公開日:2018年11月09日
最終更新日:2024年04月25日
認定支援機関(経営革新等支援機関 ※以下認定支援機関)とは、中小企業・小規模事業者を支援するために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対して国が認定している公的な支援機関です。具体的には、商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定支援機関として認定されています。
ひとくちに支援するといっても、その支援内容は多岐にわたります。創業支援や事業計画書の作成はもちろん、中小企業の事業承継、M&A、情報化戦略、知財戦略、販路開拓・マーケティングなどについてサポートを受けることもできます。
ここでは、認定支援機関(経営革新等支援機関)に相談するメリットや経営革新等支援機関の探し方までご紹介します。
認定支援機関の豆知識
認定支援機関(認定経営革新等支援機関)とは、「専門的な立場から経営状況の分析などの指導・助言の実務経験を3年以上(経営革新等・支援業務1年以上を含む)ある税理士・公認会計士・弁護士・中小企業診断士など」と決められていて、さらに経済産業大臣から資格を与えられた人のことです。
日本経済は、中小企業に支えられています。つまり中小企業の生産性が向上すれば、国力も強化します。そこで、その原動力となる中小企業経営者が、相談できる相手として認定支援機関の制度が設けられたのです。
なお、認定支援機関は、中小企業の経営者の相談相手というだけではありません。
たとえば、認定支援機関は国の事業再構築補助金の「事業計画策定者」の要件になっていて、事務的な面も強化されています。
とくに、認定支援機関の税理士には、財務状況や経営状況の分析や、その分析結果をもとにした経営改善計画の策定、海外展開をするうえで欠かせないタックスプランニング、資金調達時における決算書の信頼性の向上など、中小企業の経営者にとって、経営の強化につなげるあらゆる分野について相談することができます。
freee税理士コーディネーターでは、認定支援機関の資格を持つ税理士をご紹介することができますし、相談内容に応じて最適な税理士を紹介することもできます。ぜひご活用ください。
中小企業庁は、経営革新に取り組む中小企業に関するさまざまな支援を行っています。
そして、その支援のひとつが、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行うために創設されたのが認定経営革新等支援機関(認定支援機関)です。
税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント、金融機関などが経営革新等支援機関に認定されるため、専門性の高い支援を受けることができます。
参照:経済産業省「認定経営革新等支援機関による支援のご案内」
平成25年(2013年)に廃止された「中小企業金融円滑化法」は、リーマンショックによって多くの中小企業が大幅な売り上げ減少などの経営危機に直面し、金融機関に対する返済が困難になったことを緩和することを目的として、貸出条件の緩和を申し出た企業に対しては、出来る限りの対応をすることを努力義務としていた法律でした。
この法律によって、多くの中小企業が資金繰りを改善できた半面、それが常態化してしまい、正常な返済条件に対応できない企業も増えました。
そこで、このような状態を打破するために施行されたのが「中小企業経営強化支援法」です。このなかでは、中小企業金融円滑化法の適用を受けた経営不振企業の経営サポートを行う専門家を「経営革新等支援機関」として認定する制度が創設されました。
認定支援機関の目的は、中小企業支援のためのさまざまなコンサルティング業務を提供することです。
認定支援機関は、中小企業の事業再生のための知識や事業再生計画の作成などについて、専門的な知識を有していて、国が作成したスキームのなかで活動を行っています。
認定支援機関の支援は事業再生にとどまらず、創業支援、ものづくり企業の支援、海外進出支援など、実に多岐にわたる支援を行っています。
経営革新等支援機関が提供する支援内容は多くのメリットがあります。
たとえば、経営革新等支援機関に認定されている税理士に相談することで、財務内容や経営状況に関する細かな調査や分析、検討が可能となり、自社の財務状況が「見える化」され、適切な経営判断が迅速に行なうことができるようになります。また、決算書類や各種帳票類、および事業計画書の信頼性を向上させることができるため、金融機関から融資を受けやすくなるなどのメリットもあります。
事業計画の策定支援が受けられる
事業計画の策定支援が受けられることで、現状把握と対応策を明確にすることができます。
「売上を増加させたい」「人件費以外でコストを削減したい」「黒字体質の企業に転換させたい」などの経営課題や悩みについても、経営革新等支援機関のサポートを受けることができます。
経営革新等支援機関に相談して事業計画を作成することで、現状把握と対応策を明確になりますし、経営革新等支援機関の支援を受けて事業計画や経営改善計画を策定する場合には、全都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会の中の経営改善支援センターに「専門家に対する支払費用の3分の2 (上限200万円)」を負担してもらうことができます。
資金調達の際に有利である
中小企業者が認定支援機関の力を借りることで、経営改善に取り組む場合に信用保証料を概ね0.2%減免する制度を利用することができます。
an class=”reference-link”>参照:全国信用保証協会連合会「経営力強化保証制度のご案内」
また、認定支援機関の支援を受けて、創業又は経営多角化・事業転換等による新たな事業活動への挑戦を行う中小企業・小規模事業者は、日本政策金融公庫が行う低利融資を利用することができます。
中小企業庁に認定されている経営革新等支援機関は、専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント、金融機関が認定されているので、相談できることは多岐にわたります。
なおfreeeでは、無料で認定支援機関をご紹介する「税理士紹介サービス」を行っております。ぜひご活用ください。
創業してすぐに、事業が軌道に乗ることはあまりありません。
業種にもよりますが、少なくとも3カ月は十分な利益が発生しないことを覚悟して、資本金のみで会社を運営することも視野に入れておく必要があるでしょう。
そんな創業時に資金を増やすために利用したいのが、日本政策金融公庫の「新規開業資金」と「新創業融資制度」です。
創業時以外に利用できるものとしては、中小企業の経営力の強化を図るための「中小企業経営力強化資金」などがあります。
「新創業融資制度」と比較すると、「中小企業経営力強化資金」のほうが金利や融資条件が有利ですが、中小企業経営力強化資金については、認定経営革新等支援機関の指導や助言を受けることが条件となっています。
事業計画書は、経営改善や資金計画、マーケティング戦略計画について調査・分析を行うために作成しますが、銀行や公庫から融資を受けたり、ベンチャーキャピタルから資金調達を受けたりする際にも提出を求められることがあります。
単に熱意を述べただけの独りよがりな事業計画や専門用語が並べられた事業計画では、金融機関からの融資を引き出すことはできません。
事業計画書には、ユーザーや市場規模、ユーザーニーズなどについての分析はもちろん、現状の課題や解決方法、必要となる設備や、事業投資の具体的な目標、他社との差別化、販路開拓法などについて、矛盾なく説得力を持って説明されていなければなりません。
認定支援機関制度においては、金融機関と目線を合わせた事業計画書の作成について支援も行っています。
事業承継で保有する自社株を円滑に後継者へ引き継ぐためには、さまざまな施策が必要です。
自社株を後継者へ贈与や相続する際には、相続税・贈与税の納税資金などの問題はもちろん、相続トラブルなどの対策もしっかり行っていく必要があります。
このような事業承継サポートのニーズの高まりを受けて、2018年(平成30年)度の税制改正で、事業承継税制について、これまでの一般措置に加え、期間限定の「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例」が創設されました。
参照:税務署「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし」
この特例は、後継者が円滑化法(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等によって取得した場合、その非上場株式等に係る相続税・贈与税について、一定の要件のもとで、納税が猶予されたり、免除されたりする制度です。
この特例を受けるためには、自社株の贈与や相続に対する税金の納税を猶予または免除できる制度であり、認定支援機関による指導・助言を受けることが条件となっています。
M&A(Merger(合併)とAcquisition(買収))とは、2つ以上の企業が1つの会社に統合する合併、もしくは企業または個人が、別会社の経営権・支配権を全体もしくは部分的に獲得(株式や企業部門の取得)する買収されることをいいます。
M&Aの手法としては、株式交換、株式移転、増資引受、会社分割等を用いた合併・買収・経営統合から資本業務提携まで含まれますが、昨今、事業再生や事業承継の解決手段としても用いられます。
認定経営革新等支援機関では、経営改善や事業再生等の経営課題全般に係るサポートを行っており、M&Aの際に必要な戦略立案から、調査分析、交渉、実行まで、M&Aのあらゆるプロセスにおいて、サポートを受けることができます。
代表的なM&A手法は次の通りです。
合併 「2社以上の法人→1つの法人」となるのが合併です。 代表例が買収する会社を自社に組み込む吸収合併です。 株式買収 事業譲渡 その他 |
生産管理や品質管理は、企業の明暗を左右するものですが、これは中小企業も例外ではありません。
たとえば、製造業が製造する製品の品質に問題があれば、販売に悪影響を及ぼしますし、飲食店が食中毒を引き起こせば、廃業に追い込まれるリスクがあります。
経営革新等支援機関では、これらのリスクを回避するための生産管理・品質管理のフローの見直し等についてもアドバイスを行います。
情報化戦略のポイントは、中小企業の情報技術(IT化)を推進すること、そして業務の効率化を図ることにあります。
情報化戦略のひとつのツールとして電子商取引(電子媒体)への移行、コンテンツマーケティングを行うためには、経営者の意識改革と従業員の情報技術(IT)の知識を高めることなどが求められますが、その際にも経営革新等支援機関がさまざまな事例を示しながら、導入までサポートを行ってくれます。
知財戦略とは、「知的創造物の権利」と「営業上の標識の権利」の保護のことを指します。
知的創造物の権利:特許権、実用新案権、意匠権、著作権など 営業上の標識の権利:商標権、商号など |
知財戦略を行うということは、知財を武器に市場を維持、拡大できるということであり、知財の種々な活用によるさらなる収益の拡大を狙うことができるということです。
そして、これらの権利を守るためには、特許権・商標権等の実施許諾(ライセンス)契約をはじめ、秘密保持契約、共同開発契約、業務委託契約、取引基本契約など、各種契約書の作成が必要になります。これらの契約書作成についても、経営革新等支援機関のサポートを受けることができます。
【知財戦略を行うメリット】
他社からの参入防止につながる 知財戦略により市場の維持と拡大ができる ライセンスを販売できる |
中小企業基盤整備機構では、販路開拓とマーケティングを支援しています。
具体的には、関東支部と近畿支部に商社・メーカーなどの出身の販路開拓コーディネーターを配置して、新商品・新サービスのマーケティング企画から、首都圏や近畿圏で、想定市場における企業へのテストマーケティングまでを支援しています。
その対象となるのは、経営革新計画の承認を受けた中小企業です。経営革新等支援機関のサポートを受け、経営革新計画(5年後までの売上高から利益などの計画など)を作成することで、販路開拓とマーケティングについてさまざまなサポートを受けることができるようになります。
以上、経営等革新支援機関についてご紹介いたしました。
経営革新等支援機関とは、中小企業をサポートする機関であり、国が認定する公的な支援機関です。商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等などの専門家が登録されていて、融資や新調達の方法、経営改善に関する相談、販路開拓についての相談まで幅広くサポートを受けることができます。
無料で使えるfreee税理士検索は、数多くの事務所の中から記帳代行や税務調査、会計顧問等に対応できる税理士・会計士の事務所を検索できます。
検索機能で「経営革新等支援機関」と入力すれば、経営革新等支援機関の税理士一覧を見ることができますし、「融資、資金調達」や「事業承継」など、依頼したい業務内容で絞り込んで検索することもできます。ぜひご活用ください。
また、コーディネーターが無料で税理士をご紹介する「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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