副業で不動産所得がある人の確定申告

公開日:2018年10月31日
最終更新日:2019年01月24日

目次

  1. 「副業」とは?
    • 不動産所得とは
    • 不動産所得は「総合課税」
  2. 不動産所得の経費
    • 不動産所得の計算
    • 必要経費となる支出
    • 減価償却費
    • 赤字が出た場合の「損益通算」
  3. 不動産所得の確定申告
    • 事業規模で税法上の取扱いが変わる
    • 確定申告書の記入方法
  4. まとめ

最近は、サラリーマンでも投資用のマンションを貸し出したりして、収入を得る場合が増えてきました。
「サラリーマンは年末調整しているのだから、確定申告する必要はない」と考えている人もいます。しかし、不動産所得は、給与所得のように自動的に計算されるものではないので、自分で収入と必要経費を集計し、確定申告をする必要があります。

「副業」とは?

副業とは、一般的に「本業の他にする職業」のことをいいますが、税法上は「副業」という区分はなく、副業の内容によって「所得」が区分されているに過ぎません。

したがって、副業による収入があり確定申告をする場合には、副業の内容によって区分されている「所得の種類」に沿って確定申告をする必要があります。

所得の種類は10種類あって、不動産の賃貸収入は「不動産所得」に該当します。
所得の計算方法は、所得の種類ごとに異なりますので、副業による収入があり確定申告をする際には、どの所得に該当するか、確認する必要があります。

所得の種類は10種類-税金のかかり方も異なるを読む

不動産所得とは

不動産所得とは、アパートやマンション、駐車場などの不動産を貸付けたことによる所得です。
給与所得のあるサラリーマンでも、副業でマンション経営や駐車場経営を行っている場合には、確定申告をする必要があります。
不動産所得は、給与所得のように、給与収入から自動的に計算されるものではありません。したがって、自分で不動産経営をして得た収入と必要経費を集計して所得の金額を計算し、確定申告をする必要があります。

不動産所得は「総合課税」

サラリーマンの給与所得の場合は、会社で年末調整がされているので、「確定申告をする必要はない」と考えている人がいますが、それは間違いです。

先程、「所得には10種類ある」といいましたが、その所得には総合課税の対象となる所得と分離課税の対象となる所得があります。

総合課税とは、すべての所得を合計しその合計金額が課税対象となる方法で、分離課税は所得の種類ごとに個別に課税対象となる方法です。
不動産所得は総合課税される所得なので、確定申告する際には給与所得と不動産所得の両方の所得を申告して、合算した合計所得に対して所得税を納めます。

不動産所得の経費

不動産所得の場合では、必要経費とできるものがほとんど決まっています。
壁紙を張り替えるなどの修繕であれば、経費として計上できますが、大規模な改修を行う場合には、資産計上して減価償却する必要があります。
不動産所得の必要経費は、毎年ほとんど同じなので、会計ソフトに入力しておけば、次年度からの計算は簡単に行うことができます。
なお、不動産経営をする場合には、さまざまな節税対策がありますので、税理士のアドバイスを受けることで、税負担を軽くできる可能性があります。

不動産所得の計算

不動産所得の計算は、「総収入金額」-「必要経費」の額で計算します。
総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。

○名義書換料、承諾料、更新料又は頭金などの名目で受領するもの
○敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
○共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など

必要経費となる支出

不動産所得の場合の必要経費になる支出、ならない支出があります。
収入にはアパートやマンションの家賃、権利金などの収入

必要経費となる支出
・貸している不動産の固定資産税、火災保険料
・貸している不動産を所得するために借入した場合には、その借入金の支払利息
・減価償却費
・管理を委託している場合は、その管理費
・修繕費(ハウスクリーニング、畳替え、塗装費用など)
・前年度に収入計上したものの、回収できないことが確定した貸倒損失(事業的規模の場合)
・事業税(不動産所得に関するもの)

必要経費とならない支出
・貸家や貸地に直接関係のない費用
・自宅兼貸家のケースで、固定資産税、借入金の支払利息、火災保険料などのうち自宅に該当する部分
・親の土地に貸家を建設しているケースで、親と生計を一にし、地代を親に支払っている場合の地代
・修繕費のうち、建物の価値を高めるような場合(減価償却する※後述)

減価償却費

アパートやマンションは、毎年価値が減っていきますので、その減った価値の分をその年の必要経費に計上するのが、減価償却です。
ちなみに、土地は価値が減らない資産なので、減価償却することはできません。

貸している不動産が老朽化したり壊れて修繕したりした場合には、経費として一度に計上することができますが、大規模に改装を行って不動産の価値を高め使用可能期間が延びるような場合には、修繕費はならず資本的支出となります。
例えば、増床工事、車庫のシャッターの取付工事、外壁修繕工事などは、資本的支出に該当します。

資本的支出は、固定資産として計上し、減価償却によって毎年分割して費用にします。

なお、減価償却の計算方式は「定額法」と「定率法」があります。
定額法とは、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法で、定率法は、購入した最初の時期に減価償却費を多く計上する方法です。
建物は定額法が原則ですが、税務署に届ければ定率法にすることができます。

減価償却の計算方法
定額法 毎年同じ金額を減価償却として計上する方法
定率法 購入した最初の時期に、減価償却費を多く計上する方法

減価償却の詳細は下記の記事でまとめています。併せてご覧ください。

「節税効果大!減価償却する資産と償却する方法とは」を読む

赤字が出た場合の「損益通算」

不動産経営をしていれば、赤字を出してしまうこともあるでしょう。
そのような場合には、給与所得や雑所得などと損益通算することができます。節税効果が高いので、税理士に相談してアドバイスをもらうとよいでしょう。

不動産所得の確定申告

確定申告書には「申告書A」と「申告書B」がありますが、不動産所得の確定申告をする際には、確定申告書Bを使用します。
青色申告でも白色申告でも、どちらでも行うことができます。
白色申告をする場合には、申告書の他に「収支内訳書」、青色申告をする場合には「不動産所得用の青色申告決算書」の作成が必要となります。

また、確定申告をする際には、以下の書類を準備しておく必要があります。

・源泉徴収票(給与所得と不動産所得の両方を申告するため)
・不動産売買契約書(不動産を入手した時の契約書)
・売渡精算書(不動産を売買した際の費用明細が分かるもの)
・譲渡対価証明書(マンションを土地と建物に按分した際の割合を示すもの)
・家賃送金明細書(家賃収入がいくらあって、支出がどの程度があったか分かるもの)
・賃貸契約書
・融資を受けた際の借入金の返済予定表
・修繕した場合の見積書・請求書・領収書
・管理会社に委託している場合には管理費の領収書
・固定資産通知書
・火災保険・地震保険などの証券

これらの書類は、確定申告の時期が始まってから書類を一度に用意しようと思ってもなかなか大変なので、日頃からこまめに整理してまとめておきましょう。

事業規模で税法上の取扱いが変わる

不動産所得は、事業的規模と事業的規模以外の2つに区分され、税法上の取扱に違いがあります。業的規模と認められると、税務上の扱いが異なり、特典を活用できます。

たとえば、家族に支払う費用が原則として必要経費にはなりませんが、事業的規模の青色申告者が不動産管理をしている家族に給与を支払った場合には、必要経費にすることができるなどのメリットがあります。
事業的規模か事業的規模以外か、についての判断は難しいので、税理士にアドバイスを受けましょう。

事業規模か否かの判断

事業規模 事業的規模以外
所有不動産が独立した家屋の場合ー5棟以上 先に当てはまらないケース 先に当てはまらないケース
アパート・歌詞マンションの場合は、独立した部屋数が10室以上
貸地(駐車場は含まず)の場合、50件以上

事業的規模のメリット

事業規模 事業的規模以外
青色申告特別控除 65万円 10万円
資産損失 全額を必要経費に算入できる 所得を限度とする
貸倒損失 全額を必要経費に算入できる 収入計上した年分で収入がなかったことにする
専従者給与 青色専従者給与(青色申告)
事業専従者控除額(白色申告)
なし

確定申告書の記入方法

ここでは、はじめて申告をする方を対象に白色申告の方法をご紹介します。
なお、確定申告書を提出する時には、青色申告承認申請書も一緒に提出するようにしましょう。
翌年からは、所得から10万円(複式簿記で帳簿をつけていれば65万円)を控除することができるので、税金を安くすることができます。

まとめ

以上、副業で不動産所得がある人の確定申告について説明しました。確定申告で所得の計算を間違いないようして、節税対策できることは忘れずにしましょう。
下記の記事は、不動産所得に限らず、確定申告の詳細についてまとまた記事です。併せてご覧ください。

 

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