支払手数料とは?該当するものは?源泉徴収は必要?

公開日:2021年12月28日
最終更新日:2024年06月11日

この記事のポイント

  • 支払手数料とは、社外の専門家に支払う報酬や金融機関等に支払う振込手数料。
  • 社外の専門家が個人事業主の場合には源泉徴収が必要となる。
  • 「顧問料」「支払報酬」などの勘定科目を用いることもある。

 

支払手数料とは、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、コンサルタントなど、社外の専門家に支払う報酬や金融機関等に支払う振込手数料などを処理する時に使用する勘定科目です。
社外の専門家が個人事業主の場合には、報酬を支払う際に源泉徴収が必要です。
 

支払手数料の豆知識

支払手数料とは、以下の2つのケースを合わせた勘定科目です。
①税理士、弁護士、公認会計士、コンサルタントなどの外部の専門家に支払う報酬
②金融機関等に支払う振込、送金等の手数料
税理士や弁護士などの外部の専門家が個人事業主の場合には、顧問料、業務委託報酬等に関して、所得税を源泉徴収する義務があります。
弁護士、税理士、社会保険労務士等に支払う報酬に対する源泉徴収税額と、司法書士、土地家屋調査士等への支払いに対する源泉徴収税額は計算式が異なりますので、注意が必要です。
なお、支払手数料の範囲は多岐にわたりますので、自社の管理に適した勘定科目を設定することも検討しましょう。例えば、外部専門家への顧問料などの報酬を管理したい場合は、「支払報酬」「顧問料」といった勘定科目を設定することが考えられます。
また、金融機関への手数料などをあえて管理する必要がないという場合には、「雑費」で処理すればOKです。勘定科目の設定は、個々の状況に応じて異なりますので、早めに税理士に相談して適切な勘定科目を設定し管理することが大切です。

支払手数料とは

「支払手数料」とは、税理士、弁護士、司法書士、公認会計士、弁理士等に支払う報酬や、金融機関等に振込手数料を支払った時に使う勘定科目です。
小売業などで頻繁に出店する会社などでは、不動産業者への仲介手数料等の費用を処理することもあります。
税理士、弁護士、司法書士、公認会計士、弁理士等が個人事業主の場合には、報酬を支払う際に源泉徴収が必要です。

(1)支払手数料に該当する費用

支払手数料に該当する費用としては、以下のようなものがあります。

・税理士への報酬
・公認会計士への報酬
・弁護士への報酬
・司法書士への報酬
・弁理士への報酬
・不動産鑑定士への報酬
・社会保険労務士への報酬
・経営コンサルタントへの報酬
・振込手数料
・送金手数料
・登録手数料
・事務取扱手数料
・取立手数料
・市場調査委託料
・フランチャイズ加盟手数料
・解約手数料
・仲介手数料
・ロイヤリティ
・ネットショップ出店費用
・ファクタリング手数料
・監査報酬
・キャンセル料

支払手数料の範囲は多岐にわたりますので、自社の管理に適した科目を設定することが必要です。
たとえば、外部の専門家への顧問料については「顧問料」「支払報酬」などの勘定科目を設定し、銀行の振込手数料や残高証明書の発行手数料など、とくに別途管理する必要がないと考えられる場合には、「雑費」で処理するのもよいでしょう。

なお予約をキャンセルする時には、キャンセル料などの名目で手数料が取られることがあります。このキャンセル料は、損害賠償金の性格を持つものであることから、消費税は対象外となります。
しかし、その請求書で損害賠償金部分と事務手数料部分が区分されている時には、事務手数料の部分については、消費税の課税対象となります。

(2)個人に対する支払手数料は源泉徴収が必要

外部の専門家(税理士、公認会計士、社会保険労務士、弁護士等)が個人事業主の場合には、報酬を支払う際に源泉徴収を行います。
源泉徴収した金額は、「預り金」として処理をして、翌月の10日までに納付します。
「○○研究所」「○○会」など、個人事業主か明確でない時には、原則として相手方に法人(人格のない社団も含む)かどうかを、確認します。そして該当しなければ、個人事業主として源泉徴収が必要な報酬か否かを判断することになります。

弁護士、税理士、社会保険労務士等の報酬について源泉徴収する額は、支払金額によって計算式が異なります。

弁護士、税理士、社会保険労務士等の報酬についての源泉徴収

支払金額が100万円以下の場合

1回の支払金額×10.21%

支払金額が100万円超の場合

(1回の支払金額-100万円)×20.42%+10万2,100円

参照:国税庁「弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」

司法書士、土地家屋調査士、海事代理士への支払いに対する源泉徴収税額は、以下の計算式で計算します。

司法書士、土地家屋調査士等への支払いに対する源泉徴収

(1回の支払金額-1万円)×10.21%

参照:国税庁「司法書士等に支払う報酬・料金」

支払手数料のよくある仕訳

外部の専門家が個人事業主の場合には、報酬を支払う際に源泉徴収が必要です。
また、支払手数料は、弁護士、税理士、社会保険労務士等に支払う報酬に対する源泉徴収税額と、司法書士、土地家屋調査士等への支払いに対する源泉徴収税額は計算式が異なります。

ここでは、「支払手数料」のよくある仕訳例についてご紹介します。

(1)税理士法人に報酬を支払った

「税理士法人への顧問料10万円を、普通預金から振り込んだ。」
税理士「法人」は個人事業主ではありませんので、源泉徴収は行いません。

借方 貸方
支払手数料 100,000 普通預金 100,000

(2)個人事業主の弁護士に報酬を支払った

「個人事業主である弁護士に顧問料10万円を支払際に、源泉所得税1万210円を差し引いて、普通預金から振り込んだ。」
個人事業主である弁護士、税理士、社会保険労務士等に報酬を支払う際には、源泉徴収が必要です。源泉徴収した金額は、「預り金」として処理をします。

借方 貸方
支払手数料 100,000 普通預金 89,790
預り金 10,210

源泉徴収する金額は、支払金額によって異なります。
源泉徴収した金額は、翌月の10日までに納付します。

支払金額が100万円以下の場合
支払金額×10.21%

支払金額が100万円超の場合
支払金額-100万円×20.42%+10万2,100円

(3)司法書士に報酬を支払った

「不動産登記において、司法書士報酬10万8,000円(うち消費税8,000円)から、源泉所得税(9,189円)を差引き、登録免許税など25万円とあわせて普通預金口座から振り込んだ。」
司法書士に支払う登録免許税など、国などに対して登記申請などをするため、本来納付すべきことが明確なものについては、源泉徴収する必要はありません。
司法書士への支払いに対する源泉徴収税額は、以下の計算式で算出します。

(支払金額-1万円)×10.21%
借方 貸方
支払手数料 108,000 普通預金 348,811
租税公課 250,000 預り金 9,189

(4)業務委託料と振込手数料を支払った

「業務委託料30万円と銀行振込手数料432円が普通預金口座から引き落とされた。」
銀行の振込手数料は、1件1件の金額は少額ですが、数が多いので「支払手数料」の補助科目として「振込手数料」を設定しておくと、後から確認しやすくなります。

借方 貸方
支払手数料 100,000 普通預金 100,432
支払手数料
(振込料)
432

「業務委託が当期中に完了しなかったため、業務委託料30万円を前払金に振り替えた。」

借方 貸方
前払金 300,000 普通預金 300,000

弁護士等に業務を依頼する場合には、最初に契約した報酬金額のうち、一部を「手付金」として支払うことがあります。
その「手付金」が返金されない契約である場合には、手付金を請求された時点で「支払手数料」で処理をします。
その後、契約によって業務が完了できない場合には返金される可能性がある時には、「前渡金」「前払金」として処理をして、業務完了時に残金とともに「支払手数料」に振り替えます。

(5)クレジット会社への手数料を支払った

「クレジットカード決済による売り上げは10万円である。」

借方 貸方
売掛金 100,000 売上 100,000

「後日クレジットカード会社から明細が送られてきた。カード会社に対する手数料は、3,000円である。」

借方 貸方
支払手数料 3,000 売掛金 3,000

まとめ

支払手数料は、税理士や弁護士等への報酬、振込手数料、送金手数料などの支出について処理をする時に使用する勘定科目です。
外部の専門家が個人事業主である場合には、支払の際に源泉徴収が必要となりますが、外部の専門家が税理士か司法書士かによって計算式は異なります。
また、源泉徴収した金額は「預り金」として処理をし、翌月10日までに納付しなければなりません。
不明点等ある場合には、早めに税理士に確認して適切に処理を行いましょう。

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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