不動産の税金|不動産を購入した時の税金と特例措置

公開日:2019年11月02日
最終更新日:2022年04月14日

この記事のポイント

  • 不動産を取得した時には、不動産取得税、印紙税、登録免許税などがかかる。
  • 不動産を所有していることで、固定資産税もかかる。
  • 不動産を取得した時に、住宅ローン控除が適用できれば、税額を軽減できる。

 

不動産を取得した時には不動産取得税が課税されますし、不動産の売買契約書を作成したり金融機関から借入れをして金銭消費貸借契約書を作成したりすれば、その文書には印紙税がかかります。
また、不動産を買ってその後所有すれば、固定資産税や都市計画税なども課税されることになります。

不動産を買った時にかかる税金

不動産を買った時には、さまざまな税金が課税されます。
不動産を取得した時に1度限り課税される「不動産取得税」の他、「印紙税」や「登録免許税」といった契約書などの文書に課税される税金もありますし、消費税を支払う必要もあります。また、不動産を所有していることで固定資産税も課税されることになります。
さらに、不動産を取得する際に親や祖父母に住宅資金について贈与を受けていれば、贈与税が課税される可能性もあります。

・印紙税
不動産を売買する時には売買契約書を作成しますし、金融機関から借入れをした時には金銭消費貸借契約書を作成します。これらの書類を作成する時には、印紙税(国税)が課税されます。

・登録免許税
不動産を取得した際には、通常所有権の登記を行います。これらの登記をする時に課税されるのが登録免許税(国税)です。

・不動産取得税
不動産取得税とは、家屋を建築(新築・増築・改築)した時や、購入・贈与・交換などで土地や家屋などの不動産を取得した時に、1度だけ課税される税金(都道府県税)です。

・消費税
消費税は、課税事業者が行った国内取引に課税される税金です。土地には消費税はかかりませんが、建物の譲渡代金や仲介手数料等には課税されることになります。
消費税も登録免許税や印紙税と同様、国税です。

・固定資産税
固定資産税・都市計画税(市区町村税)は、毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となり課税される市区町村税です。市区町村が固定資産税の税額を計算して、納税者はその通知を受けて税金を納付します。

(1)印紙税

印紙税とは、課税物件に該当する一定の文書に対して課される税金です。不動産を売買する時に作成される売買契約書、金融機関から借入れをした時に作成する金銭消費貸借契約書など、課税の対象となる文書を作成した時にその文書に収入印紙を貼ることによって納税します。

印紙税を納めなければならない文書に印紙を貼らないで、結果的に印紙税を納付しなかった時には、本来納付すべき印紙税額とその2倍に相当する額との合計額(つまり、納付すべき印紙税額の3倍)に相当する税金が、過怠税として徴収されることになってしまいますので、注意しましょう。
文書に貼った収入印紙を消印しなかった場合も、消印しなかった金額と同額の過怠税がかかります。

ただし、後から納付しなかったことに気づき、自主的に申し出たような場合には、その過怠税は、納付しなかった印紙税額とその10%に相当する金額との合計金額(つまり、納付すべき印紙税額の1.1倍)に軽減されます。

不動産売買契約書・建設工事の請負に関する契約書、金銭消費貸借契約書にかかる印紙税は契約書に記載された額によって異なります。
なお、委任状、建物貸借契約書、質権設定契約書、抵当権設定契約書、駐車場使用契約書、使用貸借契約書については、印紙税は非課税です。

印紙税の額(一部)

番号 文書の種類 記載された契約金額 印紙税額
1号 1 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
(注) 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。
(例) 不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など
2 地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
(例) 土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など
3 消費貸借に関する契約書
(例)金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など
4 運送に関する契約書
(注) 運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び送り状は含まれません。
(例) 運送契約書、貨物運送引受書など
1万円未満 非課税
1万円以上10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1千円
100万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円超 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

なお、不動産の譲渡に関する契約書のうち記載された契約金額が一定額を超えるもので、平成9年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成するものの税額については、軽減の措置があります。

参照:国税庁「不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書」

(2)登録免許税

不動産を取得した時には、その権利関係を明らかにするために、通常土地については所有権移転登記を行いますし、建物については新築の場合には所有権保存登記、中古の場合には所有権移転登記を行います。
登録免許税とは、これらの登記を行う時に課税される税金です。

購入した不動産の登記を行うためには、登記申請の時に計算式に従って計算した登録免許税を納付します。
自己の居住の用の住宅を取得した場合には、登録免許税が軽減されます。
ただし、土地についての登記を行う場合には、自己の居住用の軽減税率は適用されません。

登録免許税の額(一部)

登記事項 課税標準 税率
所有権の保存登記 不動産の価額 0.4%
所有権移転の登記 相続または法人の合併による移転登記 不動産の価額 0.4%
共有物の分割による移転登記
土地の売買による移転登記 (1.5%)2.0%
売買(土地の売買をのぞく)その他の原因による移転登記 (0.3%)2.0%
遺贈、贈与、交換、その他無償名義による移転登記 2.0%
地上権、永小作権、賃借権または採石権の設定、転貸または移転の登記 設定または転貸の登記 不動産の価額 1.0%
相続または法人の合併による移転登記 0.2%
共有に係る権利の分割による移転登記 0.2%
その他の原因による移転登記 1.0%
配偶者居住権の設定の登記 不動産の価額 0.2%

軽減措置が設けられているものについては、()内の税率が適用されます。

参照:国税庁「登録免許税の税額表」

(3)不動産取得税

不動産取得税とは、家屋を建築(新築・増築・改築)した時や、購入・贈与・交換などで土地や家屋などの不動産を取得した時に、1度だけ課税される税金(地方税)です。
この不動産取得税は、売買だけでなく、交換や贈与、寄付などで所有権を取得した時にも課税されます。

不動産取得税の税額は、「固定資産税評価額×4%」で計算しますが、令和6年3月31日までの土地および家屋の取得については、特例税率の3%で計算します。また、住宅や住宅用土地を取得した場合には、軽減措置が適用されることもあります。

土地および住宅:課税標準×3%(本則4%、令和6年3月31日までの特例措置で3%)
事務所、店舗等の家屋:課税標準×4%

なお不動産取得税については、住宅について課税標準の特例が設けられています。

不動産取得税の主な軽減措置(一部)

条件 内容 備考
特例適用住宅 住宅を新築したり、新築住宅を購入した場合で、以下の条件に該当するもの
・床面積が50㎡以上240㎡以下
・アパート等については、貸室1室につき40㎡以上240㎡以下
①新築住宅の軽減特例
・1戸につき1,200万円まで非課税
・税額:(評価額-1,200万円)×3%
別荘は適用外
店舗との併用住宅は居住部分が適用対象
取得者自身の自宅でない場合も対象
②長期優良住宅の軽減特例
・1戸につき1,300万円まで非課税
・税額:(評価額-1,300万円)×3%
・R4.3.31までに新築された長期優良住宅が対象
・①との併用は不可
既存住宅(新築された住宅でまだ人が住んでいない住宅はのぞく) 床面積が50㎡以上240㎡以下
以下のいずれかに該当するもの
①昭和57年1月1日以降に新築されたものであること
②昭和56年12月31日以前に新築されたもののうち、新耐震基準に適合していると証明を受けたものであること
③昭和56年12月31日以前に新築されたもののうち、平成26年4月1日以降に取得し、取得した日から6カ月以内に耐震改修を行い、新耐震基準に適合していると証明を受けたものであること
1戸につき住宅が新築された時点により、以下の額が控除
・S51.1.1~S56.6.30→350万円
・S56.7.1~S60.6.30→420万円
・S60.7.1~H元.3.31→450万円
・H元.4.1~H9.3.31→1,000万円
・H9.4.1→1,200万円
・税額:(評価額-控除額)×3%
取得者は個人に限定する。また、取得者自身の自宅であること

参照:国土交通省「不動産取得税に係る特例措置」

(4)消費税

消費税は、商品やサービスなどを消費するという行動に対して課される税金です。
建物を購入したり仲介業者に支払ったりした仲介手数料に関しては、消費税が課税されます。ただし、土地の購入代金や火災保険料、保証金などについては、消費税は課税されません。
どの取引が消費税の課税取引になるのかについては、以下にまとめましたので参考にして下さい。

不動産を買う時に消費税課税対象となる取引

①建物の購入代金(一部、非課税。中古住宅を個人から、個人(共に事業者を除く)が購入したときは、消費税の課税対象外)
②建物の建築工事やりリフォーム代金
③仲介手数料
④住宅ローン事務手数料
⑤登記を依頼した際の司法書士への報酬

不動産を買う時に消費税課税とならない取引

①土地の購入代金
②住宅ローンの返済利息・保証料
③火災保険料
④保証金

参照:国税庁「軽減税率制度」

不動産を所有している時にかかる税金

不動産は、取得後も「所有している」時にかかる税金があります。
固定資産税は、毎年かけられる市町村税で、都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業にかかる費用の一部に充当するために市町村が課す地方税です。
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の固定資産課税台帳に所有者として登録されている人が納税義務者となります。

(1)固定資産税

固定資産税とは、土地や家屋等の固定資産を所有している場合に納付する税金です。

固定資産税の税額は、次の計算式で求められます。

固定資産税評価額×1.4%

土地、家屋の固定資産税評価額は、3年に1度評価替えされます。
固定資産税も一定の住宅用地、新築家屋等には、課税標準の特例、軽減措置が設けられています。

①住宅用地に対する課税標準の特例
小規模住宅用地(住宅用地のうち200㎡までの部分は、課税標準が台帳価格の6分の1に、200㎡を超える部分(床面積の10倍まで)については、課税標準は台帳価格の3分の1になります。

200㎡までの小規模宅地用地の部分:評価額×1/6
200㎡を超える一般住宅用地の部分:評価額×1/3
②宅地に係る固定資産税の負担調整措置

・令和3年から令和5年度までの商業地等の宅地について、負担調整措置が設けられています。
商業地等の宅地のうち、負担水準の区分が70%を超える場合には、その年度の評価額の70%相当額を課税標準として計算した額、60%以上70%以下のものは、一律前年度の税額が据え置きになります。また、60%未満のものについては、原則として前年度の課税標準額にその年度の評価額の5%を加えた額が課税標準税額となります。

70%を超える場合:その年度の評価額×70%
60%以上70%以下の場合:前年度の課税標準額
60%未満の場合:前年度の課税標準額+その年の評価額×5%(例外あり)

・令和3年から令和5年度までの住宅用地の負担調整措置が設けられています。

100%以上の場合:本則課税標準額(その年度の評価額×1/6(または1/3))
100%未満の場合:前年尾の課税標準額+その年の評価額×1/6(または1/3)(例外あり)

固定資産税については、上記のほかにも住宅耐震改修に伴う税額の軽減や、バリアフリー改修工事に伴う税額の軽減など、多くの軽減措置が設けられています。これらの軽減措置を利用するためには、申告書のほか建築士等の発行する証明書の添付が必要です。
これらの軽減措置は、期限が設けられているものも多いので、もれなく活用するためにも早めに税理士に確認しましょう。

(2)都市計画税

都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業にかかる費用の一部を充当するために、市町村が課す地方税で、市街化区域内の土地、家屋が対象となります。

都市計画税の税額は、固定資産税評価額を基準俊、固定資産税と一緒に納税通知書が送付され、固定資産税とあわせて納付します。

課税標準額×0.3%

小規模住宅用地(住宅用地のうち200㎡までの部分)は、課税標準が台帳価格の3分の1に、200㎡を超える部分(床面積の10倍まで)については、課税標準は台帳価格の3分の2になります。

200㎡までの小規模住宅用地の部分:評価額×1/3
200㎡を超える一般住宅用地の部分:評価額×2/3

エリアによって措置が異なる場合がありますので、詳しくは税理士に相談することをおすすめします。

不動産を買った時に利用できる特例

不動産を買った時で、住宅ローン控除が適用される時には、所得税が減税されます。
減税される所得税額は入居した年によって異なり、サラリーマンも初年度は確定申告が必要です。

(1)住宅ローン控除

住宅ローン控除を受けるためには、会社員の場合には、最初の年に確定申告をする必要があります。会社員の場合には、翌年からは勤めている会社の年末調整で引き続き控除を受けることができます。個人事業主の場合には、2年目以降も毎年確定申告の際に他の所得税控除や税額控除をあわせて申告する必要があります。

一般の場合

入居を開始した日 控除期間 控除率 年末残高上限額
(控除限度額)
平成24年1月1日~平成24年12月31日 10年 1.0% 3,000万円
(30万円)
平成25年1月1日~平成26年3月31日 10年 1.0% 2,000万円
(20万円)
平成26年4月1日~令和元年9月30日 特定取得 10年 1.0% 4,000万円
(40万円)
それ以外 10年 1.0% 2,000万円
(20万円)
令和元年10月1日~令和4年12月31日 特別特定取得 13年 1.0% 4,000万円
(40万円)
特定取得 10年 1.0% 4,000万円
(40万円)
それ以外 10年 1.0% 2,000万円
(20万円)

住宅の取得等で特別特例取得または特例特別特例取得に該当する個人が、令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合も対象となります。

参照:国税庁「一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」

認定住宅の場合

入居を開始した日 控除期間 控除率 年末残高上限額
(控除限度額)
平成24年1月1日~平成24年12月31日 10年 1.0% 4,000万円
(40万円)
平成25年1月1日~平成26年3月31日 10年 1.0% 3,000万円
(30万円)
平成26年4月1日~令和元年9月30日 特定取得 10年 1.0% 5,000万円
(50万円)
それ以外 10年 1.0% 3,000万円
(30万円)
令和元年10月1日~令和4年12月31日 特別特定取得 13年 1.0% 5,000万円
(50万円)
特定取得 10年 1.0% 5,000万円
(50万円)
それ以外 10年 1.0% 3,000万円
(30万円)

住宅の取得等で特別特例取得または特例特別特例取得に該当する個人が、令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合も対象となります。

参照:国税庁「認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」

特定取得とは、住宅の取得等の対価に含まれる消費税等の税率が8%または10%である場合をいいます。
特別特定取得とは、住宅の取得等の対価に含まれる消費税の税率が、10%である場合をいいます。なお、11年目~13年目は控除額が異なります。

このほか、東日本大震災により被害を受けた方の特例や、特定バリアフリー改修等の住宅ローン控除、特定省エネ改修工事等の住宅ローン控除などが適用される場合もあります。

(2)所得税額の特別控除

認定住宅を購入、新築した場合や、居住用家屋を増回禿頭(バリアフリー改修工事、大規模修繕および省エネ改修工事等を含む)をした場合、所得税が減税される措置が設けられています。
認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除は、平成26年4月1日から令和3年12月31日までの間に認定住宅の新築または取得をし、新築または取得の日から6カ月以内に住み始めた時に適用されます。

控除額(65万円が限度) = 認定長期優良住宅および認定低炭素住宅の新築等に係る標準的な性能強化費用相当額(最大650万円が限度) × 10%

参照:国税庁「認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)」

バリアフリー改修工事等の所得税額の控除は、平成21年4月1日から令和3年12月31日までの間に一定の高齢者等がマイホームのバリアフリー改修工事を行い、改修工事等の日から6カ月以内にそのマイホームに住み始めた時に、居住年分の所得税額から一定の額が控除される制度です。

控除額(20万円が限度) = バリアフリー改修工事等の標準的な費用の額(補助金等の額はのぞく)(最大200万円が限度) × 10%

このほか、省エネ改修工事等の所得税額の特別控除や、特定多世帯同居改修工事等の所得税額の特別控除もあります。
これらの措置も期間限定なものが多く、確定申告の際に建築士等の発行する証明書や工事請負契約書の添付が必要です。
詳細については、税理士に確認しましょう。

まとめ

以上、不動産を買った時にかかる税金についてご紹介しました。
不動産を買う時には、物件価格や仲介手数料にばかり目を向けがちですが、課税される税金についても配慮をしておかなかったために、税金を納付する際に慌ててしまうケースもあるようです。税理士等に相談して、活用できる軽減措置などアドバイスを受けながら、後悔をしないように不動産を購入しましょう。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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