は主に厚生労働省や自治体が実施しています。
厚生労働省の実施する助成金は、主に雇用の安定や労働環境の改善を目的としていて、通年で50種類ほど用意されています。

交付される金額は補助金より低いケースがほとんどですが、受給条件に該当し申請をすれば、補助金よりも高い確率で受給することができます。

助成金 補助金
管轄省庁 厚生労働省が中心(ただし、経済産業省や自治体が実施しているものもある) 経済産業省および自治体が中心
支援の目的 主に雇用関係(雇用の増加・安定、能力開発など) 技術開発、商店街活性化、CO2削減など
難易度 条件に該当し申請すれば、高い確率で受給できるケースがほとんど 倍率が高い(10倍〜20倍)
金額 数10万円〜100万円程度 数100万円〜数億円(5000万円程度が中心)
募集期間 通年 1年に1度

(2)補助金と委託費(委託事業)の違い

補助金と似たもので「委託費」があります。委託費も返済不要の資金ですが、国から事業を委託される事業であることを意味します。

補助金は、事業にかかった費用の一部しか補助されないケースがほとんどですが、委託費は補助率が100%(つまり自己資金ゼロ)という大きな違いがあります。

補助金 委託費
補助率 1/2、1/3など 100%
交付の方法 交付の決定 委託契約の締結
資産・知財の帰属 補助事業者 国(一部委託先に帰属する場合もあり)

補助金の種類

補助金の種類は3,000種類以上あるともいわれていますが、期間限定の補助金も多く、毎年内容が変更になるケースも多いものです。
したがって、「今年は準備が間に合わなかったが、来年は申請しよう」と思っていると、その補助金が来年はもうなかったりすることがあります。
したがって、ここでは補助金のなかでも比較的毎年募集を行っている補助金について、ご紹介します(※ただし、前述したとおり情報は毎年変更しますし、募集期間が終了していることもあります。予めご了承下さい)。

(1)設備投資系補助金

設備投資系補助金は、省エネや産業の競争力強化を目的に設備投資する費用を補助する資金です。
エアコンやLEDの入替費用を補助したり、設備の新規導入費用を補助したりする内容のものなどがあります。
省エネの補助金の倍率は2倍ほどで、補助金のなかでも比較的受給しやすいといえます。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁

(2)ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金は、国際的な経済社会情勢の変化に対応し、経営力向上につながる革新的なサービス開発、試作品開発、設備投資などを支援するための制度です。

中小企業が機械装置、計測機器、ソフトウェアなどに設備投資をしたり、ものづくり基盤技術を活用した設備投資や技術開発などを行ったりした時に、活用することができます。

参照:経済産業省 中小企業庁「ものづくり(サービス含む)中小企業支援」

(3)小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、人口減少や高齢化が進む地域の需要変化に応じた取り組みを行う小規模事業者を支援するための補助金です。

小規模事業者で、商工会議所・商工会の管轄区域内の事業者が、販路拡大や売上向上に向けて移動販売を行ったり、販促活動を行ったりした時に利用することができます。

参照:経済産業省 中小企業庁「小規模企業支援」

(4)創業補助金

創業補助金は、新たに創業する人に対して、創業に必要な経費の一部を補助する制度です。一定の要件に該当することが必要で、人件費、旅費、備品・設備等費、広報費、外注費などが補助対象経費となります。

参照:経済産業省 中小企業庁「創業・ベンチャー支援」

(5)事業承継補助金

事業承継補助金は、事業承継をきっかけとして、経営革新や事業転換を行う人が利用することができる補助金で、その新しい取り組みにかかった経費の一部を補助します。
事業承継を行う者であること、地域経済に貢献する中小企業者であることなどの要件に該当することが必要です。
人件費、旅費、備品・設備等費、広報費、外注費などが補助対象経費となります。

参照:経済産業省 中小企業庁「事業承継」

補助金公募から受給まで

補助金制度の多くは、国が認定した「経営革新等支援機関」のサポ―トを受けることが要件となっています。
経営革新等支援機関とは、一定以上の専門知識や実務経験がある者に対して、国が認定した公的な支援機関のことをいいます。
したがって、補助金の公募情報はリアルタイムで把握できるように、経営革新等支援機関の税理士や、補助金の情報に精通している税理士に相談しておくのがおすすめです。

(1)補助金の公募

補助金の公募は、それぞれの事務局のホームページに掲載されています。
募集期間は数週間から1カ月程度であるケースがほとんどなので、常に注意していないと、いつの間にか募集期間が終わっていた……ということになりかねませんので、注意しましょう。
なお補助金によっては、公募の全簿に説明会が開催される場合もあります。
ただし、説明会への出席が審査に影響することはありません。

(2)申請書類の提出

申請書類一式を期日までに提出します。
申請書類は制度によって異なりますが、一般的には事業計画書や経費明細表などが必要となります。
事業計画書は、それぞれの補助金ごとの審査基準に合わせて作成する必要があります。
したがって、申請する補助金を決めたら、その補助金の公募要領、申請条件などをまずしっかり読み込み理解しておく必要があります。
また、同じ補助金でも審査項目の内容は毎年異なりますので、その年の補助金の内容を適切に把握し、併せて以下の点に注意しながら、ていねいに作成しましょう。

審査基準を満たしている根拠を示す
審査項目の審査基準を理解したら、その審査基準を満たしている根拠を具体的に示します。この時、単に「審査基準の技術的能力を有しています」と記載しても何の説得力もありません。「どのような内容の技術的能力があるのか」「その技術的能力は、何を達成できるのか」など、第三者にも理解できるような具体的な根拠を示す必要があります。

専門用語は使わない
補助金申請が不採択となってしまう事業計画書には、業界の人しか分からないような専門用語を使っているケースが目立ちます。
審査員は、業界に精通している人ばかりであるとは限りませんし、審査件数はたくさんあります。最初から読む気にならないような事業計画書は、どうしても不利になってしまいます。

思い入ればかり強調しない
自社の技術やサービスを自慢しているだけで、その理由が明示されていないケースも不採択となりがちです。
思い込みや思い入れだけで事業計画書を作成せず、客観的な事実と情報も示しながら説明する必要があります。

目標を明確に数値化する
設備導入など補助事業を実施することで、具体的に何が何%改善されるのか、コストが何円下がるのか、何秒製造時間が減少するのかなど、具体的に数値化された目標を記載すると、理解されやすい事業計画書となります。

現状の把握・分析を行う
自社の財務状況、競合他社の動向や市場の推移などの現状把握や分析をしないまま、将来の計画を立てても、説得力をもった事業計画書とはなりません。
また、現状の把握・分析を行っていたとしても、計画と整合性がとれていなければ、やはり説得力に欠けてしまいますので、注意しましょう。

税理士に相談する
多くの中小企業経営者、小規模事業者にとって、税理士はもっとも身近な経営相談先といえるでしょう。税務処理や資金調達、経営に関するアドバイスを受けることができますが、補助金の相談に乗ってくれる場合もあります。
顧問税理士が補助金申請作成に精通していない場合には、補助金の採択実績がある税理士に相談するのもよいでしょう。

(3)書類審査・面接

書類審査が主な審査です。書類審査が通過した後、面接による審査が行われることもあります。
書類審査や面接で、「この事業は、制度の目的に合致し、社会の役に立ち、成長する見込みがある」と判断されれば、補助金事業と認められます。

(4)採択の決定

採択された場合には、採択通知が郵送されてきます。
補助金は、採択されたらすぐに交付されるものではなく、事業完了時にかかった費用の一部が補助されます。つまり「後払い」です。
したがって、補助金交付が決定したら「交付申請書」を事務局に提出する必要があります。

(5)補助金事業開始

交付申請書を提出すると、1~2週間程度で交付決定通知が郵送されてきますので、その後に補助金事業を開始します。
この交付決定の前に行なった事業の費用は、補助対象外となってしまうことがありますので、スタートのタイミングには注意が必要です(ただし、事前着手申請などが可能なこともあります)。
事業が開始したら、定期的に事業の進捗状況を報告します。
事業実施期間中には、中間審査が行われることもあります。

(6)補助金の交付

申請書に記載した事業完了期限までに補助金事業の実績報告書を提出します。
この実績報告書をもとに事業が実施されたか確認するための「確定検査」が実施されます。この検査結果に基づき、最終審査が行われ、補助金の支給額が決定し、「清算払い請求」をした後、補助金が交付されます。
なお、申請が通って補助事業として認定されたとしても、計画通りに事業が進まない場合には、補助金額が削減されることもあります。

まとめ

補助金はさまざまな種類があり、それぞれの補助金の趣旨に沿った事業計画書の作成が必要なほか、決算書などの書類の提出が求められることがあります。
また、事業計画書のなかでは、説得力のある売上・利益計画を示す必要があります。
客観的に見ても納得できる売上・利益計画の作成は、補助金申請に精通した税理士等の専門家に相談する必要があります。

補助金申請について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から補助金申請について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

助成金 / 補助金に強い税理士をさがす

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、補助金申請について相談することができます。

クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計なら会計帳簿作成はもちろん、日々の経理業務から経営状況の把握まで効率的に行なうことができます。ぜひお試しください!




PageTop