令和4年度(2022年)改正|住宅取得等資金の贈与の特例

公開日:2019年09月03日
最終更新日:2022年09月08日

この記事のポイント

  • 住宅取得等資金の贈与の特例は、子や孫などに住宅資金を贈与した時、一定額まで非課税となる制度。
  • 住宅取得等資金の贈与の特例は、暦年贈与や相続時精算課税制度と併用できる。
  • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置が、令和5年まで延長された。

 

「住宅取得等資金の贈与の特例」とは、親から子や孫に住宅資金として現金を贈与する場合には、一定の金額まで贈与税がかからない制度です。

住宅取得等資金の贈与の特例は改正され、令和5年(2021年)12月31日までの間に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合の非課税限度額が引き上げられました。

▶ 相続税対策について相談できる税理士をさがす

住宅取得等資金の贈与の特例とは

住宅取得等資金の贈与の特例とは、正式には「住宅資金等資金に係る贈与税の非課税制度(以下、住宅取得等資金の贈与の特例)」といい、子どもや孫、ひ孫などの直系卑属に住宅資金として現金を贈与した場合、一定額までが非課税となる贈与税の特例です。
住宅を新築、購入した場合だけでなく、増改築、敷地を購入した時にも利用することができます。

(1)住宅取得資金は一定額まで非課税限度額がある

子や孫が住宅を取得する際に、親から資金援助を受ける例は少なくありません。このような例を踏まえ、子や孫が父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合で一定の要件を満たした場合には、一定の金額まで贈与税を非課税とする特例が設けられています。
令和4年度の改正において、令和3年12月31日で期限を迎える住宅取得等資金の贈与税の非課税措置が、非課税限度額などを改正したうえで、令和5年12月31日まで2年間延長されました。

(2)暦年贈与・相続時精算課税制度との併用も可

暦年贈与の贈与税には、年110万円の基礎控除があり、相続時精算課税制度には2,500万円の特別控除があります。

※暦年贈与…年110万円までの贈与については、贈与税がかからない。

※相続時精算課税制度…2,500万円まで贈与税がかからず、相続開始時には、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額について一括して相続税額を計算し、相続税として納税する(多い場合には、差額が戻る)。

住宅取得等資金の贈与の特例は、この暦年贈与や相続時精算課税制度と合わせて適用されます。したがって、住宅取得等資金だけの贈与であれば、非課税限度額に基礎控除額または特別控除額を加算した金額まで贈与税の課税はありません。

なお、相続開始前3年以内に行われた贈与は、相続財産に持ち戻される制約がありますが、住宅取得等資金の贈与の特例は、相続開始前3年以内に行われた贈与も持ち戻す必要がありません。

参照:国税庁「贈与財産の加算と税額控除」

(3)良質な住宅を建てるとさらにお得

住宅資金贈与の特例では、省エネ基準や耐震基準を満たした良質な住宅を建築・購入するケースについて、非課税限度額を手厚く設定しています。
良質な住宅とは、省エネルギー性の高い住宅、耐震性の高い住宅およびバリアフリー性の高い住宅です。

たとえば、既存住宅用の家屋について住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けようとする際には、「その家屋が取得の日前20年以内」という要件を満たす必要がありますが、耐火建築物については25年以内、耐震基準に適合する家屋は年数要件なし、と要件が緩和されます(※(5)特例の対象となる住宅用家屋等の範囲で、詳述)。

良質な住宅であるか否かの基準は、特例の適用を申告する際に添付書類をもとにチェックされます。もし特例の適用を受けたい時には、「良質な住宅として、贈与特例を利用する予定である」と施工業者に伝えることで、特例を満たす要件に沿うよう設計し、必要な書類も揃えてもらうことができます。

なお、良質な住宅にするために支払うのであれば、大規模な修繕、模様替え、バリアフリー改修、省エネ改修などのリフォーム費用も対象となります。

▶ 相続税対策について相談できる税理士をさがす

(4)土地の先行取得も住宅取得等資金の贈与の特例の対象

住宅取得等資金の贈与の特例は、住宅の敷地である土地を取得する時の土地代にも適用されます。
たとえば、土地を先に取得してその後に住宅を増築するようなケースです。ただし、住宅資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得する必要がありますので、注意しましょう。

(5)住宅取得等資金の贈与の特例の対象となる住宅家屋

特例の対象となる住宅用家屋等の範囲は、以下のとおりです。

区分 要件
新築または建築後使用されたことのない住宅用家屋 ①その家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が、住宅の用に供されるものであること。
②床面積が50㎡以上240㎡以下であること(区分所有建物である場合は、その区分所有する床面積が50㎡以上240㎡以下であること。※令和3年改正(後述)
既存住宅家屋 ①その家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が、住宅の用に供されるものであること。
②床面積が50㎡以上240㎡以下であること。区分所有建物である場合は、その区分所有する床面積が50㎡以上240㎡以下であること。※令和3年改正(後述)
③新耐震基準に適合している住宅用家屋であること(令和4年度改正)
※改正前は、耐火建築物の場合は取得の日以前25年以内に建築されたもの、耐火建築物以外の場合には取得の日以前20年以内に建築されたもの
居住用家屋について行う増改築 ①自己が所有し、居住の用に供している家屋についての増改築であること。
②工事費用の額が100万円以上であること。
③増改築後の家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が、住宅の用に供されるものであること。
④増改築後の家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。※令和3年改正(後述)

(6)住宅取得等資金の贈与の特例の注意点

住宅取得等資金の贈与の特例については、贈与者の相続時の取り扱いについて注意が必要です。
暦年贈与の場合には、住宅取得等資金の贈与の特例を受けた3年以内に贈与者が亡くなった時には、非課税限度額部分について受贈者の相続税の課税価格への加算はありませんが、その部分を超えると相続税が課税されます。
また、相続時精算課税を選択した場合にも、同じように非課税限度額を超える部分については、相続税の課税対象となりますので、その点をよく検討したうえで適用を受けることが大切です。

住宅取得等資金の贈与の特例の要件

住宅取得等資金の贈与の特例は、子や孫に対する住宅取得資金の贈与であれば、いつでも適用を受けられるわけではなく、要件を満たす必要があります。

(1)受贈者は贈与者の子または孫で18歳以上

まず、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けられるのは、住宅取得資金の贈与者の子または孫で、18歳以上の者と限られています。
また、贈与された資金で取得した住宅は贈与を受けた子ども・孫の名義である必要があります。

(2)贈与を受ける者のその年の所得金額が2,000万円以下

住宅取得等資金の贈与の特例は、受贈者が贈与を受けた年の所得金額が2,000万円を超える者には、適用されません。
なお令和3年の改正によって、令和3年1月1日以降の住宅取得については、贈与年分の所得が1,000万円以下であれば、登記簿床面積40㎡以上の住宅について、住宅取得等資金の贈与の特例や住宅ローン控除が適用されることになりました。
なお、令和4年度の改正による非課税限度額の改正および既存住宅用家屋の要件の見直しは、令和4年1月1日以後の贈与によって取得する住宅取得等資金に係る贈与に適用されます。

(3)対象となる住宅用家屋は日本国内で床面積の要件を満たすもの

住宅取得等資金の贈与の特例を利用して取得する住宅は、新耐震基準を満たしていれば、中古住宅でも築年数は問われません(ただし、前述したとおり省エネ住宅や耐震住宅などの良質な住宅については非課税枠が拡大されます)が、以下の要件を満たしている必要があります。

・日本国内の家屋であること
・床面積が50㎡~240㎡であること
・中古住宅の場合には、以下の要件を満たしていること
・耐震基準適合証明を受けている など

また、贈与された年の翌年3月15日(贈与税を申告する最終日)までに入居する必要があります。
ただし、工事や手続き等の遅れで間に合わなかった場合には考慮されます。

▶ 相続税対策について相談できる税理士をさがす

令和4年度(2022年)の改正ポイント

令和4年度の改正によって、令和3年4月1日から同年12月31日までの間に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合については、非課税限度額が以下のとおり引き上げられることになりました。

(1)非課税限度額が引き下げ

消費税率10%が適用される省エネ等住宅で、令和3年3月31日までに契約を締結した場合には、1,500万円の非課税枠があり、令和3年4月から12月末までに契約を締結した場合には、1,200万円まで引き下がる予定でした。
しかし令和4年度の改正で、非課税限度額が見直されました。

新築等の契約締結日 令和4年度改正前 令和4年度改正後
2020年(令和2年)4月~
2021年(令和3年)12月
契約締結時期は考慮せず
良質な住宅家屋 消費税率10% 1,500万円 1,000万円
上記以外 1,000万円
良質な住宅家屋 消費税率10% 1,000万円 500万円
上記以外 500万円
震災特例法の良質な住宅用家屋 1,500万円 1,500万円
震災特例法の上記以外の住宅用家屋 1,000万円 1,000万円

なお、「良質な住宅用家屋」とは、耐震性の高い、省エネ性の高い、またはバリアフリーのいずれかが施されている住宅用家屋をいいます。
なお、東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税限度額(一般の住宅1,000万円、良質な住宅1,500万円)については、改正はなく据え置かれることになりました。

(2)受贈者の所得が1,000万円以下の場合、床面積下限が引下げ

住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けるためには、「床面積が50㎡以上240㎡以下」が要件ですが、贈与を受ける人の贈与年分の所得が1,000万円以下であれば、登記簿床面積が40㎡以上の住宅でも、住宅取得等資金の贈与の特例や住宅ローン控除が適用されることになりました。

この面積は、登記簿謄本上の面積を意味していますので、戸建て受託などについては壁の中心部で囲まれた面積である壁芯で、マンションの場合には壁などの内側の面積である内法面積ということになります。
適用時期は、令和3年1月1日以降の贈与について適用されます。

改正前 改正後
合計所得金額1,000万円超2,000万円以下 50㎡以上 50㎡以上
合計所得金額1,000万円以下 50㎡以上 40㎡以上

まとめ

以上、住宅資金贈与の特例(住宅資金等資金に係る贈与税の非課税制度)の内容や必要な要件、令和4年の税制改正などについてご紹介しました。
住宅資金贈与の特例は大変メリットのある制度ではありますが、無計画に住宅資金を贈与すればよいというものではありません。
先にご紹介したように、贈与を受けた名義人は翌年3月15日までに住むことが必要ですし、その後もずっと住み続けることが前提条件です。
したがって、住宅資金贈与の特例を利用する場合には、スケジュールをしっかり立て、贈与の計画を進めることが大切です。

住宅資金贈与の特例について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、相続税対策について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

相続税対策に強い税理士をさがす

この記事の監修・関連記事

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計なら会計帳簿作成はもちろん、日々の経理業務から経営状況の把握まで効率的に行なうことができます。ぜひお試しください!




PageTop