税理士の活用法・報酬相場・選ぶポイント

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2018年08月25日

目次

  1. 顧問税理士とは
    • 税理士はなぜ必要か
  2. 顧問税理士のメリット
    • 本業に専念できる
    • 経理業務にミスが起こらない
    • 節税対策を行うことができる
    • 税務調査の対象になりにくい
    • 資金繰りの相談ができる
  3. 顧問税理士の報酬相場
    • 顧問報酬(月額)
    • 税務代理報酬
  4. 顧問税理士の選び方
    • 大切なのは「相性」
    • 報酬より大切な「サービス内容」

顧問税理士とは、顧問契約を締結したうえで、納税者の相談相手になったり納税者に代わって税務署に提出する書類を作成したりする税理士のことをいいます。

「うちの会社は規模が小さいから、顧問税理士は必要ない」とか「顧問税理士は、顧問料がもったいない」などといった意見もありますが、顧問税理士を経営のパートナーとして、しっかりとした会計管理を行い、利益目標を立てていくことは、経営を安定させ成長させることにつながります。

ここでは、顧問税理士がいることのメリットや報酬相場、顧問税理士の選び方などについて、ご紹介します。

顧問税理士とは

顧問税理士とは、顧問契約を締結した税理士のことをいいます。
顧問税理士に相談できる内容や依頼できる内容は、顧問契約の内容によって異なりますが、税務署に提出する書類の作成、節税対策、資金調達施策、経営計画の作成や業務を効率化するための会計ソフト導入支援など、多岐にわたります。

税理士はなぜ必要か

中小企業の経営者や個人事業者は、さまざまな課題を抱え日々孤独な闘いをしています。顧問税理士は、このような経営者たちの良き相談相手となり、経営者の不安を解消する役目を果たしています。

中小企業庁で行ったさまざまな調査でも、多くのケースで多数の経営者が、「相談できる相手」として「税理士」と回答しています。

中小企業庁委託「起業・創業に関する実態調査」2016年11月付注2-1-11「資金調達の際に活用している相談相手」より引用

・高成長型企業(上場企業以上の売上高伸び率となっている企業)が相談相手として「公認会計士、税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント」を活用した割合

創業期 40.2%
成長初期 59.0%
安定・拡大期 63.5%

・安定成長型企業(創業時小規模事業者だったのが、中規模企業に成長した企業)が相談相手として「公認会計士、税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント」を活用した割合

創業期 44.3%
成長初期 60.4%
安定・拡大期 60.2%

・持続成長型企業(創業時から現在まで、企業規模が不変または縮小した企業)が相談相手として「公認会計士、税理士、中小企業診断士、経営コンサルタント」を活用した割合
創業期 43.8%
成長初期 53.0%
安定・拡大期 55.3%

※各企業の定義については「起業後の成長タイプの類型化」を参照

また、廃業意向の小規模事業者が、相談相手として「顧問の会計士・税理士」を活用した割合
として、小規模法人のうち、42.1%、個人事業主のうち9.4%が、相談相手として顧問の公認会計士・税理士と回答しています。

○中小企業庁委託「企業経営の継続に関するアンケート調査」2016年11月
第2-2-128図 「廃業意向の小規模事業者の相談相手」
より引用

顧問税理士のメリット

前述したとおり、多くの経営者が資金調達や事業承継といった問題について、税理士を相談相手として活用していますが、顧問税理士を活用することは、他にも「本業に集中できる」「節税対策を行うことができる」など、いくつものメリットがあります。

本業に専念できる

会計ソフトの導入で、今まで手作業で行っていた経理事務が自動化されたことで、決算書や申告書は、ほぼ自動で作成できるようになりました。
しかし、取引が多い企業であればこれらの記帳作業が負担になることもあるでしょう。
このような時、顧問税理士がいれば、経理会計業務の時間を9割以上削減することができます。

とくに起業したての頃は、慣れない経費の処理から納税まで自分ですべて行わなければならなくなったことに、戸惑う人もいるでしょう。また、起業したばかりの時は、事業を軌道に乗せるために本業に集中できる時間を確保すべき時期でもあります。
このような時に税理士に経理を丸投げできれば、経営者は本業に専念することができます。

経理業務にミスが起こらない

言うまでもなく、税理士は、税務のプロです。
したがって、税理士に経理事務を依頼すれば、自社で経理事務を行う際のようなミスが起こらず、決算書の作成から申告までスムーズに行うことができます。

クラウド会計ソフトを導入し、経営者や経理担当が行っている場合でも、導入当初は、税理士がサポートすることで、経理作業は格段に効率化します。

クラウド会計は学習能力を備えていますので、記帳作業を税理士が修正指導するたびに学習していきます。
例えば、「仕入」と「青果店」を自動リンクすれば、「青果店」と入力するだけで「仕入」と自動経理することができます。

節税対策を行うことができる

合法的な節税対策を行い、会社の多くのお金を残すのは、経営者の大切な責務です。そして、同じ売上高でも、節税対策を行っているか否かで、支払う税額は大きく変わってきます。
効果的な節税対策を行うためには、税制に精通している必要があります。
顧問税理士と相談して、利用できる節税対策はなるべく活用し、会社にできるだけ多くのお金を残すことで、安定した経営を行うことができるようになるのです。

税務調査の対象になりにくい

決算書に税理士のハンコがある場合には、「この会社は、きちんとした顧問税理士がついているので、脱税はしないだろう」といった印象を、税務署に与えることが期待できます。
したがって、税務調査の対象となりにくく、税務調査の企業リストから外されたり税務調査の頻度が低くなったりするなどのメリットがあります。

資金繰りの相談ができる

当たり前のことですが、会社を経営していくためにはお金が必要です。
税理士に相談すれば、公的な助成金・補助金の情報から、融資を受けることができる金融機関の紹介まで、さまざまな提案をしてもらうことができます。

顧問税理士の報酬相場

2002年(平成14年)の税理士法改正によって、税理士会の報酬規程が廃止され、税理士が独自に決めた報酬規定が作成されるようになりました。

したがって、税理士報酬は、個々の事務所によってさまざまで、標準的な税理士報酬については分かりにくくなっています。

なお、税理士報酬については、(旧)税理士報酬規定を基準として考えている事務所も多いので、ここでは参考までに税理士会の報酬規定をご紹介します。

顧問報酬(月額)

1.所得税

[総所得金額基準] [年取引金額基準]
200万円未満 2,000万円未満 20,000円
300万円未満 3,000万円未満 30,000円
500万円未満 5,000万円未満 45,000円
1,000万円未満 1億円未満 65,000円
2,000万円未満 2億円未満 75,000円
3,000万円未満 3億円未満 85,000円
5,000万円未満 5億円未満 95,000円
5,000万円以上 5億円以上 105,000円
1千万円増すごとに 1億円増すごとに 5,000円を加算

2.法人税

[期首資本金等基準] [年取引金額基準]
200万円未満 2,000万円未満 30,000円
300万円未満 3,000万円未満 35,000円
500万円未満 5,000万円未満 50,000円
1,000万円未満 1億円未満 70,000円
3,000万円未満 3億円未満 85,000円
5,000万円未満 5億円未満 100,000円
1億円未満 10億円未満 130,000円
3億円未満 30億円未満 160,000円
5億円未満 50億円未満 190,000円
5億円以上 50億円以上 220,000円
2億円増すごとに 20億円増すごとに 3万円を加算

税務代理報酬

1.所得税

[総所得金額基準] [年取引金額基準]
200万円未満 2,000万円未満 60,000円
300万円未満 3,000万円未満 75,000円
500万円未満 5,000万円未満 100,000円
1,000万円未満 1億円未満 170,000円
2,000万円未満 2億円未満 255,000円
3,000万円未満 3億円未満 300,000円
5,000万円未満 5億円未満 400,000円
5,000万円以上 5億円以上 450,000円
1千万円増すごとに 1億円増すごとに 2.5万円を加算

注) 所得税のうち、分離課税譲渡所得については、次による。

[所得金額基準] [年取引金額基準]
300万円未満 3,000万円未満 100,000円
500万円未満 5,000万円未満 150,000円
1,000万円未満 1億円未満 200,000円
3,000万円未満 3億円未満 350,000円
5,000万円未満 5億円未満 500,000円
5,000万円以上 5億円以上 550,000円
1千万円増すごとに 1億円増すごとに 5万円を加算

2.法人税
次の基準による報酬額に、期首資本金等の額の0.5%相当額を加算する。ただし、加算額は、50万円を超えることができない。

[所得金額基準] [年取引金額基準]
100万円未満 2,000万円未満 60,000円
150万円未満 3,000万円未満 80,000円
200万円未満 5,000万円未満 100,000円
400万円未満 1億円未満 170,000円
1,200万円未満 3億円未満 300,000円
2,000万円未満 5億円未満 400,000円
4,000万円未満 10億円未満 550,000円
1.2億円未満 30億円未満 700,000円
2億円未満 50億円未満 800,000円
2億円以上 50億円以上 900,000円
1億円増すごとに 25億円増すごとに 10万円を加算

3.住民税及び事業税
事業所1ヶ所につき、所得税又は法人税に定める報酬額の30%相当額

4.消費税、特別地方消費税その他消費税

[期間取引金額]
500万円未満 20,000円
1,000万円未満 40,000円
3,000万円未満 60,000円
5,000万円未満 80,000円
1億円未満 100,000円
5億円未満 120,000円
5億円以上 150,000円
1億円増すごとに 1万円を加算

(注)複数の事業所があるときは、事業所ごとに受任1件として取扱う。ただし、消費税については、事業所数にかかわらず受任1件として取扱う。

5.相続税
基本報酬額100,000円に、次の基準による報酬額を加算する。

[遺産の総額]
5,000万円未満 200,000円
7,000万円未満 350,000円
1億円未満 600,000円
3億円未満 850,000円
5億円未満 1,100,000円
7億円未満 1,350,000円
10億円未満 1,700,000円
10億円以上 1,800,000円
1億円増すごとに 10万円を加算

[加算報酬]
①「遺産の総額」に係る報酬額については、共同相続人(受遺者を含む。)1人増すごとに10%相当額を加算する。
②財産の評価等の事務が著しく複雑なときは、基本報酬額を除き、100%相当額を限度として加算することができる。

6.贈与税

[遺産の総額]
100万円未満 35,000円
300万円未満 60,000円
500万円未満 100,000円
1,000万円未満 120,000円
2,000万円未満 150,000円
3,000万円未満 180,000円
5,000万円未満 250,000円
5,000万円以上 280,000円
1千万円増すごとに 3万円を加算

[加算報酬]
財産の評価等の事務が著しく複雑なときは、100%相当額を限度として加算することができる。

7.地価税
基本報酬額200,000円に、次の基準による報酬額を加算する。

[課税価格]
15億円未満 500,000円
20億円未満 700,000円
25億円未満 900,000円
25億円以上 1,100,000円
5億円増すごとに 20万円を加算

[加算報酬]
土地等の評価等の事務が著しく複雑なときは、基本報酬額を除き、100%相当額を限度として加算することができる。
(注) 「著しく複雑」とは、例えば土地の筆数が多いこと等により、事案の内容が極めて繁雑又は広範にわたり、かつ、資料の収集、法令の適用その他の事務処理のために特別の調査、研究若しくは役務の提供を要するものをいう。

8.固定資産税

[固定資産価格]
500万円未満 20,000円
1,000万円未満 35,000円
3,000万円未満 50,000円
5,000万円未満 65,000円
1億円未満 100,000円
1億円以上 135,000円
5千万円増すごとに 3.5万円を加算

(注)複数の事業所があるときは、事業所ごとに受任1件として取扱う。

9.その他の税目(法第2条第1項に規定する除外税目を除く。)
基本報酬額200,000円に、次の基準による報酬額を加算する。

[課税標準額]
500万円未満 20,000円
1,000万円未満 40,000円
3,000万円未満 60,000円
5,000万円未満 100,000円
1億円未満 200,000円
5億円未満 500,000円
10億円未満 1,000,000円
10億円以上 1,100,000円
1億円増すごとに 10万円を加算

顧問税理士の選び方

これまで述べてきたように、顧問税理士は、税務のアドバイスだけでなく、さまざまな問題について相談できる経営者のよきパートナーとなってくれます。
それでは、よい顧問税理士を選ぶためには、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。

大切なのは「相性」

税理士との付き合いも、結局は人間同士の付き合いという面が根本にあります。
したがって、顧問税理士選びで最も大切なのは、相性が合うかどうかであるといえるでしょう。

「主要都市の一等地に事務所がある」「税理士を何人も抱えている」などといった点を重視する人もいますが、そのようなことにこだわっていると、最も大切な「相性」という点を見逃してしまいがちです。

したがって、顧問税理士を選ぶ時には、その税理士の事務所で実際に会って、相性が合うかどうかを確認するとよいでしょう。
例えば、30代の女性起業家であれば、同年代の女性税理士に共感を覚えることがありますし、出身地が同じということで境遇や立場に親近感を覚えることもあります。

税理士を選ぶ際には、直接会って1時間ほど話して「この人と話しやすいと思えたか」「共感・親近感を覚えたか」といった点をしっかり考えて選びたいものです。

報酬より大切な「サービス内容」

「顧問税理士にかかる報酬は、できるだけ抑えたいのは、誰でも同じです。
しかし、税理士に依頼する仕事を少なくすれば、税理士に支払う報酬額は少なくて済みます。記帳作業は自社で会計ソフトを導入し、適宜税理士に指導を受けるようにして、決算・申告だけ税理士に依頼をするなど工夫をすれば、税理士報酬を少なくすることはできるはずなのです。

したがって、税理士を選ぶ際には、報酬ではなくサービス内容で選ぶべきです。
「自社に必要なサービスは何か」「そのサービスはなぜ、税理士に任せた方がよいのか」などについて、しっかり説明をしてもらい、そのサービス内容に納得してから、顧問契約を締結するようにしましょう。

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