税理士に依頼をする前に知っておきたい8つの得意分野

公開日:2019年05月01日
最終更新日:2024年02月26日

この記事のポイント

  • 医師に専門分野があるように、税理士にも得意分野がある。
  • 相続税に精通している税理士、確定申告に精通している税理士などがいる。
  • 税理士に依頼する前に、税理士の得意分野を知っておこう。

 

税理士は税金の専門家であり、税金関連で相談する相手ですが、その中でも人によって得意分野があるものです。
たとえば、法人税や個人の申告業務に豊富な経験を持つ税理士であれば、決算・申告業務、節税のアドバイスを受けることができますし、相続税や贈与税に詳しい税理士には、相続対策についてアドバイスをもらうことができます。
自社の経営力向上についてサポートをして欲しいなら、経営パートナーとして経営管理・経営指導を行ってくれる税理士に相談するのがよいでしょう。

 

税理士選びの豆知識

税理士に依頼する場合には、税理士に何を依頼したいのかをはっきりさせておきましょう。節税の相談をしたいのか、資金繰りについて相談したいのか、税務申告の相談をしたいのか、経理システムの構築について相談したいのかを明確にしておきましょう。
なぜなら、税理士によって得意分野があるからです。
経理の効率化に得意な税理士に相続の相談をするよりは、相続に強い税理士に相談した方が効果があります。「せっかく依頼したのに…」というミスマッチは、事前に何を依頼したいのかを明確にすれば、防ぐことが可能です。
税理士検索サイトの紹介文やブログ、SNSなどの内容はよく確認すれば、その税理士が何を得意としているのか、どんな考え方をしているのかをチェックすることができます。
ただ、ブログやSNSをしていない税理士もいれば、ホームページでは基本情報しか分からないという場合には、freee税理士コーディネーターを活用していただくのがおすすめです。
コーディネーターが依頼内容やご希望を伺って、ミスマッチが起こらないよう、ぴったりの税理士をご紹介します。複数の税理士を一度にご紹介することも可能ですし、面談した税理士が合わないという場合は、すぐに他の税理士をご紹介します。
ぜひご活用ください。

そもそも税理士とは

税理士のことは知っていても、「起業をしたばかりで余裕がない」「営業に忙しくて税理士に相談する余裕がない」「そもそも税理士に何を相談すればよいのか分からない」など、税理士とどう付き合っていけばいいのか分からない人は多いようです。
しかし、税理士は私達が暮らしていくうえで密接な関係のある「税金」の専門家です。
数多くいる専門家のなかでも、税理士はもっとも身近な専門家なのです。

(1)税理士に依頼できることを大まかに知っておこう

税理士に相談できることや依頼できる業務は、実は多岐にわたっています。

日本税理士会では、税理士の仕事として税務代理、税務書類の作成、税務相談、e-Taxの代理送信、会計業務のほか、訴訟代理人である弁護士とともに裁判所に出頭し陳述(出廷陳述)する補佐人や、中小企業者等に対して専門性の高い経営改善に関する支援事業を行う「認定経営革新等支援機関」の業務などを挙げています。

引用:日本税理士会連合会「税理士とは」

(2)税理士の得意分野を知るべきなのはなぜか

税理士というと「税金の専門家」というイメージを持つ人が多いと思います。実際それはそのとおりであり、税理士は、税務に関するさまざまな業務を行うことが本来の役割です。しかし、税務に関する業務は多々あり、税理士はそれぞれ得意分野を持っているものです。

なかでも多いのは、顧問税理士として確定申告や経理指導を受けるケースや、相続税申告・相続対策について相談するケースですが、なかには、税理士のブレーンを経営コンサルタントとして上手に活用している経営者もいます。
経営コンサルタントとして税理士を活用しているケースでは、税理士が弁護士や司法書士、社会保険労務士などの他士業と連携するケースが多いことを活用し、税務相談以外の案件については、他士業に相談しながら、事業を拡大させています。
また、他の経営者は融資に精通している税理士に相談し、なじみのある金融機関を紹介してもらったり金融機関への同行を依頼したりして、有利な条件で融資を受けています。
また、上場を検討している経営者は、税理士に事業計画書や現場の管理体制まで相談しています。事業計画に即した現場の計画の見直し、さらには人事評価と給与の連動まで相談して利益が上がる会社に成長させています。

つまり、税理士をさがす時には、どのようなことを税理士に求めているのか、何を相談したいのかを明確にする必要があります。「税金のことなら、何でもいいから税理士に相談してみよう」と考えていると、税理士探しに失敗してしまうこともあります。

税理士の得意分野

税理士の得意分野は、主に下記の8タイプに区別することができます。
もちろん、ここでご紹介した以外にも得意分野を持っている税理士はいますし、いくつもの得意分野を持っている税理士もいますが、相談する際の目安として知っておいていただきたいと思います。

(1)法人や個人の税金の申告

所得税の申告・法人税の決算申告、年末調整、法定調書の作成、償却資産税などの申告業務は、税理士の独占業務です。
個人の所得税などの税金の計算は、毎年1月1日から12月31日までとなっていて、基本的には翌年の3月15日までが申告期限です。
「税理士は、3月が忙しい」というイメージを持っている人も多いと思いますが、これは、3月15日の申告期限までに資料収集・会計税務などの業務が集中してしまうためです。
法人の決算日については法人が自由に決めることができますが、3月や9月決算という法人が多いので、決算日の前後には業務が集中していることが多いものです。

法人や個人の税金の申告を得意としている税理士に相談すれば、日々の煩雑な帳簿作成のサポートはもちろん、事業を行う上で生じる疑問点や不明点について相談することができますし、適正な節税対策についてアドバイスを受けることもできます。
また、毎年訪れる決算や確定申告について、「考えるだけで面倒だ」「この季節になると憂鬱だ」とストレスを感じる方も、その面倒な作業から解放されます。

誤った申告を行うと、無駄な税金を支払わなければならなくなることもありますし、税務署から指摘を受けペナルティが課せられることもありますので、決算・申告業務は税理士のアドバイスを受けることをおすすめします。

法人や個人の税金の申告を得意としている税理士への相談例
・個人事業主の確定申告をサポートしてほしい
・法人税申告書を作成してほしい
・消費税の課税対象者となったので、必要な手続きを知りたい
・県、市民税申告書の作成と提出業務に対応してほしい
・年末調整業務を依頼したい
・必要な節税対策を教えて欲しい

(2)相続税や贈与税の対策・相続税申告

相続税が改正されて相続税の基礎控除額が大幅に縮小されたことで、これまで相続税に縁遠かった方も、今後は相続税を納める可能性が高まったことで、相続税や贈与税の対策を検討する人も増えてきました。

相続税がかかるのは、相続や遺贈によって取得した財産で、金銭に見積もることができるものはほとんど相続財産ということになりますから、相続財産が多ければ多いほど、相続対策の必要性は高まります。
また、相続開始前に子や孫に贈与した財産については、一定額以上は贈与税がかかります。贈与税は相続税より税率が高く設定されているので、特に注意が必要です。

これらの相続税や贈与税の負担を軽くして、円満な相続を実現するためには、相続税を考慮した節税対策や相続税の納税資金の準備だけでなく、相続トラブルを回避するための総合的な対策が必要です。
したがって、可能な限り早く税理士に相談して、中長期的な計画を立て着実に対策を進めていくことが大変重要となります。

財産を残す人の(被相続人)の相談例
・相続税の概算額を把握しておきたい
・相続税が増税になったと聞き不安になった
・具体的な節税方法のアドバイスがほしい
・不動産の財産を活用した相続対策を提案してほしい

財産を受け取る人(相続人)の相談例
・相続税の申告手続きをしてほしい
・遺産分割協議書の作成までサポートしてほしい
・納税資金が不足していて困っている
・相続税の申告期限まであまり時間がない

(3)記帳指導や記帳代行

税理士には、煩雑な経理や記帳の指導や代行、給与計算を依頼することができます。
領収書・請求書を渡して会計ソフトへの入力する作業から依頼することもできますし、会計ソフト導入のサポートや自計化コンサルティング、法人税、消費税、所得税等の申告、給与計算、年末調整や法定調書作成についてトータルで依頼することもできます。
また、新型コロナ感染症拡大に伴う支援金等の申請についても、相談することができます。

会計ソフトでは、「freee会計」の導入がおすすめです。
これまでの会計ソフトは、パソコンにインストールする必要があったのでパソコンが壊れたり買い換えたりするたびに、ソフトをインストールする必要がありました。また、頻繁に行われる税制改正のたびにアップロードすることも必要でした。

しかし、「freee会計」なら、IDとパスワードがあれば、会社や自宅のパソコン、スマホなどからいつでもアクセスすることができるだけでなく、税制改正のたびにアップロードする必要もありません。
データはクラウド上で管理されるので、税理士にリアルタイムでデータを共有することができますし、「この取引は、どの勘定科目に仕訳をすればよいのか」といった質問や、「納税額はいくらくらいになりそうか。それを踏まえてできる節税対策は何か」などについて、タイムリーにアドバイスしてもらうこともできます。

また、「freee会計」では、「認定アドバイザー」というプログラムがあり、操作方法などが分からなくても、ソフトの導入からサポートしてもらうことができます。また、どのようにクラウド会計ソフトを活用していくべきか、売上向上と会計事務所の業務効率化を実現するためにはどのようなシステムを構築すればよいのかについても、アドバイスをしてもらうことができます。

記帳指導や記帳代行の相談例
・クラウド会計ソフトの導入をサポートしてほしい
・会計ソフトの入力から決算・申告までアウトソーシングしたい
・自計化をしたいので、記帳指導をしてほしい
・節税対策のアドバイスをしてほしい

(4)税務調査対応

税務調査とは、国税庁や税務署が納税者から申告された申告内容について確認をする調査のことです。
国税庁や税務署から申告内容に違法な処理があったと指摘されてしまうと、税法に従って申告や納税を改めなければならないこともあります。
この税務調査においては、税理士に立ち会ってもらうことができ、税に関する専門家として独立した公正な立場で、かつ納税者側の立場で主張をしてもらうことができます。

このような税務調査では、税理士のサポートは必要不可欠といえるでしょう。実際、税務調査に税理士の立ち会いがあるか否かで、結果が大きく変わることがあります。
税法の微妙な解釈や税務署職員の理論的な主張に対しても、税法に精通している税理士なら根拠を示しながら対処してもらうことができます。
したがって、税務調査の連絡がきたら、その場で調査日等について決めるのではなく、すぐに顧問税理士に連絡をしましょう。
顧問税理士がいない場合でも、税務調査から対応してくれる税理士もいますので、早めに税理士に相談し依頼することをおすすめします。

記帳指導や記帳代行の相談例
・相続税について税務調査の連絡があった
・所得税や法人税について税務調査の連絡があった
・税務調査の対象になった時のために、事前に準備をしておきたい

(5)特定の業種に特化している税理士もいる

クリニックや建設業、美容院やカフェなど、特定の業種に詳しいという税理士もいます。
特定の業種に詳しい税理士には、その業種の慣習や事業の悩みなどをすぐに理解してもらうことができますし、必要経費についてもすぐに理解をしてもらうことができます。
また、他士業と連携して必要な手続きをトータルでサポートしてもらうこともできます。
したがって、特定の業種のサポートに特化している税理士がいれば、起業・開業の前からアドバイスを受けることをおすすめします。

特定の業種に特化している税理士への相談例
・飲食店を開業したい
・建設業を開業したいが、必要な許認可の手続きからサポートしてほしい
・クリニックの経理システムを構築したい

(6)経営管理・経営指導まで相談できる

経営指導を積極的に行っている税理士には、経営計画の策定だけでなく、その計画の実行までサポートしてもらえることもあります。
なかには、毎月の売上データをチェックし、経営コンサルティングとして必要な販促物の提案や、どのように運用していくのかまでアドバイスしてもらえるケースもあります。

経営管理・経営指導を得意としている税理士からは、多くの経営者と関わる中で得た貴重な経験及びノウハウがあります。
なかには上場まで手伝いをする税理士もいて、実際に伸びている会社は実は裏でこうした税理士がついていることが多いのです。

経営管理・経営指導を得意としている税理士への相談例
・経費の見直しをしたい。改善点を教えてほしい
・売上をアップさせたい。試算表の活用法を知りたい

(7)創業支援・資金調達など

創業支援や資金調達などの際には、税理士のサポートが大変重要です。
資金が不足しがちな創業時には資金繰りだけでなく必要な手続きについてサポートを受けることができますし、資金調達の場合には金融機関に提出するための事業計画書、決算書などの作成についてもアドバイスをもらうことができます。
決算書は、税務署が見るポイントと金融機関が見るポイントが違います。
税務署は損益計算書を見ますが、金融機関は貸借対照表を重視します。
つまり、両方をしっかりと見てくれる税理士のサポートがなければ、長い目で見た場合にいつまで経っても資金繰りが楽にならないものです。

また、創業前でまだ実績がない、または創業間もない企業は、実績をあらわす決算書がないので特に事業計画書が重視されます。
創業支援・資金調達に力を入れている税理士にアドバイスを受けることで、事業計画書の作成ポイントだけでなく、金融機関との面談で何を聞かれるか、どのように答えればいいかについても質問をすることができます。

創業支援・資金調達を得意としている税理士への相談例
・日本政策金融公庫から融資を受けたい
・ベンチャーキャピタルから出資を受けたい
・銀行から融資を受ける際の事業計画書の作成をしてほしい

(8)事業承継・M&Aなど

上記のほかに、事業承継・M&A・IPOに特化している税理士も増えています。
事業承継・M&Aは、税理士の専門的な知識なくしては実現が難しいといえるでしょう。経営者ひとりの判断で進めていくことはできませんし、さまざまな会社・機関との交渉が重要になるからです。また、従業員や取引先への説明についても最新の注意が必要です。
事業承継・M&Aに特化している税理士であれば、これらの細かい注意点についてもしっかりアドバイスをしてもらうことができます。

まとめ

以上、税理士に税金の相談をする際に知っておきたい8つの得意分野についてご紹介しました。ここでご紹介した分野以外にも得意分野をもつ税理士はいますし、いくつも得意分野を持っている税理士もいます。
また、税理士を選ぶ際には「相性が合うかどうか」「誠実に対応してくれるか」という点も大切ですが、税理士にも得意分野があることを理解したうえで、「自分が相談したい内容に適切なアドバイスをしてくれるか」「豊富な経験をもとにサポートをしてくれるか」といった視点も忘れないようにしましょう。

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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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