公開日:2019年11月20日
最終更新日:2022年06月29日
長年付き合ってきた税理士でも、何かしらの原因で契約を解消したいと思うことがあります。
契約する時に税理士に依頼する内容についてきちんと確認していなかったために、「期待していたようなサポートを受けられなかった」というケースもありますし、会社の成長度合いやニーズによって税理士を変えたいと思うケースもあります。
この記事では、税理士を変更したいと思った理由や、税理士を変更したいと思った時に注意すべきポイントなどについてご紹介します。
「税理士を変更したい」と思う理由は人それぞれですが、最も多いのが「報酬が高い」「思ったほど節税効果がないと感じた」といったものです。
税理士を変更するのは珍しいことではなく、実際、税理士を探す人のうち半数以上は現在の顧問税理士から他の税理士に変更したいと考えているケースだとも言われています。
税理士を変更したい理由として多いのが、「顧問報酬が負担である」という理由です。また「報酬に見合う業務をしてくれると思えない」という点を主な理由として挙げる人もいます。
ただし、報酬については、契約書等でしっかり確認していないことから双方の認識のズレが起きていることも多く、「税理士に何を依頼したいのか」「その業務を依頼した場合には報酬はいくらなのか」を、契約書なりで明確にすることで解決できる場合があります。
「せっかく税理士に依頼したのに、思ったほど節税できなかった」と感じる経営者も多いものです。しかし、節税対策というものは、中長期計画を立てて計画的に実行する方が効果が出るケースがほとんどで、決算前に慌てて税理士に依頼して対策を行っても、それほど節税効果を実感することはできません。
有意義な節税対策を実行する際には、会社の資金繰りを改善することにもなりますから、税理士と早めに打ち合わせを行い、必要な節税対策を提案してもらうよう依頼して、計画的に実行するようにしましょう。
「税務調査があった時、顧問税理士がこちらの言いたいことをあまり主張してくれなかった」と不満もよく聞きます。
確かに税理士は税務調査の監査役として納税者の味方であるべきですが、そうは言っても税務署員にやみくもに反論するだけが得策とは言えません。
税務署員の質問の意図を正確には把握しながら、主張すべき時は主張し、受け入れるべき時は受け入れる…というのが、税理士の職務でもあるのです。
また、税務調査に関するこのような不満を避けるためには、税務調査の前に入念に対策を行うこと、そして納得のできる説明を税理士から受けることが必要です。
ただ、中には「税務署ににらまれたくない」という理由から、戦ってくれない税理士もいるようです。このような場合には、税務調査で毅然と主張してくれるような税理士を選びたいと考えるのは当然です。
なお、たまに「税理士を変更したら税務調査に入られやすくなると聞いた」といった話を聞くことがありますが、そのようなことはありません。顧問税理士を変更したことを理由として、税務調査の対象になるということはまずありません。税理士の変更があったからといって、そのことを税務署が意識することはないからです。
税理士から資金繰りなどの指導がなく、金融機関から融資を断られた、という不満もよく耳にします。この点は税理士とよく打ち合わせをするべきポイントです。
実際、多くの中小企業の経営者は資金繰り表を銀行融資のために作成するものだと考えています。銀行から求められた際に、仕方なく税理士に依頼して作成しているケースも多々あります。
ただし、資金繰り表や試算表の作成に必要な資料を税理士に渡しているにも関わらず、なかなか税理士が資金繰り表や試算表を作成してくれない、2週間以上日数がかかるといった場合には、税理士の変更を検討しても仕方ないでしょう。
ただし、経営をするのはあくまで経営者であり税理士はその可能性を示しサポートができるに過ぎません。経営の最終決定をするのはあくまで経営者ですから、資金繰りについても、税理士任せでなく経営者が自分で考える必要があります。
経営者も税理士も人間ですから、付き合っていくうえで相性が合わないということは当然あるでしょう。
なかには「親の代から面倒を見てもらっている税理士で、子供の頃から知っている。だから言いたいことも言えない」というケースも多々あるようです。しかし、これでは会社の経営についてアドバイスを欲しい時やサポートしてもらいたい時に、ざっくばらんに相談することもできないのではないでしょうか。
税理士を選ぶ際に最も大切なのは相性ですあり、どんなことでも話せる存在である必要があります。「付き合いだから」「人の紹介だから」といった事情も分かりますが、事業を成長させたいのであれば、このような場合には税理士の変更を早めに検討することをおすすめします。
税理士を変更する際には、当たり前のことですが次の税理士を見つけておくことが大切です。
新しい税理士を見つける前に税理士と契約を終了してしまうと、決算時に大変なことになってしまうからです。税理士の変更を検討し始めて実際に変更するまでの期間は、一概には言えませんが半年から1年くらい見ておくとよいでしょう。
また、契約を解消する時にこじれて本業に支障をきたさないようにすることも大切です。
まずは、税理士と交わした契約書を確認します。
契約書の条項の中には、「契約期間完了日の3カ月前までに双方より意思表示がない限りは、自動更新する」といった内容が書いてあることもあります。この場合には、1カ月前になって「契約解除したい」と申し出ても、認められません。
したがって、契約書のその条項の期間に合わせて解約を申し出る必要があります。
税理士と喧嘩別れをしてしまうと、重要な資料が散逸してしまい、新しい税理士への引継ぎがうまくいかず本業に支障がでてしまうことがあります。
契約を解消する時には礼儀を尽くし円満に解消する方が、このようなトラブルを防ぐことができます。まずは今までの感謝の気持ちを伝え、データの引継ぎを依頼をするようにしましょう。これは顧問契約うんぬんという話ではなく、社会人としての礼儀やマナーの問題です。不満があったにせよお世話になったわけですから、できるだけ穏便に感謝を忘れずに契約を解消するのは鉄則であるでしょう。
ここでは、「税務調査で毅然と主張してくれる税理士がいると、安心感が違う」「税理士が何でも話せる経営のパートナーとなってくれた」など、「税理士を変更してこんなにトクをした」という事例をご紹介します。
・「税務調査に立ち会ってくれて、安心して対応することができた」
・「事前にシミュレーションしてくれたので、当日緊張しなかった」
・「税務署の調査官の指摘について、しっかり反論をしてくれた」
税理士が税務調査に立ち会うことで、税務署の調査官が話を聞いてくれる、安心感が違うというケースは少なくありません。
とくに、税務調査でしっかりと主張してくれる税理士が立ち会うだけで、調査結果が大きく変わることがあります。
なかには税務調査時だけスポット契約するケースもありますが、税理士の能力を最大限に発揮するためには、常日頃から記帳や月次決算を確認してもらう必要があり、やはり顧問契約をしておくのがベストでしょう。
・「経営の悩みを隠さずに話せる税理士に出会うことができて、孤独を感じなくなった」
・「第三者の視点から意見を述べてくれるので、リアルな経営計画を策定できる」
・「事業を共に成長させようとしてくれる」
経営者のなかには「会社の数字をすべて知っている税理士には、包み隠さず何でも話せる」という人が多いものです。
税理士が経営のパートナーとなり、「資金繰りが厳しくなりそうだ」「この会社にはどのような課題があるのか」「売上を伸ばすためには、何が必要なのか」といったことを予想し、必要な対策を提案してもらい大きく成長する会社は実に多いのです。
・「経費の見直しを行うことで利益が増えた」
・「支払サイトを見直すことで、資金繰りが改善した」
税理士は会社の数字のプロです。
さまざまな視点から、会社が危険な状態であるかを迅速に見抜くことができます。
「売掛金の回収日数が伸びていて、資金繰りに影響しそうだ」「労働分配率が下がっている」「問題のある貸付金が残っている」など、プロならではの指摘を受けることは、事業を行ううえで非常に有益です。
以上、税理士を変更したいと思う理由や、税理士を変更する際の注意点、税理士を変更してメリットがあった事例などをご紹介しました。
税理士というと、税務書類の作成や税務申告を行う専門家というイメージが強いと思いますが、実際はもっと幅広く事業計画の策定や資金調達などのサポートを行う税理士もいます。
損益計算書などの資料から、会社が抱える潜在的なリスクをいち早く発見し、これが顕在化した場合の損害と、それを予防するためのコストと改善策を経営者に提示してリスクを回避するためのコンサルテーション機能を持ち合わせた税理士もいます。
もし、現在の税理士に「税務調査でもっと主張してほしい」「経営を支えてほしい」などの希望を伝えても、納得のいく回答が得られなければ、税理士を変更するのもひとつの手です。
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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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