EBITDAマージンとは?計算式や目安を解説

公開日:2024年05月17日
最終更新日:2024年05月17日

この記事のポイント

  • EBITDAとは、収益性を判断したい場合に活用できる指標。
  • EBITDAは、損益計算書上の数値のみから計算できる。
  • EBITDAを見れば、減価償却費のブレを除いて本業の収益性を評価できる。

 

EBITDAとは、支払利息控除前・税金控除前・減価償却費控除前の利益のことです。EBITDAマージンを計算することで、本業の収益性を評価することができます。

EBITDAマージンとは

EBITDAマージンとは、EBITDAを売上高で割って計算する指標で、損益計算書の数値を使って本業の収益性を評価するための指標です。

(1)そもそもEBITDAとは

「EBITDA」は、Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの頭文字です。
Earningsは利益、Beforeは前、Interestは金利、Taxesは税金のことであり、Depreciationは減価償却費、Amortizationは無形資産の償却費です。
Depreciation(減価償却費)、Amortization(無形資産の償却費)は、それぞれ設備投資した金額をその設備に使える期間(耐用年数)に応じて費用として計上するもの、また無形固定資産として投資した金額をその効果が継続する機関にわたって費用として計上していくものです。
つまり、この2つはどちらもその年度に費用として計上されているものの、キャッシュはすでに以前の投資段階で支払い済です。
この2つがBeforeのあとにあるということは、キャッシュの支払いがない費用であるDepreciation(減価償却費)、Amortization(無形資産の償却費)を差し引く前にするという意味であり、EBITDAは、償却費を引く前の利益なので、企業の採用する会計方針に左右されない客観性の高い利益指標です。その結果、EBITDAはキャッシュフローベースで考えた営業利益のようなものといえます。

なお、EBITDAは「イ―ビットディーエー」「イービットダー」などと読みます。
「イービッター」と発音すると「EBITA」という全く違う経営指標を表すことになってしまいますので、注意が必要です。

(2)EBITDAの計算式

EBITDAは、支払利息控除前・税金控除前・減価償却控除前の利益のことで、営業利益に減価償却費を足して計算します。

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

ただし、EBITDAは、営業利益や経常利益から算出する方法など、いくつかの計算方法があります。企業がEBITDAを指標としている場合には、その計算方法を開示しているので、読み手の側も計算式の確認を必ず行う必要があります。

EBITDAは、結果的に融資をしている銀行への返済、株主への配当などで分配されていくものです。
ということは、EBITDAが大きくなればなるほどEBITDAをベースに設けを受けとることができるため、株主らの権利の価値の合計も大きくなると考えられます。

(3)EBITDAマージンの計算式

EBITDAマージンは、以下の計算式で計算します。

EBITDAマージン = EBITDA売上高

(4)EBITDAマージンの意義

EBITDAマージンの意義は、減価償却費のブレを省いて本業の収益性を評価できる点にあります。「本業の収益性」という意味では営業利益と同じですが、あえてEBITDAマージンに注目する意義は、減価償却費を足し戻すことで、償却控除前の利益を重視しているためです。
減価償却費は、設備投資の結果として発生します。設備投資額が大きい時期には減価償却費も多額になり、営業利益は減少します。反対に投資額を抑えている時期には減価償却費も少なくなり、営業利益は増加します。
このように、営業利益だけに着目すると、その企業が設備投資を積極的に行っているかどうかで一定のブレが生じてしまいます。
そこで、あえて営業利益に減価償却費を足し戻すことで、償却のブレをなくし本業の収益性を見ることで、本業の事業活動の成果を経年で評価している点がEBITDAの意義です。
また、企業間の減価償却の方法(定率法や定額法、耐用年数)といった会計方針の影響も排除することができます。

(5)EBITDAマージンがM&Aで重視される理由

M&Aによって発生するのれん、特許権、商標権といった無形固定資産は、日本では原則としてすべて償却されます。IFRSではのれんは償却されませんが、PPAによってのれん以外の無形資産に配分された金額は、残存年数などによって償却されます。
そこで、M&Aによって無形資産が発生する企業は、EBITDAを経営指標とするケースが多くなるわけです。

たとえば、海外での積極的なM&Aを行い成長してきたJTは、最重要視する利益として調整後営業利益を挙げ、目標としてきました。

調整後営業利益=営業利益+買収で生じた無形資産に係る償却費+調整項目(収益および費用)

有形固定資産の減価償却費を足し戻さないのは、M&Aによる償却にのみを調整したシンプルな計算式で成長を明確化するためと考えられ、投資した金額が最適な資産に投資され、それがしっかりとEBITDAを生んでいることを示すものと考えられます。

かつて、日本電産会長の永守氏は、「時価総額に準負債額を加えた企業価値が、EBITDAの何倍になっているかという指標で10倍以上の企業は買収しない」と発言しています。さらに「その会社の10年分の利益で買えないような企業は、高すぎて買う価値がない。実際には、5~6倍もしくは7~8倍で買収することが多く、もっと制限を加えてもいい」としています。
これは、M&Aの際にEBITDAマージンが重視されることを端的に表現しているものといえるでしょう。

まとめ

EBITDAマージンは、大きな設備投資を行う企業、先行設備投資を進める起業、M&Aが活発な企業にとって、収益性を判断するために活用することができる経営指標です。
したがって、減価償却費が少額で、営業利益にわざわざ減価償却費を差し戻す意味があまりない企業の場合は、一般的に分かりやすい営業利益や売上高営業利益率を経営指標とした方がよいでしょう。

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