雇用保険被保険者資格喪失届の作成と提出方法(記載事例付き)

公開日:2019年12月26日
最終更新日:2022年07月14日

この記事のポイント

  • 「雇用保険被保険者資格喪失届」とは、雇用保険の資格喪失手続きを行う際に必要となる書類。
  • 「雇用保険被保険者資格喪失届」は、ハローワークに提出する必要がある。
  • 出勤簿、退職辞令発令書類、労働者名簿、賃金台帳なども必要となる。

 

従業員が退職する際には、雇用保険の資格喪失手続きや社会保険の資格喪失手続きなど、さまざまな手続きが必要となります。
「雇用保険被保険者資格喪失届」は、これらの手続きのうち雇用保険の資格喪失手続きを行う際に必要となる書類で、ハローワークに提出する必要があります。

この記事では、従業員が退職する際に必要となる雇用保険の資格喪失手続きを行う流れや、雇用保険被保険者資格喪失届の記入方法についてご紹介します。

雇用保険の資格喪失手続き

従業員が退職する際には、雇用保険の資格喪失手続きを行う必要があります。
退職者が失業等給付を受けるためには、会社側と退職者本人の双方でそれぞれ手続きを行う必要がありますが、「雇用保険被保険者資格喪失届」は、会社側が雇用保険の資格喪失手続きを行う時に、さまざまな書類とともにハローワークに提出しなければならない書類です。

(1)雇用保険の資格喪失手続きの流れ

雇用保険の資格喪失手続きは、主に以下の流れで進めます。

会社側の手続き
退職の翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届・雇用保険被保険者離職証明書を所轄のハローワークに提出します。この時労働者名簿、タイムカード、賃金台帳、退職届など退職理由を確認できる書類なども添付します。
(※この時添付する書類は、退職した理由によって異なりますので、後述します。)
後日、ハローワークから離職票1・離職票2の交付を受けたら、退職者に送付します。

退職者本人の手続き
退職者は、自宅住所を管轄するハローワークに退職した会社から送付された離職票と雇用保険被保険者証を持参して、失業認定を受けます。
会社都合退職の場合には、待期期間(7日)を経て失業等給付を受給できます。
一方、自己都合退職(転職希望のための退職など)の場合は、7日間の待期期間+3カ月間は、失業等給付は支給されません。
※待期期間とは… 離職票の提出と求職の申込みを行った日から通算して7日間のことをいいます

(2)雇用保険の資格喪失による失業等給付の日数

給付日数は、受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間および離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。
離職の理由については、自己都合で仕事を辞めた場合給付日数は90日~150日となります。
なお、①ハローワークで求職の申込みを行い、②就職しようとする積極的な意思があり、③いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、④本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない「失業の状態」にあることが要件です。
したがって、以下のようなケースでは受給することはできません。

病気やけがのため、すぐには就職できないとき
妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

参照:ハローワーク「基本手当について」

雇用保険の資格喪失手続きで必要となる書類

雇用保険の資格喪失手続きでは、雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書のほか、出勤簿、退職辞令発令書類、労働者名簿、賃金台帳、離職証明書(離職票が不要のときは提出しなくてよい)、退職理由が確認できる書類などが必要です。

(1)必要書類は退職理由によって異なる

退職理由を確認できる書類は、退職理由によって以下のとおり異なりますので、事前にハローワークで確認しておくと手続きがスムーズになります。

①従業員の判断による退職
賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働者名簿、退職届

②会社が倒産したための退職
裁判所において倒産手続きの申立てが受理されたことを証明する書類など

③会社が廃止または活動停止して事業再開の見込みがないための退職
解散の議決が行われた議事録(写し)など

④定年退職
就業規則など

⑤採用または定年後の再雇用時にあらかじめ定められた雇用期限到来による退職
労働契約書、雇入通知書、就業規則など

⑥労働契約期間満了による退職
労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書、タイムカードなど

⑦早期退職優遇制度、選択定年制度などによる退職
制度の内容が分かる資料

⑧解雇(重責解雇※労働者の責に帰すべき重大な理由による解雇を除く)による退職
解雇予告通知書、退職証明書、就業規則など

⑨希望退職の募集または退職勧奨による退職
希望退職の募集に応じた場合には、希望退職募集要項(写し)、離職者の応募の事実が分かる資料など

⑩労働者の判断によるもののうち、職場の事情(賃金低下、採用条件との相違など)によるもの
労働契約書、就業規則、賃金規定、賃金低下に関する通知書など

(2)雇用保険被保険者資格喪失届の書き方

雇用保険被保険者資格喪失届には、雇用保険被保険者番号や事業所番号、退職理由などを記入してハローワークに提出します。ハローワークで電子申請を行うこともできます。

参照:厚生労働省「電子申請(申請・届出等の手続案内)」

①タイトルの「氏名変更届」を棒線で消します。
②「被保険者番号」に、雇用保険被保険者番号を記入します。
③「事業所番号」に、雇用保険の事業所番号を記入します。
④「資格取得年月日」に、雇用保険の資格を取得した日を記入します。
⑤「離職等年月日」に、退職年月日を記入します。
⑥「喪失原因」に退職理由に該当する数字を記入します。
・死亡、取締役に就任…1
・従業員に理由がある場合の解雇、雇用契約期間の満了、自己都合退職…2
会社に理由がある場合、退職勧奨による退職…3
⑦「離職票交付希望」に、離職票の発行を希望する場合は「1」、希望しない場合には「2」を記入します。
⑧「1週間の所定労働時間」に、従業員の1週間の所定労働時間を記入します。
⑨従業員が外国籍の場合は14~18についても記入します。
⑩「被保険者氏名」、「性別」、「生年月日」、「被保険者の住所又は居所」に退職する従業員の氏名、生年月日、性別、住所を記入します
⑪「事業所名称」に、事業所の名称を記入します。
⑫「被保険者でなくなったことの原因」に、退職理由を具体的に記入します。

(3)雇用保険被保険者番号とは

雇用保険被保険者番号は、雇用保険被保険者証に記載されている11桁の番号です。
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書や雇用保険被保険者証で確認することができます。

(4)雇用保険の事業所番号とは

雇用保険の事業所番号とは、雇用保険適用事業所設置届事業主控や、従業員の雇用保険被保険者の資格取得届や資格喪失届の事業主控に書いてある11桁の番号です。

雇用保険適用事業所設置届事業主控は、雇用保険の適用事業所を設置した時に「雇用保険適用事業所設置届」などをハローワークに提出した後、ハローワークから事業所番号を付与して交付されます。

(5)雇用保険被保険者資格喪失届の提出先

雇用保険被保険者資格喪失届の提出先は、事業所がある地域の所轄のハローワークです。
提出期限は、従業員が雇用保険の被保険者でなくなった翌日から10日以内です。
雇用保険被保険者資格喪失届の提出は、ハローワークで電子申請を行うこともできます。
参照:厚生労働省「電子申請(申請・届出等の手続案内)」

まとめ

以上、雇用保険被保険者資格喪失届の作成と提出方法、添付書類などについてご紹介しました。
なお、雇用保険の資格喪失手続きをする際には、ここでご紹介した雇用保険被保険者資格喪失届以外にも、雇用保険被保険者離職証明書を記載して作成する必要があります。

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