収益性の分析|売上高総利益率・ROA

公開日:2019年12月10日
最終更新日:2019年12月10日

目次

  1. 収益性とは
    • まずは決算書を見る
    • 収益性を見る主な経営指標
  2. 収益性を「売上高利益率」で見る
    • 売上高総利益率を改善するためには
    • 売上高営業利益率を改善するためには
    • 収益性をROAで見る
    • ROAを高めるには
  3. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 収益性とは、会社の稼ぐ力、儲ける力を見るための視点。
  • 収益性を見る経営指標としては、売上高総利益率、ROAなどがある。
  • 売上高総利益率は、業種によって大きく異なる。

 

経営分析には、さまざまな視点がありますが、そのうちのひとつが「収益性分析」です。収益性分析とは、簡単にいうと「会社が儲かっているかどうかを見る視点」で、ROA、売上高総利益率といったさまざまな経営指標をつかって、この収益性について分析することができます。

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収益性とは

収益性とは、会社の稼ぐ力、儲ける力を見るための視点です。
「収益性が高い」と、「会社が稼ぐ力が強い」ということになります。

経営分析のなかでも最もよく話題となるのが、この収益性に関する指標です。
企業がどれくらい稼げているのかというのは、経営者にとってはもちろん利害関係者にとってももっとも興味が湧くテーマであるからでしょう。

たとえば、損益計算書では、収益と費用の内容を段階的に表示していて、売上高からさまざまな費用を順番に引いて利益を5つの段階的に表示することで、どのようにして利益が出たのか何にどれくらいのコストが発生したのかを把握することができるような仕組みとなっています。

最終的な利益である当期純利益は株主資本となりますので、収益性が高いかどうかは投資家にとっても重要なポイントとなります。
収益性が高ければ高いほど、投資家からの信頼感が高まり、資金調達しやすくなります。
なお経営分析を行う際には、収益性分析以外にもさまざまな視点で分析を行うことが必要です。経営分析は、収益性分析の他にも、生産性分析、安全性分析、成長性分析、効率性分析という5つの視点で行います。


ただし、この5つの視点のどれを重要視するかは会社によって大きく異なります。
経営分析をする際には、その点も意識しながら分析していくことが大切です。

まずは決算書を見る

収益性の分析を行う前には、まずは決算書の数字から大まかな会社の状況をとらえてみることが大切です。たとえば、損益計算書を見て「営業利益が黒字だから、本業では利益を出せている」などです。
このように、決算書から会社の規模やおおよそ状況について知ってから、さまざまな指標を使って分析していきます。

経営指標を使うと、当期と前期の決算書を比較したり、他社の決算書と比較したりすることができるようになります。指標に差があれば、どの項目で差が出ているのかということを分析していくことになります。

なお、経営指標を使って経営分析をする時には、指標を分解することも大切です。
たとえば、売上高総利益率を見れば前期や他社と比較して、収益性が高いか低いかは分かりますが、なぜそのような差が出たのかまでは分かりません。
けれども、たとえば売上高総利益率を分解して、売上高総利益率を求める計算式を複数の要素に分解していくと、どこに強みがあるのか課題が何なのかが分かるようになります。
経営分析を行う際には、指標を使って計算するだけでなく、そこから強みや課題を読み取り、実際に行動するところまで落とし込むことが必要なのです。

収益性を見る主な経営指標

これまでご紹介したように、収益性とは、会社が稼ぐ力のことであり、稼ぐ力とは、他社よりも少ない資産でより大きな利益を上げられるということです。
収益性が高ければ高いほど利益を上げる力が強くなります。

そして、この収益性を見る経営指標としては、売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率、ROAなどがあります。

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収益性を「売上高利益率」で見る

収益性を分析する経営指標としてもっとも基本的なのが「売上高利益率」です。
売上高利益率は、損益計算書における各段階利益の売上高に対する比率のことで、「各段階利益÷売上高」という計算式で求めることができます。

つまり、「売上総利益」÷売上高は「売上高総利益率」となり、「営業利益」÷売上高は「売上高営業利益率」ということになります。

売上高総利益率を改善するためには

売上総利益は、粗利とも呼ばれるもので、会社の利益の源泉です。
この売上総利益の売上高に対する割合が「売上高総利益率」で、商品や製品、サービスを販売することで何%の利益を得られるかを示しています。

なお、売上高総利益率は、業種によって大きく異なります。
字の企業で見てみると、建設業で約18%、製造業で約21%、卸売業で約18.7%、小売業で29.7%、飲食・宿泊業で約65.3%、サービス業では43.4%が企業平均となっています。

売上高総利益率は、会社の内部環境や外部環境によって大きく変化します。原料や原価が高騰すれば、製造コストが上昇しますが、これを製品の販売価格に反映できなければ、売上総利益率が低下してしまうことになります。こそこで、製品の販売価格への反映や製造コストを削減するための努力を行う必要があります。
また、製造業の場合には、製造する数量を増やして工場の操業度を高めることで1個当たりの固定費負担が薄まることができれば、売上高総利益率が改善することになります。

売上高営業利益率を改善するためには

売上高営業利益率は、「営業利益÷売上高」の計算式で求める経営指標で、売上高に対して何%の営業利益を上げたかを示します。
営業利益は、会社の本業による利益なので、営業利益率を計算すると、売り上げ規模の違う会社同士でも本業での収益性を比較することができるようになります。

営業利益は、売上総利益から営業活動に伝われた販売費及び一般管理費を差し引いたものなので、営業利益率を高めるためには、売上総利益と販売費及び一般管理費とのバランスが大切になります。

なお、売上高営業利益率も、業種によって大きく異なります。
字の企業で見てみると、建設業で約2.6%、製造業で約4.4%、卸売業で約1.9%、小売業で1.5%、飲食・宿泊業で約3.1%、サービス業では3.6%が企業平均となっています。

収益性をROAで見る

ROA(総資産利益率)は、会社が調達してきた資本を利用してどれだけ利益を上げているかを分析するための指標です。
これまでご紹介してきた売上高総利益率や売上高営業利益率は、売上高をもとにして収益性を分析する指標でしたが、このROAは資本をもとにして収益性分析を行う指標ということができます。

ROAは、以下の計算式で割ることで求めることができます。

ROA=営業利益÷総資本×100(営業利益の場合)

総資本は、貸借対照表、営業利益は、損益計算書で確認します。

なお、この指標で行う利益は、営業利益以外にも経常利益、当期純利益などがありますが、本業の力を見る場合には営業利益で算出するのが適しています。

ROAの目標値としてはまずは5%を目指しましょう。10%以上を示せれば、かなり優良な会社ということができます。

ROAを高めるには

ROAを高めるということは、より少ない資本でより多くの利益を稼ぐようになることを意味します。
そこで、ROAを高めるためにはどのような施策が必要なのかを見ていきます。
まず、ROAを求める計算式を分解して利益の獲得力(売上高利益率)と、資本の運動力(総資産回転率)を見てみましょう。

①総資産回転率
総資産回転率とは、売上高を総資本で割って計算します。

総資産回転率=売上高÷総資本

総資本を活用することによって得た売上がどれだけあるかを見ていくことができます。
まず、ROAを2つの要素に分解して、売上高を加えて分解してみます。
総資産回転率が高ければ、保有している資本を有効活用し、より多くの売上をあげているということになります。
一方、総資産回転率が低ければ、在庫を減らしたり不要な固定資産を処分したりするなどの施策を行う必要があります。

②売上高利益率
先ほどもご紹介した売上高利益率は、利益を売上高で割って計算します。

売上高利益率=利益÷売上高

売上高利益率を高めるためには、商品力をつけて粗利をアップさせたりコストを見直してり業利益をアップさせたりする必要があります。

つまり、ROAを改善するためには、売上に対する利益額を増やし、総資本を小さくし、いかに少ない投下資本でいかに大きな利益を生み出すかを考えていく必要があります。

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まとめ

以上、収益性を分析するための経営指標のうち、基本的な売上高総利益率、ROAについてご紹介しました。
事業を行っていくうえでは、決算書の数字を理解し会計数字と企業活動のつながりを理解することが必要です。
どんなに素晴らしい戦略やビジネスモデルがあっても、数字に落とし込んでいかなければ具体的な施策にはなりません。

会計の細かいルールは知らなくても、決算書の数字が意味すること、基本的な経営分析の指標については、必ず理解しておくことが大切なのです。

「決算書はなぜ重要かー決算書の種類・読み方を分かりやすく解説」を読む

「決算書のチェック項目-読み方・使い方・見方の基礎知識」を読む

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