贈与税の配偶者控除とは|要件・添付書類を分かりやすく

公開日:2019年09月02日
最終更新日:2022年04月23日

この記事のポイント

  • 贈与税の配偶者控除とは、結婚20年以上の夫婦が利用できる制度。
  • 贈与税の配偶者控除は、贈与金額から2,000万円を差し引ける特例。
  • 贈与税の配偶者控除の適用を受けるには、贈与税の申告が必要となる。

 

配偶者は、相続税や贈与税について、特に配慮がされています。
たとえば、婚姻期間20年以上の夫婦の場合に、配偶者に居住用財産を贈与した場合には、基礎控除とは別に2,000万円まで無税となります。
さらに令和元年2019年7月1日から、婚姻期間が20年以上である夫婦間で自宅の贈与をした場合には、相続の取り分を決める際に贈与した自宅はその対象に含めないでよいということになりました。

贈与税の配偶者控除とは

贈与税の配偶者控除とは、結婚20年以上のマイホームであれば、2,000万円の贈与まで贈与税がかからない特例です。
通常は、夫婦間であっても110万円を超える財産を贈与した場合には、贈与税がかかります。しかし結婚生活20年以上の夫婦の財産は、夫婦が長年協力してつくってきたものです。
そこで、結婚生活20年以上の夫婦に対する優遇措置として、配偶者にマイホームまたはマイホームを取得する資金を贈与した場合には、贈与金額から2,000万円を差し引くことが認められる特例が設けられています。
贈与税は、贈与財産の価額の合計から基礎控除を差し引いた額に、決められた税率を掛けて計算します。
したがって、贈与財産の価額から2,000万円を差し引くことができれば、贈与税額が大きく軽減されることになるわけです。

贈与税の税率

区分 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超400万円以下
(200万円超300万円以下)
15% 10万円
400万円超600万円以下
(300万円超400万円以下)
20% 30万円(25万円)
600万円超1,000万円以下
(400万円超800万円以下)
30% 90万円(65万円)
1,000万円超1,500万円以下
(600万円超1,000万円以下)
40% 190万円(125万円)
1,500万円超3,000万円以下
(1,000万円超1,500万円以下)
45% 265万円(175万円)
3,000万円超4,500万円以下
(1,500万円超3,000万円以下)
50% 415万円(250万円)
4,500万円超 55% 640万円(400万円)

※( )内の金額は、上記の20歳以上の者以外の場合の金額。なお、令和4年(2022年)4月からは、18歳以上に引き下げられる予定。

参照:国税庁「贈与税の税率」

(1)配偶者が贈与を受けても非課税となるもの

結婚生活20年以上の夫婦が贈与を受けても非課税となるのは、マイホームだけではなく、金銭も対象となります。

①土地・家屋
居住用の土地等(借地権なども含みます)または家屋の贈与を受け、その贈与を受けた年の翌年3月15日までにその贈与を受けた人が居住し、かつその後も引き続き住み続ける見込みであるもの。

②購入資金
居住用不動産を購入するための資金の贈与を受け、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住用不動産を購入し、かつその日までにその贈与を受けた人が居住し、かつその後も引き続き住み続ける見込みである場合。

(2)贈与税はいくらまで非課税となるか

贈与税の配偶者控除は、110万円の基礎控除も合わせて使うことができるので、合計2,110万円の贈与までなら贈与税がかからないことになります。
たとえば、居住用不動産と購入資金の合計が5,000万円だった場合には、2,000万円と110万円を贈与金額から差し引くことができ、2,890万円が課税対象額となります。

5,000万円-2,000万円-110万円=2,890万円

また、この特例を利用した贈与は、相続開始前3年以内に行われたものを相続財産に含める必要がありませんので、相続税対策として有効な方法ということができます。

(3)贈与税の配偶者控除の要件

贈与税の配偶者の特例は、結婚生活が20年以上(婚姻届を提出した日から、贈与するまでの期間が20年以上)の夫婦であることが必要です。また、この特例の適用は同一の配偶者からは1度しか受けることができません。

贈与税の配偶者控除の主な要件

①婚姻期間が、贈与の時点で20年以上であること。
②マイホームまたはマイホームの取得資金の贈与であること。
③贈与の翌年3月15日までに入居しており、その後も引き続き居住する見込みであること。
④同じ配偶者との間で、過去にこの特例を受けていないこと。

もし結婚生活期間のうち戸籍を抜いていた期間がある時には、その期間を除いて20年以上の婚姻期間があることが必要です。

また、土地・家屋の贈与を受けたもののすぐに売却してしまうと、土地・家屋の譲渡による所得税を不当に安くしたとして、税務署から指摘される可能性があるので注意が必要です。

(4)将来の相続も視野に入れ活用する

相続税には、配偶者に1億6,000万円の控除があります。
これは、配偶者の税額控除といい、配偶者が取得した相続財産のうち、配偶者の法定相続分相当額または1億6,000万円のどちらか多い方までは相続税がかからないというものです。
したがって、贈与税の配偶者の特例を受けるか否かは、将来の相続税を視野に入れ、十分にシミュレーションすることが大切です。

(5)その他の配偶者優遇制度

配偶者には、贈与税の配偶者の特例以外にもさまざまな優遇措置があります。
あわせて確認しておきましょう。

配偶者居住権
配偶者が居住していた被相続人所有の建物については、遺産分割等によって終身または一定期間配偶者がその建物に居住することができます。

配偶者保護のための方策
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈または贈与がなされた時には、原則として遺産分割の対象外となりました。

(6)贈与税の配偶者控除の特例は贈与税の申告が必要

贈与税の配偶者控除の特例の適用を受けるためには、税額がゼロになる場合でも贈与税の申告が必要です。また、申告の際には婚姻期間や夫婦関係を証明する書類を提出する必要があります。

①財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本
②財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
③居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
なお、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類のほかに、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要です。

参照:国税庁「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」

まとめ

以上、贈与税の配偶者の特例についてご紹介しました。
贈与税の配偶者の特例は、110万円の基礎控除を合わせて使うことができるので、合計2,110万円の贈与まで贈与税がかからない制度です。
適用を受けるためには、税額がゼロになる場合でも贈与税の申告が必要となりますので、不明点等は税理士に確認し適切に申告手続きを行うようにしましょう。

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