よくある5つの相続・贈与トラブル事例と税理士に相談する5つのメリット

公開日:2019年04月19日
最終更新日:2019年04月20日

目次

  1. 相続・贈与でトラブルは増加傾向に
    • 裁判所の司法統計
    • 5,000万円以下が一番モメる
  2. よくある相続・贈与トラブル5つのケース
    • (1) 「長男には自宅」の罠
    • (2) 最も多い「名義預金」トラブル
    • (3) タワーマンションは節税にならない?
    • (4) へそくりに税金がかかる?
    • (5) 同居親族は遺産を多くもらえる?
  3. 相続・贈与問題を税理士に相談する5つのメリット
    • (1) 相続・贈与トラブルを防止できる
    • (2) 節税できる
    • (3) 納税資金を計画的に確保できる
    • (4) 相続税申告まで依頼できる
    • (5) 税務調査対応も依頼できる
  4. まとめ
    • 相続に強い税理士をお探しの方
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この記事のポイント

  • 相続トラブルは年々増加傾向。特に5,000万円以下のケースが多い。
  • 相続対策を行うことで、ほとんどのトラブルは回避することができる。
  • 税理士に依頼すれば相続対策から相続税申告までスムーズに行うことができる。

 

相続対策を行う際には、節税という面ばかりに目がいきがちですが、もっとも大切なのは相続トラブルを防止するという視点です。

裁判所の司法統計によれば、親族間の相続トラブルは年々増加傾向にあり、なかでも最も多いのが遺産の価額が5,000万円以下のケースです。つまり一般的な家庭でも相続・贈与トラブルは十分起こり得るのです。
このような相続トラブルは、早めに税理士や弁護士に相談することで回避できるケースがほとんどです。
ここでは、よくある相続・贈与トラブル5つのケースと、相続・贈与問題を税理士に相談する5つのメリットについてご紹介します。

相続・贈与でトラブルは増加傾向に

「遺産トラブルなんて、一部のお金持ちの話だろう」と考える人も多いと思いますが、ここ数年は、遺産相続をめぐる裁判事件は年々増加傾向にあり、家庭裁判所が関与しないケースも入れればさらに増加していることが予想されます。

裁判所の司法統計

裁判所の司法統計で見ると、相続トラブルに関する件数は、ここ10年で約3割増となっています。
平成29年(2017年)の司法統計では12,000件を超えていて、そのうち1,993件で当事者間に合意がまとまらないなどで調停は不成立となり、審判手続きに移行したとみられます。
調停が不成立となり審判手続きに移行すると、解決までさらに何年もかかってしまうことになります。

参照:司法統計「遺産分割時件数」

5,000万円以下が一番モメる

裁判所の司法統計で見ると、遺産分割事件のうち4分の3は、遺産の価額が5,000万円以下のケースで、遺産の価額が5億円以上の遺産分割事件は、全体の1割にも満たないことが分かります。
つまり、ごく一般的な家庭の方が、多くの相続トラブルが起きやすいということ、そして、多くの財産を持つ資産家は、相続トラブルを回避するために事前にしっかりと対策を行っていることが理由のひとつとして考えられます。

引用:司法統計「遺産分割時件数・遺産の内容別」

よくある相続・贈与トラブル5つのケース

前述したとおり、相続トラブルは年々増加傾向にありますが、それではこれらの相続トラブルは、どのようなケースで発生するのでしょうか。
ここでは、よくある相続・贈与トラブルを集めました。
事前に対策をとらないことで、どのようなトラブルに直面するのか知っておきましょう。

(1) 「長男には自宅」の罠

Aさんには3人の子どもがいました。
「長男には2,650万円の自宅を譲り、次男と長女は5,300万円の預金を半分ずつ分けるように」と遺言書で残しておきました。3人の子供達もこの遺言書の内容に異存はありませんでしたが、実際に相続する時になって相続税の問題が生じました。
相続税が、3人の子どもがそれぞれ100万円かかることになったのです。
次男と長女は預金を相続しているので、そこから納税することができましたが、長男は自宅を相続したため、納税のための100万円を別に用意しなければならなくなったのです。

相続税には基礎控除があり、一定額までは相続税がかからないルールになっています。
これまでの税制では、Aさんの3人の子どもが相続するのは7,950万円で相続税の基礎控除の範囲内だったので、相続税はかかりませんでした。

5,000万円+(1,000万円×法定相続人の人数3人)=8,000万円

しかし、平成27年(2015年)の税制改正により、基礎控除が4割も削減されたため、Aさんの3人の子供達も課税対象となることになったのです。

3,000万円+(600万円×法定相続人の人数3人)=4,800万円

この税制改正では、課税対象の相続人が56,000人から約106,000人に増えたと言われていて、実際相続税の課税割合の推移も平成27年(2015年)を境に2倍に増えています。相続税は、決して一部のお金持ちだけの問題ではなくなったのです。

参照:国税庁「平成28年分の相続税の申告状況について 付表2」

(2) 最も多い「名義預金」トラブル

Bさんは、妻のために妻の名義で毎年300万円ずつ貯金をしていました。
妻は「自分の名義の預金なのだから」と相続財産ではないと思っていましたが、通帳や印鑑は生前Bさんが管理していたことからBさんのものとみなされてしまいました。そして、「この預金にも相続税がかかる」と言われてしまいました。

実は、預金の名義を変えただけでは、贈与とみなされません。
贈与と認められるためには、贈与を受ける側が贈与されることを認識し、その預金を管理していたことなどが必要なのです。
「自分の名義なのだから、相続財産に入れなくても大丈夫だろう」といった考えで相続財産から外しておくと、税務調査で徹底的に追及されてしまうことになります。
贈与のトラブルの中で最も多いのが、こうした名義預金に関するものです。

「相続税の税務調査~最大のポイントは名義預金」を読む

(3) タワーマンションは節税にならない?

資産家Cさんは、節税対策としてタワーマンションを購入することを検討していました。
マンションは高層階になればなるほど眺望が良くなることから、同じマンションでも1階と最上階では2倍以上の価格差になることもありますが、これまでの税制では固定資産税評価額が同じなので、高層階を購入することで節税につながると考えたのです。

しかし、このタワーマンションの節税対策に「待った」がかかりました。
平成29年(2017年)1月2日以降の新築マンションで20階建て(高さが60m)を超えるものについては、固定資産税の評価額が高くなるよう、見直しが行われたのです。
固定資産税評価額は、そのまま相続税評価の基準となりますので、高層階になればなるほど相続税が増えることになります。
このような税制改正は頻繁に行われますので、タワーマンションに限らず節税対策については、自分だけで判断せず税理士など専門家にしっかり相談していくことが必要です。

(4) へそくりに税金がかかる?

専業主婦であるDさんは、長年夫の給料をやりくりし、へそくりを貯めてきました。
Dさんとしては「自分がやりくりをしてきた成果だから自分のもの」と思っていたので相続税申告をする際に、相続財産のリストから外して申告をしました。しかし、税務署から「このへそくりは、亡くなった夫のものである」と指摘されてしまいました。
税務署では、家事労働の対価を認めていないので、「夫の収入を手元に分けて保管していたに過ぎない」と考えられてしまうので、専業主婦のへそくりは名義預金とみなされて相続税の課税対象になる可能性があります。
だからといって、この時「夫からもらったものだ」と主張しても、「それなら贈与税の申告をするべきだ」と指摘されてしまうことになります。

(5) 同居親族は遺産を多くもらえる?

Eさんは、3人兄弟の次男です。数年前に父が高いし、認知症の母を介護するために長年同居していました。その母が亡くなり、兄弟たちと遺産の分け方について話し合っていましたが、兄弟たちが「平等に分けよう」と主張してくることに納得できないでいます。
Eさんは、「自分が他の兄弟よりも介護をし生活費なども援助してきたのだから、遺産を多くもらって当然」と考えていたからです。

このようなケースでは、裁判になれば「寄与分」が認められ、貢献した分を多く相続できる場合があります。しかし、寄与分が認められるのは、亡くなった方の財産形成や増加に特別な貢献があった場合とされていますので、「親の介護をしてきた」というだけでは、寄与分は認められることは難しく、もし認められたとしても介護の寄与分は少額となるケースが多いようです。

相続・贈与問題を税理士に相談する5つのメリット

これまでご紹介してきたような相続・贈与トラブルは、可能な限り早めに税理士や弁護士、司法書士などに相談して、適切な対策をとることで回避することができます。
ここでは、相続・贈与問題を税理士に相談する5つのメリットについてご紹介します。

(1) 相続・贈与トラブルを防止できる

相続・贈与トラブルの多くは、遺言書を作成することで回避できます。
遺言書は法定相続分より優先されますので、例えば「妻にすべての財産を相続させる」という遺言書を作成すれば、原則としてその遺言書の内容が優先されます。
遺言書がないばかりに相続人間の遺産分割協議がまとまらず、結果として長いトラブルに発展してしまうケースはとても多いのです。

特に子どものいない夫婦は、お互いに遺言書を作成しておきましょう。
遺言書がないと法定相続分に従うことになりますが、夫が先に亡くなると、夫の兄弟や両親も相続人になります。自宅やマンションの名義変更を行う場合にも全員の同意が必要になりますし、なかには自宅マンションを売却して夫の兄弟に相続分を渡さなければならなくなるケースもあります。

この他、不動産の割合が多くトラブルに発展しやすいケースや、事実婚のカップル、自社の株式を後継者に集中させたい場合なども、遺言書を作成しておくべきでしょう。

遺言書の他にも、個々のご事情に合わせ適切な対策をとることで、円満な相続をも実現することが可能となります。

(2) 節税できる

相続対策は早目に開始し中長期でその対策を実行することで、大きな節税効果があります。
早目に税理士に相談して、有効な相続税対策(生前贈与、同族会社の株式評価引き下げ等)などの対策を行なったところ、多額の相続税を支払わなければならなかったのに相続税が0円となったというケースもあります。

(3) 納税資金を計画的に確保できる

対策を行わずに相続が開始したために、納税資金を確保するために相続した不動産の売却をしなくてはならなくなったり、相続税を納付するために多額の借入をしなければならなくなったりするケースもあります。しかし、納税資金は中長期計画を立てて実行すれば効率よく資金を残すことが可能となります。
例えば、贈与税の年間基礎控除である110万円の枠を利用して贈与を行ない、その贈与を受けた金額を使って生命保険の保険料を支払う方法です。同時に大きな節税効果が期待できますので、まさに一石二鳥の相続税対策ということができます。

(4) 相続税申告まで依頼できる

相続が開始すると、10カ月以内に相続税申告を行ない、納税しなければなりません。
10カ月と聞くと十分な時間があるように感じるかもしれませんが、実際は遺産分割協議が難航したり、相続人の調査や相続財産の調査を行ったりと、煩雑な相続手続きに時間がかかることがあり、結局申告期限ぎりぎりになってしまうこともよくあります。
相続開始後可能な限り早い段階で税理士に相談すれば、相続税申告までの大まかな見通しやスケジューリングなどについて説明してもらうことができますし、余裕をもって相続申告を行うことが可能となります。

(5) 税務調査対応も依頼できる

相続税の税務調査は、相続税の申告を行なった人の3割程度の割合で行われているので、かなりの確率で税務調査が行われると考えておいた方がよいでしょう。
税務調査では、亡くなった方の生い立ち、職歴、趣味、入院した時の状況など、細かい質問をされることになります。
このような時、税理士がいればスムーズに対応してもらうことができます。

まとめ

以上、よくある相続・贈与トラブルと、税理士に相談する5つのメリットについてご紹介しました。
相続は誰にでも起こるものですし、税制改正で一般家庭も相続税に直面する時代になりました。相続税と贈与税の基本ルールや、正しい節税方法を知っておくことで、大切な財産を無駄なく円満に残された家族に引き継ぐことができます。
払わずに済んだ相続税を納付することになって、無用な後悔をすることがないよう、相続・贈与の対策は早めに行うようにしましょう。

相続に強い税理士をお探しの方

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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相続対策や相続税申告については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
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