養子縁組で相続税対策するメリット・デメリット

公開日:2019年11月20日
最終更新日:2022年07月24日

この記事のポイント

  • 法定相続人が多くなると、基礎控除額が減少して節税になる。
  • 養子縁組によって法定相続人が増えれば、基礎控除額が増えて節税になる。
  • 養子縁組による節税対策は、デメリットもあるのでよく検討することが重要である。

 

相続税は、法定相続人の数が多いほど、税負担が軽減されます。
そこで、相続税対策としてよく行われるのが、養子縁組をして法定相続人を増やす方法です。
ただし、養子を迎えて法定相続人を増やす方法は、節税という面ではメリットがありますが、誰を相続人にするか十分に検討しないと、相続後に思わぬトラブルに発展することがあります。

この記事では、養子縁組で相続税対策をする4つのメリットと2つのデメリットについてご紹介します。

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養子縁組が相続税対策になる理由

法定相続人が多くなると、その分基礎控除額が減少します。基礎控除額とは、簡単にいえば「税金がかからない部分」という意味で、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人」です。

法定相続人が1人の場合には3,600万円(3,000万円+600万円×1人)、相続人が2人の場合には4,200万円(3,000万円+600万円×2人)、相続人が3人の場合には4,800万円(3,000万円+600万円×3人)が基礎控除額となり、法定相続人が多い相続ほど基礎控除は多くなります。

そこで相続税対策としてよく行われるのが養子縁組をして法定相続人を増やして基礎控除額を増やす方法です。
養子縁組を行うと、相続税の計算上その養子は実子と同じ扱いを受けます(法定相続人となる)ので、養子縁組によって法定相続人が増えれば、基礎控除額が増えて節税になるというわけです。

(1)養子縁組をする方法

養子縁組の方法は、普通養子縁組と特別養子縁組の2つがあります。

普通養子縁組
普通養子縁組は、市区町村役場にいって「養子縁組届」という書類を提出すれば成立します。なお、未成年の子を養子縁組する場合には、家庭裁判所の許可審判書が必要となります。
普通養子縁組は、血縁上の親と法的な親子関係がなくなりません。
つまり、養子となった方から見れば、養親と実親という2人の親がいることになり、養子は養親と実親双方の法定相続人になります。
相続対策として行う養子縁組は、通常はこの普通養子縁組です。

特別養子縁組
特別養子縁組は、昭和62年に導入された制度で、普通養子縁組と異なり、血縁上の親との法的な親子関係が切れることになり、実親の相続権はなくなります。「養親は夫婦共同でならなければならない」「養子は6歳未満でなければならない」など厳しい条件をクリアする必要があります。

(2)法定相続人としての養子の人数は制限がある

養子縁組をして法定相続人を増やせば節税効果がありますが、だからと言って10人も20人も養子縁組を行うことは認められません。
不自然な養子縁組を行うことで相続税を減らすことを防ぐため、相続税で認められる法定相続人としての養子の人数は以下の制限があります。

①実子がいる時には、法定相続人としての養子は1人まで
②実子がいない場合には、法定相続人としての養子は2人まで

参照:国税庁「相続人の中に養子がいるとき」

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相続税対策で養子縁組する4つのメリット

前述したとおり、養子縁組をして法定相続人を増やすと、基礎控除額がアップするという節税効果以外にも、生命保険や死亡退職金の非課税枠を増やすこともできます。

(1)養子縁組で相続人が増えると基礎控除額がアップする

まずひとつめのメリットは、前述したとおり法定相続人が増えることで、基礎控除額がアップするという点です。

養子縁組を行うと、相続税の計算上その養子は実子と同じ扱いを受けます(法定相続人となる)。基礎控除額とは、簡単にいえば「税金がかからない額」という意味で、基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人」です。

たとえば法定相続人が3人の場合、基礎控除額は

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円です。

法定相続人が5人になると、基礎控除額は

3,000万円+(600万円×5人)=6,000万円です。

つまり、相続人が1人増えるごとに基礎控除額が増えて節税になります。
※ただし、前述したとおり相続税で認められる法定相続人としての養子の人数には制限があり、①実子がいる時には、法定相続人としての養子は1人まで、②実子がいない場合には、法定相続人としての養子は2人までです。

(2)養子縁組で相続人が増えると生命保険の非課税枠がアップする

被相続人(亡くなった方)が死亡することで支払われる生命保険は、「500万円×法定相続人の数」を超える金額について課税されます。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

つまり、1人当たり500万円の金額は非課税財産として生命保険金からマイナスすることができるのです。養子縁組をして法定相続人が増えれば、それだけ非課税枠が増えます。

参照:国税庁「相続税の課税対象になる死亡保険金」

(3)養子縁組で相続人が増えると死亡退職金の非課税枠がアップする

死亡退職金も、生命保険と同様に「500万円×法定相続人の数」を超える金額について課税されます。したがって、養子縁組をして法定相続人が増えれば、それだけ非課税枠が増えることになります。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

参照:国税庁「相続税の課税対象になる死亡退職金」

(4)養子縁組で相続人が増えると適用税率が低くなる

相続税は、相続財産を法定相続人が法定相続分にしたがって受け継ぐものと仮定して計算しますので、法定相続人の数が増えれば各相続人が受け継ぐ財産が少なくなります。
相続税は累進課税率になっているので、法定相続人が増えるとその分だけ各法定相続人の法定相続分が減るので、適用される税率が下がり税額全体も少なくて済むのです。

たとえば、以下のケースでどれだけ節税効果があるか見てみましょう。

相続財産:
土地、現金など1億8,000万円
死亡保険金と死亡退職金がそれぞれ2,000万円

相続人:
配偶者(妻)、子ども1人

このケースで、養子縁組をして法定相続人を3人にすると、控除額(税金がかからない部分)は以下のようにアップします。

相続人が妻1人、
子供1人の場合
相続人が妻1人、
子供2人の場合
基礎控除額 4,200万円 4,800万円
死亡保険金の控除額 1,000万円 1,500万円
死亡退職金の控除額 1,000万円 1,500万円
相続税額 1,670万円 1,350万円

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相続税対策で養子縁組するデメリット

相続税対策としての養子縁組は、多くのメリットがありますが、メリットばかりというわけではありません。相続関係者の間でよく話し合っておかないと、相続トラブルに発展することがあります。

(1)「長男の嫁を養子」にするリスク

養子縁組としてよくあるのが、親と同居していた長男の妻を養子とするケースです。
「日頃から自分の面倒をよく見てくれた長男の嫁を養子にして財産を相続させたい」と思いから、長男の妻と養子縁組をするのですが、この場合、養子である長男の妻は実子と同じ権利を持つ法定相続人となるので、養子が増えれば、その分実子の権利(法定相続分)は減ることになります。
そこで、他の兄弟が「私の取り分を減らすために、わざと長男の妻を養子にしたのだろう」と主張してくることがあり、トラブルになるわけです。
また、長男の妻を養子にした後に離婚した場合、長男の妻は離婚した夫の親の相続権を持ってしまうことになります。この場合もトラブルの原因になります。

(2)「孫を養子」は相続税が2割増し

孫に財産が渡るためには、通常は親から子、子から孫に2段階のステップを踏みます。
しかし孫を養子とした場合には、そのステップを飛び越して相続することができるので、相続税を2回払うところが1回で済ますことができます。

しかしこれでは不公平だということで、平成15年度の税制改正で、孫が祖父から相続を受ける時に相続税額の2割加算の制度が適用されることとなりました。

さらに養子にした孫が未成年者である場合には、未成年は法律行為が行えないので通常は家庭裁判所で特別代理人を選任して、その特別代理人が遺産分割協議を行うことになります。亡くなった方の遺産が相当な額になる場合には、未成年の孫が何億円という遺産を相続するための遺産分割を行わなければならないというリスクがあります。

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まとめ

以上、養子縁組をして法定相続人を増やす相続税対策のメリット・デメリットについてご紹介しました。
養子縁組を利用した相続税対策は確かに節税効果がありますが、一方で思わぬ相続トラブルを招くリスクもあります。
したがって、養子縁組を検討する際には相続関係者とよく話し合い、必要に応じて税理士から説明をしてもらうなど、丁寧に手続きを進めることが大切です。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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