税理士は必要なのか|税理士に依頼するメリット・デメリット

公開日:2019年07月08日
最終更新日:2022年06月29日

この記事のポイント

  • 税理士とは、納税者の相談相手となって、税務署に提出する書類や申告書を作成したりする専門家。
  • 税理士がいることで、節税できるだけでなく決算・税務申告がスムーズになるなど多くのメリットがある。
  • 税の専門家だけでなくホームドクターとして、経営相談をすることができる。

 

税理士というと、「税務署に提出する書類を作成したり、申告書を作成したりする専門家」というイメージを持つ人が多いと思います。
そのイメージから、「うちは、まだまだ会社の規模も小さいから税理士に依頼しないで、自分で申告書を作成しよう」「経営相談するほど売上が上がってないから、税理士は必要ない」という人もいます。

しかし税理士は、税務署に提出する書類や申告書を作成する業務の他にも、節税対策や補助金の申請、相続税対策などの個人の税務相談についても相談することができます。

税理士とは

税理士とは、納税者の相談相手となって、納税者に代わって税務署に提出する書類を作成したり、申告書を作成したりする専門家です。
税理士になるためには、税理士試験に合格するか、税務署出身者(23年以上勤務し、指定条件を満たす必要がある)であるか、弁護士や公認会計士の試験に合格する(一定の要件あり)必要があります。

税理士には独占業務があり、税務代理、税務書類の作成、税務相談については、有償・無償を問わず、税理士または税理士法人以外の者が行うことはできません。

税理士に依頼できる業務

税理士の業務を大きく分けると、①税理士の独占業務、②それに付随する業務があります。
①の税理士の独占業務については、税務代理、税務書類の作成、税務相談と規定されています(税理士法第2条第1項第1号から3号)。
日本税理士会のホームページでは、税理士に依頼できる業務として具体的に以下の例を挙げています。

税務代理
納税者を代理して、確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立会い、税務署の更正・決定に不服がある場合の申立てなどを行います。

税務書類の作成
納税者に代わって、確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書、その他税務署などに提出する書類を作成します。

税務相談
あなたが税金のことで困ったとき、わからないとき、知りたいとき、相談に応じます。

e-Taxの代理送信
納税者のご依頼でe-Taxを利用して申告書を代理送信することができます。この場合には、納税者自身の電子証明書は不要です。

会計業務
税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務を行います。

補佐人として
税務訴訟において納税者の正当な権利、利益の救済を援助するため、補佐人として、訴訟代理人である弁護士とともに裁判所に出頭し、陳述(出廷陳述)します。

会計参与として
中小の株式会社の計算関係書類の記載の正確さに対する信頼を高めるため、「会計参与」は、株式会社の役員として、取締役と共同して、計算関係書類を作成します。
税理士は会計参与の有資格者として会社法に明記されています。

租税教育
税についての正しい知識と理解を深めるために、特に将来を担う子供たちに対しての「租税教育」に積極的に取り組んでいます。

高齢化社会に向けて
各地域の税理士会に「成年後見支援センター」を設置し、「成年後見制度」に積極的に参画しています。

適正な申告支援
「税理士記念日(2月23日)」や「税を考える週間(11月)」など、各地で「無料税務相談」を行っています。

税制を国へ提言
税制及び税務行政の改善に寄与するために、国に対し「税制改正建議書」を提出しています。

行政・司法支援として
国税不服審判所で「国税審判官」として、地方公共団体においては「監査委員」として活躍しています。
税務の専門家として「法テラス(日本司法支援センター)」に協力しています。
また家庭裁判所で「民事・家事調停員」として紛争解決に携わっています。

中小企業の支援
中小企業者等に対して専門性の高い経営改善に関する支援事業を行う「認定経営革新等支援機関」として税と会計の専門家として業務を行う。

会社法において
現物出資にかかる評価証明者として業務を行います。

地方自治法において
都道府県や市町村における税金の使途をチェックする外部監査人として業務を行います。

政治資金規正法においては
国会議員関係政治団体の政治資金監査を行う登録政治資金監査人として業務を行います。

地方独立行政法人法において
地方独立行政法人の業務を監査する監事とし業務を行います。

参照:日本税理士会「税理士とは」

税理士がいるメリット

前述したとおり、税理士にはさまざまな税務相談・税務代理業務を依頼することができますが、税理士に依頼するメリットは、「税に関する相談ができること」です。
税理士に早めに相談することができれば、適切な節税対策を提案してもらうことができ、決算・税務申告をスムーズに行うことができます。

(1) 経理業務の効率化

税理士は、経理のプロです。
会計ソフトへのデータ入力、試算表の作成、貸借対照表・損益計算書などの作成、給与計算と給与明細書の作成、決算申告などの業務は、すべて税理士に依頼することができます。
簿記や税務知識のない人が何日もかけて行うような業務を、経理のプロなら数時間程度で終わらせることができ、当然ミスもありません。
時間と労力が大幅に削減されるだけでなく、あわせて節税面のサポートまでしてもらうことができます。

(2) 税務調査対応をしてもらえる

ビジネスを行う以上、税務調査を受ける可能性は誰にでもあります。
税務署は、担当地域のすべての法人の決算書に目を通しています。
しかし、決算書に税理士の印鑑がある場合には「この会社は、顧問税理士がついているから脱税はしないだろう」という印象を、税務署に与えることができます。
ところが、税理士の印鑑がない決算書があると、「この会社は、正確な経理処理ができていないのでは」と疑われてしまう可能性があるのです。

また、税務調査の対象となった時にも、顧問税理士がいるかいないかでは結果が大きく変わることがあります。
税務調査のためにどのような準備を行わなければならないのか、必要な書類は何かといった事前のアドバイスはもちろん、調査当日も納税者の味方となって毅然として税務署に対応してもらうことができます。

税理士法1条には「税理士は、税務に関する専門家として、納税義務者の信頼にこたえ」と明記されています。つまり、税理士は、納税者の味方として業務を行わなければならないと法律で規定されているのです。

(3) 決算・税務申告がスムーズになる

決算・税務申告の作業は、非常に煩雑です。
帳簿のもれやミスを確認し、年末に残った在庫の数を確認しなければなりません。
そして、日々の経理作業の最終目的として決算書を作成して申告書類を作成する必要があります。
税理士に依頼すると、これらの税務に関するあらゆる書類を作成してもらうことができます。そして、申告書を作成する際に税金の計算について相談に乗ってもらうこともできますし、節税のための意見をもらうこともできます。
依頼する内容や作業量によって料金は大きく異なりますが、決算作業だけ依頼する場合には、その分報酬を安く済ませることができます。
ずさんな税務申告を行なうと、税務調査の対象となりペナルティを受けることもありますので、その意味でも税理士に依頼するメリットは大きいと言えるでしょう。

(4) 資金調達サポートをしてくれる

税理士には、各種補助金の申請、資金調達や融資を引き出すための支援を依頼することもできます。
補助金は期限が決められているものが多く、申請のタイミングが非常に重要です。
とくに、ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生を目指し、令和3年(20201年)には、さまざまな税制改正での取り組みがなされています。

デジタル技術を活用した企業変革(DX)を推進する措置として新商品の開発や新生産方式、販売方式の導入によって新需要開拓や生産性向上に取り組む企業が提出する「事業適応計画」が産業競争力強化法で創設されました。また、2050年カーボンニュートラルという目標に向け、企業の投資を促進する税制が創設されます。
また、株式対価M&Aを促進するための措置も創設されました。

「こんな有利な補助金や特例があったのか」と後々後悔することがないよう、是非早めに税理士に問い合わせをすることをおすすめします。

また、金融機関から融資を受けるためには、事業計画書が大変重要です。
事業計画書とは、簡単に言えば「事業の中身を理解させるための書類」で、中長期目標や数値計画、実行・管理態勢の表明などを記載します。
この事業計画書の中身がずさんだったり、数値計画に現実味がなかったりすると、とたんに融資を受けるのは厳しくなってしまいます。
資金調達に精通している税理士であれば、金融機関がどの点を重視するのか熟知していますので、「融資を受けやすい事業計画書」を作成してもらうことができます。
最近は、税理士が金融機関から経営計画の策定を依頼されるケースも増えています。これは、債務超過や2期連続経営が赤字といった企業であっても、ある一定の要件を事業計画であれば、追加の融資を受けたり返済条件の変更を行ったりするために必要とされます。

(5) 経営相談をすることができる

税理士は、損益計算や資金繰りの観点から、企業が抱える潜在的なリスクをいち早く発見することができます。そしてこれが顕在化した場合の損害と予防するための改善策を提示してもらうことができます。

もし今、あなたの会社が以下の3つのうち1つでも当てはまる状況にあれば、今すぐに改善が必要です。可能な限り早く税理士に相談することをおすすめします。

①2期連続経営赤字が発生している。
②手元資金が平均月商の1カ月分をきっている。
③実態債務超過÷(直前の決算時の税引後利益+減価償却)<5

もし顧問税理士がいれば、このような状態になる前に経営者にリスクを知らせ、改善策を提示してくれるはずです。

税理士がいるデメリット

税理士に依頼することは、多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットがあることも事実です。
ここでは、税理士がいることのデメリットについてご紹介します。

(1) 顧問料などがかかる

税理士に依頼すると、顧問料を支払わなければなりません。
依頼内容や作業量によって料金は大きく異なりますが、一般的には月に数万円というケースが多いようです。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

(2) 相性が合わないこともある

「税理士と相性が合わない」「業界のことを知らないので、適切なアドバイスをもらうことができない」という声もあります。
なかには「親の代からお世話になっている税理士で、年もかなり上なので、自分の意見を言えない」というケースもあるようです。しかし、これでは税理士に依頼する意味がなくなってしまうのではないでしょうか。

これまでご紹介してきたように、税理士は税務申告を代行してくれる専門家というだけではありません。

どんなことでも相談することができ、経理作業を通して適切な節税対策を提案してもらい、税務調査際には、経営者の味方となって税務署に対処してくれるのが、税理士なのです。

税理士は、まさに、「経営のパートナー」「税金について親身に相談に乗ってくれるパートナー」「会社のホームドクター」というべき存在なのです。
したがって、税理士を選ぶ時には「自分の意見をしっかり伝えることができる」「会社のことを包み隠さず相談できる」と思えるような税理士を選ぶことが大切です。

税理士に依頼できる業務

いい税理士を探すポイントは、1人でも多くの税理士と実際に会ってみることです。コロナ禍で難しいケースもありますが、その場合にはオンラインでざっくばらんに話してみることです。

そして、「適切な助言をしてくれるか」「契約内容や報酬体系が明確になっているか」などの他「業界の事情に詳しいか」「自分と相性が合うか」など、さまざまな視点から検討し「この税理士なら、経営のパートナーとなってくれる」と判断することが大切です。

参照:東京税理士会「税理士へ依頼するときの注意点」

会社設立・起業時のサポート

会社の設立時には、税金のことまで考えない人がほとんどですが、実は設立時だからこそ可能な節税対策もあります。
また、創業時しか利用できない補助金や融資制度もあります。
税理士には、会社設立時に必要な手続きから、補助金の申請、融資制度の利用まで相談することができます。
税理士は、会社設立後においても経営者のブレーンとして事業を会計・税務の面からサポートしてくれるだけでなく、時には不安要素について経営者と一緒に考え、その不安を解消する提案をしてくれるでしょう。

▶ 会社設立・起業に強い税理士を探す

法人決算

法人決算とは、法人が行う法人税等の確定申告です。
そして、法人決算をスムーズに行うためには、計画的な事前準備が必要不可欠となりますが、この準備作業から申告までをサポートしてくれるのが税理士です。
顧問税理士なら、日々の経理・記帳業務から決算までトータルでサポートしてくれるケースがほとんどですが、決算・申告業務のみを行うプランを用意している税理士もいます。早めに相談することで、節税対策や金融機関対応などを踏まえたサポートを受けることができます。

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経理・記帳業務

会社の「お金の流れ」はよく、人間の身体の「血液の流れ」に例えられます。
お金の流れが止まってしまえば、会社はあっという間に倒産してしまうからです。
そして、この「お金の流れ」を止めないためのポイントが、経理・記帳業務を通じて「入金」「出金」をしっかり管理することです。

具体的には、売上を増やし、そのなかから仕入れ費用や人件費などの経費を支払い、売上債権、設備投資、棚卸資産など姿を変えながら、最後に「現金預金」という形で大きくなって戻ってくるように管理することです。
そして、この管理を適切に行うために必要不可欠なのが経理・記帳業務です。
経理・記帳業務が適切に行われていないと、いくら売上が上がっても、会社にお金が全く残らない…という状況にもなりかねません。

税理士に経理・記帳業務を依頼することで、いかに支出を減らし、お金をできるだけ多く社内に残すための施策を提案してもらるだけでなく、会社の状況を税理士に把握してもらうことで、「今、起きている問題は何か」「この問題を解決するためには、どのような対応をとるべきか」など、タイムリーなアドバイスをもらうことができます。

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融資・資金調達

税理士には、融資や補助金申請などの資金調達についてサポートをしてもらうことができます。
融資を受ける際には、決算書や事業計画書などさまざまな書類を提出するよう要求され、これらの書類の内容で融資を受けることができるか否か、利率はどのように設定するかなどが判断されます。
税理士のサポートを受けながら書類を作成することで、事業資金を確保できるか否かが変わるといっても過言ではないのです。

ただし、すべての税理士は資金調達のサポート業務を行っているわけではありませんので、資金調達について相談する際には、資金調達に精通している税理士に相談することをおすすめします。

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税務調査対応

事業を行っていくうえで、避けては通れないのが税務調査です。
調査官が何をチェックするのか事前に把握したうえで、それらに対する万全の対応策をとっておけば、税務調査は特に恐れるものではありません。
説明を求められた時に適切な証拠をすぐに提出できるように準備し、答えにくいことを質問された場合には、税理士にサポートしてもらうよう体制を整えておくことで、税務調査の結果が大きく変わります。
顧問税理士がいない場合でも、税務調査だけ対応してくれる税理士もいますので、税務調査の連絡がきたら、すぐに税理士に連絡をとりサポートを求めましょう。

▶ 税務調査に強い税理士を探す

個人の税務相談

税理士というと「会社の顧問税理士」をイメージする人が多いようですが、個人の確定申告や相続税申告・相続税対策についても、税理士に相談することができます。
特に相続税対策は、対策を行うか否かで納税額が何百万・何千万と変わることもあります
早めに税理士に相談して、中長期で相続税対策を行うことで、税負担を大きく減らすことができます。

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まとめ

以上、税理士はなぜ必要なのか、税理士がいることのメリット・デメリットは何かについてご紹介しました。
ここでご紹介したほかにも税理士に相談できることは多々あります。
日本税理士会連合会の「やさしい税金教室」では、「個人事業を法人にしたい」「子どもに住宅資金を出してやりたい」「株式を売却して損が出た」「離婚で財産分与をする」といった内容でも気軽に税理士を利用してほしいと紹介しています。
ホームドクターを持つような感覚で、気軽に税金のことを相談できる顧問税理士を探してみてはいかがでしょうか。

参照:引用:日本税理士会連合会「やさしい税金教室」

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、相談することができます。

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