税理士に税務相談|「決算前の節税対策を教えて」

公開日:2019年11月08日
最終更新日:2019年11月08日

目次

  1. 決算前にできる節税対策
    • 締め後の給与の未払を計上する
    • 社会保険料の未払を計上する
    • 短期前払費用を活用する
    • 貸倒損失を計上する
    • 棚卸資産の評価損を計上する
  2. それでも資金繰りが苦しい時は
    • 仮決算を検討する
    • 法人税の申告期限は延長できる
  3. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 節税対策は、中長期計画を立てて実行する方が効果がある。
  • 決算前でもできる節税対策もあるが、実行前には十分な検討が必要。
  • 資金繰りが厳しい時には、仮決算や法人税の申告期限の延長を検討するのも有効。

 

決算前になると、「納税額を減らすために経費を使おう」と必要もない飲み会を開いたり、不要なパソコンを購入したりするケースがあります。
確かにこれらの費用がまとまった金額になれば納税額を減らす効果はありますが、税金を減らしても無駄な経費を使ってしまうようでは、意味がありません。

そこで、この記事では税理士がおすすめできる「決算前でもできる節税対策」についてご紹介します。無駄な経費を使う前に、まずはこれらの方法を検討するようにしましょう

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決算前にできる節税対策

節税対策は、決算前に慌てて行うよりも中長期計画を立てて実行する方が効果があるケースがほとんどです。
たとえば、子会社を設立して利益を分散することで法人税が軽減されることがありますし、社宅制度を導入すれば、会社の負担する家賃を経費として計上することができます。

ただし、これらの対策を決算前に実行するには難しいこともあるため、ここでは決算前に検討できる節税対策についてご紹介します。

締め後の給与の未払を計上する

給与については、支給日に損金に計上している会社が多いと思いますが、一定の要件を満たせば、締め後の給与を未払として計上し損金に算入できることもあります。

たとえば、給与の計算期間が15日締めで25日支払いとしている会社が12月決算の場合、12月16日から12月31日までの給与を当期の損金として未払計上することができます。

ただし、未払費用が損金になるかはその事業年度終了の日までに債務が確定している必要があります。したがって、債務が確定しているということを主張するために、あらかじめ給与規定で計算期間や支給日を給与規定で規定しておくようにしましょう。

給与の場合には、仮に1月1日に従業員が会社を辞めたとしても実際に働いた期間(12月16日から12月31日まで)については、1月25日に支払わなければなりませんから、この場合には未払い給与を損金算入することができます。翌期以降同様の処理を行うので初年度のみの節税対策とはなりますが、もしこのようなケースがあれば、未払費用といて計上することを検討してみましょう。

社会保険料の未払を計上する

健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けた額が月額保険料となり、これを会社と従業員が折半して負担することになっています。
社会保険料の会社負担分は支払日に損金としている会社が多いと思いますが、社会保険料は当月分を翌月末納付することになっています。
そこで、当月分の社会保険料は未払計上することで損金に算入することができます。
決算日が土日にあたる場合には、2カ月分を未払計上することができるので、さらに節税効果があります。

短期前払費用を活用する

前払費用とは、リース料や地代家賃、保険料など会社が継続的に提供を受けるために支出した費用のうち、事業年度終了時においてまだ提供を受けていない部分に該当する費用をいいます。
たとえば、家賃は当月末までに翌月分の支払いをするケースがほとんどですが、このような場合の家賃の支払いは前払費用になります。

前払費用は、原則として「役務の提供を受けた時」に損金に算入しますが、一定の要件に該当するものは「短期前払費用」として支出時に損金に算入することができます。

短期前払費用となる要件
①支払った日から1年以内に提供を受ける役務であること
②支払った金額を継続して、その事業年度の損金の額に算入していること

たとえば、月払いの家賃を年払いにして決算時に損金に算入すれば、それだけ損金を増やすことができるので大きな節税効果が得られます。
ただし1度、年払いとした場合にはその後も継続的に年払いとする必要があります。
したがって短期前払費用を活用する時には、「翌期も年払い契約にして資金繰りに影響がないか」を検討する必要があります。

貸倒損失を計上する

貸倒損失とは、売掛金や受取手形、売掛債権などが回収不能になった時に計上される費用です。
貸倒損失は要件が厳密に決められていて、①法律上の貸倒れ、②事実上の貸倒れ、③形式上の貸倒れ3つのケースのいずれかに該当する必要があります。

①法律上の貸倒れ
会社更生法、民事再生法などの規定に基づく認可決定によって切り捨てられることになった部分や、債務者の債務超過の状態が相当期間継続しており、その債務者に対して書面によって明らかにされたものなど。

②事実上の貸倒れ
債務者の資産状況や支払い能力からみて、その金額が回収できないことが明らかになった場合など

③形式上の貸倒れ
売掛債権については、その売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理したもの

なお、貸倒損失は計上するタイミングが大変重要で、回収できないことが明らかになった事業年度で計上しなければなりません。機を逸してしまうと貸倒損失が否認されてしまうので、注意してください。

棚卸資産の評価損を計上する

在庫を保有する会社では、毎期必ず棚卸をしますが、この時帳簿棚卸と実地棚卸とに数量の差異がある場合や、商品の時価が取得価額より下がってしまったりした場合には、損失計上することができます。

棚卸資産の損失計上ができるケース
①決算日において、帳簿棚卸高と実地棚卸高との数量に差異がある場合
②決算日における商品の時価は、取得価額より下がってしまった場合

なお、棚卸資産の評価損益についてはそもそも認識をしないものとするのが原則ですが、以下の場合には評価損の計上が認められます。

評価損の計上が認められるケース
①災害によって、資産が著しく損傷したこと
②資産が著しく陳腐化したこと
③上記の①および②以外で、破損、棚ざらし、品質変化等により通常の方法では販売できないこと

棚卸帳簿と実地棚卸との差異分析が可能になり、以上のような要件に該当した場合には、評価損を計上することで節税効果が期待できますので、検討してみましょう。

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それでも資金繰りが苦しい時は

これまでご紹介したような節税対策を行っても資金繰りが厳しく、納税額の用意が難しいこともあります。その場合には、仮決算や法人税の申告期限の延長を検討してみましょう。

仮決算を検討する

前期の法人税の年税額が20万円(前期が12カ月の場合)を超える場合には、中間申告が必要になります。
この中間申告には①「予定申告」と②「仮決算」の2種類があります。

①予定申告
前期の実績をもとに計算する方法で、前期の法人税の年税額を前期の事業年度の月数で割って6を乗じて計算します。たとえば、前記の事業年度が12カ月、年税額が30万円の場合には納税額は「30万円÷12×6=15万円」となります。

②仮決算
当期開始日からの6カ月間を1事業年度とみなし、通常の決算と同じように決算を行なって、税額を計算する方法です。ただし、仮決算の結果予定申告の金額を超える場合には、予定申告を行うことになります。

前期にたまたま大きな利益が出たような場合には、当期の予定申告による納税額が多額になることがあります。このような事情があり資金繰りが厳しくなることが予想される場合には、仮決算を検討してみましょう。

法人税の申告期限は延長できる

法人税の申告書は、通常事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に提出しなければなりません。
ただし、定款などで「毎月事業年度終了の日の翌日から2カ月以内には、定時総会が招集されない状況にある」と認められる時には、提出期限を1カ月延長することができます。
延長申請書は、所轄の税務署、都道府県税事務所および市区町村役場に、適用を受けようとする事業年度終了の日までに提出する必要があります。

なお、延長申請書を提出する際には、定時総会が事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に開催することを証明するために定款を添付する必要がありますので、あらかじめ定款にその旨の文言が記載されているか確認しておきましょう。

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まとめ

以上、決算前に検討できる節税対策についてご紹介しました。
節税対策はそれぞれの会社の資本金の額や売上高、業種によって異なります。また、効果的な節税対策だと思って実行してもリスクばかり大きくてほとんど効果がない節税対策もあります。

どの節税対策がよいのかについては、経営状況や取引先の状況を正確に把握しなければなりませんし、有効な対策について取りこぼしがないように実行する必要があります。
したがって決算間際ではなく、なるべく早い段階で税理士に相談することをおすすめします。

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