公開日:2019年11月20日
最終更新日:2024年02月08日
長年付き合ってきた税理士でも、何かしらの原因で税理士を変更したいと思うことがあります。
税理士を変更したいと思った理由はさまざまで、契約する時に税理士に依頼する内容についてきちんと確認していなかったために、「期待していたようなサポートを受けられなかった」というケースもありますし、会社の成長度合いやニーズによって、税理士を変えたいと思うケースもあります。
この記事では、税理士を変更したいと思った理由や、税理士を変更したいと思った時に注意すべきポイントなどについてご紹介します。
税理士を変更するときの豆知識
税理士を変更したいと思ったら、まずは何人かの税理士と面談してみることが大切です。その際には、料金表が明確か、何にどれだけの費用がかかるのかを確認します。
たとえば、顧問料に年末調整や決算申告の費用も含まれているのかそれとも別料金なのかは、双方の認識がズレることがあるので注意が必要です。
また、資金繰りや節税に関する提案もどれだけ提案してくれるのかも質問してみましょう。実績があるか否かももちろんですが、自発的な提案を行ってくれるのかも確認したいポイントです。
その他、他士業との連携やオプションサービスの内容なども確認しておきましょう。
「税理士を変更したい」と思う理由は人それぞれですが、最も多いのが「報酬が高い」「思ったほど節税効果がないと感じた」といったものです。
税理士を変更するのは珍しいことではなく、実際、税理士を探す人のうち半数以上は税理士を変更するために探しているとも言われます。
税理士を変更したい理由として多いのが、「顧問報酬が負担である」という理由です。また「報酬に見合う業務をしてくれると思えない」という点を主な理由として挙げる人もいます。
ただし、報酬については、契約書等でしっかり確認していないことから双方の認識のズレが起きていることも多く、「税理士に何を依頼したいのか」「その業務を依頼した場合には報酬はいくらなのか」を、契約書なりで明確にすることで解決できる場合があります。
契約書の内容を確認して不明点や疑問点があれば、税理士に遠慮なく質問してみましょう。
「せっかく税理士に依頼したのに、思ったほど節税できなかった」と感じる経営者も多いものです。しかし、節税対策というものは、中長期計画を立てて計画的に実行する方が効果が出るケースがほとんどで、決算前に慌てて税理士に依頼して対策を行っても、それほど節税効果を実感することはできません。
適切な節税対策を行うことは会社の資金繰りを改善することにもなりますから、決算前に慌てて相談するのではなく、余裕を持って税理士と打ち合わせを行い、どうして節税したいのか、節税した結果どのような効果があるのかについてしっかりと説明を受けたうえで、計画的に実行するようにしましょう。
「税務調査があった時、顧問税理士がこちらの言いたいことをあまり主張してくれなかった」と不満もよく聞きます。
確かに税理士は税務調査に立ち会い、納税者の味方として調査官と交渉すべき立場です。しかし、そうは言っても税務署員にやみくもに反論するだけが得策とは言えません。
税務署員の質問の意図を正確には把握しながら、主張すべき時は主張し、受け入れるべき時は受け入れる…という調整役こそが、税理士に求められる役割とも言えます。
また、税務調査に関するこのような不満を避けるためには、税務調査の前に入念に対策を行うこと、そして納得のできる説明を税理士から受けることが必要です。
ただ、中には「税務署ににらまれたくない」という理由から、戦ってくれない税理士もいるようです。このような場合には、税務調査で毅然と主張してくれるような税理士を選びたいと考えるのは当然です。
なお、たまに「税理士を変更すると税務調査の対象となりやすい」といった話を聞くことがありますが、そのようなことはありません。顧問税理士を変更したことを理由として、税務調査の対象になるということはまずありません。税理士の変更があったからといって、そのことを税務署が意識することはありませんので、その点は安心してください。
税理士から資金繰りなどの指導がなく、金融機関から融資を断られた、という不満もよく聞かれます。この点は、税理士とよく打ち合わせをするべきポイントです。
実際、多くの中小企業の経営者は資金繰り表を銀行融資のために作成するものだと考えています。銀行から求められた際に、仕方なく税理士に依頼して作成しているケースも多々あります。
しかし経営をするのはあくまで経営者であり、税理士はその可能性を示しサポートができるに過ぎません。経営の最終決定をするのはあくまで経営者ですから、資金繰りについても、税理士任せでなく経営者が自分で考える必要があります。
ただし、資金繰り表や試算表の作成に必要な資料を税理士に渡しているにも関わらず、なかなか税理士が資金繰り表や試算表を作成してくれない、2週間以上日数がかかるといった場合には、税理士の変更を検討しても仕方ないでしょう。
経営者も税理士も人間ですから、付き合っていくうえで相性が合わないということは当然あるでしょう。
なかには「親の代から面倒を見てもらっている税理士で、子供の頃から知っている。だから言いたいことも言えない」というケースも多々あるようです。しかし、これでは会社の経営についてアドバイスを欲しい時やサポートしてもらいたい時に、ざっくばらんに相談することもできないのではないでしょうか。
税理士を選ぶ際に最も大切なのは相性ですあり、どんなことでも話せる存在である必要があります。「付き合いだから」「人の紹介だから」といった事情も分かりますが、事業を成長させたいのであれば、このような場合には税理士の変更を早めに検討することをおすすめします。
税理士を変更する際には、当たり前のことですが次の税理士を見つけておくことが大切です。
新しい税理士を見つける前に税理士と契約を終了してしまうと、決算時に大変なことになってしまうからです。税理士の変更を検討し始めて実際に変更するまでの期間は、一概には言えませんが半年から1年くらい見ておくとよいでしょう。
また、契約を解消する時にこじれて本業に支障をきたさないようにすることも大切です。
税理士を変更するベストなタイミングは、直近の決算が終わったときです。
期の途中だと、引継ぎが遅れた場合に決算に影響が出てしまうことがありますし、十分な節税対策を行えない場合もあるからです。
したがって、決算が終わる前から新しく契約する税理士を見つけて、面談などを行っておきましょう。
なお、現在の税理士に変更する意向を伝えるのは、次の税理士が決まってから、直近の決算の打ち合わせで告げてください。
直接面談で告げてもメールで告げても良いですが、不満を言うのは禁物です。穏便に慎重に進めるようにしましょう。
まずは、税理士と交わした契約書を確認します。
契約書の条項の中には、「契約期間完了日の3カ月前までに双方より意思表示がない限りは、自動更新する」といった内容が書いてあることもあります。この場合には、1カ月前になって「契約解除したい」と申し出ても、認められません。
したがって、契約書のその条項の期間に合わせて解約を申し出る必要があります。
税理士とケンカ別れをしてしまうと、重要な資料が散逸してしまい、新しい税理士への引継ぎがうまくいかず本業に支障がでてしまうことがあります。
契約を解消する時には礼儀を尽くし円満に解消する方が、このようなトラブルを防ぐことができます。まずは今までの感謝の気持ちを伝え、データの引継ぎを依頼しましょう。これは顧問契約うんぬんという話ではなく、社会人としての礼儀やマナーの問題です。不満があったにせよお世話になったわけですから、できるだけ穏便に感謝を忘れずに契約を解消するのが鉄則です。
ここでは、「税務調査で毅然と主張してくれる税理士がいると、安心感が違う」「税理士が何でも話せる経営のパートナーとなってくれた」など、「税理士を変更してこんなにトクをした」という事例をご紹介します。
・「税務調査に立ち会ってくれて、安心して対応することができた」
・「事前にシミュレーションしてくれたので、当日緊張しなかった」
・「税務署の調査官の指摘について、しっかり反論をしてくれた」
税理士が税務調査に立ち会うことで、税務署の調査官が話を聞いてくれる、安心感が違うというケースは少なくありません。
とくに、税務調査でしっかりと主張してくれる税理士が立ち会うだけで、調査結果が大きく変わることがあります。
なかには税務調査時だけスポット契約するケースもありますが、税理士の能力を最大限に発揮するためには、常日頃から記帳や月次決算を確認してもらう必要があり、やはり顧問契約をしておくのがベストでしょう。
・「経営の悩みを隠さずに話せる税理士に出会うことができて、孤独を感じなくなった」
・「第三者の視点から意見を述べてくれるので、リアルな経営計画を策定できる」
・「事業を共に成長させようとしてくれる」
経営者のなかには「会社の数字をすべて知っている税理士には、包み隠さず何でも話せる」という人が多いものです。
税理士が経営のパートナーとなり、「資金繰りが厳しくなりそうだ」「この会社にはどのような課題があるのか」「売上を伸ばすためには、何が必要なのか」といったことを予想し、必要な対策を提案してもらい大きく成長する会社は実に多いのです。
・「経費の見直しを行うことで利益が増えた」
・「支払サイトを見直すことで、資金繰りが改善した」
言うまでもありませんが、税理士は、会社の数字のプロです。
さまざまな視点から、会社が危険な状態であるかを迅速に見抜くことができます。
「売掛金の回収日数が伸びていて、資金繰りに影響しそうだ」「労働分配率が下がっている」「問題のある貸付金が残っている」など、プロならではの指摘を受けることは、事業を行ううえで非常に有益です。
以上、税理士を変更したいと思う理由や、税理士を変更する際の注意点、税理士を変更してメリットがあった事例などをご紹介しました。
税理士というと、税務書類の作成や税務申告を行う専門家というイメージが強いと思いますが、実際はもっと幅広く事業計画の策定や資金調達などのサポートを行う税理士もいます。
損益計算書などの資料から、会社が抱える潜在的なリスクをいち早く発見し、これが顕在化した場合の損害とそれを予防するためのコストと改善策を経営者に提示して、リスクを回避するためのコンサルテーション機能を持ち合わせた税理士もいます。
もし、現在の税理士に「税務調査でもっと主張してほしい」「経営を支えてほしい」などの希望を伝えても、納得のいく回答が得られなければ、税理士の変更を検討してみましょう。
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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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