公開日:2019年11月23日
最終更新日:2022年07月04日
生命保険には、定期保険、終身保険、養老保険、医療保険などさまざまな種類があります。
どの生命保険に加入すべきかについては、「老後の生活に役立つ保障が欲しい」「病気やケガの時に入院しても、安心できるようにしておきたい」など、個々の目的によって異なります。
また、保険金を受け取ったときには、契約者、被保険者、受取人が誰かによって、相続税、所得税、贈与税のいずれの課税対象となるかが変わります。
生命保険とは、年金や健康保険の公的保険や預貯金などでは十分にカバーできない部分を保障するために、個人や団体で加入する制度です。
一概に「この保険に加入すべき」というものはなく、個々の目的によって十分に検討することが大切です。
生命保険には、定期保険、終身保険、養老保険、医療保険などさまざまな種類があり、それぞれカバーできる部分が異なります。
たとえば定期保険は、被保険者が亡くなった場合に支払われるものですし、終身保険は保障が一生涯続く保険です。また介護保険は、被保険者が要介護状態になった時に給付金が支払われます。
生命保険は、個々の事情に沿ってこれから生きていくうえで起こりうるさまざまなリスクを分析し、そのうえでそのリスクに備えるためにはどのような保険が必要かという観点で選ぶことが大切です。
保険は大きく分けて、公的な保険と民間の保険があります。
公的な保険は、国の事業として行われている強制力のある保険で、保険金の額なども法律によって一定のルールがあります。
一方、民間の保険は、金融庁が保険会社を監督していますが、保険料の決め方も自由で、保険金の額は契約によって異なります。
①公的な保険 健康保険、介護法顕、雇用保険、労災保険、厚生年金、国民年金、小規模企業共済など ②民間の保険 |
厚生年金や国民年金は、自分が在職中に納めた金額が将来もらえると貯金のような制度ではなく、今自分が今納めている保険料は、別の人が受け取っています。
したがって少子高齢化社会が進んで、年金をもらう人の数が増えて年金を納める人の数が減ることになれば、将来的には支給金額が減少することが考えられます。
将来の生活を考えて生命保険に加入したり貯金をしたりする時には、このような事情も念頭に置いておくことが必要です。
生命保険も預金も、「将来起こりうるリスクに備える」という性質を持つものですが、預金が近い将来に起こるかもしれないリスクに備えるもので、生命保険はいつ起こるか分からないリスクに備えるものであるという点で異なるということができます。
また、預金を解約した場合には元本と利息が戻りますが、掛け捨ての保険の場合には途中で解約すると払い込んだ保険料が全く戻ってこなかったり一部しか戻ってこなかったりということがあります。
これは、生命保険の場合契約から解約までの間は「もし亡くなった場合には、保険金を受け取ることができます」というサービスを受けるという意味合いを持つものだからです。
つまり支払っていた保険料は、そのサービスに対する対価と考えることができるため戻ってこないわけです。
したがって、生命保険に加入する時には、「近い将来、解約しなければならない可能性があるか」という点について、慎重に検討するようにしましょう。
もし近い将来に資金が必要となる可能性が高い場合には、生命保険ではなく預金を選択する方が賢明です。
解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、保険契約を解約したときに戻ってくるお金のことです。
ただし、解約したとしても支払った保険料の全額が戻るわけではありません。
これは、生命保険会社が契約者から集めた保険料を「すぐに返す必要のないお金だ」という認識のもとで運用に充てているからです。
解約返戻金の額は、定期保険、終身保険、養老保険など保険の種類によって異なりますが、これまで支払った保険料の全額が戻ってくるケースはほとんどありません。
したがって、解約する時には「解約返戻金がどれだけ戻ってくるのか」「これまで支払った保険料はいくらか」といったシミュレーションを行ったうえで、解約のメリット・デメリットを比較してよく検討することが大切です。
生命保険の種類は、大きく定期保険、終身保険、養老保険などがありますが、テレビや新聞などでは「新しいタイプの生命保険である」と謳っているものが次々と登場し、「今までの生命保険とどこが違うのか」と思われる方も多いのではないでしょうか。
けれどもこれらの新しいタイプの保険は、実は以下の3つの基本的なタイプの保険の組み合わせに過ぎないケースがほとんどです。
①死亡保険 被保険者(保険の加入者)が死亡した時だけ、保険金が支払われるものです。 保障期間を被保険者の死亡時までとする保険を「終身保険」、加入時から10年または15年など一定期間に限定されている保険を「定期保険」といいます。 ②生存保険 ③生死混合保険 |
そして、生命保険の代表的な例である掛け捨て型の生命保険や、終身保険、医療保険も上記の3つの保険を組み合わせたものということができます。
掛け捨て型生命保険 掛け捨て型生命保険とは、満期時に被保険者が生存していた時には満期保険金の払い込みがありませんが、保険期間中に亡くなった時に遺族が保険金を手にすることができる生命保険です。 解約返戻金の形で受け取れる金額がほとんどないことから、「支払った保険料が無駄になるのではないか」というイメージがあることから「掛け捨て」という言葉が使われています。 しかし月々の保険料の負担が少ないうえに期間が限られていますし、「もし保険期間中に不慮の事故などで無くなった場合には、指定された保険受取人に保険金が支払われますよ」という「保障」に対して支払われたものですから、「掛け捨て」という言葉は実は正しくありません。 なお、掛け捨て型の生命保険でも配当がつくものと配当がつかないものがあり、配当がつくものであれば、満期時に生存していた場合には満期保険金は支払われませんが配当金は支払われることになります。 終身保険 また、終身保険は、解約すると解約返戻金が支払われます。掛け捨ての時には期待できない解約返戻金ですが、終身保険ではある程度まとまった額になるという点で貯蓄性の面から見てもメリットがあります。 ただし、終身保険については、保険会社はかならず保険金を支払わなければならないので、定期保険より保険料は高くなります。 養老保険 高額な保険料がデメリットの養老保険ですが、保険料の払い込みができなくなった時には、保険料の払い込みを中止して保険を継続できる「払済保険」という方法もあります。 このように多くのメリットがある養老保険ではありますが、生命保険各社では長期金利が低下して運用利回りが期待できなくなったことを理由に、貯蓄性に富む保険商品の販売を停止するケースが増えています。 医療保険 入院すれば入院給付金、亡くなれば死亡給付金を受け取ることができます。ただし、満期保険金はなく、死亡保険金もそれほど高額ではありません。 そのほかの生命保険 こども保険は、こどもの教育資金や結婚資金を計画的に準備するためのもので、介護保障保険は、被保険者が要介護状態でその状態が一定期間継続した場合に年金や一時金が給付される保険です。 |
どの保険に加入するべきなのかについては、個々の事情や起こりうるリスクの分析によって異なります。
また、「無理な保険料ではないか」「預金はどのように準備するか」など、他の手段も併せて十分検討するようにしましょう。
生命保険の満期時には、所得税または贈与税がかかる可能性があります。また、死亡保険金については、契約の仕方でかかる税金の種類が変わります。
ここでは、生命保険と税金について、ご紹介します。
死亡保険金を、一度にまとめて受け取る場合は、相続税、所得税(+住民税)、贈与税のいずれかの課税対象となります。どの税金が対象となるかは、保険契約者(保険料支払い者)・被保険者(誰が亡くなったら支払われるか)・受取人が誰かによってパターンに分けられます。
①夫が妻にかけ、夫が一時金として死亡保険金を受け取る場合 一時所得として所得税、住民税がかかります。 ②夫が自分にかけ、妻が受け取る場合 ③夫が妻にかけ、夫が年金を受け取る場合 ④夫が自分にかけて、相続人以外の人が受け取る場合 ⑤夫が妻にかけ、子どもが受け取る場合 |
上記をA(保険契約者)、B(被保険者)、C(保険受取人)としてまとめると、下記のようになります。
保険契約者 (保険料支払者) | 被保険者 (誰が亡くなったら支払われるか) | 保険受取人 | 税金 |
---|---|---|---|
A=C | B | C=A | 所得税・住民税 |
A=B | B=A | C | 相続税 |
A=B | B=A | C | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
保険金の受け取り方には「一時金」による場合と「年金」による場合があります。
①一時金による受取の場合 一時金で受け取る場合には、その所得は「一時所得」となり、所得税と住民税がかかります。 所得税と住民税は、{(保険金-保険料総額)-特別控除50万円}×1/2で計算して、他の給与所得や事業所得と合算して、ここから50万円を控除してゼロもしくはマイナスの場合には、税金はかかりません。 |
②年金による受取の場合 年金で受け取る場合には、その所得は「雑所得」となり、所得税と住民税がかかります。雑所得は、支給される年金の額と保険料を控除して計算しますので、年末に保険会社から送付される計算書で確認しましょう。 なお、保険料の支払人と保険金の受取人が違う場合には、贈与税がかかります。 |
自分の生命保険では、どのような税金がどれくらいかかるのかについては、以下の表にまとめましたが、生命保険の種類や保険料によっても異なりますので、税務署や税理士で確認するようにしましょう。
生命保険は、法定相続人1人当たり500万円まで非課税となります。
また、病気や傷害に関する保険金・給付金は、非課税となります。
なぜなら病気や傷害に関する保険金・給付金は、被保険者の入院や通院、手術など治療費用として使われるものであって、「所得」とはみなされないからです。
非課税となる生命保険には、入院給付金、手術給付金、通院給付金、ガン診断給付金、疾病災害療養給付金、特定損傷給付金、高度障害保険金、先進医療給付金、三大疾病保険金などがあります。
生命保険に加入すると、「生命保険料控除」を受けることができ、所得税と住民税を減らすことができます。ただし、支払った保険料の全額が対象となるわけではなく、上限額は最高12万円です。生命保険料の控除額は、契約の時期によって異なります。
旧契約(平成23年12月31日以前の契約分)
2つの区分ごとに控除額を計算する。最高10万円まで
生命保険分(最高5万円)+個人年金分(最高5万円)=保険料控除額(最高10万円) |
新契約(平成24年1月1日以後の契約分)
3つの区分ごとに控除額を計算する。最高12万円まで
新契約は3種類あるので、それぞれを合わせると、生命保険料控除の最高額は12万円となる。 |
サラリーマンの場合には、保険会社から届く「保険料控除証明書」を会社に提出すれば、会社で年末調整をしてくれますが、個人事業主などの場合には自分で確定申告をする必要があります。
以上、生命保険の意味や種類、生命保険の税金などについてご紹介しました。
生命保険は、「友人に勧められたから」という理由で加入するものではありません。安易に勧められるままに加入してしまうと、本当は必要がない生命保険に加入してしまったということもあります。また保険料が高額で、日々の生活に影響を及ぼしてしまうこともあります。
このような失敗をしないためにも、生命保険の種類やそれぞれの特徴を理解し、自分が本当に加入すべき生命保険はどの保険なのかをよく検討するようにしましょう。
また、人生のなかでは、結婚したり子どもができたりとさまざまな変化が起こりますから、その都度起こりうるリスクも変化していきます。
できれば1年に1度は、保険の内容を見直すことをおすすめします。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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