給与計算の5つのステップと5つのポイント

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2022年07月11日

この記事のポイント

  • 給与計算までに、勤怠情報の収集や結婚、出産などの項目について整理しておく。
  • 総支給額を決定したら、社会保険料や所得税・住民税などの控除項目を確認して、控除していく。
  • freee人事労務なら、給与計算自体が自動計算される。

 

毎月の給与計算では、総支給額を計算した後、雇用保険料、社会保険料、所得税、住民税を控除して支払額(手取り額)を決定する必要があります。
控除項目の計算は、1つひとつ異なりますので、項目の種類とともにそれぞれの計算方法と注意点をしっかりと確認しておきましょう。

毎月の給与計算の流れ

給与は、原則として毎月1回以上、一定の期日に支給しなければなりません。
したがって、締め日(給与の計算対象期間の終わりの日のこと)から給与計算を始め、支給日前に振込み手続きを終わらせておく必要があります。
また、労働保険料、社会保険料、所得税や住民税を従業員の給与から天引きして、会社が納付するという業務もこなさなくてはなりません。

たとえば、給与が15日締めで25日払いの場合には、給与計算実務は以下のような流れで行います。

①毎月10日まで
所得税・住民税の納付期限

②15日の締め日~25日支給日
給与計算業務期間

③月末
社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の納付期限

(1)総支給額を計算する

まず、支給項目に基づいて総支給額を計算します。
総支給額は、基本給と各種手当の総額から欠勤控除を差し引いた額です。

総支給額=基本給+各種手当-欠勤控除
総支給額
総支給額とは、基本給、各種手当、結婚控除などの支給項目にもとづいて決まります。
基本給
基本給とは、各種手当や歩合給などを除いた、基本賃金のことです。
手当
手当とは、通勤手当、資格手当、残業手当など、業績に応じて支給される給与などのことです。
欠勤控除
欠勤控除とは、その従業員が欠勤、遅刻、早退などをした時に差し引く賃金のことです。1日当たりまたは1時間当たりの給与額を求めて、欠勤した日数分・時間分を差し引くのが一般的です。
したがって、給与計算をする際には、出勤日数や勤務時間、残業時間などの勤怠項目を事前にチェックする作業も必要となります。

(2)雇用保険・社会保険の控除

総支給額を計算したら、次に保険料を差し引きます。
健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。
雇用保険料は、給与の支払いのたびに、その額に「3/1000」(一般的な業種の場合)を掛けた額を控除します。

従業員が40歳に達すると、介護保険料を控除しなければなりません。
したがって、従業員の生年月日をもとに、毎月40歳に到達する人をチェックすることが必要となります。

(3)所得税・住民税の控除

保険料の従業員負担分を控除したら、次に源泉徴収する所得税と住民税を控除します。

この「課税対象額」とは、その月の給与の金額から健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の社会保険料を控除した金額となります。
課税対象額を「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめると、天引きする所得税額が分かります。
税額表は、給与の支給を受ける人の扶養親族等の数に応じて異なります。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で、あらかじめ扶養親族等の数を把握しておきましょう。

(4)労使協定の控除項目を控除

労使協定によって給与から控除する項目がある場合には、控除項目を控除します。
労使協定によって給与から控除する項目とは、たとえば会社が従業員に貸したお金の返済金や、会社で加入する生命保険料、会社で行う財形貯蓄費などが該当します。
この控除項目は、あらかじめ就業規則で明記しておくようにしましょう。

(5)手取り額を決定

従業員への支払額(手取り額)を決定します。

支払額(手取り額)=総支給額-(保険料の控除額+税金の控除額+労使協定による控除額)

多くの会社では、給与支給は金融機関を通じて振り込みで行います。
実際の支給日の3~4日営業日前までに、給与の振り込みデータを金融機関指定のフォームで送付します。

給与計算をするうえで知っておきたいポイント

給与計算をする際には、労働基準法に規定された「賃金支払い5原則」や最低賃金をについて理解しておく必要があります。

(1)賃金支払5原則

「賃金支払5原則」とは、「賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければならない」という賃金を支払う際の原則をいいます。

この5原則は賃金が確実に従業員に支払われるための規定であり、厳格に守らなければなりませんが、個々の状況に応じて労働協約を締結して、例外規定を設けることも可能です。

たとえば、「②労働者に直接」を厳格に守ろうとすると、銀行振り込みは認められないことになります。しかし利便性の観点から考え、一人ひとりの従業員に直接手渡すより銀行振り込みとすることもできます。ただし、これは本人の同意があった時に限られ本人が指定する本人名義の口座であることが必須条件であり、配偶者や両親など他人名義の口座に振り込むことはできません。

(2)最低賃金ルール

給与は、原則として地域別に設定された最低賃金額以上にしなければならないと規定されています。この法律は、正社員だけでなくパートやアルバイトも含めたすべての従業員に適用されます。
最低賃金は、毎年秋に改訂されていますので、もし最低賃金額ギリギリの給与設定にしている場合は、毎年賃金額を見直す必要があります。

(3)残業代は正しく支払う

1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた残業を「時間外労働」といいます。そして、時間外労働に対しては、法定の割増賃金を支払わなければなりません。
また、深夜帯(22時~翌5時)に労働する場合には、深夜手当として割増賃金を上乗せしなければなりません。
割増賃金は、「時間外」「休日」「深夜」ごとに割増率が異なります。

(4)給与の締切日までにやっておくこと

給与計算を行ううえでは、給与の締切までに入社した従業員や退職する従業員などの人事情報を整理しておく必要があります。
また、結婚や出産、転居など、給与計算を行う上で必要な項目についても、整理しておきましょう。
さらに、勤怠システムやタイムカードなどから労働時間や出勤日数を行い集計します。
給与の支給日には、紙の明細の場合は、各従業員に給与明細書を渡します。Web明細の場合には、公開日までにアップロードします。

(5)freee人事労務なら自動計算

「freee人事労務」を活用すれば、給与計算は自動的に行われます。

入力された勤怠情報から労働時間や保険料・税額などを含め自動で集計し、給与計算後は自動で給与明細書が作成され、従業員に共有されます。

なお登録された勤怠情報は、クラウド上でリアルタイムに反映しますので、残業時間を含む労働時間の管理を月中でも確認でき、労働環境の改善を行いやすくなります。

▶ 「クラウド会計ソフト freee会計」

まとめ

以上、給与計算の主な流れや知っておくべきルールなどについてご紹介しました。
給与支払いは、一歩間違えれば労働問題に発展する可能性もある非常にデリケートな業務です。思わぬトラブルに発展しないよう、これらのルールについてしっかり確認しておきましょう。迷った時には社会保険労務士などのアドバイスを得ることをおすすめします。
なお、「freee人事労務」なら、毎月の煩雑な給与事務をほぼ自動化することができます。

勤怠データや従業員情報から給与を自動で計算し、ワンクリックで給与明細を発行します。この時賃金台帳も自動更新されます。税制変更にも対応していますので、給与計算の知識がなくてもすぐに始めることができます。

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監修:「クラウドfreee人事労務」

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