旅費交通費とは|該当するもの・仕訳例

公開日:2021年08月19日
最終更新日:2022年03月17日

この記事のポイント

  • 旅費交通費は、日々の業務で利用する交通費や、出張の際の宿泊費などの勘定科目。
  • 出張手当も、旅費交通費で処理をする。
  • 接待時のタクシー代は、旅費交通費ではなく「交際費」で処理をする。

 

旅費交通費は、日々の業務で利用する交通費や、出張の際の宿泊費、日当などを処理する時に使う勘定科目です。
この記事では、旅費交通費に該当するものや領収書がない時の対応、よくある仕訳例についてご紹介します。

旅費交通費とは

旅費交通費とは、バスや電車などの交通費や出張の際の宿泊費などを処理する時の勘定科目です。

「旅費」は、役員等が業務のために遠隔地に出張した場合に、旅費規程などの社内規程によって支給される金額です。

「交通費」は、一般に近距離の場合で業務のために電車、バス、タクシーなどを使用した時の実費です。
定期券も、この勘定科目で処理をされますが、一定の金額を超える場合には、その従業員等の給与所得等とされるので注意が必要です。

(1)旅費交通費に該当するもの

旅費交通費に該当するものは、業務の際に移動などに使った電車、バス代や出張で使った航空券、宿泊代などです。

・電車代
・バス代
・タクシー代
・航空運賃
・高速道路料金
・有料道路通行料
・出張の際の日当
・宿泊費
・仮払出張費
・出張支度金
・滞在費
・出張の際の食事代
・転勤旅費
・帰省旅費
・ガソリン代
・レンタカー代
・定期券代
・回数券
・ビザ取得費
・空港使用料
・パスポート交付手数料
・有料駐車場代
・コインパーキング

(2)旅費交通費の領収書がない時は?

電車やバスなどを利用する際には、領収書がないことも多々あるでしょう。
その場合には、移動に関する詳細を記載した記録が必要です。

旅費の精算時に、日付、目的、行き先、金額等をまとめた書類を作成します。

日付 行先 交通機関 金額 目的
2021/3/1 山田商店 JR 秋葉原~上野(往復) 300円 打ち合わせ
2021/3/10 ABC商店 JR 目黒~上野(往復) 500円 打ち合わせ

(3)出張日当も「旅費交通費」

出張手当も、旅費交通費で処理をします。
出張手当等は、旅費規程などの社内規程等を作成して、それに基づき日当や宿泊費を旅費交通費で計上します。以下は、シンプルな国内出張旅費規程の例ですが、税理士等に相談したうえで自社の事情に応じた規程を作成することをおすすめします。

国内出張旅費規程(例)

第1条
この規程は、役員および従業員が社命によって日本国内に出張する時の旅費について定めるものである。

第2条
本規定は、原則として役員および正社員に適用する。
但し、正社員以外の者で役員の承認を得ている場合には、本規程を準用する。

第3条
本規程の出張の経路は、最も経済的な順路及び方法によって計算する。
但し、業務の都合や天災などの事由がある時には、この限りではない。

第4条
本規程の出張の種類は、宿泊出張と日帰り出張とする。
(1)宿泊出張とは、勤務地より片道距離が○○km以上の地域への出張で宿泊を伴うものとする。
(2)日帰り出張とは、(1)の地域内に出張し拘束7時間以上となる宿泊を伴わず出張当日に帰着できる出張とする。

第5条
日当は、出張した日数に応じて、以下に定める区分に基づき支給する。

交通費 宿泊日当 日帰日当 宿泊施設(上限)
代表取締役 実費 8,000円 5,000円 実費
(12,000円)
部長以上 実費 5,000円 3,000円 実費
(10,000円)
社員 実費 3,000円 2,000円 実費
(8,000円)

(4)通勤手当を支給している時の処理

通勤手当については、月額15万円までの部分については、所得税は課税されません。
ただし、最も経済的で合理的と認められる通常の経路、方法による金銭でなければならないとされています。新幹線の指定席は認められますが、グリーン料金は認められません。
月額15万円を超えた部分については、給与等として処理をし、所得税の課税対象となります。

「新幹線通勤の役員に対して、毎月18万円の通勤手当を現金で支給している。」

借方 貸方
旅費交通費 150,000 普通預金 150,000
役員報酬 30,000

通勤のために自転車、自動車などを使用する場合の通勤手当は、通勤距離の区分に応じて、それぞれの金額までは非課税とされます。

区分 非課税となる上限
通勤距離が片道55キロメートル以上である場合 31,600円
通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合 28,000円
通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合 24,400円
通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合 18,700円
通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合 12,900円
通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合 7,100円
通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合 4,200円
通勤距離が片道2キロメートル未満である場合 (全額課税)

参照:国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」

(5)接待時のタクシー代は「交際費」

取引先を接待した時に、取引先の送迎を行った時のタクシー代や、個人事業者(法人の場合や役員)や従業員の移動に使うタクシー代は、旅費交通費ではなく「交際費」となります。

一方、取引先に接待された時に個人事業者(法人の場合は役員)や従業員の移動に利用したタクシー代は「旅費交通費」となります。

旅費交通費のよくある仕訳

旅費交通費については、出張中に観光をしたり手土産を買ったりした時や、交通費を前もって渡した時の処理など、分かりにくいケースも多いものです。
そこでここでは、旅費交通費のよくある仕訳例についてご紹介します。

(1)電車賃を払った

「従業員が取引先まで電車とバスを使って、打ち合わせに行った。往復の交通費1,000円を現金で支払った。」

借方 貸方
旅費交通費 1,000 現金 1,000

(2)出張中に手土産を買った

「出張旅費」として交通費2万円、宿泊費1万円を普通預金から支払った。他に手土産代として3,000円を現金で支払った。

借方 貸方
旅費交通費 30,000 普通預金 30,000
交際費 3,000 現金 3,000

(3)急な出張で交通費を立て替えた

「急な出張で、従業員が交通費を立て替えた。出張に行った従業員柄交通費5,000円の旅費精算書が提出された。旅費規程に基づいた3,000円とともに現金で支払った。」

出張前には処理はしないで、出張の後従業員が提出した領収書とともに、精算します。

借方 貸方
旅費交通費 8,000 現金 8,000

(4)交通費を前もって渡した

「従業員が1泊2日で出張することになり、概算の金額を現金で10万円渡した。」

概算で渡した金額を「仮払金」で処理をして、出張から戻った時に精算します。

借方 貸方
仮払金 100,000 現金 100,000

「従業員が出張から戻ったので、出張旅費を精算した。交通費と宿泊費等で7万5,000円、その他取引先との食事代として1万5,000円を支払ったと報告を受けた。残金1万円は現金で返却された。」

借方 貸方
旅費交通費 75,000 仮払金 100,000
交際費 15,000
現金 10,000

(5)出張中に観光した

「取材旅行(3泊4日)でツアーを利用した。ツアー代金10万円はビジネスカードで支払った。なお、3泊4日のうち1日は観光に費やした。」

出張のうち、観光など業務に関係のない支払いがあった時には、その分について法人の場合には「役員報酬」や「給与」、個人事業主の場合には「事業主貸」で処理をします。
消費税の支払いについては、その支払い内容が国内の旅費か海外の旅費かによって異なります。

この例では、3泊4日のうち1日を観光に費やしているので「10万円×1/4(日)=2万5,000円」を、役員報酬(法人の場合)や事業主貸(個人事業主の場合)とします。

「取材旅行(3泊4日)でツアーを利用した。ツアー代金10万円はビジネスカードで支払った。なお、3泊4日のうち1日は観光に費やした。」

【法人】

借方 貸方
旅費交通費 75,000 未払金 100,000
役員報酬 25,000

【個人】

借方 貸方
旅費交通費 75,000 未払金 100,000
事業主貸 25,000

(6)毎月15万円以上の通勤手当を支給している

所得税の非課税限度額(月額15万円)を超える部分は、役員報酬や給与手当とします。

「新幹線通勤をしている役員に、毎月20万円の通勤手当を現金で支給している。」

借方 貸方
旅費交通費 150,000 現金 200,000
役員報酬 50,000

まとめ

以上、旅費交通費の意味や該当するもの、よくある仕訳などについてご紹介しました。業務を行ううえで必要であり、かつ通常必要と認められる部分の金額は、税務上費用と認められます。また、領収書がない場合には精算書を作成して日付や目的を記載すれば、旅費交通費として処理をすることができます。
通勤手当を支給している場合の処理や出張の際の仮払金の処理などについては、分かりにくいケースも多いので早めに税理士等に確認することをおすすめします。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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