会社の清算に必要な10個の手順と必要な登記

公開日:2019年11月29日
最終更新日:2019年11月29日

目次

  1. 会社の解散・清算に必要な10個の手順
    • (1) 営業終了日を決める
    • (2) 解散決議を行なう
    • (3) 清算人を選任する
    • (4) 解散登記・清算人選任の登記
    • (5) 債権者に対する官報公告
    • (6) 解散確定申告
    • (7) 資産と負債の整理
    • (8) 残余財産の確定と分与
    • (9) 清算までの決算承認と清算確定申告
    • (10)清算結了の登記
  2. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 会社を清算する場合には、清算する前にM&Aや事業承継を検討する。
  • 事業承継やM&Aが難しいとなれば、次に会社を清算することを検討する。
  • 会社を清算するためには、大きく「解散」と「清算」という2つのステップが必要。

 

会社を清算する時には、資産と負債の状況を確認し、資産の方が多い段階で清算作業を開始することが大切です。負債が大きくなりすぎて倒産してしまうより、余力のあるうちに会社を清算することを決めた方が、取引先や従業員など関係者への影響を最小限に抑えることができるからです。

この記事では、会社を清算するべきタイミングと会社を清算する際に必要な10個の手順についてご紹介します。

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会社の解散・清算に必要な10個の手順

会社を清算する場合には、清算する前にいちどM&Aや事業承継を検討することをおすすめします。会社を清算しないで自分以外の人が社長になって、あるいは他社に買収されて生きる道もあるからです。
したがって、まずは事業承継やM&Aに精通している税理士に相談して、M&Aや事業承継が可能か検討し、そのうえで会社を清算するべきかを相談しましょう。
たとえ会社をまるごと生かすのが難しいという場合でも、ある部門だけ切り離して分社化してM&Aを進めることも可能です。

税理士に相談したうえで、事業承継やM&Aが難しいとなれば、次に会社を清算するという選択肢を前向きにとらえ、計画的に清算・解散の手続きを進めましょう。

(1) 営業終了日を決める

会社を清算するためには、大きく「解散」と「清算」という2つのステップが必要ですが、もっとも大切なのは、会社を清算するべきタイミングを見極め、営業終了日を決めることです。

営業を終了するという決断は勇気がいるものですから、たいていの場合にはぎりぎりまで頑張ってしまい、結局負債が大きくなり倒産してしまうこともあります。
しかし、事業をやめることは決して失敗ではありません。むしろ会社や経営者、従業員の先行きを見て将来を見極めることについて成功したともいえるのです。
次へのステップへとつなげるためにも、会社を清算するということを前向きに捉え、計画的に必要な手続きを進めるようにしましょう。

(2) 解散決議を行なう

営業を終了させたら、株主総会で解散決議を行い、株主総会の決議書を作成します。また、清算人を選任して解散及び清算人選任の登記をします。通常は解散決議があった日が解散日となりますが、株主総会で特定の日を解散日とすると決めることもできます。
なお、会社法では解散決議をした時点では会社は消滅しません。その後、清算手続きを開始した会社は「清算」という限定された目的の範囲内で法人格をもつことになり(清算株式会社、清算中の会社と呼ばれます)、清算手続きが終了すると法人格が消滅することになります。

※なお、合同会社の解散には大まかに分けて任意解散(定款で定めた存続期間の満了、総社員の同意など)と強制解散(破産手続開始の決定など)があり、それぞれの手続きが異なりますが、総社員の同意に基づいて合同会社を解散する場合には、総社員の同意を得る必要があります。この時作成する「総社員の同意書」という書類は、株式会社でいう株主総会の決議書のようなものになります。

(3) 清算人を選任する

解散決議を行う際には、清算人を選任し、取締役に代わり清算人が中心となって株主総会や監査役が継続することになります。清算人には原則として取締役がそのまま就任しますが、定款や総会決議で別の人を選任してもよく、裁判所が選任することもあります。
この清算人には任期はなく、裁判所が選任した場合以外はいつでも解任することができ、少数株主も解任請求をすることができます。
なお、清算人の主な清算事務は、①現事業の決了、②債権の取立ておよび債務の弁済、③残余財産の分配の3つということになります。

参照:法務局「株式会社解散及び清算人選任登記申請書」

(4) 解散登記・清算人選任の登記

解散決議をして清算人を選任したら、解散登記および清算人選任の登記をします。
登記は法務局に申請し、あわせて税務署に解散の届出をします。
なお、登記以外にも、ハローワークには「雇用保険適用事業所廃止届」を提出しなければなりませんし、年金事務所には「健康保険・厚生年金保険被保険者喪失届」を提出しなければなりません。

税務や社会保険、労働保険に関わる主な届出については、以下の表にまとめましたので、もれなく手続きを行うようにしましょう。

(5) 債権者に対する官報公告

国が発行する官報で、解散したことを公告します。
公告期間は2カ月以上設ける必要があり、異議がある場合にはその旨を申し出るよう通知します。

(6) 解散確定申告

会社の解散・清算作業では、最低2回の確定申告が必要です。
1回目の確定申告は、解散登記をした解散後2カ月以内に行う「解散確定申告」、2回目の確定申告は、資産と負債の整理を終えて残余財産が確定した後に行う清算確定申告です(※「(9) 清算までの決算承認と清算確定申告」でご紹介します)。

したがって、解散登記をしたら2カ月以内にまずは解散確定申告を行うことになります。
解散確定申告は、通常の事業年度の開始日から解散日までの期間の確定申告です。解散日とは、株主総会で解散の決議がされた日となります。

(7) 資産と負債の整理

資産と負債を整理し、関係者に真摯に対応します。
取引先や外注先への対応については、まず仕入先の数を減らし支払い計画を立てます。そして営業終了日と支払いの目途が立ったら、できるだけ直接会って「会社を清算する」ということを伝えます。メールで簡単に伝えられる時代だからといって、最低限のモラルは守るようにしましょう。

もし代金の支払いが遅れる可能性がある時には、そのことも正直に伝え、真摯に対応するようにしましょう。少しでも相手を避けるような行為を行ってしまうと、それが取引先の心証を悪くしてしまい、新たにビジネスをスタートする時に協力者になってくれなくなってしまいますので、十分な配慮を心がけましょう。

売掛金
売掛金はどうしても残ってしまうというケースは多いものですが、売掛期間が4カ月以上と長く、清算スケジュールに影響が出るような場合には、清算業務にあたって換金化を急ぎたい旨を伝え、支払いを早くしてもらうよう依頼してみましょう。

②有価証券
有価証券などは、取引先などに換金したい旨依頼しても会社法上は対応する義務がありませんので、足元を見られて安価になってしまうこともあります。しかし、「換金化できるだけましだ」と割り切って実行する方が得策です。

③保険
生命保険と損害保険は、解約して解約返戻金を手に入れることができます。会社が契約者である場合にも、個人に契約を引き継げるばあいもありますので、詳細については税理士に相談してみましょう。

④在庫
在庫は、取引先に販売すると安価になってしまうケースが多いので、ネットオークション、フリマサイト、閉店一掃セールなどのネットでの販売なども検討しましょう。
それでも売り切れない時には、リサイクルショップに持ち込むという手段もあります。

⑤預け金・保証金
預け金や保証金は、商売を辞める時に戻ってくるのが通例ですが、減額されたり戻ってこなかったりするケースも少なくありません。したがって、清算を決めたら早い段階で契約書や規約を確認し、必要に応じて弁護士や税理士などの専門家に相談しましょう。

⑥不動産
不動産がある場合には、買い手が現れるタイミングによって売却価格が大きく変動します。清算できずに倒産するしかなくなると、この売却価格が後々明暗を分けることになります。社長個人が会社から買い取る、近隣の事業者に売却するなど早々に検討を始めましょう。

⑦知的資産
ブランド、歴史、技術などの知的資産は直接換金することはできることができないというイメージがありますが、商標権をとっている場合には意外な高値で売却できることもあります。

(8) 残余財産の確定と分与

資産を換金して最終的に残余財産が発生した場合、株主に配当として分配されることになります。その時に資本金を超えるほど残余財産があると、みなし配当として会社は約20%の源泉徴収をすることになり、高額の課税がかかることがあります。
そこで、必ず税理士に相談して節税対策を検討してください。

たとえば、退職金を支給すると、一定額までは経費として認められますし、個人への所得税についても退職金は勤続年数に応じて控除額が増えます。
退職金には退職所得控除という控除額があり、通常よりも税金が優遇され、勤続年数20年以下の部分は1年あたり40万円、21年目以降は1年あたり70万円の控除があります。

また、社長自ら清算人になっている場合には、解散を決議し清算活動を行っている間は役員報酬をもらい続けることもできます。清算期間がどれだけ長くなるかにもよりますが、経費計上を上手に活用して可能な限り節税を行うようにしましょう。

(9) 清算までの決算承認と清算確定申告

残余財産が確定したら、清算確定申告を行います。期限は、残余財産確定日の翌日から1カ月以内です。
なお、清算作業が1年を超える場合には、清算事業年度の確定申告も必要になります。さらに長引けば1年ごとに毎年この確定申告を行う必要があります。

(10)清算結了の登記

清算結了の登記は、法務局に申請します。
この時、あわせて税務署などへの清算結了の届出を行う必要があります。


参照:法務局「株式会社清算結了登記申請書」

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まとめ

以上、会社を清算する時に必要な10個の手順と、必要な登記についてご紹介しました。

会社を清算する時に最も大切なのは、早めに決断して余裕のあるスケジュールを立て、必要な手続きを順番にこなしていく必要があります。
なかには、会社を清算する決心がつかず、迷いに迷ってぎりぎりまで頑張ってしまうケースもありますが、慌てて手続きを進めても、取引先や従業員などに迷惑をかけてしまうばかりです。それに、最悪の場合清算する前に倒産してしまうこともあります。

会社を清算するべきタイミングは、自分では判断しづらいものですが、清算する前にM&Aを検討した方がよいケースもあります。ぜひ早めに税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

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